迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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アークファイブ一挙で執筆が遅くなりました…。(´・ω・`)


死神は嗤う狂宴の舞(14)

 デュエルディスクが待機状態へと移行するのを横目に俺は遊矢君へと歩み寄り右手を差し出した。

 

「対戦ありがとうございました。

 よもや【スマイル・ワールド】なんて扱いの難しいカードをフィニッシュに用いられるとは考えもしませんでしたよ」

「……こちらこそ、ありがとうございました」

 

 ぎこちない笑みでそう返しながら握手を交わしていると突如遊矢君へと権現坂君が飛びついた。

 

「すまん遊矢!!

 漢権現坂、いや、俺はお前の苦しみを理解していなかった俺は漢などと烏滸がましい!!

 だがすまない!!どうか俺を殴ってくれ遊矢!!」

「落ち着け権現坂!? 言っていることが滅茶苦茶だぞ!!??」

「うぉぉぉぉっ!! 遊矢ーーー!!」

 

 義侠心が強くずっと遊矢君と一緒に居たのにその胸の裡を理解出来ていなかった自分が許せないと権現坂君が漢泣きをしながら遊矢君に詫びる。

 青春だなぁと染み染み眺めていたが、放っておいたらいつまでも話が進まないかと声をかけようとすると先に動くものが居た。

 

「榊遊矢」

 

 必死に引き剥がそうとする遊矢君に零児君が近寄るなり服が汚れるのも厭わずいきなり土下座した。

 

「え? えぇ!?」

「すまなかった!

 私が榊遊勝の息子だからと盲信するあまり君には辛すぎる負担を強いてしまった事を詫びさせてくれ!」

 

 …もしかして、優勝の失踪の真相についてまだ話してないのか?

 

「どういう意味だ赤馬!?」

「三年前の榊遊勝の失踪。

 その真相を私は知っていながら君たち家族に黙っていたんだ!」

「父さんの!?」

 

 驚愕する遊矢君に権現坂君も泣くのをやめ零児君を見つめる。

 

「三年前のあの日、榊遊勝は勝負から逃げたのではない。

 赤馬零王を説得するために融合次元に単身向かったんだ」

「三年前!?」

 

 その言葉に黒咲君とカイト君が驚きを見せた。

 

「赤馬零児! 榊遊勝は『融合次元』に向かったのなら何故『エクシーズ次元』に居たんだ?」

「父さんがエクシーズ次元に!?」

 

 黒咲君、ユート君。君達は遊矢君にそれを話してなかったんですか?

 

 バァンッ!!

 

 いい加減言いたくなったので俺は思いっきり手を叩いて注目を集める。

 

「ちょっといいですか?

 君達、仲間だというなら情報の交換ぐらいもっとしっかりしてください。

 まず零児君。君からです」

 

 とりあえず土下座を止めさせ俺は零児君に確認する。

 

「無いとは思いますが一応確認させて貰いますよ?

 『融合次元』との会敵に当たり榊夫人ないし柊塾長に対して榊遊勝がやった事の説明義務は果たしていますよね?」

「……」

 

 なんで?と言わんばかりに目を丸くする零児君に俺は腹の底に感情を押し込んで諭す。

 

「まさかとは思いますが、遊矢君を招聘するに当たり圧力で従わざるを得ない状況に追い込んでたりはしてませんよね?」

「………」

 

 零児君は一筋の汗を流して視線を逃がした。

 

「………ちょっと失礼」

 

 あのさぁ、これ、遊戯王のアニメの話なんだよね?

 なんで中核がチーム内に不和を生む原因作ってるの?

 絆と友情で奇跡を起こしてきた作品の系譜がこのザマって、こんなん視聴させられるの拷問じゃね?

