迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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という訳でテンポ重視にターンジャンプします。


加減を捨てた子供は恐ろしい。

 今年の舞網チャンピオンシップに激震が走った。

 

『さあいよいよジュニアユースクラス決勝戦を開始します!

 優勝候補であった『LDS』や『遊勝塾』をはじめとした名だたるデュエリストの卵達との激闘を駆け抜け、最強の名誉を頂く王者の階梯に手を掛けた若きデュエリストがこれより決まります!

 彼等は『精霊界』からの刺客にして同じ血を分ける双子の兄妹!!

 さあ、決勝の舞台へと登場してもらいましょう!

 『白銀迷』!!『白銀宮』!!』

 

 アナウンサーの呼びかけに応え会場に姿を現したのは、未だ二次性徴の気配を感じさせないあどけなさの中に年不相応な妖しさを纏う同じ顔の少年少女。

 

「当然と言ってしまうのは少しばかり可哀想ですが、やはり育った環境の差というのは大きいですね」

 

 自分の試合が近い為客席ではなく控室のモニターから二人の姿を見つつ俺はそう呟いた。

 二人の指導は俺が担っているためその基礎は現代遊戯王を礎にした理詰めの殺意だ。

 そこに遊城十代にブルーノやギルスといった理では届かない運命力を味方とする超級デュエリストとの対戦経験まで加わっているのだから、『スタンダード次元』のデュエリストのレベルも以前より上がってはいるが先攻一ターン目に上級モンスターやエクストラデッキから一体召喚出来るぐらいで上振れと持て囃されるレベルではワンキルや制圧などを禁じ幾つかの制限を課した状態でも相手になりはしない。

 決勝でまで制限する必要はないなと制約は取り払われており、加えて汎用性のある俺のカードまで貸し出したので決着は三ターン以内に着くだろう。

 

『決勝の舞台となるアクションフィールドは…『トラップ・キャッスル』だ!』

 

 フィールドが白い宮殿へと書き換わると、どこか迷宮城を思わせるその様相に二人が驚きながらも口元が獰猛に歪み、その視線は既にフィールドのあちらこちらに配されたアクションカードを捉えていた。

 

「些か地味ですが、私達が踊るのにこれ以上無いぐらい相応しい舞台ですわ」

「そうだね。普段は父様達が怒るから自重していたけど、ここなら存分に暴れて良いんだよね」

 

 スイッチが入り本気で暴れるつもりになった二人に、気の昂りから擬態が解けないかとハラハラしつつデュエルの開始を告げる宣言を見届ける。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」

「モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

『見よ、これぞ、デュエルの最強進化形!』

 

「「『アクション…デュエル!!』」」

 

「私のターン!」

 

 宮の宣言と同時に二人が地を蹴って飛び同時にそれぞれの手にアクションマジックが掴まれた。

 そして、懐かしくも背筋が凍るほどに恐ろしい『現代遊戯王』が牙を剥いた。

 

「スタンバイフェイズに【手札断殺】を発動!

 チェーン確認ですわお兄様!」

「その発動は通すよ姉様!」

「であれば効果で二枚捨て二枚引きますわ」

「効果処理終了後に手札から【ドロール&ロックバード】を手札から捨て効果を発動!

 更に姉様のターン中だから墓地に送った【黒魔女ディアベルスター】の効果をチェーンして発動!

 手札を一枚コストに自身を墓地から特殊召喚する!」

「くっ!?

 チェーンして【墓穴の指名者】で【ドロール&ロックバード】除外して効果を無効にしますわ!

 ロンギヌスかわらしで止められますか?」

「効果は通して墓穴にチェーンを組み【マルチャミー・フワロス】を手札から捨てて効果を発動する!」

「っ!? そちらは通しますがチェーンして【嗤う黒山羊】を除外し【黒魔女ディアベルスター】を宣言します!

 既に発動した自身を召喚する効果は止められませんけれど召喚後にフィールドで発動する効果は止めさせて頂きます!」

「仕方ないかな。だけどディアベルスターの召喚コストで墓地に送った【救いの架け橋】を除外して効果を発動。

 デッキから【氷水底イニオン・クレイドル】と【宝玉獣エメラルドタートル】を手札に加えるよ」

「ドロバは囮でしたか!?」

「どちらでも完全に無駄打ちにはならないよう捨て札を選んだだけだよ」

「してやられましたわ。

 こちらは以上ですがスタンバイフェイズに他にありますか?」

「今のところ何もないかな」

「わかりました。

 ではメインフェイズに入らせて頂きます」

 

【手札断殺】

速攻魔法

(1):お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。

その後、それぞれデッキから2枚ドローする。

 

【ドロール&ロックバード】

効果モンスター

星1/風属性/魔法使い族/攻 0/守 0

(1):自分・相手ターンに、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、

このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

このターン、お互いにデッキからカードを手札に加える事はできない。

 

【黒魔女ディアベルスター】

効果モンスター(制限カード)

星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2000

このカード名の、(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは自分の手札・フィールドのカード1枚を墓地へ送り、手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「罪宝」魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットする。

(3):このカードが相手ターンに手札・フィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

自分の手札・フィールドからカード1枚を墓地へ送り、このカードを特殊召喚する。

 

【マルチャミー・フワロス】

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻 100/守 600

このカードの効果を発動するターン、

自分はこのカード以外の「マルチャミー」モンスターの効果を1度しか発動できない。

(1):自分・相手ターンに、自分フィールドにカードが存在しない場合、

このカードを手札から捨てて発動できる。

このターン中、以下の効果を適用する。

●相手がデッキ・EXデッキからモンスターを特殊召喚する度に、自分は1枚ドローする。

●エンドフェイズに、自分の手札が相手フィールドのカードの数+6枚より多い場合、

その差の数だけ自分の手札をランダムにデッキに戻す。

 

