迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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というわけでデュエル回です。


言い訳は後書きで。


出かけた先で凄い経験をした。(3)

 昼食を済ませた後、デュエルをするのに良い広場があると十代の案内で向かっていたら不意にユベルが俺に話し掛けてきた。

 

『十代を楽しませてくれてありがとう。

 これは少しばかりのお礼だよ』

 

 とユベルが俺のデュエルディスクに触れると黒いオーラを纏う茨がディスクに纏わり付き、しかしすぐに消えた。

 

「えっと…コレは?」

『君の悩みを解決したのさ』

 

 茨が絡みついていた痕跡がペイントのように残るデュエルディスクに訝る俺にユベルは説明する。

 

『僕の力でカードが肉体に与えるダメージを減衰させるようにしたんだよ。

 本来はデュエルを犯罪に使っている奴への罰に使っている能力だけど、君にはそちらのほうが都合がいいんだろう?』

 

 要するに相手にはリアルダメージを与えられなくなったってことか?

 

『だけど過信はしないでくれよ?極端な火力を出されたら流石にどうしようもないしね』

「数値で言うとどれぐらいになるんだ?」 

『そうだねぇ…やってみないとわからないけどアーミタイルを正面から打ち砕ける程の力を出されたら確実に無理だろうね』

 

 アーミタイルって事は、攻撃力10000オーバーってところか。

 持ってないし使わんけどヌメロンなら普通に行くんだよなぁ…。

 手持ちなら盤面次第になるけどデュガレス乗せアークリベリオンで届く範囲になるが、精霊界のデュエルは基本ライフ4000なんだし使う機会も無いだろうから心配する必要はないわな。

 

「本当に助かるよ。ありがとう」

『礼は不要さ。

 君はこれから十代と戦うのに変な手加減をして十代を満足させられない方が嫌だからね』

「そうか」

 

 そう言うユベルに俺はこれ以上の感謝の言葉をしまい微妙に禍々しさを追加されたデュエルディスクを改めて見る。

 

「ならこの礼は、十代が心底ワクワクするような『おもてなし』をさせてもらうことで返させてもらおうか」

 

 つい姫様の流儀を口にしてしまい、自分も随分染まって来たんだなと改めて思っていると、中央に噴水が設置された広場に出た。

 

「この辺りでやろうぜ」

「ああ」

 

 もう我慢できないとデュエルディスクを変形させる十代に俺もデュエルディスクを起動させる。

 

「見つけたぞ!!」

 

 お互いに十分な距離を取っていざ、というその瞬間、出鼻を挫く怒声が割って入った。

 

「お前は、さっきの…?」

 

 その正体は十代が追い払ったチンピラの一人だった。

 

「さっきはよくもやってくれたな?

 借りを返しに来たぞ!!」

 

 そう言うと同時にチンピラが何かを俺に投げつけ、咄嗟に腕を盾にすると投擲物は左腕に噛みつくようにガチャンと音を起てながら拘束した。

 

「この『デュエルアンカー』はデュエルが終わるまで外れねえ。

 俺が勝ったらテメエの所持品全て俺の物だ」

 

 出た!! 遊戯王屈指のご都合アイテムデュエルアンカー。

 

 デュエルアンカーとは相手に投げたら確実にデュエルディスクを装着した側の腕にくっつく上にデュエルが終わると勝手に外れるというデュエルディスク並に高性能な癖に、制作元がデュエルディスクを初めて作った海馬コーポレーションとは関係なく一切不明とか色んな意味で謎の塊なアイテムである。

 

「待てよ!! 執事さんとのデュエルは俺が先だぞ!!」

 

 そこじゃないだろ。

 

 突っ込みを入れたいが、カードゲームアニメあるあるな展開に突っ込んでもおかしいのは俺扱いされるだけだろうなので、いっそ俺もこのノリに乗っかることにしておく。

 

「仕方ないな。

 十代。すぐに終わらせるから少し待ってくれ」

「むぅ…」

 

 不機嫌そうに唸る十代を窘めつつ、チンピラに向き直る。

 

「アンティを要求すると言うなら、俺が勝ったら憲兵に自首してこれまでの罪を洗い浚い告白してもらう事を要求するが構わないな?」

 

 身ぐるみ全部とか巫山戯た要求に対し俺も対価を先に要求する。

 

「どこまでも舐め腐りやがって…後悔しやがれ!!」

 

 俺の言葉にギリギリと歯軋りを鳴らして怒りながらチンピラはカードを5枚手にする。

 

「「デュエル!!」」

 

 対して俺もカードを5枚引き、デュエルの気配にギャラリーが円を造って囲うことで生まれたコロシアムの中心で互いに開始を宣言する。

 

 ディスクが示すのは後攻。

 

「俺の先攻だ!!

