迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
リンク?すまんが閃刀姫が揃ってないんでやっとりますん
さて、動くかどうかだが遊矢君の手札は一枚は【EMドロップ・ギャロップ】と判明済み。
そしてもう一枚は通常召喚せずに伏せなかったから火力が無いタイプか或いは特殊召喚でのみ効果を発動するタイプかさもなくば先程のターンには使えない通常魔法の類。
或いは効果が不明な【EMドロップ・ギャロップ】に何か理由があるのか…あまり考えても埒が明かないからここはちょっと厭らしくいこう。
「手札に加えた【ミミグル・デーモン】の効果を発動。
遊矢君のフィールドに裏守備表示で特殊召喚します」
【ミミグル・デーモン】
リバース・効果モンスター
星1/地属性/悪魔族/攻 0/守1900
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
このカードを手札から相手フィールドに裏側守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
自分・相手フィールドの裏側表示モンスター1体を表側攻撃表示か表側守備表示にする。
(3):このカードがメインフェイズにリバースした場合に発動する。
以下の効果をそれぞれ適用する。
●相手は1枚ドローする。
●自分の手札を1枚選んで墓地へ送る。
●このカードのコントロールを相手に移す。
「もう一枚!?」
『何故二枚もデーモンを送りつけたのだ?
もう一枚送りつけるなら吾輩に喚ばせるのはケルベロスかドラゴンだっただろうが!』
二枚目のデーモンのセットに遊矢君は驚きプレイングミスじゃないのかとマスターが問い掛けるが、俺は違うと嘯いた。
「いいえ。
これは遊矢君への試金石ですよ」
『ほほう?』
「俺の試金石?」
思いも寄らない発言に面白そうにニヤリとするマスターと鸚鵡返しにそう口にする遊矢君に俺は解説する。
「まず初めに遊矢君は攻撃するためには裏守備表示の【ミミグル・デーモン】をニ体ともリバースしなければなりません。
【ミミグル・デーモン】のリバース効果は名称ターン1の制限が掛かるため一体しか効果を発動しません」
『だから他のモンスターの方があ奴に不利を与えられるだろうが?』
「そこがポイントなのです。
【ミミグル】モンスターには共通効果によりリバース効果で相手フィールドに移動する効果がありますが、この効果にも名称ターン1の制限が掛かるため一体は相手フィールドに残ります。
すると、どうなりますか?」
『……成程!【ミミグル・デーモン】の攻撃力は0。
つまりデーモンに攻撃すれば攻撃がダイレクトアタックと同じ素通しになるな!』
「その通りです」
よく出来ましたとにっこり笑えば遊矢君はその悪辣さに顔を引き攣らせる。
『だが、効果でリリースされたりアドバンス召喚の素材にされたらどうするのじゃ?』
「それは遊矢君が一枚上手だったと褒めるべきでしょう。
こちらが用意した策を上回ってきた者には素直に賞賛を贈るのもダンジョンマスターの懐の広さを示す機会では?」
『成程。一理ある!』
このままではリーサルは決まっていると聞こえなくもない台詞に遊矢君が異を唱える。
「待った!
確かに白銀さんの言う通りになれば俺の負ける可能性は高い!
だけどそれは白銀さんが次のターンにライフポイントを残していたらの話だ!
俺の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】はダメージを二倍にする効果がある!
【ミミグル・デーモン】効果でそっちのフィールドに移動した【ミミグル・デーモン】を【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で攻撃すれば貫通ダメージは二倍の5000ポイント!
これが通れば俺の勝ちだ!」
俺の策に勝ち筋は有ると宣う遊矢君に甘いと言おうとしたら先にマスターが悪そうな笑みを浮かべながら割って答えた。
『甘いな小童。
吾輩のダンジョンには前のターンまでに召喚された吾輩達【ミミグル】を強化する効果があるのだ!
その上昇値は守備力分強化する!
よって吾輩のフィールドに戻って来たデーモンの攻撃力は1900ポイント!
そして吾輩の攻撃力は驚異の3000ポイント!
