迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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リクエストがあったネタをねりねりしつつ今回は姫様のターンで。


姫様は『家族』を愛しているし従者も姫様を敬愛しているがそれはそれとして偶にやらかすのは(re 【前編】

「うにゃあああぁぁっ!!??

 また負けなの!!??」

 

 屈辱と憤りが全開に混じった姫の絶叫を聞きながら執事は優越感に満ち満ちながら嘯く。

 

「どうなされました?

 たかが【霊使い】に負けた事がそんなに悔しいのですか?」

 

姫様の盤面 残りライフポイント2650

 

手札一枚

 

フィールド魔法:無し

 

モンスターゾーン

 

【白銀の城のラビュリンス】

【迷宮城の白銀姫】

 

魔法罠ゾーン:無し

 

執事の盤面 残りライフポイント550

 

手札:四枚

 

フィールド魔法:無し

 

エクストラモンスターゾーン

 

【暗影の闇霊使いダルク】

 

モンスターゾーン

 

【獣王アルファ】

【妖精伝姫カグヤ】

 

魔法罠ゾーン

【憑依覚醒】

【憑依解放】

【スキルドレイン】

【超古代生物の墓場】

伏せカード一枚

 

 【憑依覚醒】によりリソースを稼ぎメインアタッカーである姫を【超古代生物の墓場】で封殺。

 墓地に眠る【ビッグウェルカム・ラビュリンス】によるバウンスも【憑依覚醒】のバフ効果で火力を上げた【獣王アルファ】が動き出すため使うに使えず更に【スキルドレイン】が張られているため使っても墓地の家具達を手札に加えるのがせいぜい。

 

「なんで、なんでしちゅじはわたしの『おもてなし』をきょひするのよ!!」

 

 こうまで至ったのは執事が【灰流うらら】と【屋敷わらし】で【ビッグウェルカム・ラビュリンス】を三回とも妨害しきったからだ。

 そうでなければもう少し執事の盤面は苦しいものになっていた。

 

「姫様。『妨害握ってないのが悪い』ですよ?

 私とやるのなら妨害ケアは意識しないと」

「したわよ!!だから【墓穴の指名者】を入れたもん!!

 でもしちゅじが使ったら【抹殺の指名者】で止めたんじゃない!!」

「止めれるなら止めて当然ですよ。

 此方の墓穴も消えましたが制限カードに刺せるなら切るだけの価値は十分です」

「ぅぅうう…」

 

 悔しそうに呻く姫様に釣られてかフィールドの姫達まで泣き顔になっているが執事は慇懃に嘯く。

 

「さあどうぞ姫様。

 足掻くも降りるも御随意に」

「やってやるわよこんちくしょー!

 バトルよ!!【迷宮城の白銀姫】で【妖精伝姫カグヤ】に攻撃よ!!」

 

 癇癪を起こしながら姫様が唯一戦闘破壊出来るカグヤに攻撃を命じるが…

 

「【超古代生物の墓場】で特殊召喚された姫様達は攻撃出来ませんが?」

「煽ったくせにどんなオチよ!!??」

「では伏せカード発動。

 罠カード【憑依連携】。墓地より【憑依装着−ウィン】を攻撃表示で特殊召喚します」

 

 墓地から返ってきたウィンにより執事のフィールドのモンスターの属性が増えカグヤの攻撃力が白銀姫を上回る。

 

「うぇっ!?」

「そして破壊効果で【超古代生物の墓場】を破壊し特殊召喚成功後に【憑依覚醒】の効果で一枚ドロー。

 これで姫様達が攻撃可能になりましたが如何なさいますか?」

 

 と言われても白銀姫の攻撃力では誰に向おうと返り討ちは確定。

 だからといって何もしなければ返しのターンの全滅は避けられない

 

「ぐぎぎぎぎ…

 バトルフェイズを終えてメイン2でカードを一枚伏せてターンエンドよ!!」

「私のターン。ドローフェイズ。ドロー。

 スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 このままバトルフェイズに入ります。

 伏せカードは使いますか?」

「いいから来なさい!!」

「畏まりました。

 ではバトルフェイズに入りアルファで迷宮姫を攻撃。

 行けアルファ!」

 

 主の命を受け獣の王が四肢に貯めた力を解放し迷宮姫へと飛び掛かる。

 あわやアルファのおやつとなろうとした瞬間、迷宮姫と姫が同時にニヤリと嗤った。

 

「掛かったわねしちゅじ!!

