迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

194 / 255
という訳でアルエク書きまする。

と言ってもアルバスは不在ですが。


ヴァレンティウスはにっこり笑う。※後書き追加

 ジリリリリリ…

 

 目のような配置のベルを叩いて訴える壁掛け型の電話がけたたましく取れと訴えていた。

 そうして少しの間鳴らされ続けた鐘の音は【ドラゴンメイド・ハスキー】が横の受話器を手に取ることにより止められた。

 

「態々此方を使うなんて珍しいわね『アリアス』」

 

 執事が屋敷に居る際に城へと呼びつけるために取り付けられたインテリアを使う者など一人しかいないと断言するハスキーに口のような発声器からからからと笑う声が響く。

 

『道具として生み出されたからには用途通りに使ってあげないと可哀想だからね』

 

 自らを姫様の道具と自認するアリアスの謎のマウントに相変わらずねと思いながらハスキーは問う。

 

「それで、忙しくは無いけれど雑談に興じる程暇じゃないから用件がそれだけなら切るわよ」

『酷いなぁ。私達親友だろう?』

「貴女の性根の悪さをよく知る親友だから言っているの」

『確かに。それじゃあアイスブレイクもこの辺にして本題に入ろうか』

 

 そう()()()を抑え込もうと道化に振る舞う古馴染みに内心でため息を吐く。

 というのもつい最近まで迷宮城は上へ下への大騒ぎであったのだ。

 

 理由は【白銀の城のラビュリンス】の実子である双子の兄妹の失踪。

 息子は社会勉強の為に人間界に一年間ホームステイをする筈が次元震という予測不能の災害に巻き込まれ従者として付けたアリアーヌと共に次元の彼方へと行方不明となったのだ。

 それだけでも天地をひっくり返すほどの大問題なのだが、この混乱を好機と見た娘が『私も父様みたいな素敵な伴侶を見つけて来ますPS:お兄様ばかりお父様のカードを貸りれるのはずるいと思います。なのでお母様の魅力を広めるためにお母様のカードをお借りしました』と書き置きを一枚残し姫様のデッキを持ち出して城から脱走したのだ。

 立て続けに起きたこれらの事件により姫様は泡を吹いて寝込み執事はギルスやマハードなどの次元航行のノウハウを持つ伝手を総動員して自ら子供達の足取りを掴むために数多の次元を飛び回った。

 

 そうして一年ほどの奔走の末に息子が『ZEXAL次元』に娘が『VRAINS次元』に居ることを掴み、それぞれの世界で世界崩壊案件に巻き込まれながらも無事に生きていたところを連れ帰ったのだ。

 

 そういった事もあってまだピリついた感情を処理しきれていないアリアスに、執事からある程度何があったかを聞いていたハスキーは呆れかえる。

 

(本当に不器用な女よね…)

 

 息子は命に関わる大きな怪我はせずに済んだが、同伴したアリアーヌが息子の為に身を挺し共に帰還こそしたが最中において大事に至ってしまっていたそうだ。

 そのため姫様たちはキレ散らかしてその原因となった『バリアン世界』にニビルを落とし『原始生命態』の根付く新世界にしてやろうとしたのだが、息子とアリアーヌの助命を乞う説得を受け渋々ながら手を出すのを諦めたのだ。

 そうまで大事にしておきながら『我々【アリアドネの娘】は姫様の道具である』と妹への愛情を押し殺す不器用さに仕方ない奴だとハスキーは苦笑を零す。

 

『大した事じゃないんだ。

 私の知り合いから相談を受けたんだけれど、その内容的に君が適任だと判断したから聞いてあげて欲しいんだ』

「私が適任?」

『うん。内容そのものはドラゴン族の習性についてなんだけどちょっと執事君の手持ちのドラゴンだと役に立たなくてね』

「ふむ?」

 

 執事の手持ちのドラゴン族の精霊というと【アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】と【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】それと【ファイアウォール・ドラゴン】の三体の事だろう。

 最強格と言って遜色ない彼等では役に立たない相談とは?

 

「まあいいわ。

 力になれるかは分からないけれど相談を聞くぐらいは受けてあげる」

『助かったよ。君が駄目となると【青眼の白龍】ぐらいしか頼れそうな当てが無かったからさ』

「彼女に相談するのは止めときなさい」

 

 誕生から幾星霜を経とうと最初の一人を唯只管に愛し続けているため、密かに精霊の中でも屈指の重いドラゴンと言われる彼女に相談するよりは平和に終わるだろうとその要求を受けた翌日、アリアスの紹介を受け屋敷に来たのは…

 

「あの、アリアスさんからこちらに行くよう言われたのですが…」

 

 【教導の騎士フルルドリス】を護衛に連れた【教導の聖女エクレシア】であった。

 

「いらっしゃいませ。

 遠路遥々、ようこそおいで下さいました。

 この度御二方のお相手を務めさせて頂きます【ドラゴンメイド・ハスキー】と申します」

 

 斜め上をかっとビングしてきたゲストに瀟洒に挨拶を行いながら「誰が来るかは楽しみにしていてくれ」とサムズアップしていただろうアリアスに内心で罵倒を飛ばす。

 

(一国の重鎮は流石に笑い話では済みませんよ!!??)

