迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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一挙放送で見直してみたらこの時点だと柚子はまだアカデミアに居なかったんでしたね…。


悪魔は嗤う人の業(4)

 

「なっ!?」

「これは…!?」

「抜けねぇっ!?」

 

 完全な不意打ちに混乱する中愉快げな笑い声が俺達の耳朶に響いた。

 

「凄い凄い!リアルソリッドビジョンはモンスターを実体化させる以外にも本当に使えたんだ!」

 

 興奮を抑えきれない様子で燥ぐ声を俺は知っていた。

 

「ユーリ!!??」

 

 デュエルディスクを展開したユーリが不思議そうに首を傾げる。

 

「おじさん誰?

 僕と会った事あったっけ?」

 

 本当に分からないという態度に改めて此処に居る彼等が俺の知る彼等とは別人なのだと思い知らされる。

 

「まあいいや。

 でも迂闊だよね?

 敵の拠点を制圧したらもう裏切り者は居ないなんて考えてたのかな?」

「…成程。完全に圧し折ってやったつもりでしたが、詰めが甘かったようですね」

 

 【世懐】による徹底的な制圧盤面を突きつけアーゼウスの火力を見せ付けることで完全に圧し折ったつもりだったが、いらん所でガッツを発揮した奴が密告したようだ。

 報いは必ず受けさせると殺意を溜め込みつつ零児に告げる。

 

「作戦は失敗です。

 プランCに移行します」

「分かった」

 

 元より計画通りに進むとは考えていなかった。

 沢渡君達が転移装置の防衛に失敗する。

 遊矢君達が確保に失敗する。

 そう行った場合を想定しその際にどうするかは既に共有してある。

 流石に背中から刺されるのは予想外であったが、全てのラインが破綻した場合も想定済みだ。

 

「使うなら完全に行動不能にする【闇の護封剣】にするべきでしたね!

 【緊急テレポート】!!」

 

 服に仕込んだ緊急手段を躊躇なく切って上空五千メートルを指定し全員をこの場から離脱させる。

 

「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」」」」」

 

 突然空の上に跳ばされいきなり始まった命綱無しのバンジージャンプに遊矢君達が悲鳴をあげる。

 

「来なさい【天霆號(ネガロギア)アーゼウス】!!」

 

 カードにデュエルエナジーを注ぎ全長十メートル以上の巨体の姿で実体化したアーゼウスが空中で全員を受け止める。

 

「うがっ!?」

 

 体勢が悪く顔面から着地した沢渡君が悲鳴を漏らすが他の面々は無事にアーゼウスに受け止められ安全を確保する。

 

「全員無事ですね?」

「俺は無事じゃねえっ!!」

 

 沢渡君が喚くがまだ元気そうなので無視して眼下に視線を向ける。

 『アカデミア』では警報が鳴り響き厳戒態勢に移行しようとしているところだ。

 

「此処からどうするつもりだ白銀!

 それに裏切り者が居るなら『エクシーズ次元』への再侵攻も」

「まともな戦術官が居るならまずあり得ません」

 

 一旦は取り戻した平和が再び奪われそうだと焦る黒咲君を諭すように俺は説明を開始する。

 

「裏切り者が居るというなら私の情報は奴らは把握しているということです。

 逆に聞きますが黒咲君はリアルソリッドビジョンで実体化した100体以上のモンスターを単騎で壊滅せしめた私を放置して『アカデミア』の防衛戦力を削いだり出来ますか?」

「…つまり、貴様がいる限り『エクシーズ次元』は安全だと?」

「絶対とは言い切りません。

 ですがオベリスク・フォースを始めとした精鋭の大半は此方に拘束されるはずです。

 口惜しいですが一度陸地に下がり態勢を整えます」

 

 『アカデミア』の戦術兵器相当だろう【古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)】さえ案山子同然に打ち倒してやったのだ。

 そんな化物が虎視眈々と牙を剥いているのに呑気に他所の次元で戦争ごっこなんかしていられまい。

 

「なんか来たぞ!!??」

 

 眼下を伺っていた沢渡君の声に確かめるとアーゼウスの姿を見付けた『アカデミア』から【古代の機械(アンティーク・ギア・)熱核竜(リアクター・ドラゴン)】を中核とした飛翔可能な【古代の機械(アンティーク・ギア)】モンスターが編隊を組んでこちらに向かって上がってくるのが見えた。

