迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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霊使い新規来たぁぁぁぁぁぁぁ!!!

しかも専用ながらぶっ壊れ!!

ライナとダルクもあるんだよね運営!?

映像で出たんだから後発でも絶対出してくれるよな!!??


死神は嗤う狂宴の舞(10)

「頭は冷えましたか零児君?」

 

 吹っ飛び倒れたまま空を見上げる零児君にそう尋ねると零児君は此方を見ずに不意に喋り始めた。

 

「ずっと信じたかったんだ。

 私は、父さんを」

「……」

「だけど、あの男にとって私は娘の代用品にさえならないのだと、私は」

 

 最後まで言わせないよう上着を頭に被せる。

 

「人が誰かの代わりになることは出来ません。

 代わりになろうとしても失敗する。

 呑み込み、前に進む事しか出来ないのです。

 その先を希望を託すしか無いのですよ」

 

 『不動遊星』になろうとした『Z−ONE』。

 自身の一切を擲ち【時械神】さえもが認めた彼の試みでさえ成功しなかった。

 だけど、彼は『不動遊星』としては失敗したが『Z−ONE』として未来を託す事は出来た。

 赤馬零王も世界を滅ぼして娘を救うのではなく、ズァークが悪魔にならない世界を作り息子達に娘を解放する手段を託していれば未来はまた違ったものになったのだ。

 

 俺が見た遊矢君達と柚子さん達が笑顔でデュエルする、あり得たかもしれない景色のように。

 

「赤馬零王の過ちを拭うのは大変ですが、君なら出来ます。

 だから今は、休みなさい」

 

 上着の下で押し殺すような呻き声を聞かないふりをして蹲る遊矢君のもとに向かう。

 

「君で最後です。

 戦うデッキは決まりましたか?」

「待て!!今の遊矢はデュエルが出来る状態ではない!!」

 

 俺の催促の言葉に権現坂君が無理を唱えるが遊矢君が権現坂君を押し退けて俺に縋り付いた。

 

「教えてくれ!!

 俺は誰なんだ!?

 どうしたらいいんだ!!??」

 

 その目は溝泥のヘドロの様に濁りに濁り、死者の方が生気を感じるほどに遊矢君は追い詰められていた。

 やったのは俺だがここ迄追い詰められるとは、一体今日までにどんな経験を重ねてきたのか不憫で仕方ない。

 

「君はどう在りたいのですか?」

 

 カウンセリングは苦手だとか言っている場合ではないと遊矢君に問いかける。

 

「俺は、俺は、父さんのように、榊遊勝みたいに皆を笑顔に…」

 

 あ、駄目だこれ。

 

「遊矢君。()()()()()()()()()()()()()ですよ。

 君は榊遊矢であって榊遊勝ではありません。

 零児君にも言いましたが、君は君であり、どう頑張ろうと榊遊勝にはなりえません」

 

 理想と憧憬と英雄視がぐちゃぐちゃに混ざり合った同一願望。

 先ずはそこを引き剥がす。

 

「俺は、俺は父さんのようには「榊遊矢!!」「っ!?」」

 

 おかしなループに入りかけた遊矢君に怒号を叩き付けて思考を遮る。

 

「もう一度問います『榊遊矢』。

 なれるなれないではなく、貴方はどう()()()()のですか?」

「在り…たい?」

「私は()()()()()()を聞きたいのです。

 狂気に呑まれたズァークのように全てを破壊する悪魔になりたいのですか?

 それとも榊遊勝のような称賛に満ち溢れたデュエリストになりたいのですか?

 改めて尋ねますよ?

 ()()()()()()()()()()はどんなデュエリストなのですか?」

「俺は…俺がなりたい俺は……」

 

 遊矢君は迷いながらも自らのなりたい姿を口にした。

 

「俺は、父さんみたいな皆に笑顔を与えるデュエリストになりたい」

「…そうですか」

 

 ()()()()

 

「ならばはっきり言いましょう。

 君には無理です」

「なっ!?」

 

 断言する俺に驚愕した遊矢君に俺は畳み掛ける。

 

「君は榊遊勝のようなデュエリストにはなれない。

 君がなれるのは()()()()()()()()()()()()()だけです」

「父さんを…超える…?」

 

 そう口にする遊矢君に明確な困惑が浮かぶ。

 

「君は父を英雄視するあまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 だから君は父のエンタメデュエルをなぞるだけでそれ以上先に進めない」

「だけど…父さんを超えるなんてそんな事」

「自分は父に絶対に勝てないと思っていますね?」

「……」

 

 自身の裡に隠れた父への劣等感を自覚して遊矢君の顔から血の気が引く。

 

