迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「我のターン!ドロー!」
これでお互いの手札は共に一枚。
動くなら次のターンか、或いは…
「手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動する!」
「ここで強金だと!?
くっ!?止められない!!??」
デッキを除去する【強欲で貪欲な壺】ならまだしも覇王眷竜を失うリスクを考えたらランダム除去の強金はそうは使えない筈なのに!?
「ここまで我に抗った貴様に敬意を払い我は残りエクストラデッキの半分を貴様のためにくれてやる!
そして二枚ドロー!!
…ふっ。貴様が異郷の我を出し渋ると言うならこちらから喚んでやろう!!
我は魔法カード【おとり人形】を発動!!」
「【おとり人形】!!??」
【おとり人形】
通常魔法
魔法&罠カードゾーンにセットされたカード1枚を選択して発動する。
選択したカードをめくって確認し、そのカードが罠カードだった場合、強制発動させる。
発動タイミングが正しくない場合、その効果を無効にし破壊する。
そのカードが罠カード以外だった場合、元に戻す。
このカードは発動後、墓地へ送らずにデッキに戻す。
不味い!!?? 除去なら無視の選択もあったが暴発を強制する【おとり人形】は止めようがない!!??
伏せていたのは【レインボー・ライフ】と【覇王龍の魂】。
どちらも発動条件は満たしているけれどこのタイミングでズァークを喚ばれるのはあまりにも想定外が過ぎる!?
だが、それより不味いのはここで【覇王龍の魂】ではなく【レインボー・ライフ】を使わされた場合だ。
「そうだな…我が選ぶのは右の伏せカードだ!」
ズァークの宣言を受け、伏せカードが俺の意思を無視してその正体を明らかにする。
「選ばれたのは……【レインボー・ライフ】です」
【レインボー・ライフ】
通常罠
手札を1枚捨てて発動できる。
このターンのエンドフェイズ時まで、
自分は戦闘及びカードの効果によってダメージを受ける代わりに、
その数値分だけライフポイントを回復する。
ライフ管理が厳しいからと採用したこのカードだが、使うにはあまりにも最悪のタイミングと言うしかなかった。
「発動条件を満たしているため、私は手札を一枚墓地に送りこのターンのエンドフェイズまで全てのダメージを回復効果として適用します」
「ちっ。二択を外すとは我らしくもない。
だが、これでその忌々しいシンクロモンスターを排除出来るようになったぞ!」
これで六双丸がズァークをエクシーズ素材にするのに失敗すればズァークが軌跡の魔術師かこちらのフィールドに戻ってきた六双丸を攻撃する事で俺のライフポイントが最低でも2800ポイント回復しズァークのライフポイントを上回るため、サイコエンドの耐性が消えダークリベリオンにより戦闘破壊が可能となる。
コストとして【マジックカード『死者蘇生』】を墓地に送りつつリカバリー手段を考えるが、引いたカードが何であれペンデュラム召喚で壁を立て膨大なライフポイントで強引に受け切るしかない。
「この機は逃さん!
バトルフェイズに入る!」
「バトルフェイズのスタートステップ開始時に【席取−六双丸】の効果が発動した!
ダイスロールを行う!」
六双丸が軽快な手拍子を叩き、土俵の上にダイスが転がり落ちる。
3が出ればズァークがエクシーズ素材となり俺の勝ち。
2か6が出ればズァークが勝ち六双丸は排除される。
そして勝敗を決める賽の目は…
「ダイスロールの結果はダークリベリオンが居るフィールドに止まる『2』!!
六双丸はダークリベリオンをエクシーズ素材に出来ず墓地送りになります!」
コチラにとっての最悪の目が上を向き、ダークリベリオンを下敷きにしようとした六双丸が土俵ごと弾き飛ばされフィールドから消えた。
「これで我を阻むものは全て無くなった!!
【覇王龍ズァーク】で【軌跡の魔術師】を攻撃!!
奇跡など二度と起こらぬと思い知れ!!」
ズァークから放たれたブレスに軌跡の魔術師が飲み込まれ地面ごと粉砕される。
「ぐぅぅぅ…」3000→5800
【レインボー・ライフ】により痛みは無いが衝撃波が与える圧迫感が消える訳では無い。
「そして【覇王眷竜ダークリベリオン】で【サイコ・エンド・パニッシャー】を攻撃!
