迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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直前で体調不良と鬱悪化で遅刻したけど許されますかね?


【番外編】ニコラウスは静かに頭振る

 年の瀬ともなれば精霊界もお祭り気分で賑わいが華やかになる。

 宗教観的に日本ナイズ過ぎるのはどうかなとも思わなくもないがクリスマスには子供はプレゼント(主にカード)を期待して胸を高鳴らせ若いカップルや夫婦なんかは…まあ、ナチュルの森へ儀式に向かうだろう。

 

 で、悪魔族たる我が【ラビュリンス】はと云うと…

 

「さあ急ぎなさい執事!

 クリスマスを迎えるために完っ璧なデコレーションを城に施すのよ!!」

 

 姫様の無茶振りで大わらわである。

 大変困った事に前もって準備しようとしたら「当日だけクリスマスバージョンにするのが格好良いのよ!!」なるやる側の労力ガン無視なお言葉により前日準備は許されず、24日に開始させられるデスマーチどころかデスパレードである。

 そして25日には片付け作業を一日でやらねばならず、31日にも正月飾りを一日で設置する作業が控えていると大変素晴らしいドが付くブラック弾丸スケジュールが待っている。

 そしてそれを宣った姫様はというと、現在炬燵でぬくぬくしながら黒髭で遊ばれておられまする。

 無茶振りしておいて自分は遊んでいるなんて毎度の事なので怒ることは無いが、しかし今回は身内以外もいる為反省を促す必要はあるだろう。

 

「すまんな皆!

 これが終わったら好きな物を好きなだけ飲み食いさせてやるからな!」

 

 長大な城全部を俺達だけでクリスマスバージョンにデコレーションするのは前回までに死ねると理解していたので、人手となりうる者は片っ端から【召喚】してリースやガーランドを必死に配しながら全力で手伝ってもらっている皆にそう感謝を述べる。

 

「今年は彼等にも協力を貰えて本当に助かるよ執事君。

 去年までは私達だけでやっていたから本当に死に物狂いだったからね!」

「というか俺が来る前から今まで間に合っていたのがビックリだよ!」

「そこはまあ、姫様への愛の賜物というやつさ」

「愛怖いなぁ!」

 

 そう冗句を口にして会話で気を紛らわせつつガーランドにズレが起きていないか確認を終えて道具と飾り付けを乗せたキャスターを押しながら次へと急ぐ。

 

「ダルク君!ちゃんと脚立を押さえているよね!?」

「大丈夫だから心配するな」

「後間違っても上を見ちゃ駄目だからね!」

「上? 上に何かあるのか?」

「だから駄目だって!!??」

 

 飾り付けを手伝ってくれている霊使いの皆が脚立で四苦八苦しつつジュブナイルでアオハルなやり取りをしている横を通り過ぎる。

 

「つまみ食いは駄目でござるよマスカレーナ殿!」

「え〜? 1個ぐらい大丈夫だよ。

 ほら、千代丸もアーン」

「むぐっ!?」

「二人共、パーティーで食べられなくならないようにしなさい」

 

 ホールに運ぶ料理をつまみ食いしているマスカレーナに賄賂として唐揚げを口に押し込まれるリトルナイトにやんわり注意しつつ終わっている区画にチェックを入れて先を急ぐ。

 

「なんで私がこんな事しているんだか…」

「まぁまぁ。美味しいご飯のためだと思ってさ?」

『気にしないでいいわよブルーノ。

 口では不満げだけど彼女も楽しんでいるわ』

『そうそう。貴方に呼ばれて珍しく自分からめかしこんでいたぐらいなんだから』

「余計な事を口を挟むなルシエラ!シルウィア!」

「あれ? ああ、ディアベルちゃんは化粧しなくても可愛いからちゃんと気づけなくてゴメンね」

「〜〜〜っ! …素で言ってるから質悪いんだよなコイツ」

「え? 何が?」

「うるさい!」

 

 手伝いを申し出てくれたブルーノと別次元で知り合った精霊ではない生身の【黒魔女ディアベルスター】が妙に近い距離感で作業しているのを鈍感系恋愛ものを見る気分で通り過ぎていく。

 

 外では巨体を活かしてアーゼウスとティ・フォンが【聖天樹の大母神(サンアバロン・ドリュアトランティエ)】に長大なガーランドを巻き付けクリスマスデコレーションを施し、スターヴヴェノムやアークリベリオンが雪像のための雪をかき集めて固めそれをバロネスやレイダーズ・ナイトが削って雪像へと形成しているのが窓越しに見える。

 厨房を通りかかるとマルファがエリス達エクソシスター達とクリスマス料理を調理しその隣でハスキーさんと【ドラゴンメイド・ティルル】が主導となり巨大なクリスマスケーキを焼いていた。

 

「こっちは手伝いは不要か」

 

