迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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おまたせしました。

切りどころが分からなくて文字数一万オーバーとなっております。


この勝利は俺のものとは言えないよな

 3割という俺の言葉に海馬と遊戯君があからさまに驚愕した。

 

「3割だと!?」

「そんな!?」

 

 低レベルモンスターで神を正面から打ち破り表の遊戯にさえ勝ち越したことをその目で見た故に愕然とする二人に対し、城之内君が訝しんだ様子で口を開く。

 

「よく分からねえんだけど、そのオッサンそんなに強いのか?」

「うん。バトルシティでボクが負けた人だからね」

「遊戯が負けた!!??」

 

 遊戯君の告白に海馬以外の全員が驚愕し、急に城之内君が立ち上がった。

 

「なあオッサン!俺とデュエルしてくれ!

 遊戯が嘘をついているなんてこれっぽっちも思っちゃいないけどよ、実際に目にしなきゃどうしても信じらんねえよ!」 

 

 必死に頼み込む城之内君の気持ちは俺にもよく解る。

 

「分かりました。

 ですが、一つ条件があります」

「なんだよ?

 俺のレアカードを賭けろっていうのか?」

「いえ。そうじゃありません」 

 

 レッドアイズとか賭けられても本気で困るのでそう断り俺は言う。

 

「君とのデュエルのルールを私の時代のルールでやらせて欲しいのです」

「どう違うんだ?」

「先攻ドロー無し。

 魔法罠ゾーンにセットするカードの枚数制限無し。

 エクストラモンスターゾーンの開放。

 魔法罠ゾーンにペンデュラムスケールを設置。

 召喚するモンスターの表守備表示での召喚禁止。

 そしてエクストラデッキ君達の時代にはまだ融合デッキと呼ばれた場所から召喚されたモンスターの召喚酔いの撤廃。

 そうならないようにはしますが、万が一君たちが大神祇官達とのデュエルを避けられない場合、このルールで戦う可能性が非常に高いので今のうちに先じて学んで欲しいのです」

 

 ルールを知っているか否かはそれだけで勝敗が決まる事さえあるほど重要だからこそ、万が一知らなかったで済ませないよう『真マスタールール』でのデュエルを要求した。

 

「ず、随分違うんだな…」

「加えて君達に知ってもらうため私が今現在所持する全ての召喚法も導入します。

 遊戯君と戦った際より更に苛烈なデュエルとなりますが、構いませんか?」

 

 現代遊戯王の共通ルール『知らないほうが悪い』『対策しなかったお前が悪い』が彼等を襲わぬよう実戦で体感させようとする俺に対し、城之内君は僅かに臆しながらもグッと拳を握る。

 

「俺だってデュエリストだ!

 自分から言いだしたデュエルからは逃げねえ!!」

「分かりました。

 此処では少し狭いので場所を移します」

 

 意地を見せる城之内君に、俺は()()()()を奮うことになった。

 そして一同は中庭に移動し、デュエルディスクを展開する。

 

「デュエルモードを『マスタールール』に変更」

 

 俺の命令にディスクが変形しエクストラモンスターゾーンが開き魔法罠ゾーンの両端にペンデュラムスケールが開く。

 

「あれがデュエルディスクの真の姿か…」

 

 目指す高みの本来の形に海馬は野心を秘めた目でディスクを強く睨む視線を感じつつ相対する城之内君を見遣る。

 

「準備は宜しいですか?」

「いつでも良いぜ!!」

 

 その答えを受け、オートシャッフルされたデッキトップを五枚引く。

 ディスクの表示は俺の後攻。

 

「「デュエル!!」」

「行くぜ俺のターン!ドロー!」

「先攻なのでドローは出来ませんよ」

 

 アニメそのままの調子でカードを引こうとした城之内君を制するとガクンとつんのめってしまった。

 

「っとと、そうだったな…。

 俺は手札から【ランドスターの剣士】を召喚するぜ!」

 

【ランドスターの剣士】

通常モンスター

星3/地属性/戦士族/攻 500/守1200

剣の腕は未熟だが、不思議な能力を持つ妖精剣士。

 

「ランドスターを守備表示に…は出来ないんだっけか。

 カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

 フィールドに愛嬌のある軽装の剣士をフィールドに立てつつターンを終える城之内君。

 うん。彼からしたら何時もの展開なんだろうが…

 

「私のターン。

 ドローフェイズ。ドロー」

 

