迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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デュエル後半戦です。



思う通りにいかないのもデュエルの楽しみだ。

「バトルフェイズの攻撃を放棄してこのままターンエンドよ」

「ドローフェイズ。ドロー。

 引いた【音女】を公開して【凡骨の意地】の効果で追加ドロー。

 引いてきた【迷宮壁-ラビリンス・ウォール】を公開して追加ドロー。

 引いてきたのは通常モンスターではないので公開せず効果を終了する。

 スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 モンスターをセットし【黒き人食い鮫】を守備表示に変更してターンエンド」

 

 マミィを守備表示にしてくれていたら【シールドクラッシュ】で排除出来たんだがな。

 泥仕合を覚悟で今は守りを固める。

 

「エンドフェイズ前に【メルフィー・マミィ】の効果を発動してフィールドの【おジャマブラック】をエクシーズ素材にするわ」

 

『今行くぞ弟よ!』

『あんちゃん早くぅ〜』

 

 (演出だが)勝手にお腹の袋へと飛び込むブラックにマミィも嫌そうにするが、それでも渋々ながら受け入れて追い出そうとしない辺りにマミィの母性の深さを伺える。

 

「私のターン。ドロー。

 スタンバイ。メイン。

 手札から【『守備』封じ】を発動するわ。

 対象は【黒き人食い鮫】よ」

「くっ!? もう引いてきたか!」

 

【『守備』封じ】

通常魔法

(1):相手フィールドの守備表示モンスター1体を対象として発動できる。

その相手モンスターを表側攻撃表示にする。

 

 いずれ引くだろうと警戒していたがあっさり引いてくれる!?

 カードの発動により人食い鮫が何故か生えてる両腕でファイティングポーズを取りながら威嚇する。

 

「バトルよ!

 【メルフィー・マミィ】で【黒き人食い鮫】に攻撃!

 攻撃宣言時にマミィの効果を発動するわ!

 エクシーズ素材が五枚以上ある時、【メルフィー・マミィ】は攻撃対象の攻撃力分のダメージを相手に与えるわ!!」

 

 自分より巨大な鮫へと果敢に飛びかかるマミィ。

 その攻撃は鮫のパンチ一つで跳ね返された。

 だが、身動ぎした際にその尾が俺に叩きつけられた。

 

「ちぃっ!?」3500→1400

 

 割と洒落にならんラインに差し掛かり思わず舌打ちが出そうになる。

 

「ターンエンド」

「俺のターン。ドローフェイズ。ドロー。

 スタンバイフェイズ。メインフェイズ」

 

 引いてきたのは【レベル制限B地区】。

 流石に【守備封じ】二連打は無いだろうが、これ以上攻撃を食らうとどうにもならなくなる。

 

「俺は【黒き人食い鮫】をリリースして【迷宮壁ラビリンスウォール】を召喚。

 更に手札から永続魔法【レベル制限B地区】を発動する」

 

【迷宮壁-ラビリンス・ウォール】

通常モンスター

星5/地属性/岩石族/攻 0/守3000

フィールドに壁を出現させ、出口のない迷宮をつくる。

 

 【レベル制限B地区】

永続魔法

フィールド上のレベル4以上のモンスターは守備表示になる。

 

 フィールドに巨大な壁が迫り出し、カードが守備表示になるとその門扉を閉じた。

 

「ラビリンスウォールはレベル5だから守備表示に変更される。ターンエンドだ」

「厄介ね」

 

 効果の対象外のマミィをフィールドに置いてるお前が言うな。

 それを組んだのは俺だから強くは言えんけどさ。

 

「私はターン。ドロー」

 

 と、マルファの頰が僅かに吊り上がる。

 ……嫌な予感しかしねえ。

 

「スタンバイ。メイン。

 カードを1枚セットしてターンエンド」

 

 引いてきたカードをそのまま伏せてターンを終えるが、俺は嫌な予感が止まらない。

 そしてその正体はすぐに明らかとなった。

 

「俺のターン。ドロー。

 スタンバイフェイズ」

「スタンバイフェイズに入った瞬間トラップ発動よ。

 罠カード【バトルマニア】!」

 

 【バトルマニア】

通常罠

相手ターンのスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示になり、

このターン表示形式を変更する事はできない。

また、このターン攻撃可能な相手モンスターは攻撃しなければならない。

 

 発動と同時にフィールドのラビリンス・ウォールが扉を開きそれまで大人しくしていた【おジャマトークン】が意気揚々と構えを取る。

 

「やられたな」

 

 リリース素材に使えない【おジャマトークン】を廃する手段が手札に無い以上トークンの自爆特攻による1000ダメージ+バーンダメージが複数回でライフポイントが無くなる事が確定した。

 トークンを素材に使えるリンクなりシンクロなりがエクストラにあればワンチャン凌げたが、そんなものは無いし今引いたのは【磁力の指輪】なのでどうしょうもない。

 

「メインフェイズを省略してバトルフェイズに移行。

 【おジャマトークン】二体でマミィに攻撃する」

「それじゃあ戦闘ダメージの1000ポイントとトークンの破壊時効果の300ダメージが2回発生するわ」

 

 トークン達が意気揚々と突撃してマミィがそれを前足で優しく押さえ付けるとトークンがフィールドから消え俺のライフが0になる。

 

