迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「バトルフェイズ!セットモンスターを攻撃!」
ドローして即座にバトルフェイズに移行したスカルライダーのヤクザキックを喰らい裏守備状態の【キーメイス】が退場する。
「ターンエンド!」
「スカルライダーの快進撃が止まらない!
このままチャレンジャーは押し切られてしまうのか!?」
手札は【融合】一枚のみ。
フィールドには【リビングデッドの呼び声】があるから一気に崩れるような展開さえなければ残りライフポイント的にもう2ターンは凌げるが、しかし一枚初動が可能なカードなんて入っていないこのデッキでは2ターン後には削り殺されている未来しか無い。
(実質ラストチャンス!
頼む!!)
「ドローフェイズ。ドロー!」
引いてきたのは…
「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。
私は手札から【馬の骨の対価】を発動!」
【馬の骨の対価】
通常魔法
(1):効果モンスター以外の自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
「シーホースを墓地に送り二枚ドロー!」
そうして引いてきたのは【カードを狩る死神】と…。
「伏せカード発動!【リビングデッドの呼び声】!」
【リビングデッドの呼び声】
永続罠
(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れる時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊される時にこのカードは破壊される。
「チェーン確認です」
「こちらから発動するカードは無い」
「では墓地から【キーメイス】を攻撃表示で特殊召喚します」
【キーメイス】
通常モンスター
星1/光属性/天使族/攻 400/守 300
とても小さな天使。
かわいらしさに負け、誰でも心を開いてしまう。
「キーメイスをリリースしてアドバンス召喚したモンスターをセット。
カードを二枚伏せターンエンドです」
「これは意外な一手を打ってきたぞ!
スカルライダーはこの布陣にどう反応する!?」
「俺のターン。ドロー。
俺は手札から【13人目の埋葬者】を通常召喚する」
【13人目の埋葬者】
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻1200/守 900
誰もいないはずの13番目の墓から突然現れたゾンビ。
「バトルフェイズ。
スカルライダーでセットモンスターを攻撃!ライダーキック!」
「攻撃宣言時に伏せカードを発動!
速攻魔法【報復の隠し歯】」
【報復の隠し歯】
速攻魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、
このカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。
(1):自分または相手のモンスターの攻撃宣言時に発動できる。
自分フィールドにセットされているカード2枚を選んで破壊し、その攻撃を無効にする。
さらに、この効果で破壊され墓地へ送られたカードの中にモンスターカードがあった場合、その内の1体を選ぶ。
選んだモンスターの守備力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊し、
その後このターンのエンドフェイズになる。
このカードはバトルシティで対戦した相手から手に入れた一枚であり、二枚目の【超電磁タートル】のつもりで貰ったものの、消費コストの重さから自壊にメリットのない自分のデッキでは【超電磁タートル】ではなくワンチャン【挟み撃ち】になるかもしれない【攻撃の無力化】にしか思えずやっぱり使えないとデッキに入れなかったカードである。
「モンスターゾーンと魔法罠ゾーンのセットカード二枚を破壊しその攻撃を無効にする!
更に破壊した【カードを狩る死神】を指定しその守備力1930以下の攻撃力のモンスターを全て破壊してエンドフェイズに強制移行する!!」
「しまった!!」
暗器を手にしたゴブリンの強襲を受けスカルライダーと13人目の埋葬者が倒れ伏す。
「正に乾坤一擲の一撃が決まった!!」
「くっ…!?
ターンエンドだ」
「私のターン!ドローフェイズ。ドロー!」
そうしてリソースの全部を吐き出し引いてきたのは。
「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。
手札から【仮面魔道士】を通常召喚します」
【仮面魔道士】
効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻 900/守1400
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
「チェーン確認!」
「何もなし!」
通れば追加ドローで立て直しを図れるカードに俺は危険を承知で突っ込ませる。
「バトルフェイズに移行!
仮面魔道士でダイレクトアタック!」
「通しだ!!」
正体不明の魔術師が手にしたよくわからないものをスカルライダーに投げ付ける。
魔法使い族なんだから魔力使えよ。
「ぐぉっ!?」4000→3100
「ここで遂にチャレンジャーがライフポイントを削り取った!!」
巻き返しからの攻勢に会場が熱気を巻き上げる中俺は構わずプレイングを続ける。
「【仮面魔道士】の効果発動。一枚ドロー!
メイン2は何もないので放棄してターンエンド」
「俺のターン!ドロー!
手札から【森の屍】を通常召喚!」
【森の屍】
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻1000/守 900
森のぬしが倒れたあと、悪しき者の手により蘇った屍。
アンデット縛りにしてもせめて【鎧武者ゾンビ】とかさぁ…。
「バトルフェイズ!
