迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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俺は姫様と伴に在る(1)

 執事の胸に突き刺さろうと迫る『アリアス』が放ったナイフは、しかし、横から飛び出した壁に遮られ弾かれた。

 執事を守るように城のギミックが稼動したことに驚き固まる『アリアス』の目の前で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()更に執事を守るように開いた床が閉じてしまう。

 

「どうして!?」

 

 今この城内に罠の発動権限を持つ者は『アリアス』一人の筈。

 しかしそれは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であり、『アリアス』より高い権限を持つ者は唯一人だけ。

 

「随分と私の可愛い下僕を弄んでくれたわね?」

 

 かつん、かつん、と態と靴音を響かせながら現れたその姿に『アリアス』はあり得ないと瞠目した。

 

「何故、貴女がそこに居られるのですが!?」

 

 姫様!!??と叫ぶ『アリアス』に『姫』は嗜虐的に笑いながら嘯いた。

 

「貴女にそれを知る権利は与えないわ」

 

 直撃、『アリアス』を包囲する形で起動した罠が襲い掛かる。

 

「【トラップ・スタン】!!」

 

 咄嗟に『アリアス』は仕込んでいた対抗策を起動し、停止した罠のその隙間を掻い潜りそのまま窓から飛び出していった。

 

「ちぇっ! 詰めを甘くした覚えはなかったのだけれど、流石アリアスね」

 

 敵として対峙しても可愛い下僕ではある事は事実と称賛しながら執事が落ちた穴を再び開く。

 そこには執事が昇降機のように上がってきた床に座り込んだ姿で現れる。

 

「貴女は…いや、()()()()()が何故?」

 

 アリアスが姫と思った物の正体を一瞬で見抜いた執事に『姫』は唇を尖らせる。

 

「ちょっとぐらい見間違えなさい」

「いや。確かに良く出来ておりますが全然似てませんから」

「えぇ…?」

 

 制作した姫自身が自分を完璧に再現したと自負する自らを似ていないと言い切られ怒りより引く感情を『姫』は覚えた。

 

「サイ◯リアの間違い探しより簡単な本物と違う点を今から挙げていっても構わないんですが、それより屋敷にあった筈の貴女が何故此処に?

 というか、そもそも何故動いておられるのですか?」

 

 最初から動けるのに動かなかっただけだとしたら色々不味いと内心で滝のような汗を流しつつそう尋ねると『姫』は面白くなさそうに鼻を鳴らした。

 

「レイン恵とかいう人形のお陰よ。

 あの子が破棄された私の魔力コアを回収して私に再び装着したことで私は動けるようになったの」

「そうですか」

 

 レイン恵。

 『ZONE』より監視として派遣された彼女の事は童実野町で別れてからは姿を見ていなかったのだが、それは監視が終了した訳ではなかったかららしい。

 

「あの子の話が本当なら貴方は私を救う為に自分を殺して、最期は存在ごと無かったことにしたらしいじゃない」

 

 『姫』は恐ろしい気配を纏いながら執事に問い掛ける。

 

「私がそんな事をされて本当に喜ぶとでも思ったのかしら?」

 

 応え次第では私が殺す。

 そんな言葉を幻聴する程の怒りを纏う『姫』に執事は答える。

 

「思いません。

 ですが、その時が来たなら私は迷わず自らを擲ちます」

 

 姿形は微妙に違えどその心は確かに姫様だと理解した執事は貴女の手に掛かるなら殺されて本望と笑いながら嘯く。

 

「それが私が姫様に捧げる忠誠と愛だからです」

「……はぁ〜」

 

 執事の答えに『姫』は深く溜息を吐いた。

 

「アリアスといい、なんでこう私の下僕は皆こうなのかしら?」

 

 愛の重さに呆れと同時に喜悦を抱いた『姫』は何を言っても無駄と宣う。

 

「執事。私の城を好き勝手した悪い子に本物の『おもてなし』を味あわせに行くわよ」

 

 そう宣い歩き始めた『姫』に執事はしかしと告げた。

 

「お力になりたい気持ちは間違いないのですが、デッキを持たぬ今の私では足手まといにしかならないかと」

 

 多少の人間離れが始まっていても執事はいまだ人間止まり。

 加えて精霊使いとしての武器もアリアスに差し出した今の執事に役に立つ方法は無い。

 しかしそんな懸念に対し『姫』は「デッキならあるわ」と告げた。

 

