迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
ドクトルの登場と共に赤馬零王の背後にカプセルに閉じ込められた状態で柚子さん達4人の姿が赤馬零王の背後に現れる。
「準備は既に整いましたプロフェッサー」
「うむ」
渦巻く感情の波を沈めただどう殺そうと考えながら赤馬零王とドクトルの戯れ言を聞き流す。
「プロフェッサー、ここは私にお任せください。
今度こそ榊遊矢を倒し、あの白銀ユウタも倒してご覧に入れます」
厭らしく笑うドクトルに『ズァーク』の片鱗を覗かせた遊矢君が拳を強く握る。
「榊遊矢に入った虫が何処に消えたのか解明する為にもクィーンを仕込んだ彼女達で実験させて頂きたいのです」
「控えろドクトル。
お前如きがあの二人に勝てると思うな」
とち狂ってもまだ実力差程度は認識出来ているらしい赤馬零王がそう嗜めるもドクトルは一歩も引こうとはしない。
「勝てない? 貴方はこの天才科学者ドクトルに不可能があるとお思いなのですか?
僭越ながら私の頭脳は『アカデミア』随一と自負しております。
そして榊遊矢だけでなく白銀ユウタのデッキの弱点は既に把握して対策を済ませています。
なにより私の知能の高さは誰もなし得なかったモンスターによる人体操作を実現させた事で立証されている!
私がパラサイト・フュージョナーを開発したのはリアルソリッドビジョンの可能性を追求するため!
貴方も同じ科学者ならお分かりになるはず!
ここに挑戦すべき研究テーマがあるなら何処までも突き詰めてみたいと思うのが研究者の在るべき姿というもの!」
ヤーナムの神秘狂いとか『TeamR−type』みたいな倫理観を投げ捨てて好奇心で突っ走るこういう手合いのイカれ野郎はどの世界にも一定数要るよな。
「そうだ。私も嘗て同じ事をした。
自分の興味の赴くままリアルソリッドビジョンに命を与えようと。
その結果悪魔の誕生に手を貸してしまった」
そう言うとデュエルディスク取り出し装備するとをドクトルに向ける。
「君の考えは危険だ」
こいつ、用済みとなったドクトルを始末する気か?
「ヒィィッ!?」
「待て止めろ零王!!??」
榊遊勝の言葉に耳を貸すことなく赤馬零王はドクトルをカードにしてしまった。
「ドクトルが…そうだ!柚子!」
ドクトルがカードにされた事で柚子さんの洗脳も解けたのではとカードを拾いながらそちらを見ると、柚子さん達の目に意思の光が宿る。
「う…ゆう、や?」
そしてパラサイト・フュージョナーから解放されたのは柚子さんだけではない。
「…え?」
「ここは、何処?」
瑠璃さんやリンさんにセレナさん達も正気を取り戻す。
「良かった…正気に戻ってくれたんだな…」
さて、そろそろいいだろう。
「やれやれ。貴方はつくづく愚かしいですね赤馬零王」
デュエルディスクを展開しながら俺は注目を集めるためにわざと声を大きくそう詰る。
「なんだと?」
「用が済んだらはい退場?
それが赦されると本気で思っているのですか?」
そう言いながら俺はドクトルのカードをモンスターゾーンに乗せる。
「『カード化』解除」
操作を受けカードが消えると『カード化』されたドクトルが人間の姿に戻る。
「わ、私は一体!?」
「馬鹿な!!??
カードにした人間を元に戻すだと!?」
できると聞いていた遊矢君と柚子さんと零羅君以外の全員が信じがたいとばかりに驚愕する。
「『精霊界』、私が住まう世界では『カード化』は更に技術的発展を遂げ物資搬送や医療トリアージなど生活を豊かにする技術として活用されています。
ええ。これに関しては貴方の気付きは素晴らしい発見だったと褒めて差し上げますよ」
「成程!確かに重症の患者をカード化すれば怪我による失血死や病状の進行を防げる!」
『カード化』の平和的運用法を前に喜色笑む遊勝に対し赤馬零王は更に警戒を高める。
「白銀ユウタ。何故ドクトルを元に戻した?」
「一つは『カード化』が貴方達だけの武器では無いというデモンストレーション。
そしてもう一つ。興味が湧いたのですよ」
ドクトルに対峙しながら俺は嘯く。
「興味だと?」
「私の持つデッキの中でも最強格に並ぶ【世壊】をどう攻略しようというのか、その策が何か興味が出ました」
まあ、大体予想は着いているがドクトルを処刑する大義名分としては十分だろう。
「選びなさいドクトル。
再びカードになるか私に処刑されるか。
自身の末路を選ぶ権利をあげましょう」
「ひ、ひひ、ヒヒヒヒヒヒ!!
