迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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というわけでお出掛け回です。


どうやら俺もかなりポンらしい

 【ブラック・マジシャン】

 

 【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)】と並んで遊戯王を嗜む者として知らない奴はモグリと言うしかない看板モンスターの1体である。

 

 最初期の最初期にカード化された攻撃力2500の2体の生贄を要求するバニラモンスターであり、ほぼ変わらないステータスでレベル6の【デーモンの召喚】というモンスターが同時期に既にいたためカードプールの状態もあり使い勝手は然程よくはないカードであった。

 ただし、大量のサポートカードや融合先を導入する【ブラック・マジシャン】のテーマデッキで使うなら、現代遊戯王でも上位テーマに食らいついてくるぐらい本気で強いモンスターと化す可能性の獣でもある。

 

 様々なブラック・マジシャン専用サポートに加えて数多あるバニラ専用サポートにも対応し、ブラック・マジシャンを要求する強力な融合モンスターも沢山用意されたKONAMIに愛されたモンスターであり、MDでも準環境デッキとして一日に一回は拝む機会に巡り合うほど愛用者も多い。

 

 正直自分だって今も大好きだ。

 

 原作遊戯王リアタイ勢故に闇遊戯ことアテムの魂のカードとして思い入れも強い。

 

 MDではデッキこそ組んでいなかったが、昔は魔法使いデッキの切り札に1枚は入れていたし、今回のみたいに会えるというなら是が非でも会いたいと思うぐらい好きだ。

 

「着いたみたいだね。降りるよ」

  

 『騎士』に促され根が張り始めていた乗合馬車から長閑な集落に見える場所へ降り立つ。

 

「こ、腰が…」

 

 長時間座りっぱなしで固まった筋肉を伸ばそうとしてもう若くねえんだぜと腰から警告を受けてしまった。

 

「鍛えが足りないね。

 それでよくあの姫の我儘に付き合えるのが不思議だよ」

「姫様は無茶振りはするが、できない事は命じないですよ」

 

 言い方に若干引っ掛かりを感じそう反すると、『騎士』は驚いたと表情を変えず言う。

 

「偶にアホ姫呼びしていたから上っ面だけの忠誠なのかと思っていたけど、どうやら思い違いだったみたいだね」

「貴方の前でそう呼んだ覚えはないんですが?」

「そうだっけ?

 まあいいや。行くよ」

 

 スタスタと奥に見える集落へと向かい始める『騎士』に、はぐらかしたのか?と訝しみつつもトランクを握り後を追う。

 

「カードのイラストとは違いますね」

 

 日差しの差す森の中の木をくり抜いたような一軒家が描かれていた【魔法族の里】だが、着いてみればヨーロッパ的な町並みが広がっていた。

 

「一昔前にあまりに不便だって一部の魔法使いが訴えて近代化を始めたそうだよ。

 最初は無視してたけど限界集落化を恐れて受け入れたらしい。

 回帰主義の連中の住んでいる辺りと観光向けのエリアは昔のまま残っているから見たかったら後で見に行くといい」

 

 こんな所でそういう話は聞きたくなかった!!

 

「そ、そうか。

 それで、ブラック・マジシャンが住んでいる場所はどちらに?」

「確か、もう少し先の一軒家だよ」

 

 『騎士』の先導に従い街を進むと、途中とんがり帽子や杖を手にした一目で魔法使いと分かる者と幾度かすれ違う。

 

 その度に訝しむ視線を向けられるが、自分の格好から旅行者であると判断したのかすぐに興味をなくしそのまま通り過ぎていく。

 

「自分は何かおかしいのでしょうか?」

 

 一人二人ならともかく、すれ違う者から例外なく同じ反応を返されると流石におかしいと感じて『騎士』に確認を取ってみる。

 

「彼等は魔力を視認しているから何かあるのかもね」

「ふむ…」

 

 もしかしたら俺が別次元の人間界の出である事が原因かもしれない。

 

 答えが出ないことにモヤモヤしながら暫く歩いていると一軒の建物の前で『騎士』が足を止めた。

 

「私だ。居るか?」

 

 あるある詐欺みたいな呼び掛けに中から『居るぞ』と返事が返って来る。

 

 あれ? ブラック・マジシャンってこんなネットリした声だっけ?

 

 声優で言うと子◯武人っぽいんだけど……?

 

「行くよ」

 

 さっさと中に入っていく『騎士』に続いて中に入る。

 

「貴様が俺に見せたい相手と言うのはそいつか?」

 

 そう口にした相手に俺は瞠目してしまう。

 

 イラストではいくつかのパターンがあるが、一般的にブラック・マジシャンと言ったら立体化された『青白い肌』に『金色の髪』のイメージが多いだろうか。

 

 しかし視線の先に居るのは『褐色の肌』に『白い髪』であった。

 

 パンドラマジシャンかよ!!

 

 正確には『奇術師パンドラ』が使用した【ブラック・マジシャン】であり、イラスト違いというだけで性能他受けられるサポートにも違いはないのだが、アニメや漫画での扱いから一部からはパンドラマジシャンと呼ばれている。

 

 いや、確かに彼もブラック・マジシャンだけどさぁ、普通ブラック・マジシャン言ったら闇遊戯のブラック・マジシャンだと思うじゃん!!

 

 畜生!! 折角、折角ブラマジ師匠コンビが生で見れると思ったのに!!

 

「どうしたの?」

「…いえ、少し拍子抜けしたもので」

 

 勝手な勘違いを押し付けまいと平静を保とうとする俺にブラック・マジシャンは鼻を鳴らす。

 

「ふん。

 大方ブラック・マジシャンと聞いてマハードとその弟子を思い描いていたんだろうさ」

 

 聞き捨てるにはかなり引っかかる言い方をしたブラック・マジシャンはテンションを上げて嘯きだす。

 

「残念だったな!!奴等は今頃次元航行の真っ只中だ!!

 いくら会いたかろうと数年は戻っては来ないだろうよ!!ヒャハハハハハハハ!!」

 

 急激に笑い出したブラック・マジシャンが声と相まってテラ子◯にしか見えなくなり始めてしまう。

 

「あの、何かあったのでしょうか?」

「同じブラック・マジシャンなのに向こうばかり注目されるのがコンプレックスなんだって」

「………」

 

 本気で悪いことをしてしまったな。

 だが許して欲しい。

 あちらは作中活躍に加えて、多くの少年の初恋を奪い性癖を破壊したお弟子さんが居るせいで余計に注目されてしまうんだ。

 

 恨むなら同じぐらいエロい弟子を持ってくれ。

 

「……ふぅ。スッキリした。

 そろそろ診察を始めるから外套をそこに掛けてここに座れ」

 

 急なテンションの変動に戸惑いつつも、俺は言われた通り外套を脱ぎコート掛けに引っ掛けてから指定された椅子に腰掛けた。




ブラック・マジシャンといったな?
しかしマハード&マナだとは言ってない!!

はいすんません。

だけどせっかくだからやりたかったネタなので許して下さい。

次回は診察です。
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