迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
なんで青眼ほぼ素通しにしておいて姫様禁止に叩き込んでんだよ運営!!
久方ぶりに【ティアラメンツラビュリンス】で暴れ散らかしてるって意気込んでたんだぞ!
あ、なんで代わりに【六花ティアラメンツ】組んでみました。
シナジーはそんなでもないけど選択肢が多いんで結構動けて遊べます。
ただししらひめは効果を使うと植物族縛りになるからタイミングを間違えないようにな!(N敗)
「それじゃあ執事君。
行ってくるね」
修理と塗装を終えピカピカの新品同様に復活した『デルタイーグル』を前にライダースーツ姿のブルーノがそう言った。
「ああ。気を付けてな。
何ならそのまま戻らなくてもいいんだぞ?」
「そうはいかないよ。
君に返さなきゃならない恩はまだ沢山あるんだし、ディアベルちゃん達も連れて帰ってこなきゃならないんだからさ」
デルタイーグルの両サイドに追加されたサイドカーに其々座る【黒魔女ディアベルスター】と【原罪のディアベルゼ】の二人を示してそうブルーノは言った。
何故二人が帰郷に同伴しているかと言うと、ディアべルスター曰く、「危なっかしくて目が離せない」ということらしい。
最も、そう言った直後にディアベルゼに「置いていかれたら寂しいって素直に言えばいいのに」と図星を刺され殺し合い寸前のドッタンバッタンをやらかしていたりするからどちらが本音かは言わなくてもよかろう。
「ともあれゆっくりして来い。
一日二日でまた来るで済むような間柄じゃないんだからな」
「そうだね。うん。少しだけ遅くなるかもだけど、必ず戻って来るよ」
そう別れの挨拶を交わし、ブルーノは未来の友の元へと旅立っていった。
ブルーノを見送り旅の無事を祈っていると共に立ち会っていたギルスが告げた。
「それでは俺も行ってくる」
「ああ。頼むぜ親友」
ギルスは『スタンダード次元』に赴き未だ完成の見えない『カード化』された被害者の復活方法の研究に携わる事になっていた。
近隣の脅威こと【魔導】と【エンディミオン】にも周知してあるため、『カード化』の安全な普及のためにも完成までは休戦を維持すると約束してある。
「任せておけ。
マルファの妹達を憂う気持ちを無下にはせん」
どうやらギルスのシスコンセンサーがまた変な方向に作用しているようだが、実害は無いどころかから突っ込むのは控えてギルスを静かに見送った。
「さて、俺も行こうかな」
勿論行き先は迷宮城である。
最近は他を優先していたからそろそろ顔の一つも見せんと姫様が変な爆発を起こしかねない。
「10日程は戻らないと思うので、その間屋敷を頼みますねハスキーさん」
「畏まりました旦那様。
アリアスに宜しくとお願いします」
「承りました」
ハスキーさんの見送りを受けつつ俺は【サイバードラゴン・インフィニティ】を【召喚】しその背に身を預ける。
「城まで頼むインフィニティ。
土産探しもしたいからお前のペースでいいぞ」
『キュオオオオン!!』
俺の言葉に嬉しそうな鳴き声を上げインフィニティは翼を羽ばたかせ空へと舞い上がる。
転送すれば一瞬だが、最近気が休まらないような事が多かったから姫様に会う前に気を落ち着けるため空路を選んだのだ。
そうして時折休憩と姫様への土産を探すなどの寄り道を挟みつつ、数日を掛けて俺は久方ぶりの帰還を果たしたのだが…
「……おかしい」
外観に変化は無い。
だが、迷宮城から感じる気配は俺の知るものと懸け離れているように感じた。
「……インフィニティ、上空で待機。
8時間以内に次の命令が無ければ屋敷に戻りハスキーさんを城に連れてこい」
『クルルルル…』
主の生死に関わる闘争の可能性を前に戦いの場から離れろと命じられインフィニティが悲しそうに喉を鳴らす。
「頼む。
お前が最速なんだ」
ブルーノもギルスも精霊界から離れた今、俺に何かあったとしたら姫様を救えるのはハスキーさんだけだ。
ニビルさえ乗り越え何もかもをひっくり返しうる『騎士』は
そんな気がするからこそ俺はインフィニティを最後の頼みの綱を預ける。
『キュオオオォォォォオン!!』
たっぷりとデュエルエナジーを受け取ったインフィニティが翼を開き空高く飛び上がる。
「行くぞ」
杞憂であればいい。
姫様がまたなにか変な思い付きを始めた結果を俺が読み違えただけの阿呆であって欲しい。
そう願いながら俺は勝手口の鍵穴に鍵を差し込み中に入る。
「誰かいないのか!?」
日当たりの良い廊下の隅で昼寝をよくしている【
気に入らないと姫様が決めた配置場所から勝手に姿を消す【
真面目なんだけどよく空回りする【
のんびりし過ぎて『騎士』を素通ししてしまうこともある【
そんな城の賑やかさを彩る家具達は一切が姿を消していた。
「アリアーヌ!!アリアンナ!!」
快活で少しませた【
実はちょっぴり怠け者な【
「コン!!ペア!!」
運命から逃げ出すことを選び姫様の保護下に入った心優しき【ジェネクス・コントローラー】と【スペア・ジェネクス】。
いくら呼びかけど返事は無い。
「アリアス!!」
城の総括を担い姫様の要望を何よりとする【
ありえない。
これだけ呼び掛けて誰ひとり応えないなんて間違いなく何かが起きている。
痛いほどの沈黙が包む城の中を俺は姫様を求めその自室へと急ぐ。
「っ!? アリアス!!」
姫様の自室へと急いでいると、片腕を押さえ廊下の壁に背を預け倒れ込むアリアスを見つけた。
「…ああ、執事君か」
「アリア…」
俺に気付き顔を上げたアリアスを急いで助け起こそうと足に力を込めた瞬間、俺は直感的にその力を逆に向けてアリアスから離れた。
「……誰だお前は」
「何を言っているんだ執事君?」
「黙れ」
デュエルディスクを起動し、何時でも【召喚】出来るよう整えながら俺は問い質す。
「お前は
下手な芝居は止めろ」
アリアスは冷酷で邪悪だが家族想いだ。
これだけの異変にあって、アリアスだけが無事だなんてことは絶対にあり得ない。
なによりもだ、
「一度は本気になった女を姿形が同じだからって見間違えるかよ」
「……ふふ」
我ながら気持ち悪いと言われかねない台詞を口にすると『アリアス』は唐突に笑い出した。
「あははははは!!