私を試そうと!? この『アカデミア』1の天才たる私に不可能等存在しないのだ!!」
死の恐怖で感情が制御を無くしかけているのか笑いながら怒りドクトルはデュエルディスクを装着して展開する。
「「デュエル!!」」
デュエルの開始と共に俺の中で隔離されていた怒りが吹き出し口調から丁寧さが消える。
「先行はくれてやる」
何もしないとは言わないがな。
「その傲慢を後悔しろ!
私のターン!」
「スタンバイフェイズに手札から【ディメンション・アトラクター】を墓地に送り効果を発動。
次のターンエンドまでお互いの墓地に送られるカードは全て除外される」
【ディメンション・アトラクター】
効果モンスター(制限カード)
星6/闇属性/魔法使い族/攻1200/守2200
(1):自分・相手ターンに、自分の墓地にカードが存在しない場合、
このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
次のターンの終了時まで、墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
「な…」
「どうした? チェーンがあるなら宣言しろ」
「何を考えている貴様!!??
貴様の使うカード群は墓地利用を多用するのにそれを自ら封じる等!?」
「
手がもがれた。
足も切り落とされた。
それでもなお首だけで噛みつき喉笛を噛み千切るのがこのデッキだ。
そこまで貶められ引きずり落とされなければ他のテーマに同じ土俵に上がることを許さなかった【ティアラメンツ】を擁するのが【世壊】だ。
さあ、チェーン宣言が無いなら此方が宣言するぞ?」
「…此方が使う効果は、無い!」
俺の言葉にドクトルは慄きながらもそう宣言を返す。
「ならばアトラクターにチェーンして手札から【増殖するG】を墓地に送り効果を発動。
このターン中の特殊召喚にされる度に追加ドロー一枚。
チェーンは?」
「ぐぬぬ。それも通る!」
「ならば逆順処理により【増殖するG】の効果の後に【ディメンション・アトラクター】の墓地へ送る事を禁じる効果が適用する」
俺の後ろにローブを着込む魔道士が現れ頭上に虚無への道を開き、俺とドクトルを無数の『ヤツラ』が包囲する。
『『『『キャアアアアアア!!??』』』』
『ヤツラ』の大群に柚子さん達から悲鳴が上がるが今は無視で。
「こちらはスタンバイフェイズにやる事は以上。
改めてどうぞ」
「おのれぇ…。
私は手札から魔法カード【融合】を発動!!
手札の【パラサイト・フュージョナー】二体を素材としてエクストラデッキからモンスターを特殊召喚する!
融合召喚!君臨せよ私の最高傑作!レベル8!【パラサイト女王】!」
【パラサイト女王】※アニメオリジナルモンスター
融合・効果モンスター
星8/闇属性/昆虫族/攻1800/守1800
(1):このカードの攻撃力は、フィールドの「パラサイト・フュージョナー」の数×300アップする。
(2):「パラサイト・フュージョナー」を装備しているこのカード以外のフィールドのモンスターの攻撃力は、
装備している「パラサイト・フュージョナー」の数×800ダウンする。
(3):このカードが相手モンスターに攻撃されたダメージ計算時に1度発動できる。
このカードに装備された「パラサイト・フュージョナー」1枚を相手モンスターに移し替える。
フィールドに現れたのはカマキリをベースに【インセクト女王】を魔改造したような不快感の塊の様なモンスター。
「更に私は永続魔法【
【
永続魔法
①:「パラサイト・フュージョナー」を装備したフィールドのモンスター1体と自分フィールドの「パラサイト・フュージョナー」1体を対象として発動できる。
そのモンスターを墓地へ送り、「パラサイト女王」1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
その後、墓地へ送った「パラサイト・フュージョナー」を装備カード扱いとして、この効果で融合召喚したモンスターに装備する。
②:フィールドの「パラサイト女王」は相手モンスターの効果を受けない。
③:お互いのプレイヤーは、それぞれ自分ターンに1度、相手フィールドの「パラサイト女王」1体を対象としてこの効果を発動できる。
自分のデッキから「パラサイト・フュージョナー」1体を墓地へ送り、対象のモンスターのコントロールを得る。
「私のターン。ドローフェイズ。ドロー」
引いてきたのは【灰流うらら】か。
60枚構築だから来てくれたのは大変ありがたい。
改めて手札を確認する。
【六世壊=パライゾス】
【ヴェサス=スタフロスト】
【クシャトリラ・バース】
【壱世界に軋む爪音】
手札はそれほど良くないがこれだけあれば十分だ。
「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。
私はフィールド魔法【六世壊=パライゾス】を発動。
発動時にデッキから【クシャトリラ】モンスターを一枚手札に加える。
無効効果が無いなら私はデッキから【クシャトリラ・ユニコーン】を手札に加える」
「その効果に対抗はない」
【クシャトリラ・ユニコーン】を手札に加えながら伏せカードを想定する。
OCGに【パラサイト】が無いからカード知識が無いせいで変な不意打ちを食らうのがやや怖いが、伏せた事を鑑みて汎用でこちらの対策なら【無限泡影】は無いはずだから【マクロコスモス】か【デモンズ・チェーン】辺りだろうか?