 

「わかりました。

 君に言わねばならない説教はまとめ直す必要があるので今は保留します。

 次に黒咲君とユート君。

 テーマカード等いくらでも共通点は見出せるのですから君達は流石に榊遊勝と遊矢君に関係があるかぐらいは確かめていますよね?」

『いや。していない』

「なぜそんな必要があるんだ?」

「……」

 

 ちょっとお前ら権現坂君以外全員歴代主人公達に土下座してこい。

 

「もういいわかりました。

 今の君達に色々と期待するのは止めておきましょう。

 このまま続けていたらハゲより先に君達に昭和式指導をしたくなります」

「「「「「昭和式?」」」」」

 

 馬鹿は殴って矯正は時代じゃないらしいからここは我慢だ。

 それに今はハゲをぶちのめして柚子さん達を救い出す事が何より先決。

 このフラストレーションは纏めてハゲに…

 

 怒りの矛先を諸悪の根源へと向けようとしていたらズシンズシンと地響きを立てながらこちらに向かってくる【古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)】を筆頭とした実体化したモンスターの軍勢が見えた。

 

「『アカデミア』の連中、実体化したモンスターで俺達を攻撃する気か!?」

「ボクはそんな命令出していないぞ!?」

 

 いつの間にか意識を回復させていたエド・フェニックスが驚愕する声も俺には遠く聞こえる。

 

「……」

 

 明らかに攻撃の意思を伺わせる【古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)】の接近に俺の中でプツンと音を点てて()()()がキレた。

 

「どいつもこいつも…」

 

 ビクリと背筋を震わせ俺に怯えた視線が向くが今の俺にはどうでもいい。

 

 遊戯と十代と遊星(友情と絆で世界を救った奴ら)に土下座しやがれぇぇぇえええ!!!!」

 

 赤いデッキケースを掴んで中身をディスクにセットしエクストラデッキから四枚を引き抜いて怒りのままに【召喚】した。

 

「来い!!【スケアクロー・トライヒハート】【ティアラメンツ・カレイドハート】【クシャトリラ・アライズハート】【マナドゥム・プライムハート】!!」

 

 幾つもの獣と混ざり合った体を持つ恐ろしい戦士。

 下半身が蛸のような軟体生物へと変化した悲嘆の戦士。

 赤い機械甲冑へと自らを作り変えた憤怒の戦士。

 そして【古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)】に匹敵する巨大な白い鎧を纏う戦士。

 四種四様の異なる姿を持つ同じ顔の戦士たちを前に俺は自らも実体化させた【月女神の鏃(アルテミット・スレイ)】を手に命令する。

 

「プライムハートは【古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)】を人がいない場所まで誘導してからブチのめせ。

 残りは燥いでる馬鹿共を死なない程度に黙らせてこい」

「俺に命令するな!」

 

 そう噛みつきながらもアライズハートが真っ先に【古代の機械】の軍勢へと吶喊した。

 

「随分気が立ってるねぇ?

 『騎士』に秒殺された事をまだ引きずっているのかな?」

 

 以前『騎士』にぶつけた際に『アライズハートは攻撃と防御に全振りして体力が低いので貫通バグで安定します』と速攻でハメ殺された事を揶揄しせせら笑うカレイドハート。

 

「お前はお前で『復活したタイミングで硬直するのでダメージバグを設置すれば起き上がり小法師になります』と残機を纏めて磨り潰されたでしょう」

「そこは使い手たるお前が私を扱いきれなかったのが悪い」

「いいから行きなさい」

 

 そう促すとカレイドハート達も軍勢へと向かっていく。

 

「支援射撃行きますよ!

 巻き込まれたら笑い者にしますからね!」

 

 そう言って番えた【月女神の鏃(アルテミット・スレイ)】を解き放ち【古代の機械(アンティーク・ギア)】の陣形を崩す。

 

「命なき魂宿しガラクタ共よ、魂に潜む恐怖を呼び覚まし怯え震えろ!!

 そして自死するがいい!!」

 

 【月女神の鏃(アルテミット・スレイ)】の着弾で開いた陣形の真ん中に飛び込んだ【スケアクロー・トライヒハート】の混ざり合った獣が一斉に吠え、その声を聞いた【古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)】達がブルブルと震えながら泣き叫ぶように嘶き倒れ伏す。

 

「躾のなっていない飼い犬だな!

 飼い主に代わって教育してやろう!!」

 

 【ティアラメンツ・カレイドハート】がまるで海中を泳ぐ蛸のように異形の下半身で滑るように駆け抜け先端が銛のように鋭い刃となった鞭を振るうと、一度に幾体もの【古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)】の首が落ちまるで伏せを命じられ従うように擱座する。

 

「雑魚どもが!!

