迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
俺「まあ、やっぱり姫様は出禁かぁ」
俺「せっかくだからドリアード回すぜ!」
俺「いくぜ!【リンク軸ドリアード】【ダークドリアード軸シンクロドリアード】【閃刀魔法軸ドリアード】!!」
結果
俺「いけアストラム!!」
俺「決めろアストラム!!」
俺「トドメだアストラム!!」
手札事故りまくりで妥協で立てたアストラムが全部頑張ってくれました
「どうにか一先ずとなりましたね」
視界の先で『迷宮の案内人』が「名は騙れてもカードは騙れねえんだよ!!」と、熱い台詞を叫びながら喚び出した【
カラアーゲは執事の正体を知るなり逃げ出しており、事態は解決したと言ってよいだろう。
「ついでに生徒達にも良い刺激となったみたいですしね」
アーゼウスがガラスを破壊したのは笑い事では済まないが、デュエルに惹かれてその様子を見に来た生徒達には支給デッキである【メルフィー】の可能性を知る良い経験となった。
「はえ〜。
可愛いけど実戦にはあんまりって感じに思ってたけど、学園で貰えた【メルフィー】ってあんなに粘れるんだね〜」
「なあ、もしかして学園で貰えるデッキって俺たちが思ってたより強いのか?」
「かもしれないな。
後で学園から貰った【スクラップ】を回してみよう」
「私も貰ったけど引き出しで寝てる【機塊】を使ってあげようかな」
「あのロボスゲェ!!
俺もいつか使ってみたいぜ!!」
「「「お前のデッキはチェーンバーンだから必要無いだろうが」」」
学生らしいわちゃわちゃを尻目に執事がデュエルを終え学長の所へと向かってくるなりお手本のような土下座をした。
「勢い任せに学園を破壊してすみませんでした!!」
生徒達に危害は及ばなかったものの、何故か普段よりテンションが高かったアーゼウスの放った砲撃は窓ガラスを砕き廊下の風通しを非常に良くしてしまった。
コラテラルダメージで済ますには些かならない損害と謝罪を述べる執事に学長は立ちあがるよう促す。
「確かに被害は小さくありませんが、貴方のお陰で我々は同座の問題を解決するに至りました。
生徒に害も及びませんでしたし、今回はそれで手打ちと致しましょう」
「……そちらがそれで良いと仰るなら」
完全に納得はいかないものの、先方がそう云う以上執事は受け入れるしかない。
「それはそうと、試験はどうしたのですか?」
「それは…」
と、斯様に至った経緯を語りそれを聞いた教頭は頭に手をやった。
「成程…。
アリアスの入れ知恵と偶然が重なり此処に至ったということですか」
「……もしかして、下調べするのはアウトだったりしますか?」
「カンニングとまでは言わないが褒められる所業とお思いですかな?」
「…それもそうですね」
客観的に考えて許可もない場所に勝手に入っているのだから普通に不法侵入である。
「とはいえ経緯が経緯ですので今回は目をつぶり、今回は例外的に改めて実技試験を実施しましょう。
試験官に待機するよう伝えておきますので十分後に実技試験室に移動してください」
教頭の恩赦に執事は改めて感謝を述べてその場を離れる。
その背中が見えなくなり、教頭は足元のジェネクス・コントローラーに尋ねた。
「
その言葉にジェネクス・コントローラーの目が赤く光りアリアスの声が流れた。
『そんなつもりはありませんでしたよ。
私自身の尻拭いが結果として良い結果を招いただけです』
いけしゃあしゃあと嘯く愉しそうな声に教頭は深く溜息を吐くアリアスは不思議そうに尋ねた。
『因みに何処で私が関わっていると思われたのですか?』
「彼が態々この学園に試験を受けに来た時だ」
確かに執事検定は限られた場所でしか実施はされていない。
だが、態々学園に来ずとも迷宮城から日帰りで行ける施設でも試験は実施されていた。
そうまであからさまに違和感を抱かされれば流石に何かあると勘繰る。
