迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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エピローグです。


姫様は今日もポンであるらしい。

 その城が何時、誰の手により、何を目的として建築されたのか、それを知る者は誰もいない。

 白銀に輝く荘厳な、それでいて何者の侵入をも拒む白亜の宮殿。

 美しい外観とは裏腹にその内部は複雑怪奇の極みとなっており、全容を知る者は皆無である。

 

 その城の名は【白銀の迷宮城】。

 

 迷宮城を支配せし美しくも悍ましき邪悪なる白銀の悪魔が蔓延る呪われた城である。

 

 と、言われているのだが…

 

「オーホホホ!! 今日という今日こそ『騎士』との因縁に決着が着く日よ!!」

 

 シーツで覆い隠した某を前に目元は隈で真っ黒に染まり着古して縒れた小豆色のジャージ姿でハイテンションに宣う推定美女。

 この城の女主人である【白銀の城のラビュリンス】と呼ばれる大悪魔なのだが、なんかもう、色々残念過ぎて威厳はおろかその美しささえ全く伝わらない。

 

「なんかいつもよりテンション高いですね」

「あれでしょ?

 執事が友達の所に遊びに行っちゃったから拗ねてるんだよ」 

 

 アリアンナの疑問符にアリアーヌが答えを口にし、誰の事かを察したアリアンナは『彼』ならば仕方ないと納得する。

 

「今日の秘密兵器はコレよ!!」

 

 勢いよくシーツを剥いでお披露目されたのはラッパ砲のような湾曲した砲身のついた球体型の大砲と2つの機械をベルトで相互稼働するよう設計された装置を無理やり合体させた奇妙な装置であった。

 

「これぞ私が【零式魔導粉砕機】と【波動キャノン】の双方の弱点を克服し改良した最終兵器!

 その名も【零式魔導キャノン】よ!!」

 

 ぱっと見ただけでは、【波動キャノン】に【零式魔導粉砕機】をポン付けしただけのようにしか見えないと三人は思った。

 

「【零式魔導粉砕機】によって生成させた魔力を波動エネルギーにコンバートさせる変換器の構築に少々手間取らされましたが、天才アーティストたる私の手に掛かればお茶の子さいさいというやつですわ!オーホホホ!」

 

 台詞の前半と後半が矛盾しているようにしか聞こえないが、深夜テンションの姫様の機嫌を損ねても誰も幸せにならないと三人は指摘せず姫様が機嫌を良くするよう拍手を送る。

 

「あれ? 坊ちゃま?」

 

 と、そんな中アリアーヌはドアの隙間から中を伺う姫の面影が見える少年を見つけた。

 

「どうしました?

 姫様に御用事でしたらもう少しお待ちいただいた方が宜しいですよ?」

 

 あの状態の姫様は面倒臭いから離れさせようと話しかけると、坊ちゃまと呼ばれた少年は胸に【ジェネクス・コントローラー】を抱いたまま「これ落ちてた」と手にした物をアリアーヌに渡す。

 

「なんですか?」

 

 受け取り見てみると、それはやや大きいサイズのネジであった。

 

「設計図をみたら重要な部品っぽいから母様に渡しといて」

「……畏まりました。

 では、少しの間奥にお下がりください」

 

 完全にこの後の展開が見えたアリアーヌの言葉に坊ちゃまは「分かった」と【スペア・ジェネクス】を抱いて廊下で待っていたよく似た少女と共にその場を離れていく。

 

「さあ!起動試験を始めるわ!!」

「ちょっと待ったぁっ!!」

 

 制止の言葉を口にするのは間に合わず、レバーをガチャコンと下げる姫。

 

「え?」

 

 アリアーヌの必死の叫びに理由を問うまでもなく、【零式魔導キャノン】と命名された機械がガタガタと明らかな異音を立て始める。

 

「え? あれ?」

「すぐに停止を!?」

「ああ、これはアレですね」

 

 困惑する姫。

 慌てて事態の回避を模索するアリアス。

 全てを察し諦めたアリアンナ。

 そんな三者の前でガタガタと激しく振動していた【零式魔導キャノン】が内側から眩い光を放ち……

 

「今日も姫様は通常運転ですね〜」

 

