迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
【お兄ちゃんは留まらない】
「揃ったか?」
会議室の中に三人の男が居た。
一人はかつて【星杯に誘われし者】のカードに描かれている人間時代の姿を取る【
「今日は三人か?」
「他の奴らはスケジュールが合わないと今日は欠席している」
そう問いを口にしたのは外に跳ねた特徴的な紫色の髪の少年『神代凌牙』。
その問いに答えたのは二色の髪が複雑に組み合わさった青年『黒咲隼』。
世界を跨ぎ集まった三人の目的、それは…
「それではこれより『お兄ちゃん会』の討論を開始する」
『お兄ちゃん会』とは、世界と妹を天秤に掛け迷わず妹を選べる真のお兄ちゃんだけが入会を許される秘密結社である。
最近になり「守護すべき相手を『妹』に固執するのは私見が狭すぎるのでは?」と考えを改め弟の為なら世界に立ち向かえるとして『海馬瀬人』と『天城カイト』の二名を加え名前も『妹を見守る会』から『お兄ちゃん会』へと名前を変えていたりする。
時折、解釈違いから【青眼の究極竜】や【超銀河眼の光波龍】や【RR-ライジング・リベリオン・ファルコン】等の最終兵器クラスのモンスター達による限界バトルにより周辺地域が更地になったりするが、実態はただのシスコン・ブラコンの集まりなので今のところ(周辺被害以外は)無害である。
誰か止めろという声は当然あるのだが、権力武力デュエリスト力の三方揃い踏みのため跳ね除けられている。
「今回は『妹を任せるのに求める最低条件』について語り合おうか」
数時間後、解釈違いから実体化させたモンスター同士によるリアルファイトが始まった。
【執事の奔走】
「くっ!? ここもハズレか!」
次元震に飲まれ行方不明となった息子を探すため数多の次元を駆け抜け、その数は三桁を後半に差し掛かった。
しかし、ここ迄に手掛かり一つ得られない事実が俺を苛立たせる。
その上でだ。
「なんでこう、タイミングが悪いんだ!!」
幾つもの世界を跨げば根幹さえ違う世界も幾つか見つかるもので、この世界もその一つだった。
空は夕焼けとは違う赤に染まり、視界の先に見える光輪を貫く特徴的な螺旋を描く高い塔は半ばから砕け砕けた周辺には重力が狂ったかのように瓦礫が漂っている。
「透き通る世界の世界崩壊案件なんか構っている余裕は無いというのに!!??」
無視して新たな次元へと飛ぼうにも空間が乱れ跳躍にはリスクが高い状態になっている。
無理に次元を超えようとすれば『精霊界』との繋がりが切れてしまい自身が帰還不能となる2次遭難の危険があり、確実を期すなら現在進行している問題を解決するしかない。
「ああ、もう!! 来い!!【アーゼウス】!!」
デュエルディスクを展開し10メートルを超える鋼の機神を喚び出す。
「コクピットを借りますよアーゼウス!!