「貴方が城を出ていく時、城に残していったデッキが一つあるでしょう?」

「……あ」

 

 そう言われ執事は思い出した。

 執事が城に在住していた頃、彼の手持ちのデッキは姫から【ラビュリンス】を賜るまでは【霊使い】と【ドリアード】と【墓地使用禁止特殊召喚ガンメタ】デッキの三つと更にもう一個を加えた四つであった。

 現在は自由都市に居を移す際に【ドリアード】は中核となる【精霊神后ドリアード】を人質として預けることになった為に解体し【霊使い】へと組み込んだためもう残っておらず、残した片方の【墓地使用禁止特殊召喚ガンメタ】デッキも制限改定の煽りで主要パーツの多くが禁止や制限となったため城に戻った際に分解してしまった。

 そして、改定により多少調整こそしていたが城から持ち出すことはなく最後まで残しておいたデッキこそが『姫』が指しているデッキであった。

 

「確かにあのデッキでしたら()()()()()()()()()()4()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、それ故に『アリアス』が放置しているとは思えません」

「まだ『アリアス』はあのデッキに気づいていないわ。

 それに、執事の部屋は既に私の許可無しに開かないよう固めてあります。

 あの部屋には貴方のデュエルディスクも残していったから、それさえ手にすれば貴方も戦えるわね?」

「そういう事でしたら問題ありません」

 

 武器さえあれば戦える。

 姫を取り戻し『アリアス』と複野の野望を阻むため、『姫』と執事は反撃の狼煙を上げるのだった。

 

「あ、そうそう。

 貴方が私で()()()()()()()()()()()はちゃんと覚えているから、後で覚悟してね?」

「え゙?」




 という訳でトゥルールート開幕しました。
 運命を乗り越え、執事は姫様を取り戻すために全力で抗います。

 デッキですが、1話目の時点でデュエルディスクに1個とデッキケース三つなんですよね。
 最初は分かりづらい書き方したから書き直さなきゃと思ったんですが、ミスリードに使えないかと思いなおし、修正せずそのままにしてました。
 今話では使うデッキの名前をぼかしてますが、実は1回だけ名前が出てたりします。

 すぐに正体は明らかになりますが、待ちきれなければ探してみるのも?

 という訳で今回はここまでになります。


























































レイン恵よりZONEへ
現時点までの介入による未来改変のレポートを提出

ケース1『全戦力投入』
検証回数1回
結果:迷宮城崩壊及び【ラビュリンス】全滅。 案内人消滅。 複野獣田殺害。
理由:戦力差を覆せないと判断した【白銀の城の執事アリアス】により迷宮城が自爆させられたことにより城は崩壊。
同伴者を救う為に案内人は自身を対価に全員を救助。その後消滅。
 唯一遺された案内人の使役精霊【暗影の闇霊使いダルク】により【白銀の城の執事アリアス】及び複野獣田は殺害。
問題点:戦力比が開きすぎた為に【白銀の城の執事アリアス】から【ラビュリンス】奪取の選択肢を奪った事が最大の敗因と判断。

ケース2『同伴者1名追加』
検証回数5回。
同伴者名『アンチノミー』『黒魔女ディアベルスター』『原罪のディアベルゼ』『宵星の騎士ギルス』『ドラゴンメイド・ハスキー』各一回ずつ。
結果:【ラビュリンス】生存。案内人消滅。複野獣田死亡。全て変わらず。
理由:【白銀の城の執事アリアス】により分断工作が実施され変動は発生せず案内人のアンデット化及び歴史改竄が施工された。
原因:【白銀の城の執事アリアス】による迷宮城の支配。
これを破棄させることが未来改変の重要なファクターの一つと仮定。

また、上記の検証結果から仮説発生。

【白銀の城のラビュリンス】と【迷宮の案内人】の両名には片方のみが死亡ないし双方の死亡が未来線に進む為の歴史定礎として設定されている可能性があります。
この仮説の根拠として【宵星の騎士ギルス】が本来存在していた【星遺物】世界において星遺物と共鳴する巫女【イヴ】と星遺物の私的掌握を計画していた【リース】の双方が生存と死を同じくしていた事を根拠に【宵星の騎士ギルス】が【リース】を抹消では無く封印に留めた理由と同じになります。
故に双方共に生存させる事は()()()()()()()()()()であると結論。
歴史定礎を詐称する方法の発見こそが歴史改変に必要な条件であると仮定し仮説の証明手段を模索します。
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