迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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思いの外筆が動いてくれたので2話目行きますね


俺が姫様に仕えている理由(1)

 気が付いたら白銀に輝く城の中に居た。

 

 何を言っているか全くわからない?

 

 それは俺が教えてほしいんだよ!!??

 

 俺は仕事に押し潰され、趣味も漫ろに埃被った中で日々をただ生活のために消費するだけのどこにでもいるアラサーである。

 

 最近の流行りとかいう神様転生やら異世界転移なんかとは全く無縁のはず。

 

 というか、そんなものは妄想であるから楽しいのであって現実に起きてもただ迷惑でしか無い。

 

 現実にそうなっている俺が言うんだから間違いない。

 

「……ナニコレ」

 

 と、そこで俺は漸く左腕に違和感があることに気づいた。

 

「えっ…と、これって『デュエルディスク』だよな?」

 

 子供の頃に見ていた遊戯王のアニメや漫画で主人公達が持っていたのそのままのデュエルディスクが腕に装着されていた。

 

「デュエルディスクってことは…この世界は『遊戯王』の世界なのか?」

 

 【遊戯王】

 

 数あるTCGの中でもその知名度は世界有数に数えられるTCGの一つであり、カードに触れたことはなくとも名前も知らないとも言う者の方が少ないゲームである。

 斯くいう自分もまた子供時代には雑誌初掲載時から一読者として追いかけ、実際にOCGとして発売されたカードを実際に買ってプレイしていた一人だ。

 

 尤も、シンクロ召喚が登場した頃にはルールの複雑化とカードプールの増大に管理が行き届かなくなり引退した俄でしかなく、アニメも生活を優先するために視聴さえしなくなってしまっていたのでその辺りの知識も昔の記憶だよりであやふやである。

 

 なので今自分がいる場所が本当に精霊界の何処かだとしてもさっぱり見当が付かないのだ。

 

「ご丁寧にデッキまで…。

 中身は何だ?」

 

 迷惑だと思いつつも、本当に遊戯王の世界なのかもしれない状況にちょっとだけ期待とも言えない感情を湧き上がらせながらとりあえずデッキトップを引き抜いてみる。

 

「【精霊神后(エレメンタルグレイス)ドリアード】」

 

 それは俺がアプリゲームの【遊戯王 MD(マスターデュエル)】で枠があるなら必ず投入しているカードであった。

 

 最大攻守はどちらも3000を叩き出すエース級の性能はあるものの、召喚制限がとにかく厳しい上に肝である効果もタイミングがシビアとガチ勢は先ず選択肢に入れないカードではあるが、自分はこのカードを使いたいのだ。

 

「エクストラは…【ファイアウォールドラゴン】に【M.Xセイバー−インヴォーカー】に【ジェムナイト・セラフィ】に【蒼穹の騎士アストラム】。あ、絵柄違いの【I:Pマスカレーナ】も入ってる」

 

 念の為エクストラデッキを全部引き抜いて確認すると、これまたやはりよく頼りにしていたカードばかり。

 

「他のも…やっぱりこれは俺がMDで一番愛用している【初手ドリアード降臨デッキ】だな」

 

 【MD】正式名称は【遊戯王マスターデュエル】。

 携帯アプリとしても配信されているWeb対戦対応型のゲームであり、配信待ちのカードもあれどほぼほぼ現代のカードプールでのデッキづくりと対戦が可能なアプリゲームだ。

 自分もMDの存在を知って遊戯王に帰ってきた出戻り組である。

 

 実力? 愛用デッキの初動が安定しないの一言で察してほしい。

 

 烙印? 斬機? BF? クシャトリラ? ティアラメンツ? スプライト? BM? ブルーアイズ? 全部【拮抗勝負】頼りのお祈りですが何か?

 

 ふわんだりぃず(クソ害鳥)は拮抗勝負有っても即サレンダー一択。

 

 カエルよりこっちのターンにライザーやらシムルグをしかもこっちが貼ったセットカードで呼んでくる未知の風を禁止に叩き込んどけよ運営!!

