迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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箸休め回です。

ギャグにしようとしたらグダった感が強くなってしまった…


よく考えなくてもそうなるよな。

 遊戯君とのデュエルを終え、諸々を経た後俺はそのまま海馬コーポレーションのデュエルディスク開発ラボへと案内という建前で拉致られた。

 下手人は言わずとしれた海馬瀬人である。

 

「ふん!

 どうせ貴様の事だ。

 未来に不確定要素を増やさないなどとほざいて決勝の地に向かう気すら無いのだろう?

 ならばそのディスクのデータを献上しながら俺達の戦いのロードを眺めていろ!」

 

 と、海馬節を炸裂させて有無も言わさず連行されたのだった。

 妙に解像度の高い先読みに否定もできなかったため言いたいことはあれど早急に約束を果たす意味もあって不満は無い。

 

「レインさん。

 現状はどんな感じなのですか?」

 

 ディスクから抜いたカードを収めたデッキケースを手に手持ち無沙汰を少しでも解消しようとそう問い掛ける。

 

「現状は安定しているものの、貴方を中心に揺らぎは大きく予断は許さないと回答」

「そうですか」

 

 やはりイレギュラーたる俺の存在は予断を許さないらしい。

 それはそうと、流石にアニメオリジナル回まで完全に覚えているわけでもないのだが、記憶通りなら遊戯のパズルカードはちょうど六枚だった筈。

 しかし俺が勝ったことで『人形』から得るはずだった一枚に加えて更に一枚失ってしまった。

 

「パズルカードの枚数は?」

「こちらで調整する」

 

 既に動いているようなので気をもむ必要もなしと。

 それはそうとこの先はどうするべきか。

 バトルシティは実質リタイアしたので気にする必要は無さそうだが、問題は決勝戦直前に発生するアニメオリジナルの『ノア編』とバトルシティ後に発生する『ドーマ編』だ。

 『ノア編』のデッキマスタールールには少なからず興味があるものの、俺がこの世界でデュエルする目的はデュエルエナジーの獲得であることを鑑みれば電脳世界でデュエルエナジーの獲得が叶うのかという疑問と、よしんば獲得できたとして相手は生身の人間ではなく電脳世界に意識だけの状態なので過剰な吸収により存在を消し去りかねない事への懸念。 

 敵の『BIG5』の五人は普通に悪い大人だし諸悪の根源である『海馬ノア』も既に故人だからデュエルの結果殺してしまっても歴史に悪影響を及ぼさないで済む相手だからさして気にする必要も無いが…

 

「闇マリクを抑えるべきかどうか」

 

 ノアが誘引した施設で一人だけ現実世界に置いていかれた腹いせに大暴れしてあわや弾道ミサイルが発射しかけたんだったか?

 

「いかんな。記憶が曖昧すぎる。

 レインさん、ZONEから警句はありますか?」

「『そこで大人しくしていてください』と回答」

「余計な気を回すなと。わかりました」

「追加で『パラディウス社相手にもデュエルでは融合以外のエクストラ召喚はしないように』と警告が出ている」

()()()()()()ですね。了承しました」

 

 つまりリアルファイトと蛇神ゲーには使っていいんだ。

 まあ、喧嘩はクソ雑魚だから仕方ないね。

 

「イリアステル戦に向けて少し調整します。

 カードパワーの精査を手伝ってください」

「承認」

 

 カードを広げ、レベル3霊使いを抜きディアベルスター関連のカードを導入。

 序でに【ドラグマ・パニッシュメント】と【円融魔術】に【隣の芝刈り】辺りも追加するか?