 侵略を目論むなら一撃程度は耐えてみせろ!!」

 

 抜き放った刃が一度振るわれるだけで十体以上の【古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)】が斬り伏せられ更に拳を薙ぎ払うだけで更に十体以上が吹き飛びジャンクに成り果てる。

 

「君は主に従っているだけなのは分かっている。

 だけど、君がこの世界に居るだけで多くの悲しみを生む。

 だから君はあるべき世界に帰るんだ!」

 

 周辺被害を気にしなくていい場所まで【古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)】を誘導した【マナドゥム・プライムハート】が必殺の蹴撃を叩き込み【古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)】をこの世界から消滅させる。

 

「何だよこれは!?

 なんで百体以上のモンスターがたった四体に負けるぶべっ!?」

 

 あまりの殲滅速度に無双系ゲームを彷彿する光景に叫んだ『アカデミア』の一人がアライズハートに吹き飛ばされた残骸に押しつぶされ悲鳴を上げる。

 そうする間にも四体の進撃は留まることを知らず、『アカデミア』が放ったモンスター達が全て消え去るまでに十分と要する必要さえなかった。

 

「最終警告だ。

 デュエルディスクを放棄して投降しろ。

 聞き入れない場合生命の保証はしない」

 

 四体のヴィサスの欠片達に包囲させて宣言すると先の光景に恐れ慄いた『アカデミア』の兵士達は命惜しさに我先にとデュエルディスクを投げ捨てていく。

 

「まだだ!俺とデュエルで「カレイドハート」ギャァァァ!!??」

 

 その中でまだ戦意を切らしていなかったらしい一人が()鹿()()()()()を口走ったのでカレイドハートに痛めつけさせて黙らせる。

 

「先に殺し合い(ディアハ)を持ちかけた分際で今更デュエリストを気取るな塵が」

 

 そう吐き捨て俺はデュエルディスクごと男の腕を踏み砕いた。

 

「ギャァァァァァァァァッ!!??」

 

 腕を踏み砕かれ砕けたパーツが突き刺さる痛みに壮絶な絶叫を上げるが、俺は頭を蹴って気絶させ淡々と吐き捨てる。

 

「次は誰がこうなりたい?」

 

 自分達がどういう立場に立っているのかようやく理解した兵士達は必死になってデュエルディスクを投げ捨て命乞いをするように地に伏していく。

 

「おい、そこのお前」

「ひっ!?」

 

 適当な一人に声を掛けると怯えた様子で短い悲鳴を零す。

 

「この中に医療技術を持つ者は居るか答えろ」

「えっ…そ…「私は衛生兵です!!」

 

 怯えて言い淀むそいつに変わり一人の少女がそう名乗りを挙げた。

 

()()の治療をしてやれ。

 お前の腕がまともなら腕を切り落とさずに済むだろう」

「あ…ありがとうございます!!」

 

 本来はこんな場所に来るはずも無い優しい娘なのだろう。

 俺の許しに感謝を告げて気絶した兵士の治療に入る。

 

「他に医療に覚えがある奴がいるなら手伝ってやれ。

 それ以外は大人しくしていろ。

 そうしている間は命の保証は約束してやる」

 

 そう言い捨て俺はデュエルディスクを全て回収し監視をモンスター達に任せ遊矢君の元へと戻るのだった。




一挙で漸く理解した。

 ランサーズって、どいつもこいつも仲間意識を育てようとか友情を育もうって意識が無さぎるんだよね…。
 なんていうか、目的地が一緒で協力出来る顔見知り?
 それ以上に関係を進めようって意識が全く見えないからすっごくイライラする。
 黒咲は榊遊勝と遊矢でテーマカードとか繋がりは容易に見えるのに確かめようという気配もないし、零児は発言の一々が信用を損なうものを意図してるとしか思えないレベルだし、権現坂は遊矢のためで動いてるけど周りを良くする意図はないし、遊矢はスマイルワールド決めたせいで現実見えなくなってるし、沢渡は沢渡だし、誰もが常時自分の考えありきで報連相も適当だからお前ら本気で徒党を組んで戦争止める気あるの?って思うし遊矢がズァークに覚醒したのも宜なるかなとしか思えない。
 
 後、キレた執事が遊馬大先生を挙げてないのはゼアル関連のキャラを全く知らないからです。
 
 知ってたら全員狼狽えるな小僧どもと車田落ちを食らわせてましたよ。

 次回からはランサーズの意識改革と本格的にエクシーズ編破壊しにいきます。
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