迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「待て。デュエルの前にレギュレーションを確認させてもらうぜ」
遊戯達にとっての最新の『スーパーエキスパートルール』。
案内人達が本領とする『真マスタールール』。
大幅に違う2つのルールのどちらでデュエルするのかという問いに大神祇官はすんなりと答えた。
「ああ!これは失礼しました。
それでは貴方に馴染みのある『スーパーエキスパートルール』で参りましょう。
ささ、先攻ドローをなさってください」
「……ああ」
そう促す大神祇官に、遊戯は油断無くフェイズ宣言を行う。
「俺のターン!ドロー!」
引いてきたのは【妖精伝記カグヤ】。
そして残りの五枚は、
【憑依覚醒】
【THEトリッキー】
【キングス・ナイト】
【六芒星の呪縛】
【クリボー】
(案内人。アンタの力、借りさせて貰うぜ!)
「俺は手札から永続魔法【憑依覚醒】を発動する!」
「ほぅ?
彼の者から授かったのですかな?」
「更に手札から【妖精伝記カグヤ】を攻撃表示で召喚!
カグヤが召喚された事により【憑依覚醒】の効果が発動!
それにチェーンしてカグヤの召喚時効果によりデッキから元々の攻撃力が1850ポイントの魔法使い族モンスターを手札に加える!」
大神祇官の言葉に返さず効果処理を宣言する遊戯に大神祇官は「チェーンはありません」と告げる。
(これで手札に【灰流うらら】は無いと分かった。
だが、温存の可能性があるからまだ油断はしない!)
カードパワーの差から低レベルモンスターのサーチ程度ならと見逃された場合もあり得ると遊戯は慎重に見極める。
「俺はデッキから【妖精伝記シラユキ】を手札に加える。
そしてデッキをシャッフルしてから一枚ドロー!」
引いてきたのは【オシリスの天空竜】。
「手札を一枚墓地に送り手札から【THEトリッキー】を特殊召喚するぜ!」
これでフィールドのモンスターの攻撃力は2体とも最上級モンスターのラインに突入した。
「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
遊戯達の時代なら【ブラック・ホール】等の強力な除去魔法が無ければ容易に切り崩せない布陣を展開してターンを終えた遊戯だが、しかし、未来のデュエルを知った今は安心さえ程遠い。
『私のターン。ドロー』
デッキトップを検めた大神祇官はカードを手札に加えると『スタンバイ、メイン』とフェイズを進め手札を一枚セットする。
『カードを一枚伏せさせて頂きます。
チェーンはありますか?』
「…いや、無いぜ」
『そうですか。
それでは手札から【簡素融合】を発動します』
【簡素融合】
通常魔法(制限カード)※MDでは無制限
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):1000LPを払って発動できる。
レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。
『融合デッキから【魔導騎士ギルティア】を守備表示で召喚します』4000→3000
【魔導騎士ギルティア】
融合モンスター
星5/光属性/戦士族/攻1850/守1500
「冥界の番人」+「王座の守護者」
大神祇官が呼び出したのはさして強くもない【融合】で呼べることが唯一の長所である通常融合モンスター。
態々ライフの四分の一を支払ってまで呼び出す必要を感じさせないモンスターであり、加えてエンドフェイズに自壊するデメリットを背負わせてまで呼び出した故に深い意味があると遊戯は警戒心を高めた。
『フィールドにエクストラデッキ、失礼。融合デッキから特殊召喚されたモンスターが居る時、手札の【教導の聖女エクレシア】は手札から特殊召喚出来ます。
行きなさいエクレシア』
【教導の聖女エクレシア】
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1500/守1500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):EXデッキから特殊召喚されたモンスターがフィールドに存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「教導の聖女エクレシア」以外の「ドラグマ」カード1枚を手札に加える。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。
(3):このカードはEXデッキから特殊召喚されたモンスターとの戦闘では破壊されない。
『エクレシアの召喚成功時に効果を発動。
デッキから【教導の騎士フルルドリス】を手札に加えます。
そしてこちらも同様の特殊召喚が可能な為特殊召喚します』
【教導の騎士フルルドリス】
効果モンスター
星8/光属性/魔法使い族/攻2500/守2500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに、
EXデッキから特殊召喚されたモンスターがフィールドに存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
自分フィールドに他の「ドラグマ」モンスターが存在する場合、
さらにフィールドの表側表示モンスター1体の効果をターン終了時まで無効にできる。
(2):自分の「ドラグマ」モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
自分フィールドの全ての「ドラグマ」モンスターの攻撃力は500アップする。
額に徴を刻まれた若い乙女が意志を感じさせない瞳のままに銀の槌を翳し、彼女を守護するように全身甲冑の白い騎士が隣に並ぶ。
『フルルドリスの召喚時効果を発動します。
妖精伝記カグヤの効果をこのターンの間使用を禁じます』
「待ちな!その瞬間伏せカードを発動するぜ!
