迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「少し手伝ってほしい事があるの」
ある日の夕方、カードの整理をしていた所で教会から戻ってきたマルファがそう俺に言った。
「教会付きの孤児院の子供達にデュエルを教えてあげたいのだけど、何か集めやすいカードでそれなりのデッキを作るとしたらどうしたらいいかしら?」
「成る程」
忘れがちだが精霊界は割と戦火が多い世界だ。
近場の【魔導】と【エンディミオン】はもとより、種族間で仲が悪く…だの真っ当にアリーナで戦ってろと言いたくなる『デュエルマフィア』とかいう半グレ自営業や暴力としてレアカードをチラつかせる『デュエルギャング』にデュエルに負けたら荷物を奪われる『デュエル野盗』なる意☆味☆不☆明なごろつきなんかまでいるのでデュエルに強くないと危ないのだ。
因みに家に不法侵入しようとするとドラゴンメイド達から『おもてなし』を頂くので心配ない。
よしんば人質としてラドリーやうらら達に狙いを定めようものならギルスが即座に『退け!!俺はお兄ちゃんだぞ!!』とヤバイ顔で飛んでいくので安全安心である。
閑話休題。
「となると、構築しやすさを前提にエクストラ1枚か2枚で通常ないし低レアのロービート辺りのデッキが妥当か」
「そうね。それぐらいなら教会でも複数備蓄出来るわ」
「ふむ…」
低レアで強いというと【バージェストマ】か【花札衛】あたりが有名だが、精霊界のカードプールではこれらも中々いいお値段になるし展開が多彩という名の複雑なので慣れさせるために数を揃えるなら厳しいか。
理想はある程度テーマに縛られずかつ纏まりを作る事。
「マルファ。明日ショップに行くから付き合えるか?」
「私からお願いしたのだから当然付き合うわよ」
「じゃあ、明日朝一でショップに行こう」
〜〜〜〜
そうして翌日、マルファと二人してカードショップに向かったのだが…、
「なんか、街の雰囲気がおかしいような…?」
何か辛いことがあったのか道端で打ちひしがれている青年やら「力さえあれば…っ!?」と闇落ちフラグにしか聞こえないセリフを漏らす若者なんかを目にする。
「特にそんな話は聞いてないわね…?」
と、隣を並ぶマルファも不思議そうに首を傾げる。
※傍から見たら二人はデートしているように見えてます。
「まあ、何かあればマスター・ヴェールが声を掛けるだろうし大丈夫だろう」
「そうね。あの子達のためにも今日は気が抜けないものね」
そう意気込むマルファ。
すると小さく「あの若さと美しさで経産婦だと!?」「興奮する!」なんて幻聴が聴こえたが疲れているのだろう。
そんな訳わからん光景を横目に開店直後のカードショップへと入る。
「取り敢えずコレとコレかな?」
そう言って俺は最安値のブロックオリパを二つ選ぶ。
「そっちを買うの?」
「市場の流通量を参照したほうがこの先量産しやすいだろう?」
「確かにそうね」
納得したと会計を済ませフリースペースでブロックオリパを解体する。
「マルファ。魔法と罠とエクストラ、モンスターは種族でカードを分けるから手伝ってくれ」
「頼んだのは私なのだから当然手伝うわよ」
苦笑を零しながらカードを仕分けるマルファ。
「最安だから当然だが、かなり言葉を選ぶプールだな」
「そうね」
ぶっちゃけ紙切れと言われるような残念なバニラがいっぱいで、魔法罠も上位互換が普通にある残念カードしか無い。
が、そんな中にも宝物は紛れているものである。
「うん?これが入ってるのか」
【メルフィー・マミィ】
エクシーズ・効果モンスター
ランク2/地属性/獣族/攻1000/守1000
獣族レベル2モンスター×2体以上
(1):自分・相手ターンに1度、発動できる。
自分の手札・フィールドから獣族モンスター1体を選び、このカードの下に重ねてX素材とする。
(2):このカードが持っているX素材の数によって、このカードは以下の効果を得る。
●3つ以上:このカードは戦闘では破壊されない。
●4つ以上:このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
●5つ以上:このカードが攻撃表示モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。
その攻撃表示モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
搦手への耐性は無いから場持ちしづらいが、正面からの殴り合いなら意外と洒落にならん事になる。
「マルファ。エースになりそうなカードはなにかあったか?」
「1枚だけだけどこれが出て来たわ」
【竜絶蘭】
リンク・効果モンスター
リンク4/地属性/幻竜族/攻3000
【リンクマーカー:左/右/左下/右下】
トークン以外のモンスター2体以上
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
お互いの墓地のモンスターの種族とその数によって以下の効果を適用する。
●ドラゴン族:その数×100ダメージを相手に与える。
●恐竜族:このカードの攻撃力はその数×200アップする。
●海竜族:相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力はその数×300ダウンする。
●幻竜族:自分はその数×400LP回復する。
「普通に使えるカードだな」
「その代わり関連種族は殆んど入ってないけどね」
「まあ、そうなるな」
とはいえ一応方向性は見えてきた。
複数枚出て来たカードはやはり大抵が残念なカードばかりだが、意外とテーマとして組もうと思えば組める枚数にはなった。
「取り敢えず二つ程即興で組んでみるから試してみよう」
「分かったわ」
その後、俺がマルファとイチャつきながらデートしていたという噂が立ち姫様から絞られる事など露とも思わず、俺は真剣にデッキを組み始めた。
次回はデュエル回ですが割とアニメ寄りのゆったりデュエルになるかと。