 引いてきたのは【精霊術の使い手】

 そして手札は、

 

【ライトニング・ストーム】

【ランリュウ】

【ジェスター・コンフィ】

【白銀の城のラビュリンス】

【白銀の城の執事アリアス】

 

 うん。誘発無かったらワンキルだね。

 本来ならライストから始めて姫様を精霊術のコストにして【アクセスコード・トーカー】でこのターン中に確殺を狙うのだが、それではただデッキパワーを見せつけるだけになってしまうから舐めプに寄ってしまうのは承知でエクストラデッキの他のモンスターを回していこう。

 

「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 手札から【ライトニング・ストーム】を墓地に送り【精霊術の使い手】を発動します。

 チェーンはありますか?」

「チェーン?

 鎖なんて持ってねえぞ?」

 

 この空気を何と表現するべきだろうか?

 

「城之内君。

 チェーンっていうのは鎖じゃなくてカードの効果に対してカードを発動する処理の事だよ」

「えっと……???」

 

 あ、駄目なやつだこれ。

 

「ともあれ、何もないならデッキから【憑依装着-ヒータ】を手札に加え【憑依覚醒】をセットします」

「お、おう??」

「少しは見直してやっていたがやはり雑魚は雑魚だったか…」

 

 俺の説明に宇宙を背負う城之内君に呆れて見下す海馬と海馬の弄言に擁護する余地もなくてしょっぱい顔の遊戯君。

 対して城之内君らしいなぁと俺は思いつつプレイングに容赦はない。

 

「次いで【白銀の城の執事アリアス】を墓地に送り効果を発動します。

 手札から使うカードはありますか?」

「そんなカードはデッキに入ってねえよ!!」

 

 より分かりやすい言葉でチェーン確認を取るも超特大のやらかしを口にされ流石に俺も顔が引きつってきた。

 

「そうですか…。

 ではアリアスの効果で手札から【ラビュリンス】モンスター、【白銀の城のラビュリンス】を攻撃表示で特殊召喚します」

 

 アリアスが手にしたフィッティング・カーテンを広げて持ち上げ内側に姫様のシルエットが浮かび上がった後でその手を離すと、ドレス姿の姫様がカーテンの中からドヤ顔しながら登場した。

 

「生贄無しで最上級モンスターが召喚されただって!!??」

「あの姫様こんな美人だったのかよ!?」

「相変わらずふざけたエフェクトを…」

 

 ほら言われてますよ姫様?

 そんな視線を向けるも下民の声など聞こえないと言いたげに立派な双丘をたゆんと揺らして高笑いする姫様に仕方ないなぁと諦める。

 

「レッドアイズより攻撃力が高いモンスターがこんなに簡単に…」

 

 喰らえば一撃でライフの大半が消えるとあって城之内君の顔にも姫様の艶姿に鼻の下を伸ばす余裕もなく険しさが増える。

 

「次にセットした永続魔法【憑依覚醒】を発動し手札から【憑依装着-ヒータ】を通常召喚します」

 

 抑えきれない感情を顕すように踊る炎を従えたヒータが杖を振って炎を鎮めフィールドに立つ。

 

「ヒータの元の攻撃力は1850なので【憑依覚醒】の効果を発動。

 一枚ドローします」

 

 引いてきたのは【強制脱出装置】か。

 

「手札から【ランリュウ】を特殊召喚します。

 これで【憑依覚醒】の効果で私のフィールドのモンスターの攻撃力は其々900ポイントアップしました」

「モンスターがこんなに…。

 それに900って事は、フィールドのモンスター全部の攻撃力がレッドアイズ以上になったのかよ!?」

「そしてここからが本番です。

 ヒータとランリュウの二体で『オーバーレイ・ネットワーク』を構築する!」

 

 驚愕する城之内君に構わず宣言すると戦場に黄金の粒子が渦巻く銀河が生まれ、ヒータとランリュウがその渦へと飲み込まれる。

 

「何が起きているんだ!?」

「異なる次元、異なる歴史の歩みの先に生まれし未来へと向かう意志の力!その召喚法の名は【エクシーズ召喚】!

 レベルが同じモンスター二体以上を重ね、エクストラデッキよりモンスターを特殊召喚します!」

「融合魔法を使わない特殊召喚か。

 成程。エクストラ(更なる)デッキと名を変えるだけの理由だな」

 

 海馬の得心の呟きの前で黄金の銀河が収縮し、閃光の中から新たなモンスターが姿を現す。

 

「現れろ!無量の時空を駆け抜ける潜行者!

