迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「先行は俺様が貰うぜ!」
先行を得たキャプテン・ソロがフェイズ開始を宣言するのを何の感慨も浮かばず眺める。
俺の手番は『2』。
2ターン目から攻撃可能というバトルロイヤルルールとしては糞以外の何も言えないレギュレーションがあるから取り巻きから潰そうと考えつつデッキ考察に入る。
(海賊を名乗るからには海賊に関連したテーマか?
となると【海造船】ぐらいしか思い当たるテーマがないんだが、あれはリンクモンスター前提の全特殊召喚複合テーマだから違うだろうし、海洋生物モチーフのモンスターテーマか海賊=船幽霊の連想からアンデッドテーマ辺りか?)
「俺様は手札から魔法カード【融合】を発動!
手札の【海賊船スカルブラッド号】と【スカル・ナイト】を墓地に送り融合召喚する!
赤き髑髏の魔界の船よ! 闇に潜みし髑髏の騎士よ! 今ひとつとなりて伝説の海賊王を呼び覚ませ! 融合召喚! 出でよ!【キャプテン・ロック】!」
【キャプテン・ロック】
融合・効果モンスター
星6/水属性/悪魔族/攻 0/守 0
「海賊船スカルブラッド号」+「スカル・ナイト」
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いに手札からモンスターを召喚・特殊召喚・セットできない。
②:フィールドに攻撃力1000以上のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。
現れたのは両手が南京錠と鍵のような剣と鉤爪を取り付けられたアンデットモンスターだった。
……何だこの凄まじく使いづらいモンスターは?
自分もロックされる上に自壊条件に自分まで含むとかロービートでもそうは使えないぞ?
いやまさか【メタトークンビート】か?
マニアックな上にネタ満載なモンスターに呆れていると取り巻き共が燥ぎだす。
「来たぜお頭のエースモンスターだ!!」
「これでテメエはもう何も出来ねえぜ!!」
いや、壁も喚べないのはお前らも同じだろ?
ああ、もしかしてコイツらは壁をトークンに依存する【魔法罠バーン】か?
だとしたらキャプテン・ソロに並んでのバトルロイヤルルールに参加する意味もあるな。
「更に手札から装備カード【パワー・ピカクス】を装備させカードを一枚伏せてターンエンドだ!」
【パワー・ピカクス】
装備魔法
1ターンに1度、装備モンスターのレベル以下のレベルを持つ、
相手の墓地に存在するモンスター1体を選択してゲームから除外し、
エンドフェイズ時まで装備モンスターの攻撃力を500ポイントアップする事ができる。
鍵型の剣が機械爪に置き換わるが、相手ターンにも発動出来ないせいでこれまた使いづらいカードだ。
いや、まあ、よく考えてるのは分かる。
ロックで手札をあぶれさせてモンスターを落としたらそれを除外してちまちま嬲り殺しにする。
おそらくは【ウイルス】罠カードなんかも導入して相手手札のモンスターを強制的に墓地に送るカード等も入っているはずだ。
そういうコンセプトなのは伝わった。
「俺のターン。ドローフェイズ。ドロー」
引いてきたのは【おろかな埋葬】。
そして手札は、
【宝玉獣エメラルド・タートル】
【スケアクロー・ライヒハート】
【隣の芝刈り】
【クシャトリラ・スケアクロー】
【ティアラメンツ・クシャトリラ】
二タテは確定。
芝刈りが上振れてくれれば三タテも可能か。
「スタンバイフェイズからメインフェイズへ移行。
さてと、」
「くくくお前に何も出来はないだろう?
