迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
以前はアクションフィールドのカードはフィールド魔法の発動により規制されてましたが、時代が進み技術の進歩によりフィールド魔法発動後でもアクションマジックの発動が出来るようになってます。
これに関してはアニメアークファイブ内でも後半にはフィールド魔法とアクションマジックの併用が可能になっている描写があるため矛盾は無いはず。
『次の試合は『梁山泊塾』出身、『勝鬨勇雄』!!
プロデュエリストとしての戦績は七割を超える今回大会の有力候補!!』
歓声とブーイングが半々に聞こえる中を真っ直ぐ歩いてくる青年の姿に遊勝の話が悪い意味で本当なのだと理解する。
『対するは『精霊界』からの刺客!『白銀ユウタ』!
苗字から察する通りジュニアユースクラスの決勝戦で凄まじいデュエルを魅せてくれた『白銀迷』『白銀宮』両名の父親となります!』
紹介に預かり軽い一礼を以てパフォーマンスとすると歓声が沸き起こる。
『資料によりますとユウタ氏は二人のデュエルの指導を担っていたとの事で、如何なるタクティクスを披露してくれるのか今から期待が止まらない!!』
いや、今日の【霊使い】はデッキパワーは控えめにシンプルなメタビ寄りの構築だから二人に比べたら地味も地味なんだかなぁ…。
上がってしまったハードルをどう越えるかと悩みながらも勝鬨勇雄から視線は外さない。
「……」
なんせ、彼から感じるのは敵意ではなく殺気。
そんなモノを向けられる理由が分からないので悪魔になって手に入れた感情を嗅覚で感じる能力を発動してみれば、殺意に混じり焦りと緊張が多分に含まれているのが分かった。
『勝鬨選手の最近の戦績は四戦三敗。
内二敗がジャッジキルとなっており心配になりますね!』
「余計な事を言うな!!」
成程。
塾のスタンスと自身のスタイルが逆風となっているのに焦りを感じ打開しようと足掻き余計に自滅を重ねてしまっている現状に感情のコントロールがめちゃくちゃになっているのか。
紹介するアナウンサーに噴飯を隠さず怒鳴る姿に匂いの理由を察し、悪用すればピーピングも出来る自身の能力を閉じる。
『今回のアクションフィールドは此方となります!!』
会場が岩の多い山の中腹のような場所へと書き換わる。
『フィールド名『試練の山路』!
アクションカードが少なくアクショントラップが多いというまさに試練に満ちたフィールドとなっています!』
自分はあまり使わない側なので注して問題にはならないが、さて、どうなるやら。
ディスクに示された『後攻』の文字を確認し、デッキトップ五枚を手札に加えながら視界の中に何枚アクションカードが隠れているかマーキングしながら開始の口上を口にする。
「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」
「モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
『見よ、これぞ、デュエルの最強進化形!』
「「『アクション…デュエル!!』」」
「俺のターン!!」
「スタンバイからメインまでこちらはありません」
「黙れ!!」
今使う誘発は無いと宣言すると勝鬨勇雄は怒りを隠さず吐き捨てる。
「俺は手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動!
手札から【焔聖騎士-ローラン】を捨てデッキから【彗聖の将-ワンモア・ザ・ナイト】を守備表示で特殊召喚する!」
【ワン・フォー・ワン】
通常魔法(制限カード)
(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。
手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。
【焔聖騎士-ローラン】
効果モンスター
星1/炎属性/戦士族/攻 500/守 500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手ターンに、このカードが手札に存在する場合、
自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このカードを攻撃力500アップの装備魔法カード扱いでその自分のモンスターに装備する。
(2):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。
デッキから「焔聖騎士-ローラン」以外の
戦士族・炎属性モンスター1体か装備魔法カード1枚を手札に加える。
【彗聖の将-ワンモア・ザ・ナイト】
ペンデュラム・効果モンスター
星1/光属性/戦士族/攻 100/守 100
【Pスケール:青11/赤11】
(1):自分がモンスターをP召喚した場合に発動する。
このカードをデッキの一番上または一番下に戻す。
【モンスター効果】
(1):このカードをドローした時、このカードを相手に見せて発動できる。
このターン、自分は通常のP召喚に加えて1度だけ、
自分メインフェイズに手札からモンスターをP召喚できる。
「チェーンありません」
中々強い動きだと感心しつつチェーン確認を告げるのだが…。
「一々余計な事を喋るな!!