 手札から【増援】を発動だ!!」

 

【増援】

通常魔法(制限カード)

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

 初動はよくあるパターンか。

 

「チェーンはありません」

 

 うらら他誘発は手元に無いので動きを見るのに集中する。

 口調が執事モードになっているが、癖になっているのでこのまま気にしない事にする。

 

「俺はデッキから【切り込み隊長】を手札に加えてそのまま召喚する!!」

 

【切り込み隊長】

効果モンスター

星3/地属性/戦士族/攻1200/守 400

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。

 

 古いカードだが、それほど悪くないな。

 

 切り込み隊長から追加で出すモンスター次第でランク3エクシーズでもレベル4から7のシンクロでもリンクでもいくらでも選択肢はある。

 

 一瞬だけならず者繋がりで『ならず者傭兵部隊』が出てくるかもと思ったが、流石にそこまで安直では無かったか。

 

「俺は手札から2体目の【切り込み隊長】を召喚だ!!

 更にカードを2枚伏せてターンエンド。

 テメエのターンだ!!」

 

 まさかの切り込みロックかよ。

 

 いやいやいや。流石に古過ぎん?

 

 モンスター除去手段なんて溢れるほどあるご時世に切り込みロックってさぁ。

 

「へっ! びびってねえでさっさとカードを引きやがれ!」

「っと、失礼。ドロー」

 

 固まっていたのを慄いていたと勘違いしたらしいチンピラの言葉に軽く謝罪してカードを引く。

 

『妖精伝姫カグヤ』

『海亀壊獣ガメシエル』

『獣王アルファ』

『憑依連携』

『憑依覚醒』

『墓穴の指名者』

 

 ……あの切り込みロックがブラフじゃないなら負ける要素は少ないな。

 

 反応を見たいしまずは様子見からいこう。

 

「私は『切り込み隊長』一体をリリースして手札から【海亀壊獣ガメシエル】をそちらのフィールドに召喚します」

 

【海亀壊獣ガメシエル】

効果モンスター

星8/水属性/水族/攻2200/守3000

(1):このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、

手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる。

(2):相手フィールドに「壊獣」モンスターが存在する場合、

このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できる。

(3):「壊獣」モンスターは自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(4):相手が「海亀壊獣ガメシエル」以外の魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、

自分・相手フィールドの壊獣カウンターを2つ取り除いて発動できる。

その発動を無効にし除外する。

 

 伏せカードを警戒して最初に切り込みロックを崩しておく。

 

「な、な、何だコイツは!?」

 

 自分の場に現れた巨大な亀にチンピラがこれ見よがしに慌てふためく。

 

「壊獣かぁ…。

 アレ結構厄介なんだよなぁ」

『随分面白い手を用意しているね。

 ボクの効果でもリリースには対処できないし耐性も無視できるから有効な除去手段になり得るね』

 

 俺の動きを観察する十代とは対象的にチンピラは焦りながらも強気な笑みを浮かべた。

 

「クソッ、だがいいのかよ?

 こんな強力なカードを俺に与えちまってよ」

 

 ……ふむ。

 

「勿論差し上げるつもりはありませんよ。

 私は手札から【獣王アルファ】を特殊召喚します」

 

【獣王アルファ】

特殊召喚・効果モンスター

星8/地属性/獣族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。

相手フィールドのモンスターの攻撃力の合計が、

自分フィールドのモンスターの攻撃力の合計より高い場合に特殊召喚できる。

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターを任意の数だけ対象として発動できる。

そのモンスターを手札に戻す。

その後、手札に戻った数だけ相手フィールドの表側表示モンスターを手札に戻す。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分の「獣王アルファ」は直接攻撃できない。

 

 俺のフィールドに8つの角を携えた翼有る獅子に似た巨獣が地響きを起てて降臨する。

 

「ふ、ふざけるな!!

