迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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新シーズン開始します。

完結に向けて色々精算しつつ色んなフラグを終わらせていきたいなぁ…


姫様と共に
変わりゆく日々に平和を噛み締めて…いいのか?


 最も楽しいデュエルとは、全力をぶつけ合いその上で勝敗が分からない時こそが1番楽しいと思う。

 

「トラップ発動!!【ビッグウェルカム・ラビュリンス】!!」

「チェーンして墓地の【オルフェゴール・スケルツォン】を除外して効果を発動!

 墓地から【オルフェゴール・ディンギルス】を特殊召喚する!」

「そこだ!チェーンして【オルフェゴール・ディンギルス】を指定して手札から【墓穴の指名者】を発動!」

「想定内だ!

 チェーンして【屋敷わらし】を墓地に送り無効化する!」

「止められてたまるか!

 【背信聖徒(アザミナ・レア)シルヴィア】をリリースして効果を無効にする!!」

「漸く切らせられたか!セットカード発動!【墓穴の指名者】!

 【背信聖徒(アザミナ・レア)シルヴィア】を除外して止めさせてもらう」

「想定済みだ!チェーンして墓地の【剣神官ムドラ】を除外して【オルフェゴール・ディンギルス】【オルフェゴール・バベル】と此方の【背信聖徒(アザミナ・レア)シルヴィア】をデッキに戻す!」

「こちらとて当然対策済みだ!伏せていた【抹殺の指名者】を発動!

 デッキから【剣神官ムドラ】を除外して無効だ!」

「ならガラテアだけでも貰っていく!!伏せカード発動!【魔砲戦機ダルマ・カルマ】!!」

 

 目まぐるしく飛び交う誘発と妨害効果の激しい空中戦の果てにフィールドに残されたのは【オルフェゴール・ディンギルス】一体だけだった。

 

『なんという攻防か!!??

 怒涛の如く展開されるカード達に解説が追い付かない!!』

『凄まじいとしか言えませんね。

 完全に制限解除された【ラビュリンス】を駆る『迷宮の案内人』が自身のターンにこうも抑えつけられるとは…』

『数多の挑戦者を悉く追い返した難攻不落の迷宮城がついに陥落するか!!??』

 

「クソッ、あれだけ展開しておいて4妨害引き込むとか何処まで読んでたんだよギルス?」

「全部だ…と言えれば格好がついたが、ガラテアの墓地送りを防げなかった時点で読みが甘かったと言わざるを得ないな」

「そいつは初手で溜め込んだリソースをほぼ使い切っても姫様を墓地送りにされるのを止められなかった俺への皮肉か?」

 

 自由都市最強のデュエリスト『迷宮の案内人』の体裁を維持できなくなりほぼ素のままにそう口にする俺にギルスは「事実だ」と嘯く。

 

「だが、手札は使い切った。

 その墓地の状況では次のターンで俺のライフポイント5000は削りきれないだろう?

 ターンエンドだ」

「ドローフェイズ。ドロー。

 スタンバイ、メイン。

 どうやらそうでもないらしい」

 

 そう言うとギルスは引いてきた一枚の手札を公開した。

 

「妹を救った貴様への手土産だ。

 効果は自身で体験しろ。

 手札から【魔を刻むデモンスミス】の効果を発動する。

 墓地リソースを吐き出しきって手札が【白銀の城の召使い アリアンナ】一枚の貴様にチェーンの確認は必要無いな?」

 

【魔を刻むデモンスミス】

効果モンスター(制限カード)※MDでは準制限

星6/光属性/悪魔族/攻1800/守2400

このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。

デッキから「デモンスミス」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):自分フィールドの「デモンスミス」装備カード1枚とフィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのカードを墓地へ送る。

(3):このカードが墓地に存在する場合、

自分の墓地から他の悪魔族・光属性モンスター1体をデッキ・EXデッキに戻して発動できる。

このカードを特殊召喚する。

 

 そこからは正に【現代遊戯王】の粋としか思えない強力な展開が開始され、2年も続いた【ラビュリンス】不敗神話はついに終演を迎えたのだった。

 

 

〜〜〜〜

 

 

 【ブラック・マジシャン】からの手紙から始まった一騒動から一月余りが経過した。

 一先ずの平穏の中、俺が住む【妖怪少女】の屋敷は更に賑やかになっていた。

 

「リゼット!!