 

「レインさん。この辺りを導入したいのですが大丈夫そうですか?」

 

 上記を含めた【ラビュリンス】の家具を含むサイドデッキのかなり強めのグッドスタッフを提示してみる。

 

「『ルチアーノ』より回答。

 『自重しろ馬鹿』。

 『プラシド』より回答。

 『貴様はこの次元を滅ぼしたいのか?』

 『ホセ』より回答。

 『入れるなら【円融魔術】とディアベルスターだけにしておけ』」

「そこまでボロクソに言われるほどなの?」

 

 まあ、言わんとしていることも分からんでもないんだけどさ。

 とりあえずまともに貰えたアドバイスに従い【罪宝】魔法罠と【黒魔女ディアベルスター】を霊使いと入れ代わりで導入する。

 

「レインさん。実戦で回しを確認したいのですが対戦願えますか?」

「了解」

 

 ナチュラルにプレイングマットが印刷されたテーブルにデッキを置きレインが対面に座りデッキをテーブルに乗せた。

 

 一方その頃。

 

「どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!??」

「わからない!?何処をどう解けばスパゲッティコードが解体出来るんだ!!??」

「変形機構のセキュリティプロトコルが何故完全ブラックボックス化しているんだ!?

 解凍コードは何処にある!?」

「ありえない!!カードリーダーのマイクロマシンがどうやったらここ迄小型化出来たんだ!!??」

「所有者生体コードの承認!?

 網膜スキャニングではなくDNAマップと生体電力と脳波係留の三重生体認証コード!!??」

「素材は軽強化プラスチックにチタン合金!?

 巫山戯るな!! それで内部部品込みで総重量600グラム以下に出来るはずがないだろうが!!」

「強度数値があからさまにおかしい!!

 プラスチックが鉄より硬くなるんだよ!?

 なんでレーザーカッターを跳ね返せるんだ!!??」

 

 彼等はデュエルディスク開発のために集められた最先端のエンジニア集団であったのだが、執事より齎されたデュエルディスクに採用されている技術に常識を破壊されプライドを打ち砕かれていた。

 

「状況はどうだ?」

 

 阿鼻叫喚の地獄絵図と化したラボに兄から調査報告を受け取るよう言われ来訪した【海馬モクバ】は施設内に響き渡るゾンビめいたうめき声と発狂したように泣き喚く職員達の姿にドン引きしながら恐怖した。

 

「な、何があったんだ…?」

「ああ、副社長ですか…」

 

 比較的理性を残していた職員の一人がモクバに気付き対応に向かう。

 

「いやぁ、あのデュエルディスクは我々にとって正に劇薬ですよ。

 外観こそ我々が完成させたデュエルディスクではありますが、中身は全くの別物。

 例えるなら我々が作ったのが竹の水鉄砲で、あのデュエルディスクはレーザー銃と言い換えられるレベルの技術格差がありますね」

 

 そう笑う職員だが、その笑いは何処か虚ろだ。

 

「そんなになのか」

「ええ。今の我々が再現しようとしても現状の三倍の大きさと五倍の重量加算は避けられないでしょうね」

「それはもうディスクじゃなくてテーブルじゃないのか?」

「新型デュエルテーブルとして設計!!

 それならまだ可能性があるか!?」

 

 モクバの至極当然な疑問に天啓を得たとその職員は様子をおかしくしたままモクバを放置してパソコンへと飛びつき凄まじい勢いでタイピングを始める。

 

「……うわぁ」

 

 明らかに発狂してしまった彼を憐れみモクバは今日はもう帰れと警備員を呼び出し様子のおかしい者を纏めてラボから引きずり出させた。

 

「そっちはどうだ?」

 

 そうして残った僅かなエンジニアの内、カードデータの吸い出しを担当していたプログラマーに問い掛ける。

 

「データの吸い出しそのものは完了したのですが…」

「何か問題があったのか?」

「大きくは2つ。

 一つは一部カードに明らかな仕様変更の痕跡が確認出来たことです」

「具体的に」

「例えば【天よりの宝札】ですが、我々が認知しているこのカードは互いの手札を六枚になるようドローする効果であるのに対し、ディスク内のデータでは自身の手札とフィールドの全てを除外して二枚ドローする効果と明らかに弱体化されています」

「そこまで弱体化したら最早別物じゃん」

 