【墓穴の指名者】

速攻魔法(準制限カード)

(1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを除外する。

次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及び

そのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。

 

嗤う黒山羊(ルンペル・トイフェル)

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):モンスターカード名を1つ宣言して発動できる。

このターン、お互いに宣言されたモンスターと元々のカード名が同じモンスターを墓地以外から特殊召喚できない。

(2):墓地のこのカードを除外し、モンスターカード名を1つ宣言して発動できる。

このターン、お互いに宣言されたモンスターと元々のカード名が同じモンスターのフィールドで発動する効果を発動できない。

 

【救いの架け橋】

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれデュエル中に1度しか適用できない。

(1):フィールドのレベル10以上のモンスターの種族が2種類以上の場合に発動できる。

このカード以外のお互いの手札・フィールド・墓地のカードを全て持ち主のデッキに戻す。

その後、お互いにデッキから5枚ドローする。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから「宝玉獣」モンスター1体とフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

 目まぐるしく繰り広げられた展開にアナウンサーは理解が追いつかず絶句し、デュエリスト達は宮の宣言で()()()()()()()()()()()()()()()事を漸く思い出し顔色を青ざめる。

 二枚目のアクションカードを手に二人同時に足を止め宮が手札を繰り出した。

 

「手札から【プティカの蟲惑魔】を通常召喚します。

 召喚時効果で【蠱惑の園】をサーチし即座に発動。

 プティカをリンクマーカーにセットし【セラの蟲惑魔】をリンク召喚します。

 【蠱惑の園】の追加召喚効果を使用し手札から【トリオンの蟲惑魔】を通常召喚して召喚時効果で【ホールティアの蟲惑魔】をサーチしフィールドで【蟲惑魔】モンスターが効果を発見したためデッキから【墓穴ホール】をセット。

 セットした【ホールティアの蟲惑魔】を発動し手札の罠カードをコストに自身をレベル4モンスターとしてフィールドに特殊召喚します。

 罠カードが発動したためセラの効果を発動デッキから【アトラの蟲惑魔】を守備表示で特殊召喚します。

 その後ホールティアとトリオンでオーバーレイ・ネットワークを構築し【フレシアの蟲惑魔】を守備表示で特殊召喚しカードを一枚伏せてターンエンドですわ」

 

【プティカの蟲惑魔】

効果モンスター

星4/地属性/植物族/攻 900/守1900

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚した時に発動できる。

デッキから「蟲惑の園」1枚を手札に加える。

(2):このカードが特殊召喚した場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを除外する。

次のスタンバイフェイズに、相手は自身の除外状態のモンスター1体を特殊召喚できる。

(3):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、

「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

 

【セラの蟲惑魔】

リンク・効果モンスター

リンク1/地属性/植物族/攻 800

【リンクマーカー:下】

Lモンスター以外の「蟲惑魔」モンスター1体

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):L召喚したこのカードは罠カードの効果を受けない。

(2):通常罠カードが発動した場合に発動できる。

同名カードが自分フィールドに存在しない「蟲惑魔」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

(3):このカード以外の自分の「蟲惑魔」モンスターの効果が発動した場合に発動できる。

デッキから「ホール」通常罠カードか「落とし穴」通常罠カード1枚を自分フィールドにセットする。

 

【蟲惑の園】

フィールド魔法

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分は通常召喚に加えて1度だけ、

自分メインフェイズに「蟲惑魔」モンスター1体を召喚できる。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、

自分の昆虫族・植物族モンスターは、それぞれ1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。

(3):自分フィールドのモンスター1体を除外して発動できる。

自分の手札・墓地から「蟲惑魔」モンスター1体を特殊召喚する。

 

【トリオンの蟲惑魔】

効果モンスター

星4/地属性/昆虫族/攻1600/守1200

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合、

相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。

その相手のカードを破壊する。

(3):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、

「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

 

【ホールティアの蟲惑魔】

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

このカードは手札から通常罠カード1枚を捨て、セットしたターンに発動する事もできる。

(1):このカードは発動後、通常モンスター(植物族・地・星4・攻400/守2400)となり、

モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「蟲惑魔」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

【アトラの蟲惑魔】

効果モンスター

星4/地属性/昆虫族/攻1800/守1000

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、

「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分は「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードを手札から発動できる。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分の通常罠カードの発動及びその発動した効果は無効化されない。

 

【フレシアの蟲惑魔】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/植物族/攻 300/守2500

レベル4モンスター×2

(1):X素材を持っているこのカードは罠カードの効果を受けない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、

相手の効果の対象にならない。

(3):自分・相手ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、

デッキから「ホール」通常罠カードまたは

「落とし穴」通常罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。

この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。

 

 時間にして十秒ほどだろうか。

 フィールドの処理が追い付かず観客達は城の一角を急激に侵食しながら萌え、茂る毒々しい植物に囲まれた愛らしい少女達が宮に侍るように現れたことで漸く展開が完了したことを理解し言葉を失った。

 

「三ドローも許してよかったのかい?」

「確かに厳しいですが【墓穴ホール】と【フレシアの蟲惑魔】が待ち受ける盤面にライフポイント4000でバトルフェイズまで生き残れますか?」 

「確かにすごく厳しいね。

 一手しくじれば僕のライフポイントは消し飛んでしまう。

 だけど、だからこそワクワクするよ」

 

 迷は無邪気な笑みを浮かべデッキトップに手を掛けた。

 

「僕のターン。ドローフェイズ。ドロー!」

 

 そして、引いたカードを見た瞬間その笑みが凶悪に吊り上がる。




息子がディアベル挿しとりますが、娘も当然ヤバい強化しとります。

(執筆量的な意味でも)地獄はこれからだ!
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