迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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連続投稿です。

理由?

人の心が帰ってきたからです。


加減を忘れると大惨事になるのはよくある話

 怪我をした。

 

 槍で肩をぶち抜かれあと少しで腕を失う程の重症であった。

 

 何故こうなったかと言うと、昨日の話になる。

 

 いつもの様に姫様が『騎士』に『おもてなし』を振る舞い、いつもの様に完全敗北を記した。

 

 いつもならそのまま帰る騎士が俺を指して要求したのだ。

 

「偶にはお前が相手をしてくれないか?」

 

 俺を指名した『騎士』に姫様は見た事無いほど激昂したが、『騎士』からの言葉に黙ってしまう。

 

「その男は君のスカートの中に隠れていればいいのか?」

 

 そこまで言われて流石に黙っていられず挑戦を受けたのだ。

 

 とはいえ戦闘に関して未だにクソ雑魚ナメクジであるのに変わりがない俺は条件を提示した。

 

1、自分への直接攻撃は禁止

 

2、『騎士』の勝利条件は自分が召喚したモンスターをすべて撃退する事

 

3、自分の勝利条件は召喚したモンスターが残った状態で『騎士』が継戦不能になる事

 

 以上の条件であれば戦えると言い、『騎士』は了解した。

 

 で、最後の最後で事件は起きた。

 

 俺は【霊使い】、【壊獣カグヤアルファ】、【デュガレスアークリベリオン】【ドリアード】を全て撃破され大分キていた。

 その上で姫様から熱い激励をいただき、つい相討ち上等で【アーゼウス】を持ち出してしまったのだ。

 

 最初は皆が善戦して『騎士』がそれなりに満足すればいいだろうと軽い気持ちであった。

 

 だが、何度も地を這い杖を折られながらもそれでも諦めなず立ち上がる霊使いの6人に自らの浅はかさを悔いた。

 

 甲羅を割られ、牙を砕かれ、美しい着物を泥で汚しながらも闘い続けたカグヤ達に力不足を悔いた。

 

 だからこそユベルの厚意を無下にする覚悟でデュガレスの支援を与えたアークリベリオンを投入した。

 

 俺の覚悟を察したのかアークリベリオンはこれまでで最も暴れまわり『騎士』に「見解を改める。君は強敵だ」と言わしめるほどの猛攻を見せて何度も追い詰めた。

 

 しかしそれでもあと一歩が届かず、まるで俺に謝っているかのように泣きながら消えた。

 

 そんな姿を目にしたせいだったのだろう。

 俺はアストラムを呼ぶ予定を蹴り、俺が遊戯王に帰ってくる理由にもなったドリアードを呼び出していた。

 

「何が弱いだ。

 君を慕う者達がこれだけ居る君は、間違いなく強い召喚士(デュエリスト)だよ」

 

 6色の魔力を駆使して『騎士』の盾を砕き鎧に罅を走らせたドリアードも、『騎士』の槍を破壊することは叶わず敗れ去った。

 

 倒れていった俺のモンスター(仲間)の姿に、軽率で未熟で臆病な自分への怒りで憤死しそうになった俺は、直後に響いた姫様の声にコレだけは持ち出すべきでは無いと封じるつもりだったアーゼウスを召喚した。

 

 全てを焼き払う極光を溜めるアーゼウスに、『騎士』もまた貪欲に()()()()()()()()()()()()

 

 つまり、召喚者を倒してアーゼウスを消し去るという()()()()()()()を打つためにルールを忘れて俺を殺そうと槍を投げ放ったのだ。

 

 既の所で正気に返った『騎士』だが、槍は投げ終わる直前であり辛うじて心臓狙いを逸らすのが精一杯だった。

 

 結果、『騎士』の槍は俺の肩を貫通し、腕を失う寸前になるほどの重症に追い込んだ。

 

 その後は当然大騒ぎになった。

 

 姫様を含めた全員がブチギレ、更には俺のデッキから召喚したモンスターだけでなくニビルやアクセスコード・トーカーにサイバー・ドラゴン・インフィニティと閉ザサレシ世界ノ冥神(サロス=エレス・クルヌギアス)までもが勝手に顕現して『騎士』を殺しに掛かる大惨事が発生。

 

 なんとか全員を宥め賺し、『騎士』は怪我の治療に全力を尽くす契約で今回は水に流す事が叶ったが、もし俺が本当に死んでいたらと思うとゾッとするどころではない。

 

 で、時間は現在に戻るわけなんだが…

 

「ほら執事、口を開けなさい。

 あーんよ。あーん」

 

 なんで姫様が俺を介護してるんですかね?

 

 応急処置を済ませ腕の固定と痛み止めの魔法を処置してもらい、多少不便程度に収まった俺は当然ながら絶対安静と部屋に軟禁されることになった。

 

 そこまではいい。

 

 ちゃんと配慮されているのはありがたいし嬉しい。

 

 だけど、俺を甲斐甲斐しく世話してるのがなんで姫様なんですか?

 

 姫様に訊いても、

 

「その怪我は私の責任よ。

 主であろうと責任は果たすべきなのよそれに伴侶のお世話って夫婦みたいでちょっと憧れてたし

 

 と、震えながら言葉尻が聞こえなくなるぐらい小さく言っていたから俺が死にそうになった瞬間を思い出して怖くなったのだろう。

 

 流石に怖がっている姫様を拒絶する訳にもいかずなし崩し的にこうなっているのだが、やはりこのままでいいのか疑問になってしまう。

 

 楽しそうに一口大にカットされた林檎を差し出す姫様にされるがまま林檎を食み、その様子を嬉しそうに眺める姫様に、やっぱりこのままでもいいのかもと思う。

 

「ねぇ執事」

 

 と、ブレッブレな頭に姫様の問い掛けが投げられた。

 

「執事はこのカードがエースカードなのよね?」

 

 と、いつの間にやら姫様が俺のデッキから【精霊神后ドリアード】のカードを抜いて示す。

 

「そうですね」

 

 フィニッシャーとしての出番はアストラムやアークリベリオンの方が多いが、やはり自分のエースカードはと訊かれたらドリアードを選ぶだろう。

 

「せっかくだし聞かせてくれない?

 貴方とドリアードの出会いってどんなだったか」

「つまらない話になりますが、それでよろしければ構いませんよ」

 

 そう前置いて、俺は()()()()()()の話を始めた。




次回は一部ノンフェクションでふ。
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