迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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今回は導入パートと前半はオマケです。
実際悪足掻きにやったら起きた珍事です。


人間界も精霊界も変わらないものは変わらない。

『モーリモリモリモリモリモリ!!

 今日という今日こそお前との因縁も終わりだモリン!!』

 

 およそ笑い声とは思えない笑い声を響かせ、俺と対峙する【モリンフェン】がそう宣う。

 奴は以前から度々屋敷の【ドラゴンメイド・ラドリー】に粘着していたストーカー(傍迷惑以外は無害)であり、この度総力を指揮して遂に追い詰めたのだが…

 周囲には倒れ伏した仲間たち。

 全て奴にデュエルで倒されたのだ。

 奴は何処からか大量のデッキを持ち出し分裂までしてデッキを持っていた全員と同時にデュエルを開始。

 そして、それは正に現代遊戯王の地獄絵図であった。

 【原石マジシャン】を用いたダルクは【宣告者ドライトロン】に全ての行動を封殺された。

 【炎王】を用いたヒータは【海皇】の物量に抗いきれず呑み込まれた。

 【氷獄龍トリシューラ】まで導入した完全体【氷結界】を用いたエリアは【ゴーティス】が住まう別次元に幽閉された。

 【春化精入りナチュル】を用いたアウスは【ナチュルアダマシア】に大地を枯らされリソースを奪われ尽くされた。

 【聖霊獣】を用いたウィンは【ヴァンキッシュ】に抵抗の間も許されず打ち倒された。

 【セイクリッド】を用いたライナはより遠き宇宙より飛来した【銀河眼】に蹂躙された。

 【ドラゴンメイド】を率いたハスキーさんは【原石青眼】に正面からねじ伏せられた。

 そしてブルーノは【月光ワンキル】に先攻を取られ手札に触れることさえ出来ず膝を着き、ギルスは【バージェストマ】の【スウィッチヒーロー】により盤面を丸ごと奪われマインドクラッシュしてしまった。

 

 そして、俺の前には黄金に輝く巨竜が立ちはだかっていた。

 

No.(ナンバーズ)100 ヌメロン・ドラゴン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク1/光属性/ドラゴン族/攻 0/守 0

同じランクの同名「No.」Xモンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このカードの攻撃力は相手ターン終了時まで、

フィールドのXモンスターのランクの合計×1000アップする。

(2):このカードが効果で破壊された時に発動できる。

フィールドのモンスターを全て破壊する。

その後、お互いは自身の墓地の魔法・罠カードを1枚選んでフィールドにセットする。

(3):自分の手札・フィールドにカードが無い場合、相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚する。

 

 火力要員として【ラビュリンス】でもエクストラデッキに採用を検討した事もある強力なモンスターだが、問題はヌメロン・ドラゴン自身ではなく、ヌメロン・ドラゴンを呼び出したもう一体のエクシーズモンスターだ。

 

 

No.(ナンバーズ)99 希望皇ホープドラグナー】

エクシーズ・効果モンスター

ランク12/光属性/戦士族/攻3000/守3000

レベル12モンスター×3体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手ターンに、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる

(この効果を発動するターン、自分はXモンスターしかEXデッキから特殊召喚できず、

他の自分のモンスターは直接攻撃できない)。

「No.1」~「No.100」のいずれかの「No.」モンスター1体をX召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する。

(2):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

その相手モンスターの攻撃力を0にする。

 

 ドラグナーのランクの数を加算したヌメロン・ドラゴンの攻撃力は13000。

 8000環境でさえ容易に殺しきれる超絶火力は非常に恐ろしいが、それ以上にこの二体が並ぶ光景を俺はよく知っていた。

 

「制圧型【ホープ】じゃなくて【ヌメドラワンキル】か!!??」

 

 それは数ある先攻ワンキルの中でも最も悪辣で()()()()ワンキルコンボ。

 このワンキルがそう言われる理由は…。

 

『カードを二枚伏せてターンエンドだモリン!』

「俺のターン!

 ドローフェイズ!ドロー!!」

 

 俺のフィールドには前のターンにアリアスの効果で発動した【ビッグウェルカム・ラビュリンス】で狂時計と入れ替わりに特殊召喚させた【白銀の城のラビュリンス】のみ。

 そして引いてきたのは【魔を刻むデモンスミス】。

 展開さえ叶うなら勝ち筋はある。

 だが、

 

『その瞬間伏せカード発動!!速攻魔法【神秘の中華鍋】を発動するモリン!!』

 

【神秘の中華鍋】

速攻魔法

自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。

生け贄に捧げたモンスターの攻撃力か守備力を選択し、

その数値だけ自分のライフポイントを回復する。

 

『フィールドのヌメロン・ドラゴンをリリースしてその攻撃力分モリンフェンのライフを回復するモリン!

 そして【神秘の中華鍋】にチェーンしてホープドラグナーの効果を発動するモリン!!』

 

 中華鍋は発動時点でリリースするためチェーンしても効果は間に合わない。

 黄金の龍が光に解け身に宿す命を使い手の活力へと変換する。

 

『逆順処理モリン!