「もう少し粘れるかと思ったんだがな」

「こちらの引きが良かったからよ。

 それにそのデッキでこちらのライフポイントを削れた時点で十分だと思うわよ?」

「勝ち筋自体は残ってたんだよ」

 

 素材に喚べるカードは無くともデッキの中には【トークン収穫祭】が入っていた。

 【バトルマニア】の効果から逃れていたセットモンスターが残っていたからそれが引けていればトークンを処理しつつライフを回復させてこのターンを凌ぎ、次ターンにマミィを破壊出来るカードを引くチャンスを掴めていたかもしれない。

 そもそもマルファのデッキはレベル2の獣族が中心だから【レスキューヘッジホッグ】がなければマミィを呼ばせないようにして力押しに持ち込めば削りきれた可能性もある。

 

「まあ、たらればを言うのは情けないからこの辺にしとこう。

 マルファ、そのデッキはそれなりに使えそうか?」

「そうね。

 ある程度デュエルを理解できている子なら問題なく回せると思うわ。

 そちらはどう?」

「即興の寄せ集めなりにってとこだな。

 【凡骨の意地】があまり仕事をしなかったのは調整か運が無かったか」

 

 【レベル制限B地区】や【平和の使者】で足止めしつつ【凡骨の意地】で引き込んだ大量のバニラを【エクトプラズマー】や【人投げトロール】でぶん投げまくるコンセプトだったのだが、そもそもにしてマルファが握っていたのが殆んど刺さらない低レベルロービートだった事もあってメインギミックが来る前に押し切られてしまった。

 

「私としてはあの余り物の雑多なカードだけを短時間で一定の方向性を持たせた上で使えるように纏められたのは素直に感心するわ」

「一応歴は長いからな。

 むしろ無い方が良いような効果しかないカードばっかりの環境でデュエルしていた時代もあったからな」

 

 【ゾーン・イーター】とか【鉄のサソリ】とか【女邪神ヌヴィア】とかバニラのほうがマシというおまいらの事だよ!

 初期の【霊使い】も上記よりはマシだがどちらかと言えばそちら側だった。

 当時の主要なエースを奪えるダルクもライナも居らず、専用サポートも無いのに相手依存のコントロール奪取が一手遅くなるリバース効果でしかも守備力は【ミノタウロス】でも超えられるとあって、活かす戦術はあれどより安定したカードが当時からあったためイラストしかアドは無いと言われていた時代もあったのだ。

 

「あの…」

 

 オッサンのキモい昔語りを内心でしていると、気弱そうな子がデッキらしきものを手に俺に話しかけてきた。  

 

「ぼくのデッキを見てください!」

 

 そう言って端が削れたボロボロのデッキを差し出してきた。

 

「マルファじゃなくて俺かい?」

 

 デッキ診断を求めるなら今のデュエルを観ていたならマルファの方に行くだろうと疑問に思うも、その子は怖じ気気味ながらしっかりと理由を口にした。

 

「さっきのデュエルでオジさんはずっとお姉さんの目の動きを追っていたから…」

「ほう…?」

 

 随分視野が広い子だ。

 上手く育てば一皮どころかとんでもなく化けそうだと思いながらデッキを預かる。

 ざっと改めてみると昆虫族を中心にしたバニラビートといったごくありふれたデッキの様に感じた。

 更に特徴を挙げるなら【カマキラー】や【昆虫人間】等のカマキリモチーフのモンスターの比率が高い事か。

 

「カマキリが好きなのかい?」

「そんなに好きじゃ無いけど、いっぱい引いたから…」

「成る程」

 

 どうやら特定種族に好かれるタイプのようだ。

 一通り確認するも、一番強いのは【女帝カマキリ】と【アセット・マウンティス】となっている。

 

「見た感じデッキのバランスは悪くないな。

 種族が固まっているから【一族の結束】みたいな種族を統一していることで効果を発揮するサポート系を追加してみるといいだろうね。

 【ゴキポール】や【共振虫】といった昆虫族をサーチ効果のあるカードが手に入ったらより安定するだろう」

 

 そうアドバイスをあげてデッキを返却する。

 

「ありがとうございます!」

 

 何度も頭を下げて離れていく姿に昔を思い出して懐かしんでいると「自分も見てほしい!!」と人だかりが生まれてしまった。

 

「マルファ、そっちは…」

 

 と、そちらを見ると子供に混じって十代後半位の青年がマルファに詰め寄っていた。

 

「マルファさん!俺とシンクロしてください?」

 

 セクハラァッ!!??

 

「え? えっと、私シンクロ召喚は詳しくないからそういうのは向こうに相談してもらえるかしら?」

「オウフッ…」

 

 言い間違えたのだろうと俺にぶん投げるマルファだが、青年はフラレたと思ったらしく盛大に玉砕した。

 まあ、百合の間に挟まる男は許さんから全力で妨害してたんだけどな。

 

「兄ちゃん邪魔!」

 

 崩れ落ちた若者がデッキ診断を求める子供に押し流されるのを横目にマルファと二人場を収める方法はこれしかないなとアイコンタクトを交わし、その日は二人で押し迫る子供達のデッキ診断に勤しむのであった。




頑張ろうとしたけど勝てるわけないだろのまま押し切られました。
デッキにワンチャンがあろうが来ない時は来ないのがゲームだからこんな事もあるよねってことで。

因みに告白を間違えてセクハラした阿呆は裏でマルファのファンクラブ(当人不認知)に〆られました。
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