 

「仕方ありません。

 私が囮となって注目を集めている内に離脱してください。

 黒咲君。君の手持ちに全員を運べる大型モンスターありますか?」

「最大サイズで実体化させた【RR-レヴォリューション・ファルコン】なら行けるはずだ」

「ではお願いします」

 

 そう言うと黒咲君はランクアップマジックを経由した正規の手順を踏んで召喚で【RR-レヴォリューション・ファルコン】を実体化させる。

 

「早く乗り移り離れて下さい!

 間もなくこの空域は戦場になります!」

 

 そう急かして全員がレヴォリューション・ファルコンへと乗り移ると振り落とさないよう気を遣った軌道でアーゼウスから離脱し遠くに見える埠頭へと向かう。

 一部の【古代の機械(アンティーク・ギア)翼竜(ワイバーン)】がレヴォリューション・ファルコンへと機首を向けるが、

 

「やらせませんよ!!」

 

 コクピットに乗り込み武装を展開して黒咲君達を狙おうとした【古代の機械(アンティーク・ギア)翼竜(ワイバーン)】を撃ち抜き爆散させる。

 

「余所見をする暇など与えません!

 アーゼウス、全武装をアクティブに移行!

 派手に暴れて注目を集めます!」

 

 遊矢君達への支援も兼ねアーゼウスの全兵装を展開する。

 

「ターゲットマルチロック。予想射撃ラインの人的及び被害確認。全砲門斉射!!『神滅の雷火(ネガロギア・カタストロフ)』!!」

 

 正面から迫りくる敵へと向けられた星さえ焼き尽くす火砲が幾条も放たれ空中に爆発の閃光が発生する。

 

「第一陣の壊滅確認!第二、第三波の反応多数!

 さあここからが貴方の雛壇ですよアーゼウス!

 宇宙間戦争で英雄となった貴方の力、骨董品共に見せつけてやりなさい!!」 

 

 無数の敵の群れに向け背中のスラスターを蒸しアーゼウスは吶喊した。

 

 

〜〜〜〜

 

 

 後方に遠ざかっていく【古代の機械(アンティーク・ギア)】軍団対アーゼウスの激闘を見届けながら遊矢達は陸地へと到着しようとしていた。

 

「あそこを見ろ遊矢!!」

 

 権現坂の指差す先を見た遊矢は反射的に叫んでいた。

 

「柚子!!」

 

 その声に顔を上げレヴォリューション・ファルコンの背に乗る遊矢達の姿を見た柚子もまた喉を震わせ叫んだ。

 

「遊矢!!」

 

 やっと逢えた感動に身を震わせる遊矢に向け黒咲は言う。

 

「着地するにはあの場所は狭過ぎる!!

 俺達はお前達を降ろした後埠頭に引き返す。

 お前達は柚子を連れて合流しろ!!」

 

 最大サイズで実体化させたレヴォリューション・ファルコンを着陸させるのは難しいと判断し遊矢達が飛び降りれるギリギリまで高度を下げ速度を落とす。

 

「行け遊矢! 柚子を取り返して来い!」

「ああ!」

 

 零児の声に背を押され遊矢がレヴォリューション・ファルコンから飛び降りた。

 

「俺達も行くぞ沢渡!」

「無茶言うな!」

「いいから来い!!」

 

 喚く沢渡の首根っこを掴み権現坂も遊矢を追ってレヴォリューション・ファルコンから飛び降りた。

 

「柚子!!」

「遊矢!!」

 

 もう少しで触れ合える。

 その気持ちに頭が一杯になった遊矢を邪魔するものが居た。

 

「ホゥワタァァッ!!」

 

 横からの不意打ちに耐えきれず倒れ込んだ遊矢に覆い被さる影。

 

「ガハッ!? お、お前は!?」

「自分の事を覚えているか?」

 

 それは『スタンダード次元』で遊矢が戦った『勝鬨勲』であった。

 

「俺はお前の事を忘れたことは無い。

 お前をずっと待っていた」

「勝鬨…」

 

 淀んだ瞳で遊矢を睨みながら勝鬨は嘯く。

 遊矢に敗北し、梁山泊塾の名声を穢したと叱責を受け無いものとして扱われ、遊矢との再戦に誘う『デニス・マックフィールド』の提案を受けた事を語った。

 

「そして自分はここに来た!