何も出来ないなら黙っていろ!!」
「……失礼しました」
今の彼に何を言っても無駄だろうと噴飯を抑え謝罪を口にすると会場からブーイングが飛んできた。
「糞っ!!
フィールドに光属性モンスターが居る時手札の【地翔星ハヤテ】をリリース無しで召喚出来る!
来い!【地翔星ハヤテ】!!」
観客の反応に苛立たしげに舌打ちしてから勝鬨は更に手札を一枚抜き出す。
【地翔星ハヤテ】
効果モンスター
星5/地属性/戦士族/攻2100/守 0
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、
または自分フィールドに光属性モンスターが存在する場合、
このカードはリリースなしで召喚できる。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
手札から戦士族・光属性・レベル5モンスター1体を特殊召喚する。
(3):1ターンに1度、自分の戦士族モンスターが攻撃対象に選択された時に発動できる。
このカードの攻撃力を500ダウンし、その攻撃を無効にする。
フィールドに木の輪を背負い狼の頭が付いた毛皮のマントを羽織る戦士が槍を穂先を俺に向ける。
「ハヤテ召喚時効果を発動!!
手札から【天融星カイキ】を守備表示で特殊召喚する!!」
【天融星カイキ】
効果モンスター
星5/光属性/戦士族/攻1000/守2100
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、500LPを払って発動できる。
自分の手札・フィールドから、戦士族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
(2):相手ターンに、元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つレベル5以上の戦士族モンスターが
自分フィールドに存在する場合に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
ハヤテが槍を掲げ力強く吠えると鬼の顔をモチーフにしたらしい青い鎧の戦士がフィールドに降り立った。
見たことのないテーマだが中々に面白い。
どうやらコンセプトは戦士軸融合メインのようだが、ここからレベル5エクシーズやハヤテとワンモアからイゾルデをリンク召喚してリナルドを出し【焔聖騎士】テーマに繋げるような動きも出来るポテンシャルの高さを感じるな。
「【天融星カイキ】の召喚時効果を発動!!
ライフポイントを500支払い俺は【地翔星ハヤテ】と【天融星カイキ】を素材に融合召喚する!」4000→3500
「その効果にチェーンします!」
「は?」
「カイキを指定し手札から【無限泡影】を発動!
カイキの効果をこのターン中無効にします!」
【無限泡影】
通常罠
自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。
(1):相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
セットされていたこのカードを発動した場合、
さらにこのターン中、このカードと同じ縦列の他の魔法・罠カードの効果は無効化される。
「相手のターンに手札から罠カードだと!?」
「このカードは私のフィールドにカードが存在しない時に限り手札からも発動出来るんですよ。
止めたければ【抹殺の指名者】で自身のデッキから【無限泡影】を除外するか手札から【レッド・リブート】を発動して【無限泡影】の発動を無効にしてください」
フィールドのモンスターを対象に指定するので効果処理前にフィールドから離れれば回避出来るが、彼の手札が残り一枚の現在の状況でそれを成せるカードは他だと【神秘の中華鍋】ぐらいか?
それはそれでカイキの効果を彼の目的外に出来るから悪くないと思いつつ処理を宣言する。
「何も無ければこのまま逆順処理に移行しますが何かありますか?」
「くっ!?」
俺の確認に勝鬨勇雄は地を蹴りアクションカードへと飛び付くが、欲しい効果でなかったらしく顔を歪め押し黙る。
「どうやら発動出来る効果並びにアクショントラップではなかったようですね。
それでは逆順処理を実行し【無限泡影】の効果でカイキの効果を無効にして召喚時効果を不発にします」
鋼の機龍を象るエネルギー体がカイキへと体当たりをするとその体から色が抜け呻きながら膝を着く。
『これは驚きだ!!