トラップ発動!【六芒星の呪縛】!」
【六芒星の呪縛】
永続罠
相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターは攻撃できず、表示形式の変更もできない。
選択したモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。
フルルドリスの剣から放たれた光輝にカグヤが力を封じられるも、魔法陣に囚われたフルルドリスは行動を封じられる。
カグヤの効果を使わなかったのはデッキ圧縮を手伝う危険があった上に召喚権が残っていたので敢えて使わなかった。
『これは困りました。
攻撃の機会を失ってしまいましたので私は残りのフェイズを放棄してターンを終了しましょう』
簡素融合で呼び出された魔導騎士が散るのも意に介さずターンを譲る大神祇官に遊戯は顔を険しくしながらターンを開始する。
「ドロー。」
引いてきたのは【クィーンズ・ナイト】
盤面を確認しながら遊戯は案内人の言葉を思い出す。
『もし、大神祇官とデュエルせねばならなくなった際に注意して欲しいのは【教導】を出張に用いられている可能性がある事です。
【教導】には【天底の使徒】から【教導の聖女エクレシア】をサーチし、エクレシアを召喚して【教導の大神祇官】或いは【教導の騎士フルルドリス】や【ドラグマ・パニッシュメント】をサーチしていく【天底ギミック】と名付けられた大抵のデッキに組み込める扱いやすいコンボがありますので、この辺りのカードだけで【教導】主体だと判断すると読み誤る危険があります』
正に今の状況はその可能性を掻き抱かせるに十分であった。
「バトルだ!
カグヤでエクレシアを攻撃!」
【憑依覚醒】の効果で火力を高めたカグヤの魔法がエクレシアの胸を撃つ。
『おお!? 我が最高傑作が!!』3000→2050
「そのままトリッキーでフルルドリスを攻撃する!」
嘆く大神祇官にさらなる追撃を行う。
顔の無い道化師の生み出した鎌鼬がフルルドリスの鎧を砕き散らせる。
『最高傑作が二人共こうも容易に降されるとは…流石『決闘王』の名は伊達ではありませんね』2050→1950
「メイン2に移行して【クィーンズ・ナイト】を守備表示で召喚してからターンエンドだ」
場のモンスターを破壊された直後に賛辞を送る大神祇官に抱いた不気味さを隠しきれず遊戯はターンを終えた。
(慎重を期すぎたか?)
伏せカードがミラーフォース等の全体破壊である可能性を懸念し召喚権を残したままバトルを行なったのだが、結果としてトドメを刺し損ねるだけに終わってしまった。
(もう一人のボク…)
そんな
『私のターン。ドロー。
スタンバイ、メイン。
私は貴方のフィールドのカグヤとトリッキーをリリースして【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】を特殊召喚します』
直後、地面からマグマの腕が生えてカグヤとトリッキーを掴んで焼き殺しながらラヴァ・ゴーレムが遊戯を自らの空洞に閉じ込めた。
「ラヴァ・ゴーレム!!??」
マリクのカードであり、その恐ろしさを遊戯はよく知っていた。
『召喚権はラヴァ・ゴーレムに使ったため私はターンエンドですね。
さあ、どうぞ』
「くっ!?