その瞬間【覇王眷竜ダークリベリオン】の効果を発動!
攻撃対象の攻撃力を0にし、その数値分攻撃力を上昇させる!!」
守りを失ったサイコエンドのパワーがダークリベリオンに喰われ、そのまま自らを焼く炎となって返された。
【稀代の決闘者】で守ったとしても次のターンに確実な破滅を呼び込むだけになるから通すしか無い。
「ギィっ!?」5800→14800
【レインボー・ライフ】の効果でダメージこそ受けていないが破砕された瓦礫が脇腹を削る痛みに反射的に呻いてしまった。
「我はメイン2で【覇王眷竜ダークリベリオン】の効果を発動。
自身をエクストラデッキに戻し【覇王眷竜ダークヴルム】を墓地から二体守備表示で特殊召喚する。
そしてターンエンドだ」
さり気なくダークヴルムロックを復活させてきやがってまあ…。
これで振り出しに戻されたが、ライフポイント的に耐えられて二ターン。
【稀代の決闘者】の効果を含めても三ターンあるか否か。
「私のターン。ドローフェイズ。ドロー」
ここで来るか…。
ライフポイントが溢れているからまだしも、タイミングが中々悪いなと思いつつ思考を切り替える。
「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。
私はカードを伏せてペンデュラム召喚を実行します。
揺れろペンデュラム!
【覇王門の魔術師】をエクストラモンスターゾーンに守備表示で特殊召喚します!」
ペンデュラムが描く門より幾度目の再臨を果たす【覇王門の魔術師】。
「特殊召喚成功時に効果を発動。
デッキより【ペンデュラム・エヴォリューション】を手札に加えます」
「無駄だ!我の効果によりそのカードは破壊される!」
目的はデッキ圧縮と死に札をドローしないための処理だ。
「攻撃表示で出してもダークヴルムのロックが切り崩せないとモンスターの破壊さえ出来ませんからね。
ズァークへ自爆特攻なんて御免ですからライフポイントが残っている内に切り札が来てくれることを願いつつターンエンドさせて頂きます」
「我のターン!ドロー!
そんな消極的で我に勝とうなどと片腹痛いわ!
我はダークヴルム二体をリリースし手札から【覇王眷竜オッドアイズ】をアドバンス召喚する!」
【覇王眷竜オッドアイズ】
ペンデュラム・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻 2500/守 2000
【Pスケール:青4/赤4】
①:自分フィールドの「覇王」モンスター1体をリリースして発動できる。
このカードを自分のエクストラデッキに表側表示で加える。
【モンスター効果】
①:自分フィールドに「覇王龍ズァーク」が存在し、相手フィールドにPモンスターがP召喚された場合、
このカードは自分フィールドの「覇王眷竜」モンスター2体をリリースして
手札・デッキ・エクストラデッキから特殊召喚できる。
②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
相手はこのカード以外のPモンスターを攻撃対象にできない。
③:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
フィールドのPカードは1ターンに1度だけ、戦闘・効果では破壊されない。
④:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分のPモンスターの戦闘で相手が受ける戦闘ダメージは倍になる。
⑤:このカードを自分のエクストラデッキに表側表示で加えて発動できる。
エクストラデッキからこのカード以外の「覇王眷竜」Pモンスター2体を特殊召喚し、
相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力を0にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
このタイミングでダメージ二倍の【覇王眷竜オッドアイズ】を素引きしやがった!?
いよいよ不味い。これで保って二ターンまで擦り減らされた。
「バトルだ!
【覇王ズァーク】で【覇王門の魔術師】を攻撃!」
再び放たれたブレスが一撃で【覇王門の魔術師】を焼き尽くす。
「我がモンスターを破壊した時エクストラデッキから【覇王眷竜ダークヴルム】を二体守備表示で特殊召喚する!
やれ【覇王眷竜オッドアイズ】!!
臆病者に制裁を降すのだ!!」
「そっちから攻撃出来ないようにしておいてよくもまあ言ってくれますね!」14800→9800
ブレスではなく態々牙で噛み付いてくる【覇王眷竜オッドアイズ】を必死で振り払い致し方無いと覚悟を決める。
「我はカードを一枚伏せてターンエンドだ!」
「待ちなさい!