これより武力介入を開始する!!」
俺を乗せたアーゼウスが起動し街を破壊するキモい顔の鳥目掛け吶喊するのだった。
〜〜〜〜
「今回は特に酷かった…」
キモい顔鳥を単独撃破したまでは良かったのだが、なんでかその後の戦いにまで協力しなければならない空気になり、なんやかんやで最終決戦まで付き合う羽目になり、アーゼウスを駆り崩壊する方舟から『先生』と『プレナパテス』を地上に連れ帰る役目を負うことになってしまった。
「プレナパテスには責任を果たさせるために少しばかりやらかしたけど、まあ、大丈夫だよな?」
置き土産代わりに『色彩』に取り込まれた『プレナパテス』を【融合解除】で『色彩』から切り離して【死者蘇生】で復活させておいたが、あの世界は世界崩壊案件は尽きないし『先生』が増えて悪い事はあるまい。
「にしてもソシャゲ世界だけでなくカードゲーム世界も大分見付けちゃったなぁ…」
【バディファイト】【デュエルマスターズ】【牙KIBA】【バトルスピリッツ】【シャドウバース】【ビルディバイド】【ヴァンガード】【モンスターコレクション】【カルドセプト】【マジック・ザ・ギャザリング】エトセトラエトセトラ…
「牙とかカルドセプトなんて若い子は知ってるのか?」
マハード曰く、次元震により本来繋がらないはずの外の次元との境界が揺らいでいるために根幹が違う世界に移動出来てしまう事態が起きているから次元震が完全に収まれば今回限りのイレギュラーで終わる筈だと言っていたしギルスも同様の意見だが、しかし自ら跳んで確認した身としては不安しか無い。
「カードゲームやネット小説世界だけじゃなく運命世界とスパロボ世界まで網羅していたんだが本当に大丈夫なんだろうか…?」
是迄渡った世界を思い返し、特にヤバかった世界の幾つかに不安を覚えながらも俺は息子を取り戻すため新たな次元を目指し無量の世界を航行するのだった。
【ダルク包囲網】
「知恵を貸してくれ」
ダルクは精霊として生きてきた中でも最大級の窮地を迎え、自身だけではこの事態に立ち向かうのは無理と知り合いに助けを求めた。
「相談位なら一向に構わないけれど…」
その一人であるブルーノは他の面子を見渡し言葉に迷った。
【無垢なる者メディウス】
【星杯に選ばれし者】ことアウラム
【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】
男だけの面子の中にスターヴヴェノムが混じっているせいで非常にカオスな光景だった。
そんな中、神妙な顔でダルクは口を開く。
「最近エリア達が俺を獲物を見定める狩人のような目で見てくるんだがどうしたらいいだろうか?」
「ハイ解散。お疲れ様でした」
その問題は自分達の手には余ると判断し解散しようとする一同にダルクが縋り付いて留めさせようと藻掻く。
「頼む!マスターは「もう諦めて共有物になってしまえ」と当てにならないんだ!」
「いや、僕もそうだったから君も覚悟を決めるべきだよ」
「それが出来ないから困っているんだ!!」
ヘタレ?5対1で勝てるわけないだろうが!!
「ダルク、残念だが腹を括らないと大変な目に合うぞ」
未来視を持つメディウスが居た堪れない様な面持ちでダルクに告げた。
「何が見えたんだ…?」
「マスターの住む城の執事、アリアスの奸計で箍が外れた5人に寝所へ引きずり込まれるお前が見えた」
「 」
アリアスの事だ。「選べないというなら選ばなくてもよくしてしまえばいいんだよ」等とライナ達を煽り唆して実行に移させたのだろう。
マスターである執事はアリアスに苦言を呈しはするだろうが、相対的にダルク以外の被害が無いから警告で止まる未来がダルクにも予想できてしまった。
「スターヴヴェノム…お前はなにか無いか?」
先達も未来も役に立たない現実に一番無いだろうとツッコミを入れられかねない相手に助言を請うダルクだが、現実は残酷であった。
『嫌じゃないなら雌からの誘いは全部受けたらいいだろう?』
ドラゴン族にとって雌の獲得は命懸けであり雄同士の争奪戦に勝った上で雌からも認められなければ番にはなれない。
そんな人間世界より遥かにハードルの高い野生世界の理に生きるスターヴヴェノムからしてダルクの悩みは端から理解の外だった。
「味方は…味方は居ないのか…」
膝を着きさめざめと嘆を零すダルクにアウラムが肩に手を置いた。
「ダルク。好きな娘を自分で幸せに出来るのはどんな冒険より難しいよな!」
「お前にそれを言わせたら腹を括るしかないじゃないか…」
アウラムは全力で励ましたつもりなんだろうが、『星遺物』の物語を知る側からしたらとどめにしかならないのだった。
因みに執事の異世界コラボ書くとしたらタイトル分けるつもりです。
次回は別次元ネタにしようかしら?