 デュエルの腕は兄程にはよくないモクバにさえこれに頼るならなんでこれが刷られたと言われる【謙虚な壺】の方がまだ採用の目が見える程の弱体化に思わずそう口にする。

 そんなモクバにプログラマーは続ける。

 

「そしてもう一つ。

 カードのデータにプロテクトが掛けられており、特に融合デッキのカードの7割ほどが詳細不明となっています」

「解除作業は?」

「最優先で進めていますが一つ解除する間に新たなプロテクトが構築されいたちごっこの状況となっています」

「そうか…」

 

 おそらくデュエルディスクの持ち主がやったに違いないとモクバは考えプログラマーに引き続き解析作業を指示してから案内人が待つ休憩所へと向かった。

 

「それではディアベルスターでダイレクトアタックします」

「チェーンは無し。

 ライフポイントマイナス1550でデュエル終了」

 

 休憩所に向かうと案内人が同伴させていた女学生とテーブルデュエルを行っていた最中だった。

 

「おいお前!

 よくもやってくれたな!」

「え?」

 

 唐突に怒られ困惑する案内人にモクバは言う。

 

「カードのデータを改竄して見れなくしただろうが!」

「…?

 レインさん?」

「『イリアステル』は介入していない」

 

 そんな技術は勿論持っていないためイリアステルが手を打ったのかと視線を向けるもレインは首を横に振る。

 

「状況が分からないので何とも言えないのですが、私にはその手の知識はあまり無いので何が起きているか確かめさせて貰えますか?」

「…分かった。ついてこい」

 

 嘘を吐いているようには見えなかったモクバはデッキをケースにしまい懐に収めた案内人を連れてラボへと引き返す。

 

「コレだ」

「どれどれ…」

 

 画面を覗き込んだ案内人は【NODATA】と縁までを隠されたカードにもしかしてと思い至る。

 

「今から言う三枚のカード名の検索をお願いします。

 【ジャンク・ウォリアー】、【ガガガガンマン】、【リンクリボー】」

 

 プログラマーが打ち込むが、表示された検索結果は三枚ともデータが隠された状態だった。

 

「ふむ? 次はテーマ検索をお願いします。

【スケアクロー】、【クシャトリラ】、【マナドゥム】、【落胤】」

 

 検索の結果何故か直接関係の無い方の【教導の聖女エクレシア】の一枚のみが表示された。

 

「…なんでそっち?

 ともあれ、引き続きテーマ検索で【ラビュリンス】を」

 

 今度の結果は案内人が持っている全てのカードが表示される。 

 

「こっちが出るということは…次は種族検索をお願いします。

 検索内容は【サイキック族】、【サイバース族】、【幻竜族】」

 

 検索の結果は全て隠されている。

 

「では最後に【幻神獣族】【創造神族】を」

 

 四枚が表示されたが、こちらもどれも内容は見えなくされている。

 

「多分、そう言うことだよな?」

「原因は分かったのかよ?」

 

 何か思い当たるものがあったらしい様子を見せる案内人にモクバが問い質すと、案内人は包み隠さず答えた。

 

「恐らくなのですが、表示されていないカードは現実にカードが実在していないものなのだと思います」

「カードが実在していない?」

「ええ。

 先程私が口にしたテーマや種族が実装されたのは大分後になってからのものばかりです。

 カードが無いのにカードのデータが存在する矛盾を解消するために隠匿されているのだと思われます」

「どうにかならないのかよ?」

「申し訳ありませんがカードを制作している『I2社』に掛け合うほうが早いかと」

「そうか…」

 

 会長のペガサスと兄があまり関係が良くないのでどうしようもない話だとモクバは兄サマの叱責が来るだろうと肩を落とした。




という事で執事はバトルシティ退場&ノア編はスルーします。

デッキマスターシステムは面白いんだけど姫様とか絶対バランスブレイカーじゃ済まなそうなので、ドーマ編に向けて仕込んでいきます。
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