迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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ふと思った。
【白銀の城の徘徊者】とイラスト違い姫様が同時実装してたらエルドリッチに侵略された姫様とか勘違いが広まってさぞ阿鼻叫喚してただろうなぁって。


死神は嗤う狂宴の舞(7)

 ラストターンとなるだろう最後のドローは…【コズミック・サイクロン】。

 

【コズミック・サイクロン】

速攻魔法

(1):1000LPを払い、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを除外する。

 

 後一ターン早く来ていればまだ使うチャンスもあったハズレ引き。

 だが、逆転の道筋は既に手札の中にある!

 

「スタンバイフェイズにコメディー・リリーフの効果を発動しこちらのフィールドに移動します。

 その後発動できる効果は放棄してからメインフェイズに入ります。

 私は始めにペンデュラム召喚を実行します!」

「初手から来るか!」

「揺れなさいペンデュラム!

 描く軌跡に勝利を道を示せ!

 ペンデュラム召喚!

 来たりて舞台を完成させよ!【魔界劇団-エキストラ】!【魔界劇団-ビッグ・スター】!」

 

 揺れ動くペンデュラムの軌跡に導かれ舞台を完成させるためのスタッフがフィールドに揃う。

 だが、演目を完成させるにはあと一人必要だ。

 その為にはフィールドを開ける必要があるな。

 

「セットモンスターとワイルド・ホープをリリースして手札から【魔界劇団-デビル・ヒール】をアドバンス召喚します」

 

【魔界劇団-デビル・ヒール】

ペンデュラム・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2000

【Pスケール:青1/赤1】

(1):1ターンに1度、自分フィールドの「魔界劇団」モンスター1体をリリースし、

相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、

リリースしたモンスターの元々の攻撃力分ダウンする。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、

相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分フィールドの「魔界劇団」モンスターの数×1000ダウンする。

(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、

自分の墓地の「魔界台本」魔法カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを自分フィールドにセットする。

 

「クソッ!! ソイツが来ちまったか!?」

 

 顔と体が一体化した異形の巨人に沢渡君の顔が険しくなる。

 ガチで勝つならコメディー・リリーフとマルチャミーだが、コメディー・リリーフにはやってもらう役があるため役の無いワイルド・ホープに退場してもらう。

 

「伏せカード発動。

 魔法カード【魔界台本「ファンタジー・マジック」】。

 キャロットの効果を発動しますか?」

「使ったら魔王の降臨が来るだろうが。

 何も無い」

「わかりました。

 では適用後にメロー・マドンナの効果を発動しデッキから【魔界劇団-プリティ・ヒロイン】を特殊召喚します」

 

 クライマックスに向けて最後の読み込み進める中、遅刻してきたプリティ・ヒロインがさりげなく輪の中に入り台本を読み始める。

 

「デビル・ヒールの効果を発動!

 マネキンキャットの攻撃力を6000ポイント下げます」

「……ああ、クソッ!

 デビル・ヒールを引かれてなきゃ俺の勝ちだったのに!」

 

 魔王の降臨を使わずともリーサルを超えたことを理解した沢渡君が悔しそうにそう言った。

 

「そうですね。

 ではバトルフェイズに入りますが墓地のガンマ・バーストは使いますか?」

「今更使ってもしょうがねえだろ。

 さっさと終わらせて芝居の続きを見せてくれ」

 

 悔しそうにしながらも勝ち目が無いなら下手に足掻くより気になって仕方ない話の続きを見たいと既に切り替えた沢渡君に俺は分かりましたと応じる。

 

「畏まりました。

 ではデビル・ヒールでマネキンキャットを攻撃」

「ああ、クソッ! やっぱり【魔界劇団】は最高だな!!」3000→0

 

 ヒールらしくマネキンキャットを掴んで地面に叩きつけた衝撃で沢渡君のライフポイントがきっかり消し飛ばされる。

 

「対戦ありがとうございました。

 それでは役者の準備も整いましたのでこれより物語を再開致します」

 

 そう宣言するとフィールドが暗闇に覆われ俺だけが残される。

 

「『ズァーク』のデュエルはそのどれもが素晴らしく誰もが次のデュエルを期待しました。

 …そう。()()()()()()()

 

 暗闇の中でエキストラの一人が声を発した。

 

『今回もズァークのデュエルは素晴らしいものだった。

 だからきっと、『次』はもっと凄いものが見れるだろう』

 

「皆様もプロデュエリストを志す、或いはプロデュエリストの仕事を担っていれば知っているでしょう。

 プロデュエリストは()()()()()()()()()()()()()と。

 観客を驚かせ喜ばせる。

 それもまた役割の一つであり義務とされております」

 