 ()()()()()()()()が無事ならとりあえずいいかと、アリアーヌは全てを諦めた顔で閃光に飲まれた。

 

 

〜〜〜〜

 

 

 姫様がまた何かやらかした気がした。

 

「どうした友よ?」

 

 そんな予感につい迷宮城のある方角を見た俺を訝しがって問うギルスに俺は答えた。

 

「姫様が城を吹っ飛ばした気がしてな」

 

 そう言うと全てを察した様子でギルスは「そうか」と流した。

 

「時間が経つのは早いものだな」

「そうだな」

 

 俺が人間を止めてそれなりの時間が過ぎた。

 嘗ての知り合いの多くは遠くに旅立ち、長命を約束された者以外は皆世代を変え新たな時代を作り続けていく。

 去っていった者達を想い、湧き上がる感情に俺はギルスに問いを放っていた。

 

「ギルスは凄いな。

 この感傷を何度も乗り越えてきたんだろう?」

「そうでもない。

 その感情に耐えられたのは貴様や妹達が居てくれたからだ。

 そうでなければとうに狂っていただろう」

 

 兄としての矜持と友との誓いこそが己を保たせたと嘯くギルスに「そうか」と俺は納得する。

 

「来たようだぞ」

 

 と、ギルスが言うと同時に次元間を結ぶゲートが稼働し、一人の少年が現れた。

 『榊遊矢』『ユート』『ユーゴ』『ユーリ』達四人によく似た緑色のラインが走る白髪の少年。

 それが待ち侘びた『彼』であると確信した俺は迷わず言葉を贈る。

 

「久し振りだね『ズァーク』」

「ああ。久し振り」 

 

 どんな言葉を交わそうか、待っていた間はそればかり考えていたというのに、いざ前にするとそれらの言葉は無用であると理解した。

 

「早速始めるか?」

「ああ。楽しいデュエルをしよう」

「ライフポイントは?」

「当然8000!!」

 

 それ以上の言葉は必要無い。

 伝えたい言葉は何より雄弁なカード(彼等)が伝えてくれるのだ。

 互いにデュエルディスクを起動し、それぞれ五枚の手札を手元に引き込む。

 

「先攻は貴方だ」

「【白銀の城の側仕え(ラビュリンス・アテンダント)『執事』】、参る!」

 

 そして、この世界で最も苛烈で楽しいゲームへと俺達は身を投じた。

 

「「デュエル!!」」




 という訳で少しばかり長くなりましたが、姫様ルートの完結となりました。

 と言っても、まだ書きたいネタはあるので完全完結はしないんですけどね。

 次回は完全ギャグに走るか或いはデュエルするか…

以下はおまけの執事カード化第二弾です。

作中の活動と青眼原石に対抗したカードパワーとか諸々ぶち込んだ結果、ちょっとやりすぎますた。(笑)

白銀の城の側仕え(ラビュリンス・アテンダント)『執事』】
効果モンスター(禁止カード)
星1/光属性/悪魔族/攻0/守0
このカードは通常召喚出来ず、「ラビュリンス」カードの効果でのみ特殊召喚出来る。
このカードの(2)、(3)の効果はそれぞれ一ターンに一度しか使えない。
(1)このカードはモンスターの召喚、特殊召喚のためにリリース出来ずエクシーズ召喚の素材に選択出来ない。
(2)このカードが特殊召喚した時に発動出来る。
手札を1枚墓地に送りデッキ、EXデッキから召喚制限を無視してモンスターを特殊召喚する。
その後特殊召喚に成功したモンスターの攻撃力分のライフポイントを失う。
召喚されたモンスターは蘇生制限を満たしておらず、エンドフェイズに裏側除外される。
(3)「ラビュリンス」カードが効果の対象になった時発動できる。
フィールドのこのカードをデッキに戻してして効果を無効にする。
その後効果を無効にしたカードを除外する。
(4)手札、フィールド、墓地のこのカードをデッキに戻して発動する。
除外状態の「ラビュリンス」モンスターか通常罠カードを一枚選択しデッキに戻すか墓地に送る。
(5)このモンスターが戦闘か相手の効果でフィールドから離れ墓地に送られた時に発動する。
このカードを裏側除外する。
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