 エクシーズ召喚!ランク4!【クロノダイバー・リダン】!!」

 

【クロノダイバー・リダン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/サイキック族/攻2400/守2000

レベル4モンスター×2

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のスタンバイフェイズに発動できる。

相手のデッキの一番上のカードをこのカードのX素材とする。

(2):自分・相手ターンに発動できる。

このカードのX素材を3種類(モンスター・魔法・罠)まで取り除く。

その後、その種類により以下の効果を適用する。

●モンスター:このカードをエンドフェイズまで除外する。

●魔法:自分は1枚ドローする。

●罠:相手フィールドの表側表示カード1枚をデッキの一番上に戻す。

 

 閃光の中からモノクルを嵌めた伊達男がフィールドに華麗に着地する。

 

「攻撃力を下げてまで召喚したんだよな…きっとなんか効果があるはず!?」

「当然です。

 バトルフェイズに移行。リダンでランドスターの剣士を攻撃!」

 

 手袋に装着された機械が紫電を放ちランドスターの剣士へと電撃を飛ばす。

 

「掛かったな!トラップ発動!【マジックアーム・シールド】!!」

 

【マジックアーム・シールド】

通常罠

(1):相手フィールドに表側表示モンスターが2体以上存在し、

自分フィールドにモンスターが存在する場合、

相手モンスターの攻撃宣言時に攻撃モンスター以外の

相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

その表側表示モンスターのコントロールをバトルフェイズ終了時まで得て、

攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う。

 

 フィールドに出現したリンク機構の掴みが搭載された盾から掴みが伸び、そのまま姫様を捕らえるとリダンの射線に立たせた。

 

「アンタのフィールドのラビュリンスのコントロールを貰ってリダンとバトルだ!!」

「【串刺しの落とし穴】ではありませんでしたか。

 とはいえやることは変わりません。

 罠にチェーンしてリダンの効果を発動します。

 リダンの下のカード、エクシーズ素材を一枚外し墓地に送って効果を発動。

 この時外したエクシーズ素材によって効果を決定する。

 今回外したのはモンスターカード。

 それによりリダンはエンドフェイズまで自身を除外します」

 

 マジックアームに捕まり姫様がリダンの攻撃に反射的に斧を振り下ろし反撃を試みるもリダンは時間の壁を抜けて斬撃を開始していた。

 

「能動的なサクリファイス・エスケープ効果か。

 任意効果だからかなり使いやすい効果だね」

 

 運任せな点が目立つも意外とコンバットトリックの要素が多い城之内君のデッキに効果的と考えて出してみたが、中々いい仕事をしてくれる。

 

「クソッ!!逃げられちまったか…」

「バトルフェイズを終了。

 メインフェイズ2に入りカードを1枚セットしてターンエンド。

 エンドフェイズ時にリダンを再び特殊召喚します」

 

 時空の流れに身を隠していたリダンが現実世界に帰還し、自分を捕らえていたマジックアーム・シールドを破壊した姫様がこちらのフィールドに帰ってくる。

 

「俺のターン!ドロー!

 俺は手札から…」

「貴方のスタンバイフェイズ時にリダンの効果が発動しています。

 フェイズ巻き戻しをしてください」

「巻き戻しって、何を戻せばいいんだ?」

 

 この子本当にプロ目指してるのかなぁ?

 

「細かい説明をしたいところですが、長くなりますとテンポが悪くなるので今回は処理だけ進めます。

 リダンは互いのスタンバイフェイズに相手デッキトップをエクシーズ素材にします」

「相手のデッキトップって事は…俺のデッキからカードを奪うのか!?」

「正解です」

「そんなのアリかよ!?」

 

 本気で怒ってるけどね、デッキトップ一枚()()なら優しい部類なんだよ?

 世の中には【クシャトリラ・ライズハート】とか【神碑(ルーン)】とかもっと酷い吐き気を催す邪悪が居るんだからね? 

 

「文句は理解しますがデュエルを進めたいのでデッキトップを公開してください。

 リダンが素材にしたエクシーズ素材は公開情報なのでそちらも確認してください」

「納得行かねぇ…」

 

 ブツブツ言いつつも城之内君はデッキトップを公開する。

 そのカードは、【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】だった。

 なんでマリクのカードを持っているんだよ!?