『前回も前々回も出てきたのはクリアウィングだけだったな。

 次はスターヴヴェノムかダークリベリオンが見れるといいな』

 

「二番煎じは許されない。

 新しい戦術を、常に新しい展開をと観客は無邪気に求め、我々プロデュエリストはそれに応えねばなりません」

 

『今回は三体同時に召喚した所が見所だったな。

 『次』はもっと凄くなるだろう』

 

「『ズァーク』の持つ稀代の才は観客の希望を叶え続けました。

 前回とは違う展開を。

 前回を超える凄まじいデュエルを。

 無邪気に、悪意のない既知を超える未知を求める欲望。

 その強欲さはやがて、致命的な過ちを引き起こしてしまった」

 

 直後、暗闇の中で何かが破壊される音が響きエキストラの一人が悲鳴を上げた。

 

「ある意味で必然でした。

 リアルソリッドビジョンによる激しい戦闘により『ズァーク』と対戦していたデュエリストに悲劇が舞い込んだのです」

 

 そこで『ズァーク』役のビッグ・スターにスポットライトが刺さり暗闇の中で膝を着き苦悩に蹲る姿が浮かび上がる。

 

「彼はこの事故を起こしたことを悔いて悲しみました。

 デュエルが好きな青年である彼には到底耐えられないほどの罪。

 だけど…」

 

 暗闇の中から喝采が沸き起こる。

 

『なんて刺激的で素晴らしいデュエルなんだ!』

『こんなに凄い戦いは見たことが無い!』

『もっと見たい!『次』はもっと凄く刺激的なデュエルを見せてくれ!』

 

「彼に与えられたのは非難ではなく称賛。

 痛ましい事件さえ観客達はエンターテインメントの一部と飲み干すばかりか彼に更に過激なデュエルを要求したのです」

 

 スポットライトに照らされたビッグ・スターが立ち上がると、その顔には簡素な笑顔を貼り付けた仮面がつけられていた。

 

「『ズァーク』は観客の望むまま応え続けました。

 それに呼応し他のデュエリストも彼に倣いより激しく、より過激に、繰り広げられるデュエルはデュエリスト達にさえ手が付けられなくなるほどに凄惨さを増していきました。

 中には彼を心配し止まるよう願う者も居ました。ですが、」

 

 スポットライトが増えてそこに照らされたプリティ・ヒロインがビッグ・スターに悲しげに訴える。

 

『もう止めてズァーク!

 これ以上は貴方の心が壊れてしまう!』

 

 そう訴える言葉に仮面越しにビッグ・スターが応える。

 

『それは出来ない!

 俺は戦う事を望まれている!

 もっと刺激に満ちたデュエルを!

 俺は望みに応えなきゃならないんだ!!』

 

 プリティ・ヒロインに挿していたスポットライトが消え、再び一人になる。

 

「『ズァーク』の心は既に壊れていた。

 望まれるままに危険なデュエルを繰り返し続けた彼はもっともっとと刺激を求める欲望を叶える存在となってしまっていたのです。

 そして、望まれるままに勝ち続けた彼は遂に史上最強のデュエリストとなりました」

 

 スポットライトに照らされたビッグ・スターはズァークの名を呼び続ける声の中で問い掛ける。

 

『これで終わりか!!

 もう俺と戦う奴はいないのか!!

 俺はまだ満足していない!!

 もっと強く!激しく戦いたい!』

 

 そう高らかに宣言する言葉にエキストラ達が応えた。

 

『俺達ももっと見たいぞ!』

『俺達もまだ満足していないぞ!』

『もっと凄いデュエルを見せてくれ!』

『もっとだ!』『もっと!』『もっと!』『もっと!』『もっと!』『もっと!』『もっと!』『もっと!』『もっと!』『もっと!』

 

『『『『『『『『『もっと俺達は刺激が欲しい!!』』』』』』』』』

 

「彼の足元に倒れ伏す彼に倒された数多のデュエリストを前にしてなお、まだ続きを観たいと口にする彼らの欲望。

 それが破滅を呼ぶ最後の一押しでありました」

 

『いいぞ!その欲望が俺とモンスターの力となる!!』

 

 高らかに告げるトップ・スターの顔の仮面は笑い顔から悪魔に変わっていた。

 

『この世の全てを破壊出来るほどに!!』

 

 そう高らかに告げると同時に暗闇が真っ赤に変わり赤く燃えるように見せる。

 

「刺激を求める声に『ズァーク』は応えました。

 デュエルで与える刺激ではもう足りないだろう。

 破壊と痛みを直に味わうスリルならばお前達も満足出来るだろう。

 そう、実体化させたモンスター達を解き放ったのです」

 