 

「って、害鳥の事はいまはどうでもいいんだよ」

 

 現実逃避のためかおかしくなり始めた思考を声に出して矯正しつつ、カードをホルダーに戻して改めて周囲を見回す。

 

「…とりあえず誰か探そう」

 

 こんにちは、死ね!をされる可能性も十分あり得るがGXみたいにカードのバックストーリーとアニメで性格が違う件もあるし、きちんと礼儀をもって事情を話せばいきなり襲われる心配もない…といいなぁ。

 

 そうひとりごちながら絢爛豪華な白銀の城を探索してみる。

 

 が、だだっ広い城内をいくら歩けど足音が響くばかりで人っ子一人見付からない。

 

 途中扉を何度か見付けたが、どれも鍵が掛かっていて開かなかった。

 

「もしかして誰も居ないのか?」

 

 窓や床に埃もなく手入れは行き届いているようにも見えるが、しかしここが精霊界ならば地球の法則なんかも意味がない可能性は十分あり得る。

 

「ここも駄目か」

 

 大分階段を何回か上がり奥ばった場所の部屋の扉に手を掛けてみるが、やはり鍵は開いておらず諦めて背を向けた直後、

 

 カチャン

 

「誰か居るのか!?」

 

 諦めた扉からまるで招くように鍵が外れる音が鳴った。

 

「…っ」

 

 立ち止まって様子を伺うが問いに返すものはなく、緊張でドクドクと鼓動が速まる自分の心音だけが唯一聞こえるだけ。

 

「…行こう」

 

 もしかしたら命を脅かす罠か化物が待ち構えているかもしれないが、しかし宛もなく彷徨うのに疲れを感じていた俺は恐怖を握りしめながらノブをゆっくり回した。

 

 先程の音はやはり鍵が外された音だったらしく、ドアは軽い力であっさりと開いてみせた。

 

「此処は…寝室か?」

 

 広い室内の奥の方に大きな天蓋が付いたベッドが一つ。

 

 それとサイドテーブルには乱雑に散らばったトランプが床にまで広がっていた。

 

 しかし人の姿は無い。

 

 他に何か無いかと見回してみると、すぐに気になるのは衣装棚と入ってきたのとは別の扉ぐらいだろうか?

 

「流石に衣装棚をいきなり開けるのは不味いよな?」

 

 ドラ◯エじゃあるまいし中に便利な装備品があるということも多分無いだろう。

 

 先ずはもう一つの扉の先を確認して、それで駄目なら部屋を探索させてもらおう。

 

 そう決めて俺はもう一つの扉を開けた。

 

「ふっふふ〜ん」

 

 部屋の中には上機嫌でショーツに手を掛ける裸体の美女が居た件について。

 

 薔薇の香りを湯気と共に部屋に振り撒くバスタブを前に極上の裸体を惜しげもなく晒す少女に俺は思考の全てが停止した。

 

「ふ〜んふふ…ふぇ?」

 

 と、漸く闖入者に気付いた少女が可愛らしい間の抜けた声を漏らしながらこちらに振り向いてしまう。

 

 すると、当然ながら先程までは辛うじて長い銀髪に隠された背中だけだったのが正面を向いたことで全部見えてしまう。

 

 幼さと妖しさと艶かさを見事に溶け合わせた絶世の美女という言葉以外思い付かない美貌も、白を通り越して銀と言うに相応しい艶めかしい白い肌も、その中で唯一薄っすらと赤みを差す双丘のツンと上を向いた突起も何もかもがだ。

 

 一応唯一身に付けたショーツの下は見えないが、だからこそ何と言うか…

 

「えっろ…」

 

 それが自分から出た感想だと気づけたのは、頬ばかりか顔全部を真っ赤に染めた少女が半泣きになりながら手で胸を隠し上げた悲鳴によってだった。

 

 

 

「変態!!!!!!」




主人公が無事だった理由

家具1(このオッサンなんかいきなり現れたんだけど『おもてなし』するのかな?)
家具2(勝手にやると怒られるかもだからとりあえず姫様のとこに誘導して姫様の指示貰おう)
家具3(賛成)

メイド達はそれぞれの仕事で近場に居なかったため出会えませんでした。

ちな、出会ってたらこんにちは、死ねだった模様。


次回は遊戯王らしくちょっとだけデュエル描写も入ります。

というか、そっちのせいでここで区切る羽目になったとも…
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