 どうやってそんな化け物を呼べるんだ!?」

「…『獣王アルファ』はフィールドのモンスターの攻撃力を参照し相手の方が高い時に特殊召喚が可能なモンスターです。

 効果を確かめたければ参照して構いませんよ?」

 

 不正やイカサマはデュエルディスクに止められてしまうのだから不可能なのは分かっているだろうに、それでもチンピラは信じたくないと喚き散らす。

 

 …アルファを召喚しても伏せカードは発動しないか。

 とりあえず『神の警告』や落とし穴みたいな召喚に反応するカードじゃないみたいだな。

 

 アルファの登場に歓声が彼方此方から聞こえる中、俺は淡々と作業を続ける。

 

「私は『獣王アルファ』の効果を発動します。

 自分のフィールドのアルファを手札に戻し、そちらに召喚したガメシエルを手札に戻します」

 

 効果の発動を宣言するとアルファが吠えて光の粒子に変わっていく。

 

『手札消費無しでどんなモンスターも除去出来るのか…。

 これは強力なコンボだよ十代』

「ああ。それに執事さんはまだモンスターを召喚していないからまだ何かしてくるぞ」

 

 無邪気な反応の周囲に構わずガメシエルとアルファの除去コンボへの対策を考えて真剣に話し合う十代とユベル。

 

「っ!? 俺は手札を捨てて【天罰】を発動する!!」

 

【天罰】

カウンター罠

手札を1枚捨てて発動する。

効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。

 

 光の粒子となったアルファに上空から雷撃が落ちてアルファが焼き尽くされる。

 

 ……伏せの一枚は天罰だったか。

 

「ハハハ!!

 これでテメエの切り札は消え去ったぞ!!」

 

 勝利を確信した様子で高笑いをするチンピラに俺は確信する。

 

「浅いな」

「ハハハ…あ?」

「中々いい判断ですが、アルファを破壊しただけで勝ちを確信するのは早計が過ぎるかと」

 

 天罰を切った判断は真面目に悪くない。

 だが、こちらはまだ召喚権も残っているし手札も4枚ある。

 

 俺の忠告が気に入らなかったチンピラは青筋を立ててがなり散らす。

 

「強がってんじゃねえぞ!!

 テメエの切り札は俺がぶっ壊してやっただろうが!?」

「いいえ?

 アルファは打開札ではありますが、私の切り札は別にありますよ」

 

 このデッキの切り札というならアークリベリオンやアーゼウス、アクセスコード・トーカー辺りだろうか。

 もっとも、このチンピラに使う必要も見せる必要も無さそうだが。

 

「続けますね。

 私は手札から永続魔法カード【憑依覚醒】を発動します」

 

【憑依覚醒】

永続魔法

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのモンスターの攻撃力は、自分フィールドのモンスターの属性の種類×300アップする。

(2):自分フィールドの「霊使い」モンスター及び「憑依装着」モンスターは効果では破壊されない。

(3):自分フィールドに元々の攻撃力が1850の魔法使い族モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動する。

自分は1枚ドローする。

 

「次いで【妖精伝姫(フェアリー・テイル)カグヤ】を召喚します」 

 

妖精伝姫(フェアリー・テイル)カグヤ】

効果モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻1850/守1000

(1):このカードが召喚した時に発動できる。

デッキから攻撃力1850の魔法使い族モンスター1体を手札に加える。

(2):自分・相手ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

相手はそのモンスターの同名カード1枚を自身のデッキ・EXデッキから墓地へ送ってこの効果を無効にできる。

墓地へ送らなかった場合、このカードと対象のモンスターを手札に戻す。

 

 フィールドに十二単衣を着付けた蒼い髪の狐の獣人が優雅に降り立つ。

 

「カグヤは召喚時にデッキから自身と同じ攻撃力のモンスターを手札に加えます。

 同時に『憑依覚醒』はフィールドに攻撃力1850のモンスターが召喚された際カードを一枚ドローする効果があります。

 カグヤの攻撃力は1850。

 よって効果により1枚ドローします」

「合計2枚だと!?」

 

 信じられないと後退るチンピラ。

 

『凄い噛み合わせの2枚だね。

 カグヤの効果で次のターンも確実に1枚追加で引けるのが決まったよ』

 

 そのせいで霊使いデッキなのにライナが唯一霊使いの中でいらない娘扱いされているのは許して欲しい。

 

『絶対に許しません』

 

 涙目でプンスカ起こるライナを幻視した気がするが、今はデュエル中なのでスルーしておく。

 

「カグヤの効果で【憑依装着−アウス】を手札に加え1枚ドロー」

 

 引いたのは…2枚目の【憑依連携】か。

 

 ……。

 

「私はカードを2枚伏せてターン終了します」

 

 すぐさまカグヤでガメシエルを回収してもいいが、姫様の従者として『おもてなし』するならこうした方が()()()だろう。

 

「へっ、散々言っといて攻撃もしてこないのかよ!!