エンドフェイズに伏せカード発動!【覇王龍の魂】!!
ライフポイント半分を対価にエクストラデッキから【覇王龍ズァーク】を効果を無効にして特殊召喚する!」9800→4900
「漸く来たか!!
この時を待ちかねたぞ!!」
歓喜するズァークの声に応えるように四天の龍の魂を束ねた覇竜が天を揺るがしながら降臨する。
「来たれ四天を束ね頂点に立つ覇王!!
【覇王龍ズァーク】特殊召喚!!」
【覇王龍ズァーク】※OCG版
融合・ペンデュラム・効果モンスター
星12/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守4000
【Pスケール:青1/赤1】
(1):このカードがPゾーンに存在する限り、相手はフィールドの融合・S・Xモンスターの効果を発動できない。
(2):1ターンに1度、ドローフェイズ以外でデッキから相手の手札にカードが加わった時に発動できる。
そのカードを破壊する。
【モンスター効果】
ドラゴン族の融合・S・X・Pモンスター1体ずつ合計4体
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードが特殊召喚した場合に発動する。
相手フィールドのカードを全て破壊する。
(2):このカードは相手の効果では破壊されず、相手はこのカードを効果の対象にできない。
(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。
デッキ・EXデッキから「覇王眷竜」モンスター1体を特殊召喚する。
(4):モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
このカードを自分のPゾーンに置く。
フィールドに相対する二体のズァーク。
「……何故だ?」
ズァークは相対する【覇王龍ズァーク】の姿に信じられないと瞠目する。
「何故この【覇王龍ズァーク】から我の気配が毛筋ほども感じられぬ!?」
平行世界の自身との相対を期待したズァークが信じがたいと叫ぶ。
困惑と怒りを含んだ叫びを上げるズァークに俺はその理由を語る。
「俺の友となったズァークは人に戻る事を欲したんですよ。
覇王としでではない、唯一人のデュエリストである事を選んだんだ。
だから【覇王龍ズァーク】の器を脱ぎ捨て【四天】と共に私に預けたんです」
「馬鹿な!?
我は覇王!! 友など必要ない!!
真に強き者に並び立つ友など存在しない!!」
惰弱だと言わんばかりに吠えるズァークに俺は問いを重ねる。
「ズァーク。それは寂しい考え方ですよ。
誰とも関わらない世界でただ生きるために必要な最低限を重ねるだけの生き方なんて心が死んでしまいます。
貴方はまだ分からないでしょうが、歳を重ね大人になりやりたい事が出来るようになってもいざやろうとしても何一つ出来なくなっている。
自分の都合、相手の都合、会社の都合、社会の都合。
そんな
最も、誰も彼もがそうだとは言いません。
理想を理想のままに駆け抜け全てを手にする人だって少なからず居ます。
ですが、今の貴方のやり方では彼等のような夢を叶えた勝者にはなり得ない。
ズァーク。もう一度聞きますよ。
今のままでは、貴方は何れ誰もデュエルしてくれなくなり世界を破壊して一人ぼっちになってしまいます。
貴方は一人ぼっちになって、
俺から見ればズァークの行動は「デュエルしないなら世界を壊す」と脅迫して無理矢理デュエルさせている子供だ。
質が悪いのは本当に世界を壊せる力を手に入れてしまった事だろう。
そういう意味ではズァークのために暴走を開始した【四天】と【アストログラフ・マジシャン】が悪いと言えた。
「黙れ」
俺の問いにズァークは拒絶を口にした。
「我は望まれた!!
最強の覇王となる事を!!
誰も見たことが無い刺激に満ちたデュエルをする事を!!
故に我は応え続けるだけだ!! 貴様達が望んだように、世界もが破壊し尽くされる空前絶後の破壊と恐怖に満ちた至高のデュエルを我は見せてやるのだ!!
さあ、その力なき抜け殻で我を阻むというなら見せてみろ!!」
泣き叫ぶように宣うズァークに憐れみを抱きながら、俺は
「私のターン。ドローフェイズ。ドロー」
現代遊戯王のズァークと言えばやはりアレですよね。