「これは子を持つ父としての言葉です。

 いいですか遊矢君。父親という生き物は子に自分を超えて欲しいと願う生き物なのです。

 自分を超えて更に高い所へ至って欲しい。

 中には例外もいるでしょうが、貴方の知る榊遊勝という男は君が自分を超える事を厭うような男ではないでしょう?」

 

 次元跳躍等の赤馬零王が起こした問題解決に当たっては榊遊勝がやった事は殆どが失敗ばかりだったが、それでも父として遊矢君が成長し世間の評価が『榊遊勝の息子』から『榊遊矢の父』へと変わっていく事に心から喜んでいた。

 それが()()()()()()()()()()()()()()だと知った後でも変わらなかった。

 

「父さん…」

 

 父との思い出を振り返っているのだろう。

 遊矢君の顔から恐慌が薄れ落ち着きが浮かんでいく。

 

「そもそもですが、君が榊遊勝のエンタメを模倣することこそ土台から無理があるのです。

 榊遊勝のデッキコンセプトはカード知識と話術を駆使してデュエルそのものをコントロールする『パーミッション』。

 対して君はペンデュラム召喚による大量召喚を軸に相手の盤面ごと押し潰す超攻撃型の『ビートダウン』。

 デッキタイプが違うのに同じ振る舞いをしても君のデッキだと煽りにしか見えませんよ?」

「え゛?

 そうなのか権現坂!?」

 

 俺の指摘に今更気付いた様子でそう問いかけると、権現坂君は少し悩んだ様子で答える。

 

「確かに…遊矢とのデュエルで魅せるというより煽られているように感じた事は幾度かあったな」

「……マジかよ」

 

 今明かされる衝撃の真実と言わんばかりに大きく悄気返る遊矢君。

 その様子からは先程までの不安定さは大分和らいでいた。

 

「ともあれ君は目標を目指すに当たり理想を現実に落とし込む方法を見つける事ですね。

 デュエルはあくまでエンターテイメント。

 喜ばせる楽しませることは出来ても空腹を満たす事は出来ません。

 デュエルで救えるものがあるようにデュエルではどうにもならない事もあるのだとしっかり見極める事です」

 

 大抵の問題はデュエルで解決出来る世界だが、この世界のデュエルは個人の『力』に留まるものでしかない。

 『力』が解決させられるのは外部的な解決手段であり資本的生産的な解決は成し得ない。

 

「なら白銀さんにとってデュエルとはなんだ?」

「ゲームです。

 偶によく命懸けになる、勝って嬉しい負けて悔しい()()()()()()です」

「ゲーム…」

「さあ、遊矢君。

 君も楽しみなさい。

 誰かに望まれたからじゃない。

 自分の意志で楽しみ勝ちたいと望んでデュエルをしなさい」

 

 取り敢えず今はこれぐらいでいいだろうと俺は黒いデッキケースを手に取る。

 

「君とデュエルするならこれがいいでしょう。

 さあ、始めますよ」

「……ああ」

 

 デュエルディスクを展開し、それぞれ五枚手札を加える。

 

「「デュエル!」」

 

「俺のターン!

 俺は手札からスケール8の【調弦の魔術師】とスケール2の【刻剣の魔術師】をペンデュラムスケールにセット!」

 

【調弦の魔術師】 

ペンデュラム・チューナー・効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻 0/守 0

【Pスケール:青8/赤8】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、

自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、

自分のEXデッキの表側の「魔術師」Pモンスターの種類×100アップする。

【モンスター効果】

このカードはEXデッキから特殊召喚できず、

このカードを融合・S・X召喚の素材とする場合、

他の素材は全て「魔術師」Pモンスターでなければならない。

このカード名のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札からP召喚した時に発動できる。

デッキから「調弦の魔術師」以外の「魔術師」Pモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、フィールドから離れた場合に除外される。

 

【刻剣の魔術師】

ペンデュラム・効果モンスター

星3/闇属性/魔法使い族/攻1400/守 0

【Pスケール:青2/赤2】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、

1ターンに1度、自分フィールドのPモンスターは相手の効果では破壊されない。

【モンスター効果】

(1):手札のこのカードのみがP召喚に成功した時に発動できる。

このカードの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる。

(2):1ターンに1度、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターとフィールドのこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで除外する。

 