 罠カード発動!!【マジック・シリンダー】!!」

 

 伏せられたカードが開いた瞬間、アルファの進路上にアルファを優に飲み込む巨大な筒が現れた。

 

「どうよしちゅじ!!これで貴方のライフポイントも一巻の終わりよ!!

 私の演技にまんまと騙される貴方は実に滑稽だったわ!!

 そして私に勝とうなんて千年早かったわね!!

 オーホホホ!! オーホホホ!!」

 

 完全勝利を確信し調子に乗って高笑いする姫は執事が全く動じたふうもなく手札を一枚抜くのにも気づいていなかった。

 

「さあ、自身の下僕の手で「手札から罠カード発動」はえ?」

 

 今更気づくももはや手遅れ。

 

「カウンター罠【レッド・リブート】発動。

 ライフポイント半分を支払いその効果を無効にして伏せ直させます」550→275

 「なんですってーーー!!??」

 

 罠ビートデッキの天敵を持ち出した執事に姫は白目を剥いて絶対する。

 

「その後デッキから罠カードを新たにセット出来ますがどうします?」

「やんないわよ!! 今使えなきゃ駄目なのに使えないカードなんか要らないわよ!!??」

「では攻撃の続きを。

 アルファ、出来れば甘噛みで許してやってくれ」

 

 眼前に立つアルファにビビりまくる迷宮姫の上半身を口の中に噛むと執事の頼みを受けたアルファは犬が玩具で遊ぶように軽くぶん回してから口を開いて迷宮姫をフィールドの外へとぶん投げた。

 

「しちゅじぃいいいっ!!」2650→1450

「カグヤ。ラビュリンスに攻撃」

 

 カグヤが扇を振ると風が竜巻となってラビュリンスを星にする。

 

「なんでこんな酷いことばっかりするのよしちゅじぃ!!??」1450→1300

「デュエルは常に非情になんですよ姫様。

 ダルク。やれ」

 

 ラストアタックを任されたダルクが杖を翳し黒い魔力弾を姫へと放つ。

 

「しちゅじのばかあぁぁぁぁぁっ!!??」1300→−1750

 

 

〜〜〜〜

 

 

 そうして幾度目ともつかない敗北を刻まれた姫はぶんむくれてアリアーヌに愚痴っていた。

 

「どーしてしちゅじは愛する奥様を立てようって気持ちが足りないのかしら!!

 私の『おもてなし』をいっつも拒否してさあ!

 少しは私に忖度しても良いんじゃないの!?」

「ですが姫様、執事が手を抜くのは嫌なんですよね?」

「当然よ!!

 私の旦那様は私にも負けちゃ駄目なのよ!!」

 

 忖度しながら負けるなとダブルスタンダードにも程がある台詞を当たり前に言うにほざく姫様にアリアーヌは「めんどくさすぎる」と喉元まで上がってきた言葉を飲み込む。

 

「今回なんて私の特殊召喚に増Gを使ったのよ!?

 奥様に使っていいカードじゃないでしょう?」

「それはまあ…」

 

 兎に角執事は姫との対戦に於いて絶対に容赦しない。

 そもそもカードパワーが劣る【霊使い】をメインテーマにしている以上手を抜く余裕が無いのは当然なのだが、それ以上にデッキの中の精霊達のほうが殺意を全開にして向かってくるので姫との戦績は今のところ執事のほうが勝ち星が多い。

 因みに殺意の理由は姫が嫌いだからではなく姫が絶対に先攻を譲らないから上げ底しないと手札次第でワンサイドゲームになるからである。

 

「そもそもなんですが、姫様はエクストラデッキをお使いになられないのですか?

