迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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今回は未来の話です。

今後は絡ませたいキャラ次第で時間が言ったり来たりします。




俺が変わっても日常はあまり変わらない
子育てとは大変なのだと想い知る。


 

〜〜息子の場合〜〜

 

 

「父様。お話があります」

 

 ある日のことである。

 姫様のご機嫌取り(日常業務)を終え、書類作業へと向かう途中の廊下で唐突に息子がそう俺に言った。

 

「随分真剣な様子ですが、どうしましたか?」

 

 まるで魂を賭けたデュエルに挑もうかというスゴ味を放つ息子に問い掛けると、息子は「紹介して頂きたい御方がいます」と答えた。

 

「様子から私の知り合いのようですね。

 誰ですか?」

「ドリアード様です」

 

 …………。

 

「確認しますが、それは私の麾下に加わって頂いている精霊のドリアードですか?」

「はい!」

 

 悲報!我が息子の女の趣味が同じだった!

 

「念の為伺いますが、如何様な理由でしょうか?」

「私の妻になっていただきたく求婚するためです!」

 

 …………どうしよこれ?

 

「姫様はなんと?」

「父様がドリアード様をお喚びになられた際に、母様のお顔が凄まじく不愉快そうになられたので相談しても否定されるだけと思い話していません」

「……そうですか」

 

 いや、マジでどうするこれ?

 悪魔族と精霊だから年齢的なあれこれは問題足りえず、跡取りにしてもなんなら姫様に羞恥で気絶しないで同衾に耐えてもらえば二、三十人ぐらい俺も頑張れるので息子の嫁が精霊でも構わないのだが…

 

 初恋の女が息子の嫁とかソレナンテ・エ・ロゲ?

 

「紹介するのは構いません。

 ですが、交際に関して私からは一切助力はしませんし、よしんばドリアードが受け入れたとしても姫様の説得は貴方だけの力でやり遂げなさい」

「ありがとうございます!!」

 

 希望は繋がったと顔を輝かせる息子に、一度だけ抵抗を試みておく。

 

「一応尋ねておきますが、エリア達【霊使い】やラクリモーサ嬢といった他の女性達はどうなのです?」

 

 そう言うと息子の目が遠くを向いた。

 

「父様。既に殿方への想いを捧げる心を決めた女性に対して後から恋慕を向けるのは薄汚いと思いませんか?」

「言及は遠慮しますが、其々の関係次第かと」

 

 この辺は俺でも分かる程度にラブコメしてるからなぁ。

 未だにダルクが誰かしらに食われることも包囲網を形成して囲われないのもエリア達が良い子だからだが、そろそろ決着着けんとアリアスが脇から差してきそうなんだよな…。

 息子が何を見てそんな感想を抱いたかは置いておいて、後のフリーと言えば…

 

「【ドラゴンメイド】の方々はどうですか?」

「彼女達は自分より戦いが強い殿方以外認めないですよね?」

「そうでしたね」

 

 彼女達を射止めたいならドラグマの守護竜となった【アルバスの落胤】(攻撃力3000)が最低限と悪魔族には中々ハードルが高い。

 

「クルヌギアス」

「悪くは言いたくありませんが彼女の愛は僕には重すぎます」

「バロネス」

「少々男勝り過ぎて遠慮したいです」

「エンウィッチ」

「テクトリカ殿の説得は無理難題が過ぎます」

「マスカレーナ」

「百合の花園を踏み荒らしたくありません」

「ネクロイップ」

「収集癖が無理です」

「ディアベルゼ」

「友人以上になりたくないです」

 

 目移りしてくれてたりしてないかなぁと思って身近な女性を挙げてみるが、こうして見ると癖しかない女性しか周りにいないんだな。

 癖がない者は大体相手が居るから……癖があるからフリーとか考えたら命が無いからこのあたりで止めておこう。

 

「そこまで腹を括っているなら私からはもう言いません。

 ドリアードを喚びますので着いてきてください」

「はい!!」

 

 覚悟を決めた顔で俺の後を着いてくる息子に、俺は複雑な感情を抱かずにはいられないのであった。

 

 

〜〜娘の場合〜〜

 

 

 ソファーにだらしなく横たわりおやつを片手に優雅な一時を演じていた姫は娘の言葉に耳を疑った。

 

「…ごめんなさい。

 もう一度言ってくれるかしら?」

 

 聞き間違いであって欲しいとそう願いながら取った言葉に、しかし娘はその願いを踏みにじる台詞を言い放った。

 

「ですから、私とお父様を賭けて決闘してくださいと、そう申したのです!!」

 

 その言葉が聞き間違いでなかったことに姫は頭痛を感じずにはいられなかった。

 娘が父親が大好きな事は知っていた。

 母として夫が慕われていることは非常に嬉しい事だ。

 だが、よりにもよってそんな感情を抱いていたことは流石に許容出来るものではなかった。

 

「随分大きく出たわね?

 私の娘だからと図に乗っているなら頭を冷やさせる必要があるわよ」

「図に乗られているのはお母様の方です!」

 

 ビシリと指を突きつけ娘は宣う。

 

「なんですかそのだらしない二の腕は!

 お腹周りもふくよかになり過ぎてコルセットが締められないとアリア達が嘆いていたのを知らないとは言わせませんよ!」

「はうっ!?」

 

 最近は『騎士』も「塗り替えられた世界記録取り返すために集中するから」とあまり顔を見せず、執事に甘やかされるままになっていたことで以前よりデブもとい恵体に成っていた自覚がある姫は娘の容赦ない糾弾にざっくり刺され呻いてしまった。

 その怯みを見逃さず娘は一気に畳み掛ける。

 

「今の貴方に父上は豚に真珠!弛まぬハングリー精神を無くしたお母様にはお父様は勿体ありません!

 ですからお母様に更生頂くためにも私がお父様を頂きます!」

「流石に色々飛躍すぎよ!!??」

 

 言いたいことは理解したが、しかしやり方がおかしいと姫が叫ぶも、蛙の子は蛙というべきか既に()()()()()()()()()

 

「それが嫌と申されるなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「え?」

 

 直後、寝そべっているソファーごと呑み込む落とし穴が姫の真下に開く。

 

「はえ?」

「アリアスとお父様が監修していますので死にはしないでしょうが、死ぬ気で乗り越えてください。

 それが出来なければ、その瞬間から私が【白銀の城のラビュリンス】です」

 

 残酷な宣告とともに真下へと落下する姫。

 

「にゃああああああああ!!??」

 

 落下の恐怖と裏切った家族への噴飯とで滅茶苦茶にブチギレながら落ちていく姫を見届けながら、娘は静かに嘯いた。

 

「証明してください。私のお母様はお父様が心から愛される素晴らしい大悪魔であると」




ざっとしたキャラ紹介

息子:母親似の双子の美少年。女の趣味が父親と一緒。メインデッキは【アルトメギア】

娘:双子の妹。重度のファザコン。メインデッキは【M∀LICE】
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