 

 無論完璧なハウスキーパーとして国賓レベルの相手にも不足ないおもてなしをする自信はあるが、だからといって不意打ちが許せるはずもない。

 フラストレーションの発散の一助にしやがった自称親友に上品なサインを内心で向けつつ用意しておいた客室へと案内する。

 

「飲み物は紅茶で宜しいでしょうか?」

「はい!大丈夫でしゅ…」

 

 焦りから噛んでしまったエクレシアが真っ赤になって俯いてしまうが気づかないふりをしつつ「畏まりました」と用意のために一時退席する。

 

「お待たせ致しました。

 今回はオレンジペコの初摘みをご用意させて頂きました。

 お茶請けのスコーンと共にお楽しみ下さい」

 

 用意しておいた紅茶を完璧な手順を以てカップに注ぎラストドロップまで丁寧に淹れた紅茶をエクレシアの前に差し出す。

 

「ふわぁ…」

「これは素晴らしい…」

 

 ハスキーの淹れた紅茶を一口含んだエクレシアが溶けフルルドリスもその味に感動で言葉を失う。

 

「こんなに美味しい紅茶は初めてです!

 それにこのスコーンもとても美味しです」

「ふふ、ありがとうございます」

 

 美味しそうにスコーンを味わうエクレシアをフルルドリスが嗜める。

 

「だからといってあまり食べすぎないように。

 それでこの前も大変だったんだろう?」

「言わないでくださいよお姉様…」

 

 失態を挙げられしょんぼりするエクレシアだが、手にしたスコーンを頬張り続ける手は止まらない。

 

「全く…」

 

 そんな姿に仕方ないと諦めて自分も紅茶を堪能することにするフルルドリス。

 暫し紅茶を楽しんだ二人だが、茶をしばきに来たのではないとハスキーに向き直る。

 

「ハスキーさん。

 アリアスさんから貴女に相談すれば解決すると伺いました」

「そのようですね。

 ドラゴン族の習性について聞きたいと伺っていますがどの様なものですか?」

「それは…」

 

 一度間を置き、エクレシアは意を決したようすで口を開いた。

 

「アルバス君が「こうするとすごく安心する」といって私の首に自分の首を擦り付けるのですが、どんな意味があるのでしょう」

 

 その言葉を聞きハスキーは内心でアリアスにブチ切れた。

 

(ドラゴンの求愛行動を私に話させるなんて嫌味か貴様は!!??)

 

 ドラゴンメイド・ハスキー(???歳)番:一度も無し

 

 これだけで殺されても文句言わせないぞアリアス!!と荒れ狂う気持ちを鱗が砕けるくらいの筋力で捻じ伏せ同時に完璧で瀟洒なハウスキーパーの面を維持しながらエクレシアに続きを促す。

 

「ど、ドラゴン族といっても種によっては同じ行動でも意味が違う場合がありますので先走らないよう伺いますが、その行為について当人は何と申してますか?」

「それが、「過去の記憶が無いからどういう意味があるのかわからないけれど、エクレシアにこうしないとと思う」と本人も意味が分からないみたいなんです」

「……」

 

 なんで私が他人の惚気話を聞かされなければならないのだろうか?

 そんな虚しさを覚えながらもハスキーは「そうですか」と思案する。

 

「一般的なドラゴン族の場合になりますが、首の匂いを相手に擦り付けるのは好意の証に行いますね。

 最も誰彼というのではなく身命を捧げるに足る親愛を抱く相手にだけするのが普通です」

 

 より正確に言うなら番にだけ行うドラゴン族の独占欲の表れなのだが、ぶっちゃけて人間で例えるならディープな口吸いか愛◯している並に恥ずかしい行為であり、罷り間違ってもそんな感情を持たない相手からいきなりやられたら口の中にブレスを叩き込まれても文句は言えないほど恥ずかしい行為である。

 それを口にするのはなんだかんだでその辺りは未経験なハスキーでは羞恥心が勝った。

 ハスキーなら自分の角や鱗を砕いて踏みつける程度の実力のある雄でなければ絶対に許さない。

 

 閑話休題

 

 ともかく、今はアルバスの話である。

 

「その行為は人目のあるところでは控えたほうが良いので、その辺りはそちらで言い聞かせて下さい」

「あ、いえ。

 アルバス君が首を擦り付けてくるのは寝る前だけなのでそれは大丈夫です」

(それ、普通なら繁殖のお誘いに応えているんですけど?)