その効果は小童のフィールドでは適用せんから小童のフィールドに残るデーモンの攻撃力は0のまま!
更に吾輩の王座には吾輩の装備カードとなり攻撃力を1000ポイントアップさせる効果がある!
という事は貴様が此奴の策を越えられなければ次の小僧のターンで吾輩の攻撃で4000ポイントのダメージが入り貴様に明日はないのである!
つまりお主自慢のドラゴンの効果だけでは小僧のライフポイントは削りきれず逆に小童だけが窮地に陥るという事だ!』
「そんな!?」
自分が考えていた勝ち筋は塞がれている言われ更に次のターンには初期ライフポイントと同等の攻撃力が立ち塞がる事を理解し遊矢君が一気に気力を萎えさせてしまった。
『なんだ?
吾輩の恐ろしさにビビったのか?
まあ当然だな!なんせ吾輩は精霊界随一の難攻不落の最強ダンジョンの支配しアダダダダダ!?
だから頭蓋骨を握るのは止めろと言ってるだろうが!!??』
調子に乗り始めたマスターを黙らすためにアイアンクローを決めて抑え込み俺は遊矢君に問う。
「私の代わりに説明してくれた事には感謝しますがあまり出しゃばり過ぎないで下さい。
それより遊矢君。まさかこの程度で君の『エンタメデュエル』は地に落ちるというのですか?」
「……『エンタメデュエル』?」
「私は君の『エンタメデュエル』がどれだけ成長しているのか見るために【ミミグル】を選んだんですよ?
ただ叩き潰すだけなら【クシャトリラ】でペンデュラムスケールを使用禁止にして終わらせてます」
「だけど、俺のデュエルは…」
先程からの馬鹿なやり取りもそうだし、さらりと容赦の無い台詞を吐いたのにも全く反応しない様子に俺は訝しみながらまさかと思いつつ確認を問うた。
「……もしかしてですが遊矢君、君は」
デュエルが嫌いになったのですか?
「……」
遊矢君は答えない。
しかし痛い程の沈黙の中で権現坂君達の浮かべる居た堪れないような表情から気の所為等ではなく遊矢君がそう思っても仕方ない経験をしたのだと察せてしまった。
「……遊矢君。
君が本当にデュエルが嫌いになったのならサレンダーしなさい。
そして『スタンダード次元』に戻り柚子さん達の帰りを待つべきです」
「それはっ!?」
「この先に待つのは『デュエルモンスターズを用いた殺し合い』です。
欲するものを得るために敵対者の尊厳を踏み躙り一切の希望を奪う『ひとでなし』だけが生き残れる生存競争です。
今の君がそんな場所に赴けばズァークの再来を招くだけですよ」
「デュエルは殺し合いの道具じゃない!」
「その考えは正しいですよ。
ですが、命懸けで山を掘る鉱夫を助けるために作られたダイナマイトが戦争で人殺しの武器として使われたように、カードの力は人を喜ばせることも命を奪うことも出来る『力』である事は事実なのです。
君が立ち向かおうとしている相手はカードを間違った使い方で人を傷付けることを厭わぬ手合です。
君が戦うべき相手ではありません」
「だからこそ俺はデュエルは人を笑顔にすることを証明するために戦わなきゃならないんだ!」
「その思想のためにユート君を道連れにするつもりですか?
君の命は君だけのものではありません。
今の君は君と融合してしまったユート君の命も背負っているんですよ」
「っ!?」
狡い言い方だと理解しながら俺は遊矢君の優しさに漬け込む。
「君はもう十分頑張った筈です。
そんなふうになるまで心を擦り減らしながらそれでもと戦い続けた。
だからもう休んでもいいのです。
心が弱った君が戦線離脱する事は恥でも誹られる事でもありません。
『スタンダード次元』に戻り、融合してしまったユート君を元に戻す方法を探すべきです」
戦いから逃げともいいのだと矢面に立つ以外にもやるべきことはあるのだと俺は遊矢君を諭す。
「柚子さんは私が用いれる汎ゆる力を行使してでも必ず君の下に連れ帰ると約束します。
だから遊矢君。君が目指したかった自分のデュエルが本当に出来なくなる前に引き返しなさい」
「俺の…やりたいデュエル…」
「そうです。
私の本来生きる次元ではデュエルは楽しいゲームであると同時に、命のやり取りさえかかることもある文字通り生死をもが決まる『決闘』でもありました。
だけど君が目指すデュエルとは人に笑顔を齎す『光のデュエル』なのでしょう?