 執事に頼めばデスキャスターやアンヘルぐらい融通してくれますよ?」

 

 執事が来る前も来た後も姫はエクストラデッキにカードを入れていない。

 そのため【ドラグマ・パニッシュメント】や【強欲で金満な壺】等のエクストラデッキをコストに払えないため選択肢が減り執事は妨害系を【ビッグウェルカム・ラビュリンス】一本に絞り温存出来ている。

 それが分からない姫様でも無いはずなのに戦術的な愚策を選ぶのは何故なのかと問うアリアーヌに姫は剝れながらそっぽ向いて言う。

 

「だって、貴方達が居るもん」

「それ、執事の【ラビュリンス】を前に言えますか?」

 

 現在の執事の『ラビュリンス』は【霊王の波動(ドミナス・インパルス)】を入手したためそれを採用するために【デモンスミス】を外し新たに【クリムゾン・ヘルガイア】と【レッド・リゾネーター】【ヴィジョン・リゾネーター】等を導入した【ヘルガイアラビュリンス】という様相を成しており、60枚構築でありながら中々に安定した盤面展開を実現している。

 

霊王の波動(ドミナス・インパルス)

通常罠(準制限カード)

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

相手フィールドにカードが存在する場合、このカードの発動は手札からもできる。

(1):モンスターを特殊召喚する効果を含む、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。

その効果を無効にする。

自分の墓地に罠カードが存在する場合、さらにその無効にしたカードを破壊する。

このカードを手札から発動した場合、発動後、

このデュエル中に自分は光・地・風属性モンスターの効果を発動できない。

 

 対し姫の【ラビュリンス】は出張無し、エクストラデッキ無しの完全純構成であり、それ故に最終形が分かりやすく執事も対応するのが比較的簡単なので【霊使い】でも食い下がれている。

 

「でもでも貴女達を切って他の者を使うのは貴女達の主として正しいと思うの?」

「姫様の私達を想う御気持ちは勿体ないと思う程嬉しいですが、私は執事の【ラビュリンス】を観ているとワクワクするんですよ。

 執事が姫様が望む『おもてなし』を自分なりに為し得ようとした上で姫様を全力で勝たせようとしているのを観ていると、妬ましいなと思うぐらい楽しいんです」

「……そうなの?」

「ええ。

 我等『アリアドネの姉妹』は主『白銀の城のラビュリンス』の手となり足となることが何よりの喜び。

 姫様の勝利の礎の一助となるならこれ以上の喜びは多くありません」

 

 姉の真似をして優雅に宣うアリアーヌに姫は完全には納得し難く思いながらも下僕の想いを汲むのもまた主の役目と意を決する。

 

「分かったわ!

 貴女達の想いを無碍にしないためにも私はデッキを改造するわ!」

「ではコチラをどうぞ」

 

 そう意気込む姫にアリアーヌが【ラビュリンス】仕様の豪華なデッキケースを差し出す。

 

「それは?」

「執事の【ラビュリンス】パクもとい借りてきました☆」

 

 洒落にならない爆弾発言に姫の顔から血の気が引く。

 

「それ、本当に大丈夫なのかしら?」

「ちゃんと『デッキは預かった。返して欲しければ姫様に勝つ事だ。BYアリアーヌ』と書き置きしてますので大丈夫です」

 

 多分と付け加えるアリアーヌに若干の不安を抱きながらもちゃんと書き置きしているなら大丈夫よねと姫はデッキケースを受け取るのだった。




アリアス「執事君ちょっと、居ないみたいだね。 …おや?」 

『デッキは預かった。返して欲しければ姫様に勝つ事だ。BYアリアーヌ』

アリアス「……ふむ」

邪悪に嗤いながら手紙を燃やす。

アリアス「最近静かだったからね。ちょっとした悪戯(サプライズ)だよ☆」
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