 

「アレ?なんでコイツが入ってんだ?」

 

 しかも城之内君でさえ不思議がるという…。

 

「…もしや、誰かに使われてフィールドに召喚された際に返し忘れたのでは?」

「そういやマリクの野郎に使われた後気絶したから、そん時にアイツが回収し忘れたのかも?」

 

 マジでマリクのカードかよ。

 

「機会があればちゃんと返しなさいね。

 ともあれリダンの効果が処理されたので改めて君のメインフェイズです」

「おう!

 俺はランドスターの剣士を生け贄に【サイバティック・ワイバーン】を召喚するぜ!」

 

【サイバティック・ワイバーン】

通常モンスター

星5/風属性/機械族/攻2500/守1600

メカで強化された翼竜。

ドラゴンにやられ死にかけた所を、飼い主にサイボーグ化された。

 

 機械でその身を強化した翼竜が強く嘶くが、しかしリダンと姫様に怯れは抱かせられない。

 この時代ならまぁまぁ使いやすい高打点カードなんだよね。

 

「カードをセットしてターンエンドだ!」

「相手より少しだけ攻撃力が劣るモンスターを攻撃表示でターンエンドですか。

 ということは、今伏せたカードはコンバットトリックを狙って【天使のサイコロ】か【悪魔のサイコロ】をセットしましたね?」

「な、なんでそう思うんだよ!?」

 

 読みを口にしてみると城之内君はあからさまに狼狽えてしかも否定しない。

 

「城之内ぃ…」

「本当にもぅ…」

 

 身内からすれば恥ずかしく見えるが、自分からすればそんな迂闊さも城之内君の魅力ではあるんだよな。

 

 ふと、お前の姫様も同類だなんて電波が飛んできた気もしないが気のせいだろう。

 

「私のターン。

 ドローフェイズ。ドロー」

 

 引いてきたのは【憑依連携】。

 悪くないがアリアスを切った後だから今のタイミングでは少し微妙ではあるな。

 

「スタンバイフェイズ。再びリダンの効果が発動します。

 デッキトップを頂きます」

「クソッ! ゲッ!? レッドアイズ!!??」

 

 奇しくもエースモンスターを奪ってしまった。

 

「不味いな…城之内君の勝ち目がどんどん無くなっていく」

「そんなことねえ!

 レッドアイズが無くたって俺は簡単に負けは」

「残念ですが君の勝ち筋はこれから潰します。

 ジェスター・コンフィを特殊召喚しサーキット展開!!」

 

 宣言と同時にフィールドにリンクサーキットが現れる。

 

「さっきのとは違う!?」

「これもまた異なる次元の召喚方法!

 時代は進み、デュエルの舞台を電子世界に移したネットワークの海にて生まれた未来回路!

 未来回路より新たに呼び出す【リンク召喚】を刮目して目に焼き付けなさい!

 ジェスター・コンフィをリンクマーカーにセット!

 召喚条件はレベル1モンスター!

 電子の海にて新たな姿形を得た小さき悪魔よここに現れろ!

 リンク召喚!リンク1!【リンクリボー】!」

 

【リンクリボー】

リンク・効果モンスター

リンク1/闇属性/サイバース族/攻 300

【リンクマーカー:下】

レベル1モンスター1体

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをリリースして発動できる。

その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで0になる。

(2):自分・相手ターンに、このカードが墓地に存在する場合、

自分フィールドのレベル1モンスター1体をリリースして発動できる。

このカードを特殊召喚する。

 

 エクストラモンスターゾーンにデジタルデザインに更新された姿のクリボーがサーキットからチョコンと着地する。

 

『クリ〜!!??』

 

 よほど驚いたらしく遊戯君のデッキからクリボーが勝手に飛び出してきた。

 

「うわっ!? クリボーが勝手に!?」

『クリッ!? クリクリ〜!!??』

 

 驚く遊戯に何かを訴えようとクリボーが必死に鳴く。

 

「滅茶苦茶ビックリしたけど攻撃力300じゃ俺のライフポイントは…」

「失礼ですが、リンクリボーを召喚したのはリンク召喚を紹介するためです。

 リンク召喚の本領はここからですよ。

 サーキット展開!リンクリボーとリダンをリンクマーカーにセット!」

 

 再び現れた未来回路へとリダンとリンクリボーが自ら飛び込んでいく。

 

「リダンがサーキットに入った!?」

「リンク召喚は召喚条件に合致するなら汎ゆるモンスターを素材と出来る!