 お前を倒し、闇より暗い日々から抜け出す為にな!」

「っ!」

 

 復讐心に燃える勝鬨に言い返そうとした遊矢だが、そこにデニスの言葉が突き刺さる。

 

「じゃあ勝鬨、後は頼んだよ」

「デニス!!」

 

 権現坂の声に気軽にデニスは返事を返した。

 

「やぁ。久しぶりだね権ちゃん」

「お前、黒咲の妹の瑠璃が攫われた件にも関わっていたように柚子も攫う気か!」

 

 へらへらと軽薄な笑みを浮かべ何も答えないデニスに沢渡も詰問を投げる。

 

「さっさと答えろ!

 序にセレナの居場所も吐いてもらうぜ!」

 

 先ずは柚子の確保が最優先だが、居場所が把握出来るなら情報だけでも回収しようて問い質す沢渡。

 しかしデニスは二人の問いをまったく相手にしないで飄々と嘯いた。

 

「悪いね。僕はこれから他に用事があるからさ」

 

 そう言って指を弾くと『アカデミア』の下級デュエリスト達が権現坂達を包囲した。

 

「じゃあ後は宜しく」

 

 そう言い残しその場を去っていく。

 

「こら! 待ちやがれ!」 

 

 沢渡の静止も意味を成さず、包囲していた『アカデミア』の一人が二人に提案を持ちかける。

 

「柊柚子を此方に渡せ。

 大人しく渡すならお前達は見逃してやる」

「柚子!」

 

 二人が簡単に負けるとは思わないが十人近い相手を同時に相手にするには分が悪すぎると勝鬨に告げる。

 

「退いてくれ勝鬨!

 俺とデュエルがしたいなら柚子を安全な場所に連れて行ってから幾らでも相手にしギィッ!?」

 

 最後まで言い切る前に押さえつけた腕を強く掴み勝鬨は言う。

 

「許さん。今すぐ俺とデュエルをするんだ!」

「遊矢!」

 

 苦悶の声を上げる遊矢に思わず柚子が悲鳴をあげる。

 

「デュエルをしてやれ遊矢!

 柚子は俺達が渡さん!」

「応よ。白銀に借りたあのカードの使い勝手を確かめられるいい機会だぜ!」

 

 恐れを見せず真っすぐ宣言する権現坂と、寧ろこれぐらいは小手調べに丁度いいと不敵に笑う沢渡に柚子も遊矢に語り掛ける。

 

「私は大丈夫だから戦って遊矢!

 権現坂も居るし私も戦える!

 だから遊矢は自分のデュエルを!」

「俺もいるだろうが!」

 

 さらりと無視され喚く沢渡を横目に遊矢は意を決して勝鬨に告げる。

 

「分かった。今すぐデュエルを受けてやる」

 

 力強く見返す遊矢の視線に勝鬨は好戦的に笑うと遊矢を解放してデュエルディスクを展開する。

 

『本当に戦うのか遊矢?』

「ああ。多分これは、俺にも責任があると思うから。

 それに…柚子が側で応援してくれているんだからデュエルから逃げない!」

 

 白銀から教わった戦う理由と共に父のエンタメデュエルを貫く事が叶わず、『覇王』の意思に呑まれただただ暴力に支配されたデュエルで倒した事が彼を狂わせた一端であると遊矢は清算のためにデュエルディスクを起動する。

 

『フィールド魔法【クロスオーバー】展開』

 

 遊矢のディスクに搭載されたアクションフィールドを呼び出すカードが発動し、二人は同時に宣言する。

 

「「デュエル!!」」




このままハゲ撃破RTA続けると当初の着地点がプロットごと燃え尽きるのでちょっとオリチャー挟みます。

そしてなんでこんなポンしてたか一挙放送を見返して理解した。
海賊船の降りはいくらなんでもこの展開は無いで記憶から消してたんだ俺。

勝鬨戦とデニス戦どうしよう?
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