迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

216 / 255
死神は嗤う狂宴の舞(11)

「俺のターン!ドロー!」

「スタンバイフェイズに手札から【増殖するG】を捨てて効果を発動します」

 

 【三戦の才】は入ってないだろうが即刻ペンデュラム召喚される可能性もあるから先に投げておく。

 

「また!?

 っ、バトルだ!

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで攻撃!

 『螺旋のストライクバースト』!」

 

 消し飛ばされるニャルスを眺めながら追加ドローはなくとも『相手フィールドが埋まる』のを阻止しリーサルの抑止として仕事は果たしてくれたとGに感謝する。

 

「……ターンエンド」

 

 流石におかしいと気付いたらしく訝しむ遊矢君。

 

「私のターン。ドローフェイズ。ドロー」

 

 引いてきたのは…【ミミグル・ダンジョン】。

 よかった。

 うらら伏せて次のターンに遊矢君のモンスターゾーンが埋まり【ミミグル】のギミックが機能不全になるなんて事になる前に動けるようだ。

 

「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 私は手札からフィールド魔法【ミミグル・ダンジョン】を発動します」

 

【ミミグル・ダンジョン】

フィールド魔法

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このターンに召喚・特殊召喚されていない

自分フィールドの「ミミグル」モンスターの攻撃力は、自身の元々の守備力分アップする。

(2):お互いはそれぞれ、自身のフィールドに裏側表示モンスターが存在する限り、

モンスターを召喚できず、このターンに特殊召喚されたモンスターでは攻撃宣言できない。

(3):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキ・墓地から「ミミグル」モンスター1体を手札に加える。

 

 発動と同時に周囲の景色が土壁に覆われた松明の明かりのみを拠り所とする地下空間に変化した。

 

「これは…!?」

「ここは地の底に繋がる大迷宮【ミミグル・ダンジョン】。

 地下奥底に眠ると言われし財宝を求める欲深き者の命を喰らう奈落の入り口です」

 

 芝居がかった口調でそう説明し、俺は効果を発動する。

 

「【ミミグル・ダンジョン】の効果を発動。

 デッキから【ミミグル】モンスターを手札に加えます。

 チェーンはありますか?」

「無い」

「ではデッキから【ミミグル・ドラゴン】を手札に加えそのまま召喚します」

 

 地面からモコモコと宝箱が浮かび上がりひとりでに蓋が開くと中から眉毛が特徴的な赤いドラゴンが現れた。

 

【ミミグル・ドラゴン】

リバース・効果モンスター

星1/地属性/ドラゴン族/攻 500/守2000

このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

このカードを手札から相手フィールドに裏側守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「ミミグル」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(3):このカードがメインフェイズにリバースした場合に発動する。

以下の効果をそれぞれ適用する。

●「ミミグル」モンスター以外の自分フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。

●このカードのコントロールを相手に移す。

 

「召喚時効果を発動。

 デッキから【ミミグル】魔法罠カードを手札に加えます。

 チェーン確認」

「無いです」

「分かりました。

 デッキから【ミミグル・メーカー】を手札に加えそのまま発動します」

 

【ミミグル・メーカー】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):デッキからカード名が異なるリバースモンスター2体を相手に見せ、相手はその中からランダムに1体選ぶ。

その1体を相手フィールドに裏側守備表示で特殊召喚し、残りを自分の手札に加える。

その後、手札から「ミミグル」モンスター1体を特殊召喚できる。

(2):相手がモンスターを特殊召喚した場合、

墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの裏側守備表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの表示形式を表側攻撃表示か表側守備表示にする。

 

 発動と同時に二つの宝箱と壺が地面から迫り上がる。

 

「私はデッキから【ミミグル・スライム】と【ミミグル・デーモン】を選択します。

 その後、相手はどちらかを選んで裏守備表示でそちらのフィールドにセットし選ばれなかった方を私の手札に加えます。

 さあ遊矢君。好きな方を選んで下さい」

 

 明らかに罠と分かりつつ遊矢君は示した二枚のカードの片方を指さした。

 

「え…と、じゃあ右を選びます」

「分かりました。

 君が選んだ【ミミグル・デーモン】を裏守備表示で特殊召喚し、私は【ミミグル・スライム】を手札に加えます。

 その後、手札に加えた【ミミグル・スライム】を守備表示で特殊召喚します」

 

【ミミグル・スライム】

リバース・効果モンスター

星1/地属性/水族/攻 400/守 500

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

このカードを手札から相手フィールドに裏側守備表示で特殊召喚する。

相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、

代わりに自分フィールドに表側表示で特殊召喚する事もできる。

(2):このカードがメインフェイズにリバースした場合に発動する。

以下の効果をそれぞれ適用する。

●相手は自身のデッキから「ミミグル」モンスター1体を特殊召喚できる。

●このカードのコントロールを相手に移す。

 