 真剣に、しかし楽しそうに厨房を駆け回る彼女達の邪魔にならない様さっさとその場を離れ俺は担当区分を完了させるべくキャスターを力強く押したところで作業の手を止めている二人組に気付いた。

 

「アストラム。

 どう思う?」

「懐かしくて泣きそうだ」

「ああ。

 アイツには感謝しか出来ないな」

 

 ふと見ればギルスとアストラムが遠巻きにアウラム達が楽しそうに作業する姿を尊いものを見る目で満足気に眺めているのが見えたが、あれをサボっているとは俺には言えずそっと離れておく。

 

 

〜〜〜〜

 

 

 そうして翌日。

 

「来たよ」

 

 皆の力を借りてどうにか余力を残せた状態でノルマを完了させクリスマス当日を迎えた訳だが、招待客の中に何故か『騎士』の姿があった。

 

「招待状はありますか?」

「これ」

 

 差し出されたカードは間違いなく本物である。

 

「因みに誰に貰いました?」

「君の姫だよ。

 毎年貰ってるから来てるよ」

「左様ですか」

 

 嘘を言う理由もないから本当なんだろうけど、宿敵を毎回パーティーに誘う姫様とマジで招待に預かる『騎士』って本当に敵対関係なんですよね?

 

「後、姫にコレね」

 

 ラッピングされた箱を俺に預けてパーティー会場に向かう『騎士』の背を見送りながら思わずこぼしてしまう。

 

「本当に仲良いよなあの二人」

 

 当人に言ったら二人して否定してくるが、然し乍ら中が悪いなら招待状も送らんしパーティーにプレゼント持参で来るものだろうか?

 

「すみません!

 招待状の確認をお願いします!」

 

 と、そちらに意識を割きすぎて次の来客を待たせてしまった。

 

「失礼しました。

 それでは招待状の拝見を…」

 

 そう言い切れなかった俺は悪くない。

 だって、そこに居たのは【教導の聖女エクレシア】と【アルバスの落胤】にドレス姿の【教導の騎士フルルドリス】だったんだぞ?

 

「えぇと、あ、はい。

 検めさせていただきました」

 

 混乱しながらもしっかり確認は済ませてカードを返却する。

 

「ありがとうございます!

 行こうアルバス君!」

「走ると危ないぞエクレシア」

「大丈夫!いざとなったらフルルドリスが守ってくれるもん!」

「お前はドラグマの代表として来ているのだぞ。

 もう少し自覚と慎みをだな…」

「もう!フルルドリスってば折角のアリアスさんからの招待なんだからこんな時ぐらい肩の力抜いてもいいじゃない!アルバス君もそう思わない?」

「…すまないがよく分からない。

 だけど、エクレシアが楽しそうだから悪くないと思う」

「まったく…」

 

 なんか、すっごい尊い遣り取りをする彼等に思わず手を合わせてご馳走様でしたと言いたくなりつつ次の招待客を捌いていく。

 

「執事君。

 後は私が対応するから君は姫様を頼むよ」

 

 そうして日が傾くまで来客の対応に追われていたらアリアスがそう俺に言った。

 

「分かった。

 それはそれとして、エクレシア達がアリアスに招待されたって言っていたが何処で知り合ったんだ?」

「ああ、それかい。

 ちょっと姫様にサプライズをしようって動いていた際に少し関わりが出来てね。

 勿論彼女達に危害は加えていないからね?」

「そうだったのか…」

 

 大神祇官との某で少しばかり疑ってしまったが杞憂だったらしい。

 

「そこに関してはエクレシア達の様子で悪い関係じゃないって分かっているし、何よりアリアスは嘘を言わないから信用しているよ。

 じゃあ、後は頼む」

「ああ。任せ給え。

 それと、姫様へのプレゼントはちゃんと用意しているよね?」

「勿論」

 

 そう言って俺はラッピングした上でスリーブに挿れたカードを見せる。

 

「漸く見付けた罠カード【現世離(ウツシヨバナ)レ】。

 かなり強いカードだから姫様もきっと気に入ってくださるだろう」

「……うん。君はそういうヤツだったね」

 

 何故かアリアスから辛辣な視線を感じ不思議に思いつつその場を後にする。

 

 そして翌日、俺と同じく微妙な反応をされたというブルーノとダルクの三人で何が悪かったのかと頭を突き合わせて悩むのであった。

 




執事「俺のセンスで宝飾品は当てにならんし姫様にはやはり強力な罠カードだよな!」
ブルーノ「寝起きが良くないから快適な朝を迎えられる目覚まし時計を用意したよ!」
ダルク「気に入りそうな可愛いは分からないから霊術の研究に役立つ貴重な素材を用意した」

女性'S「「「「「「このクソボケ共が!!」」」」」」

因みにブルーノは買い出しに出た別次元でゴブリンライダーに絡まれたのを助けられたのが出会いです。

なるべく今年中に次話はとうかしたいなぁ…
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