造物主である姫様だけでなく只人でしか無い君にまで見抜かれるなんてなぁ!
私が本当にアリアスなのか少しばかり自信が無くなってしまったよ!」
そう笑いながら立ち上がったアリアスは瞬時に傷を消して俺と対峙する。
「初めまして執事君。
私は【
君の慧眼の通りカードに魂を宿す精霊だよ」
そう自己紹介する『アリアス』だが、俺はとうてい聞き流せない台詞に血を沸騰させかけていた。
「お前、姫様をどうした!?」
「彼女達ならここに居られるよ」
そう言いアリアスは
「……」
ぶつん。と、自分の中の切れてはいけない《ナニカ》が音を起てて引き千切れた音を聞きながら俺は俺が驚くほど冷静なまま問い掛ける。
「なんでこんな真似をした?」
「ふむ? 意外と冷静な…いや、怒りが頂点を越えると逆に冷える手合いなんだね。
そうそう理由だけど、私のマスターが【ラビュリンス】を欲しているから分けて貰おうと思ったからだよ」
「そいつの名前は『複野獣田』か?」
「そうだよ」
そうか。奴はそこまでどうしょうもない奴だったか。
「カードを渡せば姫様を解放するか?」
「それは君の誠意次第かな」
「……分かった」
俺はデュエルディスクを待機状態に戻しホルダーを外して装填したディスクごとデッキを床に置くと俺は一足で届かない距離まで離れる。
「カードは全部くれてやる。
姫様達を置いて立ち去れ」
俺に信を預ける精霊達への裏切りと理解していても、それでも俺は姫様を選ぶ。
「随分あっさりするね?」
「御託は必要無い。
これで足りないと言うつもりか?」
「いや。 君の覚悟は理解したよ。
だから…」
−−君はここで殺したほうがよさそうだ。
バタンと音を起てて足元が開き、底が見えない暗闇へと誘う。
「っ!?」
咄嗟に縁へと手を伸ばし、既の所で落下を防ぐ。
「しぶといなぁ?
そのまま落ちれば楽に死ねたものを」
「お前…!?」
呆れたように見下すアリアスに俺は声を上げる。
「奴は【ラビュリンス】を使いはしないんだぞ!?」
「君は捧げた愛が返ってくることを望む口かな?
私は彼を愛している。だから彼に尽くすんだ。
それだけで十分なんだよ」
まるで精神を病んだような物言いながら、しかし同時に目の前の精霊がアリアスで間違いない事を俺は理解した。
「これでも君には感謝しているんだよ?
君がマスターを追い詰めた御陰で私が付け入る隙が生まれた。
彼は私に縋り頼ってくれている。この法悦は君が彼を苦しめてくれた御陰だ。
ありがとう」
歪んだ愛情と理解の及ばない倫理観。
普段ひた隠しにしているアリアスの狂気が姫様という箍を持たない『IF』の姿を前に怖気を過ぎらせる。
「さあ、そろそろ死んでもらおうか。
苦しむ姿を見るのは愉快だが、マスターを待たせ過ぎているからね」
そう言ってアリアスは一本のナイフを取りだし俺の頭へ向けて投げつけた。
「くっ!?」
頭を射抜かれて死ぬか。
助かりようもない高さから落ちて死ぬか。
その二択を前に俺は壁を蹴ってナイフを躱し、袖に仕込んだ【緊急テレポート】を起動しようとして…
ドスンッ!
「抜け目ないのは予想済みだよ。
君もまた【ラビュリンス】の一員なんだからね」
そう嘯くアリアスの言葉を最後に、俺はどこまでも続く暗闇の中へと飲み込まれていった。
因みに今回も決着はちゃんとデュエルで着けますよ。
デッキはあるのかって?
封印櫃とは別に実は一個だけ城に執事のデッキが残ってます。