 遊矢君が選んだ事で宝箱が遊矢君のフィールドに移動し残された壺が開いて中から緑色のアメーバがズルズルと姿を現した。

 

「先に言っておきますと、【ミミグル・ダンジョン】の効果によりフィールドに裏守備表示のモンスターがセットされたプレイヤーは一切の召喚と攻撃宣言が出来なくなります」

「なんだって!!??」

 

 送り付け効果に訝しんでいた遊矢君は効果の意味を理解し驚愕した。

 

「良い反応で嬉しいですよ。

 それでは私はフィールドのドラゴンとスライムの二体でオーバーレイ・ネットワークを構築!

 来なさい欲深き愚か者を待ち受ける主の王座!

 エクシーズ召喚!ランク1!【ミミグル・スローン】!」

 

【ミミグル・スローン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク1/地属性/岩石族/攻 0/守1000

レベル1「ミミグル」モンスター×2

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

自分の手札・デッキ・墓地から「ミミグル・マスター」1体を特殊召喚する。

(2):自分・相手のメインフェイズに、自分フィールドの「ミミグル・マスター」1体を対象として発動できる。

このカードを攻撃力1000アップの装備魔法カード扱いでそのモンスターに装備する。

その後、このカードが持っていたX素材の数までフィールドのカードを手札に戻す事ができる。

 

 二体のモンスター達が出てきた箱と壺に戻り蓋を閉めると発生した銀河へと自ら飛び込み、暫くしてから王冠を乗せた豪華な宝箱が飛び出してきた。

 

「召喚成功後【ミミグル・スローン】の効果を発動!

 エクシーズ素材を取り除きデッキから【ミミグル・マスター】を特殊召喚します。

 チェーンはありますか?」

「無い!」

「では来なさい、地下深くの王座にて愚か者を睥睨するダンジョンの主!【ミミグル・マスター】を特殊召喚!」

 

【ミミグル・マスター】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1800/守1200

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「ミミグル・マスター」以外の「ミミグル」モンスター1体を手札に加える。

(2):自分フィールドに「ミミグル・マスター」以外の「ミミグル」モンスターが存在する場合、

または相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、

フィールドのこのカードは戦闘・効果では破壊されない。

(3):相手メインフェイズに発動できる。

フィールドの裏側表示モンスター1体を表側攻撃表示か表側守備表示にする。

 

 【ミミグル・スローン】が蓋を開くと中から着飾った骸骨が飛び出し、蓋が閉まったスローンにふんぞり返るとスローンの王冠を被る。

 

「【ミミグル・マスター】の召喚時効果をはつ」

『よくも吾輩の前に姿を見せおったな『ラビュリンス』の小僧め!!』

 

 召喚時効果を使おうとしたら突如【ミミグル・マスター】が王座から降りてプレイングを遮り俺に噛み付いてきた。

 

「ちょっ!? 今はデュエル中ですよ!?」

『喧しい!!あんな『怪物』を吾輩自慢のダンジョンに押し付けておいてよくもそんな事が言えたな!!』

 

 いやまあ、少し前に妙に高頻度で侵略してきた『騎士』に姫様の罠のネタが切れてしまい、どうにか時間を稼ぎなさいと無茶振りを食らった俺とアリアスがたまの気分転換は如何です?と【ミミグル・ダンジョン】を紹介したのは事実だし、その結果『騎士』にフルボッコされた腹いせに【ミミグル】対【ラビュリンス】で軽く戦争状態になったのは記憶に新しいがまさかデュエル中にまで尾を引くとは…。

 

『その上吾輩を下僕の如く扱き使おうなど貴様の頭はあの牛乳おん「あ゛あ゛?」

 

 聞き捨てならない暴言を吐こうとしたマスターの頭にアイアンクローを決めて俺は問い質す。

  

「おいテメエ、今、俺の嫁の事をなんて言おうとした?」

『お、おおう…すと、ストップ!? それ以上力入れたら割れちゃう!

 頭が割れ煎餅みたいにバラバラになっちゃうのだ!!??

 そしたらデュエル出来なくなるのだぞ!!??』

 

 ミシミシと音を点てて歪み始めた頭にマスターが慌てて静止を求めるが俺は無言でジリジリと力を更に込め続ける。

 

『悪かったのである!!

 吾輩の暴言は全て取り消すから手を離すのである!!??』

「……いいでしょう」

 

 手を離すと歪んだ頭蓋骨を直しながらマスターは愚痴を吐いた。

 

『全く、『ラビュリンス』はどいつもこいつも忠誠心が狂信的過ぎるわい!