 

 思わず舌打ちを打ちそうになったのを牙に罅が入るほど気合を込めて抑え込み「左様ですか」と瀟洒に微笑む。

 と、そこでフルルドリスが新たな問いを口にした。

 

「話は変わるのだが、こちらの大陸では異種族間の恋愛や婚姻はよくあるのか?」

「そうですね…珍しい部類ではありますが無いことは無いですよ?」

 

 この屋敷にも魔女とデュエルロイドの夫婦が居る。

 最も、どこぞの姫と執事のように夫婦関係を結んだ以上の関係の進展は絶望的だがそれこそ当人たちの問題である。

 余談だが他種族との恋愛について大抵のドラゴン族はかなりおおらかだ。

 寿命の長さもあり、「長い生なんだしそんな事もあるだろう」程度で大体は流されるし同種族でなければ同性婚も「あ、ふ〜ん」で終わる。

 ジャンルで言うなら人外美少女や男の娘枠とでも言えば理解が早いか。

 ケモナーならぬヒトナーは一般性癖に入ります。

 

「そうか…」

 

 と、思案に耽るフルルドリスにもしかしてアルバスの独占欲に気付いてる?と訝しみつつハスキーはエクレシアに問う。

 

「確認なのですが、エクレシア様はどなたか婚姻の約束等は御座いますか?」

「ふぇ!?」

「もし有るようでしたら彼の振る舞いは止めさせたほうが宜しいですよ」

「え? ええっ!?」

「その懸念は不要だ。

 エクレシアは聖女の任期が終了するまでは伴侶を得ることは無い」

 

 フルルドリスの答えにアルバスにリアルファイトを交えた『説得』の必要は無いなと残念に思いつつ余計な手間が省けたことに一息吐く。

 

「左様ですか」

「あの、ハスキーさん。ドラゴンの人ってどんな香りが好きなんですか?」

「香りですか?

 個人に依る処は大きいですが、強くなければ花の香りなどなら嫌う者は多くないですね」

「良かった〜。

 アルバス君が私の髪の香りが好きだって言ってくれてたから苦手な香りが無いか心配だったんです!」

 

 無自覚に惚気話を聞かされ血を吐きそうになりながらハスキーは辛うじて瀟洒なハウスキーパーを維持し続ける。

 

「あ、そうだ!

 最近アルバス君が砂漠で珍しい鉱石を見つけたって持ってきてくれたんですが、それが異世界の『バリアンライト』って珍しい鉱石で…」

 

 そこから始まる近況の皮を被ったアルバスとの惚気話の山山山。

 

 幸せそうに語るエクレシアに水を差すまいと面の皮を維持するハスキーと察して申し訳なさそうに顔を伏せるフルルドリスのカオスな空間はそれから三時間ほど過ぎたのだった。

 

 そして後日…

 

『アリアスを出しなさい!!』

 

【ドラゴンメイド・シュトラール】の姿で迷宮城に強襲を仕掛けたハスキーが居たという。




なお、襲撃を察知していたアリアスはとっくに城から逃げてましたが執事が協力して捕らえた後湖が干上がるレベルの限界バトルをやる羽目になりました。

ZEXALとVRAINSに子供達が放り込まれたのは執事が本編に絡んだ場合バッドエンドにならずともビターエンドになるためです。

ハゲを速攻で潰し次元戦争の初期鎮火とズァークさえどうにかすれば大体解決するアークファイブに対し、ヌメロンコードの為に遊馬の成長が不可避なZEXALは子供が命を賭けること許さない執事がいた場合ヌメロンコードは見つからずアストラル世界の緩やかな自滅も回避できないばかりか生存競争なれば致し方なしとエクシーズにガンメタ張ってバリアン七皇皆殺しまでやりかねないので執事は出禁にするしかないという。
同じくVRAINSもイグニスと人類の生存競争ならばとなりかねずこちらも出禁。
ということで絡むなら真面目で成長途上な息子とわが道を行く娘の二人ならバランスが取れるだろうと決まりました。

ブルーノとアステーリャがくっついたのは遊星たちと再会した際にディアベルゼがやらかしたのが原因で皆からくっつく以外許されんという状況に追い込まれたブルーノが覚悟を決めた結果となります。

その際に行き場の無いレインも引き取ったため現在は屋敷で暮らしてます。

次回はまた頭空っぽにはっちゃけようかなとか考えとります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。