さっさとターンを渡しな!」
余程自信があるらしい発言に正直にごちてしまう。
「驚いた」
「あん?」
「たかが手札召喚を禁じただけで勝った気になってるお前の脳味噌の出来に驚いたって言ってんだよ」
お前達には当面の間落ち着くためのサンドバッグになってもらう。
「手札から魔法カード【おろかな埋葬】発動。
チェーンはあるか? …無いみたいだからデッキから【ティアラメンツ・ハゥフニス】を墓地に送る。
送られたハゥフニスの効果を発動。
このカードと手札フィールドのカードをデッキに戻しエクストラデッキから融合召喚を行う。
チェーンはあるか?」
「墓地のモンスターをデッキに戻して融合だと!!??」
「無いようだな。
ならばハゥフニスと手札の【宝玉獣エメラルド・タートル】をデッキに戻し融合召喚。生前葬を唄えキトカロス。
融合召喚。レベル5。【ティアラメンツ・キトカロス】」
フィールドに数多の泡が生じ、それが集い光を放つと儚げな人魚の乙女がフィールドに現れた。
「召喚時効果発動。
デッキから【ティアラメンツ・シェイレーン】を手札に加える。
そしてフィールドに攻撃力1000以上のモンスターが存在するためキャプテン・ロックは自壊する」
制約を破壊されボロボロと崩れていくモンスターの姿にキャプテン・ソロはあわてふためく。
「こ、こんな簡単に俺のキャプテン・ロックが!!??」
「魔法カード【隣の芝刈り】を発動。
現在の俺のデッキ枚数は54枚。
お前達のデッキの中で一番枚数の多い数値になるまで上から墓地へ送る。
40枚構築ならば三人共残りデッキ枚数は35枚のはず。
35枚以上ならば申告しろ」
「「「……」」」
三人とも顔を引き攣らせるばかりで何も言わない。
「35枚で相違ないみたいだな。
ならば19枚を墓地に送る」
デッキの上からごっそり引き抜き墓地へと送り出し即座に発動可能な効果を発動一覧で表示する。
「さて、デッキから楽しいカードが沢山落ちてくれたようだ。
発動した効果が多くて少しばかり掛かるが、まあ
そう、今にも逃げ出しそうなほど腰が引けたこいつらに向け
〜〜〜〜
白銀がデュエルを開始した頃、【
「セレナ、なんで俺達を裏切ったんだ…」
「そんな訳あるか!
アイツが裏切るだなんて」
「だが、白銀がいなければ今頃柚子を奪われていたかもしれないんだぞ!」
「二人とも止めて!」
ぐちゃぐちゃになった感情を抑えきれずめいめいに声を荒げる彼等に苛ついた様な声が叩き込まれた。
『俺の中でグチグチ喚くな!
鬱陶しいんだよ!』
「なんだと!?」
優しさの欠片も感じられない言いように沢渡の感情の矛先がそちらへと向く。
「どこに居やがる!
隠れてないで出てきやがれ!」
「待て沢渡。
声の主は先程『俺の中で』と言ったぞ?」
「俺の中?
…まさか!?」
3人は【スケアクロー・ライトハート】とのやり取りを思い出し、声の主が白銀が呼び出した船そのものの声なのではないかと思いいたりばらばらの方向に視線を向ける。
「どうしたの遊矢?
何かわかったの?」
「それを今から確かめてみる。
大丈夫だとは思うけど俺から離れるなよ」
そう言って遊矢は柚子を引き寄せると上を見上げ【
「お前は白銀さんが呼び出したこの潜水艦なのか?」
遊矢の問いに馬鹿にしたようにも聞こえる声で【
『そうだ。グズグズしていた割に少しは頭が回るようだな』
「なによさっきから!
第一リアルソリッドビジョンのモンスターがどうやったら会話が出来るっていうのよ!?」
キツイ言葉の数々にカチンと来た柚子がそう問い質すと【
『ふん、あんな中途半端な方法で呼び出された奴等と俺を一緒にするな』
ピシャリと否定する言葉に柚子は困惑して遊矢に助けを求める。
「リアルソリッドビジョンじゃない…?
遊矢、どういう事なの?」
「詳しい事は俺達にもよくわからないけど、白銀さんはリアルソリッドビジョン以外の方法でモンスターを実体化出来るみたいなんだ。
そうやって喚び出したモンスターは自分の意志で今みたいに色んな事が出来るらしい」
「え、えぇ…?」
信じがたいとは思いながらも遊矢の言うとおりでなければ説明が着かないことが多過ぎてなんと言っていいか柚子は分からなくなった。
「それはそうとえっと…」
『俺の名前は【
呼びづらければネフィルで構わん』
「ならばネフィルよ。
白銀はまだ来ないのか?」
遊矢達が回収されてから既に十分以上。
流石に遅過ぎはしないかと問う言葉にネフィルは呆れた様子で答えた。
「まだ自分のターンを続けている。
気になるなら見せてやるよ」
そう言うとモニターの1枚が映像を映した。
『さあてようやく墓地効果が終了したから展開を続けるぜ。
俺は墓地の【救いの架け橋】を除外して効果を発動!