 俺のターン!! このままバトルだ!!

 その狐を丸呑みにしろガメシエル!!」

 

 本来の使い手以外の命令に不服そうに呻りながらもガメシエルは咆哮を上げてカグヤへと喰らい掛かる。

 

「更に手札から【突進】を発動だ!!」

 

【突進】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする

 

 強化を受けて急激に加速するガメシエル。

 凄惨な光景が起きるだろうと悲鳴が上がるが、生憎とその未来は訪れない。

 

「攻撃開始後にカグヤの効果を発動します。

 更にチェーンして【憑依連携】も発動します」

 

【憑依連携】

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分の手札・墓地から守備力1500の魔法使い族モンスター1体を表側攻撃表示か裏側守備表示で特殊召喚する。

その後、自分フィールドのモンスターの属性が2種類以上の場合、フィールドの表側表示カード1枚を破壊できる。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「憑依」永続魔法・永続罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを自分フィールドに表側表示で置く。

 

「チェーンはありますか?

 無いですねわかりました。

 では逆順処理により先ずは手札から【憑依装着−アウス】を召喚します」

 

【憑依装着−アウス】

効果モンスター

星4/地属性/魔法使い族/攻1850/守1500

(1):このカードは自分フィールドの表側表示の、

「地霊使いアウス」1体と地属性モンスター1体を墓地へ送り、

手札・デッキから特殊召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚したこのカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、

その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

 眼鏡を掛けたライトブラウンの髪の少女がフィールドに飛び出して行った。

 

「この瞬間私のフィールドには光属性と地属性の2つが存在するためにフィールドの表表示のカードを1枚破壊できます。

 私は『切り込み隊長』を破壊します」

 

 アウスとカグヤから2色のオーラが立ち昇りそれが重なり合うと鏃の形に形取り切り込み隊長を貫いた。

 

「俺の切り込み隊長が!?

 だ、だがガメシエルはまだ…」

「カグヤの効果により自身と対象を本来の持ち主の手札に戻します。

 デッキから対象のモンスターを墓地に送れば効果を不発に出来ますが…無いですよね?」

 

 確認を取っている合間にカグヤは握っていた扇を開いてガメシエルに一扇ぎした。

 するとガメシエルとカグヤは光に包まれフィールドから霞のように消え去った。

 

「ああ、攻撃力1850のアウスが場に現れたので1枚ドローしますね」

「あ、ああ…」

 

 聞いているのか怪しい様子でチンピラはザリザリと地面を擦って逃げようとするが、自ら取り付けたデュエルアンカーにより逃亡さえできなくなっている。

 

 場には伏せカードが1枚だけで手札は無し。

 対して俺は手札が4枚で場には3枚。

 

『決まったね。

 仮にミラーフォースが仕込んであったとしても憑依覚醒の効果でアウスには破壊耐性が追加されているから攻撃は止められない』

 

 ついでに言うなら今引いたのが【憑依装着−ウィン】なのでカグヤを召喚する必要もない。

 どちらも未だに1ポイントのダメージも発生していないが、勝敗は誰の目にも明らかだった。

 

「何も無ければ私のターンに移らせて頂きますね。 ドロー。

 手札から【憑依装着−ウィン】を召喚して1枚ドローしてから2体でダイレクトアタックを行います」

 

 その後、特別なドラマの一つもなく俺は『おもてなし』を完了させた。

 




十代とのデュエルじゃないのかよって?

ごめんなさい。

実は私、HERO一度も使ったこと無いから回し方が分からないんです。

なんで最初は頑張ってみたんだけどどうにも十代のデュエルにならなかったんです。(腹切り)

なので、代わりにサンドバッグ相手に霊使いデッキ回して見ました。

うん。こんな悠長なデッキで環境には勝てんよね…
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