まあ、出たとこ勝負でいいか。
その上でブチ殺す。
「フィールドにモンスターが居ないため手札から【クシャトリラ・ユニコーン】を特殊召喚する」
フィールドに現れる赤い戦士。
「ユニコーンの起動効果発動。
デッキから【クシャトリラ】魔法カードを手札に加える。
チェーン確認」
「くっ…!?」
「無いならデッキから魔法カード【
その後手札に加えた【
フィールドの【クシャトリラ】モンスターを選択し、このターン中エクストラデッキからエクシーズモンスター以外の特殊召喚を禁じデッキから選択した【クシャトリラ】モンスターと異なる属性の【クシャトリラ】モンスターを守備表示で特殊召喚する。
ユニコーンを選択。チェーンは?」
「……」
「無いようだな。
ならデッキから【クシャトリラ・フェンリル】を特殊召喚する」
先駆けたるユニコーンの呼びかけに強襲兵であるフェンリルがフィールドに降り立つ。
「フェンリルの起動効果を発動。
デッキから【クシャトリラ】モンスターを手札に加える」
このままアライズハートまでの鉄板展開に持っていってもいいが伏せカードが気になるな。
先ずは盤面整頓を狙って様子を見よう。
「バトルフェイズに移行。
メインフェイズ終了前に使う効果はあるか?
無ければバトルフェイズに移行してユニコーンで攻撃。
チェーンが無ければユニコーンの第二の効果、エクストラデッキのカードを裏側除外する効果が発動するが通るのか?」
「裏側除外だと!? ぐっ…」
ドクトルが伏せカードに視線を向け「何も無い」と宣言する。
「ではエクストラデッキの【パラサイト女王】を裏側除外した後改めでクィーンを攻撃。
叩き潰せユニコーン」
解き放たれた猟犬が捻れた剣をクィーンの頭に叩き付け砕き、一撃では到底足りないと幾度も獲物を振るうだけでは飽き足らず鋭い爪を柔らかい内側に突き立て掻き回しぐちゃぐちゃと汚らしい体液を撒き散らす。
「…酷い」
「うっ…!?」
あまりにグロテクスで残虐な光景にセレナさんがそう漏らし瑠璃さんが吐き気から蹲り口元を手で抑える。
「止めろ!! 私のパラサイト女王をその様に壊すな!!??」4000→2400
何度も何度も引き裂き原型を留めさせないとばかりに破壊衝動を叩きつけるユニコーンの凌辱にドクトルが叫ぶが、俺の怒りの影響からユニコーンは執拗にパラサイト女王をぐちゃぐちゃに引き裂き死体に何度も捻れた剣を叩き付ける。
「そこまでだユニコーン。
残りは本人に向けろ」
そう命じると漸く凌辱の手を止めユニコーンは馬のような咆哮を上げる。
「メインフェイズ2へ移行する」
若干の不満を此方に向けるがユニコーンは静かに命令に従い剣を下げる。
先ずは奴の成果をぐちゃぐちゃにしてやったから、ここからはより残酷に、より無慈悲に殺しに行く。
「フィールドに【クシャトリラ】モンスターが居るため手札の【クシャトリラ・ライズハート】の効果を発動。
自身を特殊召喚する。
その後フェンリルとユニコーンでオーバーレイ・ネットワークを構築。
来たれ侵略者の楽園たる凶星。赤き禍々しき光で愚か者を照らし出せ。
エクシーズ召喚!ランク7!【クシャトリラ・シャングリラ】!」
二体の尖兵を回収し黄金の銀河から赤い星が天に浮かぶ。
「ライズハートの起動効果発動。
デッキから【
「お、おお…」
より確実な終了の意味が見えたのかドクトルの顔に恐怖が色濃く浮かんでいく。
「相手のカードが除外されたためシャングリラの効果が発動。
相手フィールドの一箇所を使用禁止にする。
右端の魔法罠ゾーンでいいか。
更に除外された【
【クシャトリラ】エクシーズモンスター一体からエクシーズ素材を手札に加えその後特殊召喚する。
俺はシャングリラからフェンリルを回収してフィールドに戻す」
赤い星が輝き流星となってフェンリルが再びフィールドに降り立つ。
「最後にシャングリラが効果を発動したためフィールドの【クシャトリラ】モンスター一体以上でこのモンスターが召喚可能になった。
ライズハート一体でオーバーレイ・ネットワークを構築。
来たれ憤怒の化身。その尽きぬ怒りを振るい愚者に鉄槌を下せ。