 ホープドラグナーの効果でエクストラデッキから【No.(ナンバーズ)43 魂魄傀儡鬼(こんぱくくぐつき)ソウル・マリオネッター】を特殊召喚してからライフポイントを回復するモリン!!』

 

No.(ナンバーズ)43 魂魄傀儡鬼(こんぱくくぐつき)ソウル・マリオネッター】

エクシーズ・効果モンスター

ランク2/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

闇属性レベル2モンスター×3

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分の墓地の「No.」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

(2):「No.」カードを装備しているこのカードは戦闘・効果では破壊されない。

(3):1ターンに1度、自分のLPが回復した時に発動できる。

その数値分だけこのカードの攻撃力をアップし、その数値分だけ相手にダメージを与える。

 

 このワンキルの最大の悪辣さは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 加えて【ホープ】は制圧展開も可能だからそちらの展開に大抵の誘発は先に切らされてしまい手元にそうは残らないのも殺意を感じさせる。

 必要なギミックが最小限で【ホープ】という迷彩による誘導で本命を隠しながら確殺出来るお手軽ワンキル。

 それが【ヌメドラワンキル】。

 

『ソウル・マリオネッターの効果発動モリン!!

 これで終わりだモリン!!』

「それはどうかな?」

『モリン!!??』

 

 ただし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

 

『【ハネワタ】が手札に入っていたのかモリン!?』

「チェーン宣言!!

 墓地の【ビッグウェルカム・ラビュリンス】を除外してソウル・マリオネッターをエクストラデッキにバウンスする!!」

『ダニィ!!??』

 

 モリンフェンの言葉とは裏腹にソウル・マリオネッターが立つ地面に切れ込みが走り、バネ仕掛けが作動してソウル・マリオネッターが星となってフィールドから消え去った。

 

「ソウル・マリオネッターのバーン効果は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

 よって、俺へのダメージは0だ!!

 そして姫様の効果で最後の手札を砕かせてもらう!!」

 

 一見非常にややこしい裁定に見えるが、発動した永続魔法やフィールド魔法の発動時に【サイクロン】をぶち込み効果の発動を妨害するのと同じ裁定だ。

 

『くっ!? あ、チェーンして【増殖するG】を発動するモリン』

「テンメェェエエエエエ!!??」

 

 ぶん投げた斧にくっついていた『ヤツラ』の姿を見てフィールドの姫様がち◯かわみたいに泣いちゃったじゃねえか!!

 

『うららは前のターンにモリンフェンが墓穴で除外したから使えないモリン!

 さあ、どうするモリン?』

「チェーンしてアリアス召喚してメインフェイズだ!

 俺は手札から【神殿を守る者】を通常召喚!!」

 

【神殿を守る者】

効果モンスター

星4/地属性/悪魔族/攻1100/守1900

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

相手プレイヤーはドローフェイズ以外ではカードをドローする事ができない。

 

『おま、お前ぇぇぇぇええ!!??』

「ねぇどんな気持ち?

 意気揚々スタンバイフェイズに増Gぶん投げたのに何の役にも立たなくてどんな気持ち?」

 

 アリアーヌのサーチ対象に含まれるため60構築の隙間にぶち込んだこのカードが奴の思惑をぶち壊してくれてとても気持ちよく俺は煽る。

 

「さあ、ライフ17000削りきってやるよ!!」

 

 残る手札はデモンスミスと狂時計の二枚だけだが、やって殺れないことはない!

 

「友と部下の仇!震えてくたばれモリンフェン!!」

 

 

〜〜〜〜

 

 

「で、結局逃げられたのかい?」

「うん」

 

 あれだけ勝ちフラグを立てたのにバトルフェイズに入る前に「モリンフェンは何度でも蘇るモリン!! そこに信者がいる限り!!」と、リーサルに届いたのを見るや否や【自爆スイッチ】を発動して相打ちに持ち込まれ逃げおおせられた。

 ディエスイレなら無効効果で自爆を防げたが火力を求めレクストレメンデを出したせいで逃げられてしまった。

 因みに現在、結果に不貞てジャージ姿の姫様の膝に頭を埋めているのだが、姫様はこれでも耐えきれず通信切れ()なされている。

 

 いやこの人(悪魔だが)本当に子持ちの人妻なんだろうか?

 

 そんな姿も可愛いなどと割れ鍋に綴じ蓋と言われそうなことを考えていると呆れた様子を隠すことなくアリアスが言う。

 

「姫様を堪能するのもいいけれど執事君、明日の支度は出来ているんだろうね?」

「大丈夫。

 3日分の荷物は纏め終わってるよ」

 

 明日から俺は城を離れアリアスが通った学校に行くことになっている。

 その目的は執事認定を受ける為だ。

 精霊界に来てからアリアスに手ずから執事教育を受けてきた訳だが、アリアスから一端の執事として働けるとお墨付きを頂いたからには執事の資格も取得しておこうと試験を受ける事になったのだ。

 本来なら技能確認を含め数カ月は掛かる所をアリアスの紹介状があるため試験の大凡はすっ飛ばし実技試験を含めた最低限の認定試験を受けるだけで済むようになっている。

 

「ならいいけれど、念の為の事前確認は怠らないようにね?」

「ああ。分かってるよ」

 

 再三の警告をしっかり聞きながら、もう暫くだけと姫様の膝の感覚を堪能するのだった。




という訳で次回はアリアスの通ってた学校が舞台です。

つってもただで終わる筈が無いだろうけどね。
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