白銀選手が手札から罠カードを発動して勝鬨選手の動きを妨害してみせた!!』
「おのれよくも!!??
カードを一枚伏せてターンエンドだ!!
エンドフェイズにローランの効果でデッキから【アサルト・アーマー】を手札に加える!!」
未知のカードに会場が沸きその歓声にますます苛立ちを見せながら勝鬨勇雄はターンを終える。
(どうやらエクストラデッキにリンクモンスターやランク5のエクシーズモンスターは入ってないようですね。
それにしても…)
いや、余計な事は考える必要は無いな。
「私のターン。ドローフェイズ。ドロー」
引いてきたのは【サクリファイス・ランクアップ】。
(面白いカードを引いてきましたね。
ですが、手札的に今引いたのはあまり宜しくないな)
【サクリファイス・ランクアップ】
【デーモン・イーター】
【【
【精霊術の使い手】
【獣王アルファ】
後を考えるならアルファでバウンスしてから【サクリファイス・ランクアップ】をコストに精霊術を使ってからカグヤを出して二枚引きデーモン・イーターと合わせてバグースカを寝かせるのが安定だが…
(それでは面白くない)
子供達があれだけ派手に魅せたのだから少しぐらい見栄を張らねば父として立つ瀬がない。
(リスクは高いがやってみるか)
「スタンバイフェイズからメインフェイズまで何かありますか?」
「さっさと進めろ!!」
「…わかりました。
メインフェイズに入りま、す!」
足首と膝のバネを駆使し直立状態から手近な大岩へと跳躍する。
『白銀選手見掛けからは想像もつかない身体能力を見せた!
狙いはアクションカードか!?』
今ならフィールドにモンスターは居ないので【謙虚な壺】や【謙虚な番兵】みたいな手札を減らす効果のカードさえ引かなければアクショントラップを引いても損害はほぼ食らわない。
「よし、これで…」
「させるかぁ!!」
アクションカードに手を伸ばした俺目掛け勝鬨勇雄が素早い動きで走り寄るとその勢いのまま飛び蹴りを放って来た。
「マズっ!?」
翼を出して軌道を変えることは出来るが流石に人外バレはまだ早過ぎる!!
「せりゃあああああ!!」
そう迷ったのが災いし、腕でガードする間もなくガツンと目の前に火花が散り三半規管が滅茶苦茶に揺れて脳が混乱する。
「がっ!?」
『おおっと!!??
勝鬨選手の阻む足が白銀選手に直撃してしまった!!??』
会場から上がる悲鳴と夥しいブーイングにしくじったなと自戒しながら立ち上がろうとして、俺は…
ピシリッ
眼鏡のレンズに罅が走っているのに気づいた。
「…………あ゛?」
次回。迷宮城の魔王、覚醒。
勝鬨のヘイト描写について:
作者としては頑張って考えたものの作中行動や執事の思想的に擁護の方法が思い付かなくズァークの件を知った榊遊勝が帰ってきたなら危険なアクションの規制とかデュエルの規定にメスを入れているだろうと思い、そうなるとリアルファイト推奨する梁山泊塾は立ち行かせるの無理なんじゃないかなと思う。
勝鬨自身、これまでの経験から間違っているのは自分じゃないかと薄々気付いていますがそれでも塾のやり方を貫こうとした結果プロデュエリスト維持してるだけ温情という現状になって、でも今更新しいスタイルなんて出来るはずもないで八方塞がりに立ってます。
なんというか、正史遊矢のおいたわしさがだいぶ押し付けられてるポジションになっちゃったけど、このまま魔王の贄にして良いものか?