デッキから【宝玉獣エメラルド・タートル】と【
次いで墓地の【亡龍の戦慄-デストルドー】の効果を発動!
ライフポイントを半分支払いフィールドの【ティアラメンツ・キトカロス】を指定しそのレベル分自身のレベルを下げた状態で特殊召喚!
その後フィールド魔法【
発動時にデッキから【ヴィサス=スタフロスト】を手札に加える!
手札から【スケアクロー・ライヒハート】を通常召喚!
召喚時効果発動!デッキから魔法カード【
サーキット展開!【スケアクロー・ライヒハート】をリンクマーカーにセット!
召喚条件は【スケアクロー】モンスター一体!
リンク召喚!リンク1!【スケアクロー・ライトハート】!
更にレベル4【ライトロード・ビースト・ウォルフ】とレベル4【妖精伝姫シラユキ】にレベル2となった【亡龍の戦慄-デストルドー】をチューニング!
来たれ白百合の騎士!無情なる蹂躙の時は来たれり!シンクロ召喚!レベル10!【フルール・ド・バロネス】!!
更に更に!手札の【ティアラメンツ・シェイレーン】の効果発動!自身を特殊召喚してから手札の【ティアラメンツ・クシャトリラ】を墓地へ送りデッキから三枚枚墓地に送る!
この時墓地に送った【ティアラメンツ・クシャトリラ】の効果を発動!更に二枚墓地へ送る!
ちっ!全部ハズレか!なら【ティアラメンツ・キトカロス】の効果を発動!
自身を墓地に送り墓地から【ティアラメンツ・クシャトリラ】をフィールドに特殊召喚させる!
墓地に送った【ティアラメンツ・キトカロス】と特殊召喚した【ティアラメンツ・クシャトリラ】の効果を発動!
合計八枚墓地に送る!
来た!墓地の【ライトロード・ビースト・ウォルフ】を特殊召喚した後【ティアラメンツ・レイノハート】の効果を発動!自身を特殊召喚し手札の【ティアラメンツ・ハゥフニス】を墓地へ送る!
その後レイノハートとシェイレーンでオーバーレイ・ネットワークを構築!
来い!望む未来を掴むため無量の時の流れに抗う者!エクシーズ召喚!ランク4【クロノダイバー・リダン】!
リダンの効果を発動!
エクシーズ素材を一枚取り除き自身をエンドフェイズまで除外する!
効果で墓地に送られた【ティアラメンツ・シェイレーン】の効果を発動!
墓地の自身と【ティアラメンツ・キトカロス】をデッキに戻し融合召喚する!
来たれ虐げられし運命を終わらせる戦乙女!
融合召喚!レベル8!【ティアラメンツ・ルルカロス】!!
更に墓地の7枚のカードを除外して再び【妖精伝姫シラユキ】を墓地から特殊召喚!
その後【ヴィサス=スタフロスト】の効果を発動!
フィールドの闇属性獣戦士族の【スケアクロー・ライトハート】を破壊して自身を特殊召喚する!
その後墓地のライトハートの効果を発動!
フィールドに【ヴィサス=スタフロスト】が居るから自身を特殊召喚!』
「「「「……」」」」
地獄だった。
理解は彼方に消え去るほどの地獄絵図が広がり、それでも飽き足らないと言わんばかりに地獄を上塗りする無限地獄が唯只管繰り返されていた。
『あの様子だと後30分は展開が続くだろう。
そこに居ても冷えるだけで風邪を引きかねないからな。
休憩室まで誘導してやる』
「「「「お願いします」」」」
そういう事になった。
次回はデュエル終了後からになります。