 召喚条件は闇属性モンスターを含む二体以上のモンスター!

 現れろ、我が右腕!リンク召喚!リンク2!【暗影の霊使いダルク】!」

 

 未来回路からからローブをはためかせてダルクがフィールドに着地する。

 

「暗影の霊使いダルクは攻撃力1850なので一枚ドロー。

 そしてダルクの効果発動。

 君の墓地から闇属性モンスターを特殊召喚します」

「闇属性なんて俺の墓地には…」

「居ますよ。リンク素材に使われたリダンがエクシーズ素材にしていたレッドアイズが」

「!!??」

 

 俺の言葉に反射的に墓地を見る城之内君。

 

「紅の眼の黒龍よ!その御霊、我が下僕の名の下に参じ馳せよ!

 【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】を攻撃表示で特殊召喚!!」

 

真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)

通常モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000

真紅の眼を持つ黒竜。

怒りの黒き炎はその眼に映る者全てを焼き尽くす。 

 

 無理矢理呼び出されたことが不満らしく不満そうに喉を鳴らすレッドアイズ。

 

「俺のレッドアイズが…」

「失礼ですが私の展開はまだ終わっていません。

 手札から【稲荷火】を特殊召喚し、伏せカード【強制脱出装置】を発動して稲荷火を手札に戻します」

 

 炎の体を持つ狐が登場と同時に天高く打ち上げられフィールドから消える。

 

「サイバティック・ワイバーンじゃなくて自分のモンスターを手札に戻した?」

「勿論プレイングミスではありませんよ。

 罠カードの効果でフィールドからモンスターが離れた事で姫様の効果が発動しました。

 フィールドのカード1枚か君の手札1枚のどちらかを選んで破壊します。

 先にセットした伏せカードを破壊!【ストライク・ラブリュス】!」

 

 姫様が大きく斧を振りかぶって投擲しセットカードを粉砕した。

 

「クソッ【天使のサイコロ】が!?」

「更に姫様の効果を発動し、墓地に落ちた【強制脱出装置】を再びセットします」

 

 罠が気に入ったとアリアンナ達を呼びつけ姫様が再び使えるように命令する。

 

「高い攻撃力に広い破壊範囲を賄える効果に加えて使った罠を再利用出来るリクルート能力まで備えているなんて隙が無さすぎる」

「こんなに強いカードを持っていて3割しか勝てない相手って何なんだよ…?」

 

 慄く声に気分を良くした姫様が物理的に鼻を伸ばしているのを無視して俺はプレイを続ける。

 

「再び稲荷火を特殊召喚しサーキットを展開。

 稲荷火とダルクをリンクマーカーにセット。

 ダルクのリンクマーカーを一個追加装填し、リンク3モンスターを特殊召喚します。

 来なさい、月の魔力を宿せし魔道国家の王配。

 リンク召喚!リンク3!【神聖魔皇后セレーネ】!」

 

【神聖魔皇后セレーネ】

リンク・効果モンスター

リンク3/光属性/魔法使い族/攻1850

【リンクマーカー:左下/下/右下】

魔法使い族モンスターを含むモンスター2体以上

(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動する。

お互いのフィールド・墓地の魔法カードの数だけこのカードに魔力カウンターを置く。

(2):フィールドに「エンディミオン」カードが存在する限り、

相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。

(3):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに、

自分フィールドの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。

自分の手札・墓地から魔法使い族モンスター1体を選び、

このカードのリンク先となる自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。

 

「セレーネの召喚時効果発動。

 お互いのフィールドと墓地の魔法カードの数だけセレーネに魔力カウンターを乗せます。

 ですのでカウンターの総数は五個」

 

 セレーネが魔力を収束させ5つの魔力球を生み出し周囲に漂わせる。

 

「そしてセレーネの効果を発動。

 魔力カウンターを3個消費し墓地から魔法使い族モンスターを一体守備表示で特殊召喚します。

 舞い戻りなさいヒータ」

 

 魔力を失った魔力球3個が輝きを失い砕けると抜き出された魔力がヒータを形成しフィールドへと帰還する。

 

「ちょっと待って。

 デュエルモンスターズって1ターンにこんなにモンスターを召喚出来るの?」

「特殊召喚に特化させた構築なら出来るかもしれないけど…」

 

 嗜む程度にしかプレイしない真崎さんと獏良君が困惑の声を漏らし、最高峰のタクティクスを持つ海馬と遊戯君は瞠目し言葉を失っていた。

 

「城之内君。まだ大丈夫ですか?