 今日という今日は絶対許さねえ!!」

「いやぁん! アステーリャってば本当に可愛い反応よね?」

「テンメェッッッ!!」

 

 庭で【黒魔女ディアベルスター】と【原罪のディアベルゼ】が魔術を放ちながら追いかけっこを楽しんでいる。

 最も、楽しんでいるのはディアベルゼだけでありディアベルスターはかなりキレ気味だが。

 

「今日はどうしたんだ?」

 

 割と目新しくもなくなってきた二人のじゃれ合いにそう尋ねるとブルーノはたははと頬を掻きながら困ったように笑う。

 

「いやぁ、ディアベルゼちゃんが呼び掛けても起きて来ないから起こしに行ってくれって僕をディアベルちゃんの部屋に連れてったら丁度寝間着から着替えてる最中で…」

「ああ…」

 

 リゼットことディアベルゼはチェシャ猫のような悪戯好きで、アステーリャことディアベルスターに事ある事にちょっかいをかけてはああしてドッタンバッタンやっている。

 

 二人が屋敷にいる理由はブルーノが助けたからである。

 

 なんでもとある次元で【ゴブリンライダー】達のバイクの手入れが(ブルーノ基準で)杜撰であったことが気になり勝手に整備した事でバイク泥棒と勘違いされ身ぐるみ剥がされそうになっていた所を、通り掛かったディアベルスターが気紛れに助け、その後ディアベルゼが襲撃。

 【罪宝】に纏わる因縁の戦いにブルーノのも巻き込まれ死闘の果てに命の火が尽きかけた二人を救った結果、何故か二人して屋敷に転がり込んできたのだ。

 

「いい加減にしないか貴様ら!!」

 

 ゴツンッと屋敷の中にまで殴打音が響き、頭から煙を上げて蹲る二人の前に【宵星の騎士(ジャックナイツ・オルフェゴール)ギルス】が説教を開始する。

 

「仲良き事は喜ばしいがわらし達を怯えさせるまで騒ぐのはやり過ぎだ!」

「痛たた…」

「なんで私まで…」

 

 ナチュラルに自称兄と嘯きながら叱るギルスになんとも言えない表情になってしまう。

 あの後過去での言葉通りリースに拐かされたガラテアを追って精霊界へと現れたギルスは「あの世界はもう俺の手を離れた。今度は友の力になろう」とガラテアと共に屋敷に住まいを移した。

 そして、何故か屋敷の【妖怪少女】達に「今日から俺がお前達のお兄ちゃんだ!」とトンチキ発言をかまして立派に兄を名乗る不審者となった。

 その後ディアベルスター達もギルスの【妹判定】なる謎基準に引っ掛かり兄を自称する不審者度合いは加速している。

 【妖怪少女】達を始め誰も否定はしても拒絶はしていないので好きにさせている。

 因みにギルスは現在自由都市のアリーナで俺の後釜としてチャンピオンの座に立っており、メカメカしい風貌やガラテアというアイドル枠もあって人気実力共に十二分な立ち位置を確保している。

 自身をこの街に縛り付ける最大の理由が消えた訳では無いが、長期的に姿を消しても懸念が少なくなったことで俺の役割は大体が片付いたと言っていいだろう。

 

「漸く肩の荷も降りたし、もう少ししたら城に戻ろうかなと思うんだ」

「屋敷はどうするんだい?」

「所有物のままにするさ。

 うらら達との約束もあるし住人も増えた。

 手放す理由はないからな」

 

 おそらくは城から屋敷に行ったり来たりの生活となるだろうが、基本的にはギルスに任せることになるだろう。

 

「ブルーノこそデルタイーグルの方はどうなんだ?」

「うん。ギルスのお陰で万全どころか以前よりパワーアップしたから、近い内に僕も遊星達の所に行こうと思ってる」

 

 高い技術を誇った先史文明を復元したギルスの協力により遅まきながらも進んでいたデルタイーグルの修理は完了し、それどころか次元間移動まで可能な進化形態と言えるものに変化していた。