俺のターン!ドロー!!」
その瞬間、ラヴァ・ゴーレムの一部が溶け落ち遊戯の体に降りかかった。
「ぐあああっ!?」4000→3000
まるで【闇のゲーム】のような灼熱の痛みが襲い掛かり遊戯が苦悶の悲鳴を上げる。
「くっ、俺は【キングス・ナイト】を攻撃表示で召喚する!」
痛みを堪え引いてきた【強欲な壺】を一瞥してから遊戯は叩きつけるように手札から【キングス・ナイト】をモンスターゾーンに置いた。
【キングス・ナイト】
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400
(1):自分フィールドに「クィーンズ・ナイト」が存在し、
このカードが召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「ジャックス・ナイト」1体を特殊召喚する。
「フィールドにクィーンズ・ナイトが居るためデッキから【ジャックス・ナイト】を攻撃表示で特殊召喚する!」
【ジャックス・ナイト】
通常モンスター
星5/光属性/戦士族/攻1900/守1000
あらゆる剣術に精通した戦士。
とても正義感が強く、弱き者を守るために闘っている。
「バトルだ!
ラヴァ・ゴーレムでダイレクトアタック!
『ゴーレム・ボルケーノ』!!」
命令を受け口腔から煌々と輝く熱線を放つラヴァ・ゴーレムだったが、大神祇官に届く前に強烈な旋風が巻き起こり熱線を吹き散らした。
『トラップカード発動。
【神風のバリア -エア・フォース-】』
【神風のバリア -エア・フォース-】
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て持ち主の手札に戻す。
『効果によりラヴァ・ゴーレムの攻撃は無効化されてから私の手札に戻ります』
目を開けるのも困難な突風がフィールドを駆け抜け、守りを固めていたクィーンズ・ナイト以外の3体が上空へと巻き上げられてフィールドから消え去る。
「…何故だ?」
手札に戻ってきたカードから目を離し遊戯はデュエル開始から初めて大神祇官へと言葉を投げかけた。
「お前、何故エクレシアとフルルドリスを見捨てた!?」
エア・フォースを前のターンに使っていたらエクレシアとフルルドリスは破壊出来なかった。
当然の疑問に対し、しかし大神祇官は不思議そうに顔を傾けながら嘯いた。
『態々私自身が手を下さなくて済むのに何故そのような労力を払えと?』
「お前っ!?」
(なんてことを!?)
遊戯が破壊
『さあ、そんなことよりデュエルを続けましょう。
我々の交流はこれからですよ』
まるでお気に入りの菓子を紹介するような気安さを見せる大神祇官に、遊戯はただただ怒りしか感じない。
「俺は手札から【強欲な壺】を発動し2枚ドローするぜ」
怒りながらも感情のままに勝てる相手ではないと頭を冷やすよう気をつけながらカードをプレイする遊戯だが、
『不確定2枚は厳しいので止めさせて頂きます。
手札から【灰流うらら】を捨てて効果を発動です』
「っ!?」
さっき引いたのか温存していたのかまでは分からないが、的確にこちらの神経を逆撫でし続ける大神祇官。
「…ターンエンド」
クィーンズ・ナイトを攻撃表示にして壁としての性能を高めたいが、何をしてくるかわからないと守備表示のままターンを終える遊戯に対し、交流は順々と言いたげに大神祇官はターンを開始する。
『私のターン。ドロー。
スタンバイ、メイン。
おやおや、私も【強欲な壺】を引いてしまいましたよ。
発動しますが止められますか?』
「っ!!」
つい歯を軋ませてしまう遊戯にチェーンは無いと判断した大神祇官はデッキトップから二枚を手札に加える。
「大神祇官!!」
と、そこに漸く案内人が到着した。
『おお!!貴方から私に会いに来ていただけるとはなんたる僥倖でしょう!』
「今すぐデュエルを中断して俺と戦え!!
貴様の狙いは俺だろうが!!」
らしくない程激昂した案内人の言葉に大神祇官はやれやれと首を振る。
『それは出来ませんよ。
私とて精霊界の住人です。
一度始めたデュエルを放り出すなどとてもとても』
「ごちゃごちゃと…」
『ですので、外野が邪魔できないように致しましょう』
そう言って大神祇官はフィールド魔法カードを差し込むスペースを展開する。
「まさか…、遊戯君!!
今すぐサレンダーして逃げろ!!」
悲痛に叫ぶ案内人の声は、間に合わなかった。
『フィールド魔法発動。【オレイカルコスの結界】』
実は大神祇官が本気でデュエルするつもりだったらラヴァゴ&破壊輪でワンキルされてました。