 サレンダーをするなら認めますが?」

「…っ!? 俺はまだ折れちゃいねぇ!!

 どんな目に遭おうが絶対に逃げたりしない!!」

 

 心が折れても仕方ない状況にそう尋ねるも、返ってきた答えは折れない闘志を秘めた眼差しであった。

 

「宜しい。ならば、サーキット展開!!

 セレーネとヒータをリンクマーカーにセット!!

 セレーネのリンクマーカー2つを追加装填する!

 召喚条件は効果モンスター2体以上!

 全ての悪性情報を焼き払う白金の騎士よ、未来回路より現世に現われ立ち塞がる全てを焼き払え!!

 リンク召喚!リンク4!【アクセスコード・トーカー】!!」

 

【アクセスコード・トーカー】

リンク・効果モンスター

リンク4/闇属性/サイバース族/攻2300

【リンクマーカー:上/左/右/下】

効果モンスター2体以上

このカードの効果の発動に対して相手は効果を発動できない。

(1):このカードがL召喚した場合、そのL素材としたLモンスター1体を対象として発動できる。

このカードの攻撃力は、そのモンスターのリンクマーカーの数×1000アップする。

(2):自分のフィールド・墓地からLモンスター1体を除外して発動できる。

相手フィールドのカード1枚を破壊する。

このターン、自分は「アクセスコード・トーカー」の効果を発動するために同じ属性のモンスターを除外できない。

 

 サーキットがこれまでにないほど強く輝き、光輝を宿す槍を携えた白銀の騎士が降り立つ。

 

「これは…だけど、攻撃力がレッドアイズより低い?」

 

 困惑する城之内君の言葉を否定する。

 

「素の攻撃力はそうでしょう。

 ですが、アクセスコード・トーカーは召喚時効果を発動することで真の力を解放する!!

 召喚時に使用したリンクモンスターを1体指定し、そのモンスターのリンクマーカーの個数✕1000ポイント分の攻撃力を増加する!!

 俺はセレーネを選択し攻撃力を3000ポイント上昇!

 合計攻撃力は憑依覚醒の300ポイントと合わせて5600!!」

「ご、」

「5600だと!!??」

 

 召喚するのに難解な条件を求める【F・G・D】を容易に超えていく超火力があっさりとフィールドに降り立った事にこの場の誰もが言葉を失っていた。

 

「アクセスコード・トーカーの効果を発動。

 墓地のリンクモンスターを除外して相手フィールドのカードを一枚破壊します。

 リンクリボーを除外してセットカードを破壊」

 

 アクセスコード・トーカーが手にした槍の先端から雷撃を放ちセットカードを破壊する。

 

「やはり【悪魔のサイコロ】でしたか。

 ではセレーネを除外してもう一度効果を発動し、サイバティック・ワイバーンを破壊します」

「一回だけじゃないのかよ!!??」

「アクセスコード・トーカーの破壊効果は1ターンに最大で六回使えます」

「そんな…」

 

 こちらのフィールドの合計攻撃力は一万を超えているのに対し、二発目の破壊効果を発動した事により城之内のフィールドは更地となった。

 

「今の君には慰めにしか聞こえないでしょうが、私が握るデッキはもとよりエクシーズもリンクも登場から十年以上の研鑽を重ねています。

 君が弱いんじゃありません。

 私が強いのでもありません。

 ()()()()()()()()()

 貴方を下したのは私ではなく隔絶したカードパワーである事を、そこだけは決して間違えないでください」

「俺が負けたのはカードの力の差…」

 

 何か思うものがあったのか思い詰めたような表情を浮かべる城之内君。

 

「では、バトルフェイズに移行します。

 アクセスコード・トーカーでダイレクトアタック。『スパイラル・デリーター』!」

 

 槍の先端で幾つものポリゴンが砕かれながら膨大なエネルギーを生み出し、圧縮され生み出された極光が光線となって城之内君を貫いた。 




余談ですがカード達でさえこのデュエルは勝って当然と思っているので姫様以外は不完全燃焼と思ってます。

次回はこのデッキで勝てない理由の話になる予定です。
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