 それどころか、デルタイーグルのメイン動力であるモーメントの問題点にも気付いてその制御プログラムを組み上げてもくれた。

 

「正直彼には嫉妬さえ感じられないよ。

 彼がZONEに協力していてくれていたらゼロ・リバースも防げたんじゃないかって思うぐらいに彼は天才だ」

「俺の世界じゃ『何でも出来るお兄ちゃん』って呼ばれてたぐらいだからな」

 

 その称号には『妹を救う以外』なんて不名誉な但し書きが付いていたが実際ニンギルス時代からして色々おかしいのだ。

 シナリオの都合もあるのだろうが、【星遺物】正史ではアウラムとイムドゥークを加えたフルパワー状態の三人掛かりでも拮抗状態を維持するしかなかった【トロイメア】を単身かつ弱体化した状態になった途端瞬殺し、狂気に染まってなりふり構わない状態でこそあったが億年単位は経過していた筈の先史文明を推定だが十年も経たずで解析し再現するどころか当時でさえ不可能だった死者蘇生の手法を不確定ながら確立し実行に移すという下手ななろう系チート主人公が軽く霞む手腕を発揮したのだ。

 その上で破壊された自身の戦力である【オルフェゴール】の残骸を掻き集めて即席で生み出したのが【オルフェゴール・ディンギルス】であり、ディンギルスは復活し『星の力』を手中に収める寸前のリースに無視できない打撃を加えているという事実も含まれる。

 そんなガチで出来ないことを探すほうが早いニンギルスが妹が心身ともに救われたのだから無敵というしか無いだろう。

 

「キャアアァァァッ!!」

 

 と、そんなふうに染み染み感じ入っていたらこれまた最近の風物詩となり始めている悲鳴が聞こえてきた。

 

「今のはラドリーちゃんだね」

「また洗濯物をひっくり返したんだろうな」

 

 住人が増えハスキーさん一人で屋敷を管理するのが難しくなったため、ハスキーさんの要望により新たに【ドラゴンメイド】を雇い入れたのだ。

 【ドラゴンメイド・パルラ】【ドラゴンメイド・ティルル】【ドラゴンメイド・ラドリー】【ドラゴンメイド・チェイム】【ドラゴンメイド・ナサリー】の五人と新規で追加されたらしい【ドラゴンメイド・ラティス】の合計六人が新たに屋敷を管理するために常駐するようになった。

 なんだが、その中でラドリーは一際幼くドジっ子なのでほぼ毎日のように失敗してはああして悲鳴を上げている。

 

「そろそろ『奴』が現れそうだな」

 

 『奴』とはラドリーに粘着しているストーカーであり、ラドリーが失敗すると何処からともなく現れては失敗したラドリーに「ラドリィィィィイイイイ!!」と絶叫し、ラドリーが上手くやれば「偉いぞラドリィィィィイイイイ!!」と叫ぶのだ。

 それ以外特に害はないものの、問題は屋敷の結界を無視して現れる上にビジュアルが完全に事案なのでなんとか捕まえようとするも、俺やハスキーさんだけでなくギルスや精霊達さえ総動員しても逃げられるという厄介な性質が有ることだ。

 

「今日という今日こそ捕まえてやるぞ【モリンフェン】!!」

 

 ある意味姫様と『騎士』のような妙な因縁が生まれていることに若干嫌だなあと思いながら、今日こそ因縁を断つと俺はデュエルディスクを装備して席を立った。




執事が使った【アザミナ】はディアベルスター達から家賃にと貰いますた。
そして最強出張パーツ【デモンスミス】もギルスから貰いリアルのデッキに近づきつつあります。

因みにディアベルゼはディアベルスターとブルーノにはくっついて欲しい派です。
機械と魔女?愛の前に種族差なんてナンセンスよ!な感じで頑張りますがクソボケブルーノ&引っ込み事案なアステーリャ成分のせいでのたのたしてるため、引っ掻き回しまくってやり過ぎてしょっちゅう怒られてます。
因みにギルスは普段はニンギルスの姿に変装しているため自由都市の一般人からはギルスは変身フォーム扱いされてます。

次回はダルクかマルファかIFの予定です。
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