ならば、この闇の縁から遠ざかり光の側に残るべきです。
踏み越えれば君は人に笑顔を齎す『光のデュエル』だけではなく、敗者は全てを奪われる『闇のデュエル』をしなければならなくなります」
「『闇のデュエル』…」
「闇そのものは悪ではありません。
深い眠りへと誘い癒し成長を促す『正しき闇の力』のように世界が正しく在るために必要な一要素に過ぎません。
ですが、『闇のデュエル』はそういった優しいものではありません。
何れ大人になれば否応なしに向き合う日も来るでしょう。
ですが君は、いえ、君達はまだ子供なのだからまだそんな世界を見る必要はないのです。
ですから遊矢君。君は引き返していいのですよ」
遊矢君は既に限界ギリギリだ。
ズァークの未だ晴れぬ怨嗟に焼かれ、世界の悪意に晒され、己のアイデンティティさえ見失いかけている。
このまま次元戦争に立ち向かい続ければきっと遊矢君は狂ったままの『ズァーク』を覚醒させてしまうだろう。
無論そうなれば全力で俺が止める。
時間軸が違おうとズァークは俺の友人だ。
友を救うのに何の躊躇もありはしない。
だが、そうならずに済む道が有るのならそれを勧めるに決まっている。
「……それは、出来ない」
だけど、遊矢君から返ってきたのは拒絶だった。
「白銀さんが俺を想ってそう言ってくれたのは十分伝わった。
俺がやりたいデュエルを認めてくれて本当に嬉しかった。
本音を言えば今すぐサレンダーして『スタンダード次元』に帰りたい。
母さんや、塾長や、アユムや、フトシや、タツヤ達皆に会いたい」
「ならば」
「だけど!」
涙を零しながら遊矢君は慟哭を零した。
「今帰ったら俺は本当にデュエルを嫌いになってしまう気がするんだ!!
大好きだった父さんのエンタメデュエルさえも嫌いになってしまいそうで怖いんだ!!」
「遊矢君……」
ふざけるなよ。
なんで遊矢君がこんな目に遭わなきゃならないんだ?
彼がズァークの分割された存在だからか?
だから行く事も引く事も怖いのに蹲る権利さえ奪われて当然だと言うのか?
赤馬零王、貴様にそんな権利が本当にあると思っているのか?
「……分かりました。
君が、自分が目指したい自分を目指せる自分で居続けるために絶望さえ救いになる道を逝くというのなら私は君のために次元戦争の決着までお付き合いしましょう。
私は【ミミグル・スローン】の効果を発動し【ミミグル・マスター】の装備カードとしてからエンドフェイズに移行します」
『小童の手勢を減らさんのか?』
「彼のレギュレーションにエクストラモンスターデッキからのペンデュラム召喚は体数制限がありません。
一体減らした所で戦況の変化はありませんよ」
『成程。小童共はまだ『マスタールール3』でやっておるのか』
「そういう事です」
マスターからの疑問に答え遊矢君へとターンを渡す。
「遊矢君。
君の想いは確かに聞き届けました。
そうであるなら私に示してください。
今はまだお父上の借り物であろうと『エンタメデュエル』が出来るということを私に証明してください」
酷な事をと言わせるこの世界と諸悪の根源への赫怒を裡に燃やしながら遊矢君にそう促した。
本当に遊矢君虐めも大概にしてよ原作!!
お陰でケアしようとすればするほど遊矢君がどツボに嵌って抜け出せないの描くしかなくなるんだよ!!??
ちなみになんですな、皆さんは【伝説巨神イデオン】ってアニメの映画本編見たことあります?