エクシーズ召喚!ランク7!【クシャトリラ・アライズハート】!」
シャングリラから射出された赤い鎧へとライズハートが乗り込みその目に視線だけで焼き殺しそうな赤い光を瞳に燃やす。
「永続魔法【クシャトリラ・バース】を発動。
その後フィールドのフェンリルをリリースして手札から【ヴェサス=スタフロスト】をアドバンス召喚。
カードが除外されたためアライズハートの効果が発動。
自分相手の除外ゾーンからカードを一枚選んでエクシーズ素材に加える。
どれでもいいがパラサイト女王にしておくか。
その後クシャトリラ・バースの効果発動。
除外状態のフェンリルを特殊召喚。
最後にカードを一枚伏せてターンエンド。
エンドフェイズに何もなければ貴様のターンだ」
「ぐ…ああ…」
フィールドに広がる地獄絵図。
【壊獣】などの相手盤面を直接弄れるテーマか【M∀LICE】のような除外されてこそ本領を発揮するテーマでもなければそうそう戦いを続けるのは難しい状況にドクトルから余裕が消え、その恐怖から赤馬零王や遊矢君達もが俺に化物を見る目を向けて来るが最早無差別に撒き散らさぬようにしか感情の手綱を握る気がない俺には寧ろ心地よくさえ感じていた。
「さあどうしたドクトル?
まだ手札一枚と伏せカードがあるだろう?
あれだけ自信満々だった俺に対するメタ戦術使えよ。
結界像か?パキケファロか?クリスティアか?ヴァニティルーラーか?それともラヴァゴーレムか?
そうそう忘れない内に言っておくがアライズハートがいる限り【マクロコスモス】と同じ効果が継続し続けているから墓地は変わらず使えないのと、お前のスタンバイフェイズにシャングリラの効果でデッキから【クシャトリラ】モンスターを一体好きに呼べるからちゃんとフェイズ宣言してくれよ?
さあさあさあ、見せてみろよ天才サマ。
ガキを食い物にして正当性が謡えるなら、この程度の盤面ぐらいカード二枚で捲くりきって俺の首を落としてみろよ!!」
酷くつまらないデュエルを少しでも楽しめるよう悪魔らしくゲラゲラ嗤いながら見下してやる。
「馬鹿な、私の最高傑作が、パラサイト・フュージョナーが…」
「んん?」
何やらオレの足元を見ながらドクトルが怯えているのでそちらを見ると、足元で指より小さい【パラサイト・フュージョナー】が俺の瘴気に当てられビクビクと痙攣していた。
「……貴様。まともにデュエルさえ出来ないようだな」
ブチリと俺に寄生を試みたパラサイト・フュージョナーを踏み潰し懐から俺だけが持つ正真正銘『奥の手』を取り出す。
「貴様にはデュエルの敗北者に降る末路さえ上等過ぎる。
教えてやろう。ゲームを愚弄した者に与えられる『罰ゲーム』という存在をな」
そう言って俺は懐から取り出した『奥の手』を掲げ告げる。
「目覚めろ悪魔の秘宝。
『拒絶の罪宝リース』。
世界の理に唾を吐いた奴に酬いを与えろ」
妖精の羽のような模様が中に浮かぶ宝玉が俺の手の中で強く輝き、その光がドクトルを照らし包む。
「そ、それは!?」
光に呑まれ悲鳴を上げようとしたドクトルが突然ビクリと震えると無防備な体勢で倒れそのまま動かなくなる。
「済まないな皆。
デュエルの完走まで耐えられなかった」
不満はあるが理解はしようと実体化を解いていくモンスター達に謝罪してカードをデッキに戻していく。
「白銀さん。貴方はドクトルに何をしたんだ」
「ドクトルの全てを『拒絶』させました。
ドクトルはもう見ることも聞くことも嗅ぐことも感じることも一切出来なくなり、肉体の活動が止まるその日まで『無』の中で狂うことさえ出来ずに居ることになります」
「死んではいないのか?」
「…ふっ」
榊遊勝の不安げな問いに俺は思わず本気で嗤いながら言った。
「死んで楽になんてさせるかよ」
漸く出せた執事の切り札その1。
リースの罪宝の効果は『拒絶』。
主な使い方は干渉を拒絶して防御するためですが、概念的な使い方をすれば自分の感情を『拒絶』させて周りに悟らせなくさせたりドクトルを処すのに使ったような廃人化も可能。
その2は大神祠官の罪宝です。
名前と効果は何れ。
次回は年明け以降になる…筈です。
それではよいお年を。