【森の屍】で【仮面魔道士】を攻撃!」
「チェーンはありません」
押し倒されそのまま餓えに任せ仮面魔道士を食い散らす屍が放った遺品が俺にぶつかる。
「っ!」2700→2600
「ターンエンド!」
「私のターン。ドローフェイズ。ドロー。
スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
引いたのは【思い出のブランコ】。
使うタイミングはここじゃないと【仮面魔道士】の効果で引いてきたカードを召喚する。
「手札から【ドリアード】を通常召喚!!」
【ドリアード】
通常モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1200/守1400
森の精霊。
草木の力を借りて相手の動きを封じる。
まるで俺を守るように張り詰めた顔で場に立つ【ドリアード】に【森の屍】が格の違いを感じてか後退る。
「バトルフェイズに移行。
チェーン確認です」
「何もない!」
「【ドリアード】で【森の屍】に攻撃!『エルフ・リング』!!」
魔力を編んだサークルが【森の屍】を囲う。
「攻撃宣言にチェーンして伏せカード発動!
速攻魔法【ピラミッドパワー】!」
【ピラミッドパワー】
速攻魔法
次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●自分フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの攻撃力は、
エンドフェイズ時まで200ポイントアップする。
●自分フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの守備力は、
エンドフェイズ時まで500ポイントアップする。
「俺は攻撃力上昇を選択!
相打ちにする!」
「チェーンはありません!!」
【森の屍】の空虚な眼孔に鬼火が宿りドリアードが編んだ魔力の輪に焼かれながら折れて先端が鋭くなった肋骨をドリアードに突き立てる。
「……ターンエンド」
姫様がそうなった時と同じぐらいの激情が燃え盛るのをなんとか堪え律しながらターンを譲る。
「俺のターン!ドロー!
カードをセットしターンエンド!」
これで相手は手札は無しで伏せ一枚。
対し俺はフィールドで表側で腐ってる【リビングデッドの呼び声】のみで手札も【思い出のブランコ】一枚だけ。
ここまでぐだぐだなデュエルも滅多に無いなと苦い笑いを内心浮かべつつ回ってきたターンを進行する。
「ドローフェイズ。ドロー。
スタンバイフェイズ。メインフェイズ」
「魔法カード【モウヤンのカレー】を発動しターンエンドです」2600→2800
【モウヤンのカレー】
通常魔法
ライフポイントを200ポイント回復する。
【もけもけ】と【ダンシングエルフ】の3択で隙間埋めに入れたが壁になる分あっちのほうがマシだった…。
グレイビーボートから香る強烈なスパイスの香りに空腹感を感じ手を伸ばすが、匂いだけ嗅がせて勝手に消えやがったので絶対外してやると思いつつスカルライダーにターンを渡す。
「俺のターン。
…ターンエンド」
ドロー・ゴーか。
今の間的に引いたのは高レベルモンスターっぽいな。
「私のターン。ドローフェイズ。ドロー。
【マイティガード】を攻撃表示で召喚。
チェーン確認」
【マイティガード】
通常モンスター
星4/地属性/機械族/攻 500/守1200
警備用として開発された機械の戦士。
錆びない金属でできている。
「何もない」
「バトルフェイズ。
マイティガードでダイレクトアタック!」
緑色の巨腕でラリアットを叩き込む。
「ぐっ!」3100→2600
「メインフェイズ2を放棄してターンエンド」
「俺のターン!ドロー。
モンスターをセットしターンエンド」
「私のターン。ドローフェイズ。ドロー!」
漸く来た!!
「手札から魔法カード【思い出のブランコ】を発動!
墓地から【ドリアード】を攻撃表示で特殊召喚。
チェーン確認」
「…無い」
今の反応…もしかしてあの伏せカードは…
「マイティガードをリリースし【デーモンの召喚】をアドバンス召喚する!」
【デーモンの召喚】
通常モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200
闇の力を使い、人の心を惑わすデーモン。
悪魔族ではかなり強力な力を誇る。
「このデュエル初の攻撃力二千を超えた強力なモンスターのお出ましだ!!」
【デーモンの召喚】の登場に趨勢が決まったとボルテージが最高潮に高まる中、俺はフェイズ移行を宣言した。
「バトルフェイズ!
【デーモンの召喚】の攻撃!『魔降雷』!!」
両腕から伸びる爪に雷光を束ね、【デーモンの召喚】が雷撃を放ちセットモンスター【屋敷わらし】を焼き払う。
(わらしだと?)
今までに比べ明らかにカードパワーが高いモンスターが出てきた事に違和感を感じつつ俺は【ドリアード】に攻撃を命じる。
「【ドリアード】でダイレクトアタック!『エルフリング』!」
「来い!!」2600→1400
ドリアードが放った光の輪の閃光に焼かれながらスカルライダーは髑髏の奥から絶えない闘志を燃やし俺を見つめる。
「…。エンドフェイズに【思い出のブランコ】の効果で【ドリアード】が破壊される。
ターンエンド」
役目を果たしたと穏やかな顔でドリアードが消える。
「俺のターン。ドロー」
引いたカードを検めたスカルライダーは静かに俺に尋ねた。
「俺は、強かったか?」
「…強敵だと思いました」
デッキの強弱の話ではない。
彼は間違いなく死力を振るわねば
「いじましい真似はしない!ターンエンドだ!」
敗者の責務だと堂々と宣言をするスカルライダーに俺も勝者として責務を果たす。
「私のターン。ドロー。
バトルフェイズ!【デーモンの召喚】で攻撃!『魔降雷』!」
両腕に雷光を纏い、【デーモンの召喚】は誇りを選んだデュエルに決着を下した。
それでは皆様良いお年を。