 阿鼻叫喚の燃える世界にプリティ・ヒロインがスポットライトに照らされる。

 

『モンスター達が怒っている…ズァークのために怒っている』

 

「『ズァーク』を狂わせた世界に『四天』は怒り『ズァーク』が奮うままに破壊を齎しました。

 実体化されたモンスター達の力は強大でした。

 戦車も航空機もミサイルでさえモンスター達を傷つけることは叶わず一方的な蹂躙を行ったのです」

 

 赤いフィールドに大きく映し出された四体の『四天』と紹介されたモンスター達が明滅するのに合わせてエキストラ達が逃げ惑うような悲鳴を上げる。

 そうして再びビッグ・スターにスポットライトが照らされた。

 

『そうか。まだ満足出来ないか。

 俺も同じだ。

 俺達は一つとなって共に最強の存在になろう!』

 

「怒り狂う『四天』の望みを叶えるため、『ズァーク』は彼等と融合し一つの存在へと変身したのです!」

 

 ビッグ・スターが消え、ズァークの役割をデビル・ヒールが引き継ぐ。

 

『遂に手に入れた!

 俺は四体の龍と一つとなり神にも等しい力を手に入れた!』

 

「龍と一つになった『ズァーク』により世界は滅亡へと一歩一歩進んでいきました。

 如何なる抵抗も無意味に散り滅ぶその日をただ見ているしかないのか?

 そうした中、赤馬零王は『ズァーク』を鎮めるための方法を見出したのです」

 

 赤いフィールドが再び黒に代わりスポットライトがコメディー・リリーフを照らすと真剣な声で役を演じ始める。

 

『『ズァーク』を倒すには科学では駄目だ!

 カードの力を、世界の力を集約させた自然の力を用いるしかない!』

 

「そうして赤馬零王は自然界の力を集めることが出来る四枚のカードを生み出したのです。

 そのカードを使い『ズァーク』を再び分離させる。

 その計画は思わぬ者の手により思いもよらぬ方向へと向かいました。

 その者の名は、『赤馬レイ』。

 赤馬零王の実の娘です」

 

 暗闇の中スポットライトに照らされてデビル・ヒールに対峙するプリティ・ヒロイン。

 プリティ・ヒロインが手を上げるとフィールドが緑に色を変えデビル・ヒールが苦しみながら吠える。

 

『許さんぞ!!一つになった我等を分かつなど許さんぞレイ!!』

『貴方を一人にはしない!私も貴女と共に逝ってあげる!』

 

 そこで少し離れた場所にコメディー・リリーフが照らされ必死な様子で叫ぶ。

 

『止めるんだレイ!!

 自然界から集めた力を取り込もうとしたらお前の身体が!!』

 

 叫びと同時にプリティ・ヒロインを照らすスポットライトが4色に変わりフィールドが光ってから暗転すると俺は最後の一幕を語る。

 

「レイは自身を楔として『ズァーク』を封印しました。

 それもただの封印ではありません。

 『ズァーク』が復活しないよう、その身を4つの世界に分ける事で絶対に交わる事が無いようにしたのです。

 そうして、世界は形を変えて救われました。

 そう。ただ一人、残された者を除いて」

 

 スポットライトがコメディー・リリーフを照らす。

 

『この世界が分かたれる瞬間私は見たのだ。

 『ズァーク』と共にレイもまた四人に分かたれたのを。

 このままではレイは四つの世界に分かたれ『ズァーク』を封じるため未来永劫縛られ続けてしまうだろう。

 そんな事は父として見過ごす事など出来はしない!!

 私はお前を必ず取り戻す!

 例えお前が作ったこの4つの世界全てを犠牲にしてもだ!!』

 

 天に吠えるような宣言を最後にスポットライトが細くなっていき、そして誰もいなくなった。

 フィールドの暗闇が晴れ燕尾服に着替え直した俺は慇懃に一礼する。

 

「以上で今回の演目は全て終了致しました。

 長らくの御清聴、誠にありがとうございました」




今回書くにあたってズァーク誕生のシーンを何度も見返してたけど、赤馬零王視点な割りにはズァークは暴走するまでは被害者に見えるように描かれてますよね。
レイに分断された際もズァーク本人というよりブチ切れた四龍の怨嗟っぽいしズァーク✕レイはマジだったのかも。

そうなるとレイの自身の楔にしたのって来世も再来世もずっと一緒に居たいって願望から?
だとしたらユベルも「その手があったか」と膝を打つレベルのヤヴァイ愛なのでは…?
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