「調弦の魔術師をセットした時点でこちらに優先権が発生するため手札から【マルチャミー・フワロス】を捨てて効果を発動します。

 チェーンはありますか?」

「え?」

「え?じゃなくてペンデュラムのセットも効果処理なのですから効果で同時にセットするのでなければそれぞれのセット処理時に優先権が発生するでしょう?」

「あ、はい。

 俺は何も無いです」

「わかりました。ではフワロスにチェーンして手札から【マルチャミー・プルリア】を捨てて効果を発動します。

 何かありますか?」

「無いです」

「では更に【増殖するG】を手札から捨てて効果を発動します。

 何かありますか?」

「ありません」

「では逆順処理でG、プルリア、フワロスの効果でこのターン中私はデッキ、エクストラデッキ、手札からの特殊召喚時にカードを二枚ドロー出来ます。

 なお、手札に関しては通常召喚にも追加ドロー1枚が発生します。

 それらの処理完遂後、調弦の魔術師のセットが完了しました」

 

 正規処理を正しく口頭で伝えると遊矢君は不思議そうに俺を見ていた。

 

「どうしました?」

「えっと…いえ、何でもないです。

 俺は【刻剣の魔術師】をペンデュラムスケールにセットします」

「チェーンはありません」

 

 2体のモンスターが光の柱の中に浮かび上がりその間をダウジングペンデュラムが揺れ動く。

 

「揺れろ魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!」

「二枚ドローを許容してきますか」

 

 散々1ターンキルを噛ましてきたのだから空手でターンを回したりはしないのは当然か。

 

「ペンデュラム召喚!現れろ、俺のモンスターたち!

 【EMリザードロー】!【EMセカンドンキー】!そして二色の眼持つ龍!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」

 

【EMリザードロー】

ペンデュラム・効果モンスター

星3/地属性/爬虫類族/攻1200/守 600

【Pスケール:青6/赤6】

「EMリザードロー」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズにもう片方の自分のPゾーンに

「EMリザードロー」以外の「EM」カードが存在する場合に発動できる。

このカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする。

【モンスター効果】

「EMリザードロー」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカード以外の自分フィールドの表側表示モンスターが

相手モンスターの攻撃または相手の効果で破壊された場合に発動できる。

自分フィールドの「EM」モンスターの数だけ自分はデッキからドローする。

 

【EMセカンドンキー】

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1000/守2000

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「EMセカンドンキー」以外の「EM」モンスター1体を墓地へ送る。

自分のPゾーンにカードが2枚存在する場合、

墓地へ送らず手札に加える事もできる。

 

【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

ペンデュラム・効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

【Pスケール:青4/赤4】

このカード名の(1)(2)のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のPモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。

(2):自分エンドフェイズに発動できる。

このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):このカードが相手モンスターとの戦闘で相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

 

 ペンデュラムが描いた軌跡が門を生み出しその門を駆け抜け三体のモンスターがフィールドに守備表示で降り立つ。

 

「特殊召喚されたため一枚ドロー。そして手札から召喚されたため更に一枚ドローします」

 

 今回は『ヤツラ』は控えているらしく姿は見せていないが今は構わず二枚手札に加える。

 

「特殊召喚したセカンドンキーの効果を発動!

 デッキから【EMドロップ・ギャロップ】を選択し、ペンデュラムゾーンに二枚カードがあるため手札に加える!」

 

 【EMドロップ・ギャロップ】?

 【EM】は未OCG化のカードが多いから知らないカードが結構あってワクワクさせてくれる。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 遊矢君の手札は今加えた 【EMドロップ・ギャロップ】のみだが、フィールドのリザードローから排さないと手札が増えて次のターンに更にペンデュラム召喚で出て来るモンスターが増えてしまう。

 

「私のターン。ドローフェイズ。ドロー」

 

 引いてきたのは【灰流うらら】。

 このデッキを選んだ時点でこうなる予感はしてたが厳し過ぎる。

 

【増殖するG】

【マルチャミー・ニャルス】

【墓穴の指名者】

【抹殺の指名者】

 

「スタンバイフェイズからメインフェイズへ以降。

 カードを二枚伏せてモンスターをセットしてターンエンド」

 

 墓地に送られないペンデュラムデッキにはほぼ意味をなさないが、一応抹殺と墓穴を伏せオッドアイズが居るためうららでも一ターンの壁にもならないから腐るのがほぼ確定しているためニャルスを伏せてターンエンド。

 あまりにも簡潔すぎる展開に滅茶苦茶警戒してる遊矢君だが、完全にブラフである。

 頼むから何も出来ずに負けるのは勘弁願いたい。




また遊矢君の振り子メンタルケアでデュエルにならんかったよ。

いやマジで遊矢君の成長阻害され過ぎて執事が育てないと原作展開まっしぐらなのどうにかならんのかね?
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