「彼は君を信頼している様だから言わずにおいたが、君は今も嘗てのままなのか?」
『流石に酷くないですか?』
「君という存在を五年見てきた教師としての感想だ」
身から出た錆と言われアリアスは笑って受け流す。
『そう言われると私からの反論は難しいですね。
ですが、これでカラアーゲ家との関係は穏便に手を切れますよね?』
「……ガラス代は請求させてもらうぞ」
『勿論。執事君はしっかり役割を果たしてくれた。
ですから私も後始末はしっかりやらせて頂きます』
いっそ清々しい程に悪魔らしく嘯くアリアスに二人は静かに溜息を吐くのだった。
〜〜〜〜
試験をどうにか終え迷宮城へと帰還した俺は最低限の整頓を済ませた後自由都市の屋敷へと向かった。
「おかえりなさいませ旦那様。
本日は如何為さいましたか?」
「ギルスに聞きたいことがありまして。
彼は屋敷に居ますか?」
「はい。
庭で寛いでおいでですよ」
「ありがとうございます」
そう礼を告げて庭に回ると大きな三角帽子に魔女然とした装いに着替え、木陰で本を読み聞かせるディアベルスターとその周りで楽しそうに話に聴き入るうらら達を遠目に見守るギルスが居た。
「ただいま」
「試験はどうだったんだ?」
「手応えは十分。
後は結果待ちだよ」
「そうか」
目線を再びうらら達に戻すギルスにずっと気になっている事を尋ねる。
「それはそうと、その簀巻きで逆さ吊りにされているモリンフェンはどうした?」
「昨日の一件を聞いてブチギレたディアベルスターが執念で捕まえてきた。
その時の顔はとてもブルーノには見せられるものじゃ無かったぞ」
「そんなにか」
「端的にキ◯麿が可愛く見えたレベルだ」
「洒落にならんな」
完全に化物と化した顔より恐ろしい顔って、全く想像がつかん。
「捕らえたはいいが始末する程ではないが放逐するのはディアベルスターが恐ろしくてな。
取り敢えず暫くはこのままにしておくつもりだ」
「人でなしぃいい!!」
「私は既に悪魔族ですから」
「俺は疾うの昔に機械族だ」
モリンフェンが抗議するが残念ながら人外と『元』人間しかいない。
屋敷の住人の中だとディアベルスターとディアベルゼは人間判定でいいだろうが、不老の術を使ってるため人間ではあるが純粋な只人とは言い難い。
「そうだったモリン!!」
なら仕方ないとあっさり納得して大人しく黙り込む。
そんなモリンフェンから意識を外しギルスは尋ねる。
「それで、何があったんだ?」
「『迷宮の案内人』を騙るデュエリストと戦った」
「なんだと?」
俺の言葉にギルスが顔を険しくする。
「デッキパワーはそこまででもなかったが、スタンバイフェイズに増Gを投げる意味を理解しているレベルのタクティクスは持っていたから、似たような事例があるかもしれんから注意してほしいって言いに来た」
「……気に留めておこう」
憧憬や子供のごっこ遊びではなく悪意からの名を騙る行いに義憤を抱いてくれた友人に感謝を抱きつつ俺は言う。
「それで、デュエル自体は勝ったんだが途中幾度か納得出来ないプレイングミスをやってしまってな。
錆を落としたいから全力で相手を頼めないか?」
「いいぞ。
それならばブルーノにも声を掛けてやれ」
「勿論。
ディアベルスターに【白き森】を渡されたって聞いて本気でやりたいと思っていたから絶対引きずり出すよ」
そう嘯き俺がデュエルディスクを装着するとギルスも泰然とディスクを構えて対峙する。
「そう言えば赤馬零児が舞網チャンピオンカップに友を招待していたぞ」
「分かった。錆を落としたら『スタンダード次元』に行って話を聞いてこよう」
以前は上澄みを除き古代遊戯王に毛が生えたような残念極まりないタクティクスが飛び交う次元だった『スタンダード次元』も今では下振れでも精霊界で普通に通用するレベルに仕上がっている。
せっかくだから子供達も連れて行こうかなんて考えてからその思考を絶ち、現代遊戯王の殺意へと立ち向かうのだった。
次回はスタンダード次元。
原作キャラのその後にも触れるよ!