 吾輩達を少しは見習え!』

「【ミミグル】内での貴方の扱いはフランクなのではなく雑なんですよ。

 見習えというなら『メメントラル・テクトリカ』ぐらいの敬意を抱かれてから宣いなさい」

『マジモンの神の分霊と比べさせるでないわ!?』

「兎も角、私への不平不満で手札事故を承知で引き篭もるのは怒りませんが呼び出されたなら仕事は果たしなさい。

 貴方の失態は互する我等【ラビュリンス】の失態と変わらないと理解して下さい」

『分かっておるわい!!

 で、喚ぶのはど奴じゃ?』

「……デーモンにします」

『良かろう』

 

 そう言ってマスターは杖を翳し魔法陣を描く。

 

「遊矢君失礼しました。

 【ミミグル・マスター】の召喚時効果によりデッキから【ミミグル】モンスターを手札に加えますがチェーンはありますか?」

「……はっ!?」

 

 珍妙としか言えない俺達のやり取りに呆気にとられていた遊矢君が我に返り「な、無いですが…」と戸惑った様子で答えた。

 

「分かりました。

 デッキから【ミミグル・デーモン】を手札に加えます」

 

 モンスター名を宣言すると魔法陣から1枚のカードが現れ手元に入る演出が重なる。

 

「よし。それではちょっとばかり恥を晒したし、遊矢君も疑問に思っているでしょうから少し中断して質問を受け付けますね」

 

 そうタイムを申し上げると遊矢君は迷いながらまずの疑問と俺に問うた。

 

「えっと、白銀さんと【ミミグル】はどんな関係なんですか?」

「端的に言うと同じ相手に被害を受けた同業者といった関係ですね」

『嘘つけ! 貴様が『騎士』を焚き付けて襲わせたのだから吾輩達は被害者だ!』

「嘘は心外ですね。

 それに『騎士』に負けた腹癒せに我々が用意した賠償を蹴って宣戦布告をしたのは貴方方でしょう?

 その結果我々が勝ち勝者の証として【ミミグル】は私のデッキとして頂戴したのも不当だと?」

『ぐぬぬ…』

 

 ぐぅの音も出ない真実にマスターは悔しそうに唸る。

 こちらも迷惑を掛けた詫びに菓子折りの一つもと考えていたら、まさかの宣戦布告には魂消させられた。

 一応和睦も試みたのだが梨の礫で結局開戦と相成った。

 どうやらミミグル・マスターは以前からどちらが精霊界の迷宮の代表であるかでライバル意識を抱いていたらしく、今回の件で格付けに決着を付けられる機会と喧嘩を吹っかけてきたのだ。

 当然ながらプライドの塊である姫様がそんな舐めた態度に黙っているはずもなく売られた喧嘩は倍返しと宣言して抗争が開始。

 だが(俺の精霊達は除く)互いの手勢を駆使した総力戦では決着が着かずデュエルで勝った方が相手のデッキを奪える事になり、その結果俺の手持ちに【ミミグル】が追加されたのだった。

 俺の考えはどちらが優れているかというより、どちらもキーワードが『迷宮』だがローグライクの【ミミグル】とタワーディフェンスの【ラビュリンス】ではジャンルが違うだから優劣の付けようもないと思うのだが、どちらも『迷宮』に並々ならぬ自負とプライドがあるためにチャンスがあれば容赦なく叩き潰すつもりであったらしい。

 

「ともあれ私の【ミミグル】は他のカードとは異なる由来を持っているためにカードの秘める魂の力が強いため、このように自我が強く斯様に対話も可能なのです」

「対話というよりカードから反旗を翻されているような…」

「コミュニケーションのやり方それぞれですよ。

 ミミグルは私を嫌ってますが、だからこそ使いこなしてやることでどちらが上かわからせて従える。

 これもまた『精霊使い(デュエリスト)』と『精霊(カード)』の関係の一つです」

 

 だからといって毎回初手事故スタートは勘弁願いたいけどな!

 

「ともあれデュエルを続けましょう。

 因みに【ミミグル】は榊遊勝とはまた違ったパーミッションですから是非とも楽しんで笑顔になってくださいね」

 

 ()()()()()()()()()()()()に【ミミグル】を選んだのだ。

 楽しませてやると俺は気合いを入れ直した。




ラビュリンス対ミミグルはいずれ書こうと思ってたネタというか、アークファイブ編再来がなければ書いてるはずだった話だったりします。

実際マスターと姫様が対峙したら絶対マウント合戦で戦争になるよね。
で、どっちも守備側だから早く攻めて来いと煽りあってグダグダすると思う←
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。