迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「お前は『書きたい』から『書かなきゃ』に変わるとストレスで鬱が悪化して筆が止まるから気をつけろよ」
思い当たる節しか無かったので書きたいものから書いていくことにします
今回はコメントでも触れられたことがあったネタです。
今日の対戦は午後からなので、昼まではコーヒー片手に屋敷でゆっくりしていようと思っていた矢先のことだった。
「デュフフフ…。
いつもご愛好頂いております『ゴブリン珍品堂』でございます」
「帰れ」
問答無用でドアを締めて鍵を掛ける。
来客という事で玄関を開けたらエッなゲームの◯役オークみたいなでっぷり肥った緑色の巨漢が胡麻擂りながら眼の前に現れたのだから俺の対応は間違ってはいない。
コーヒーブレイクを再開しようと踵を返した背後でドアを激しく叩く音が響く。
『ちょっ!? 少しは話を聞いて下さいな!!??』
喧しい。
貴様に言い包められて何度も盗品や厄ネタを抱え込まされた事を忘れてねえんだよ。
『今回ばかりは本気でお助け願いたいのです!!
案内人殿以外に頼れない内容なので何卒、何卒話だけでも聞いて下さいな!!』
「……はぁ」
後ろで篭手の具合を確かめるハスキーさんに頼んで物理的にお帰り願う方が早いし安全なのだが、どうにも様子がおかしいのが気になってしまう。
「聞くだけ聞いてやるからドアを叩くのをやめろ」
そう言うとピタリとドアを叩くのをやめ、俺は改めてドアを開ける。
「デュフフフ。ありがとうございます案内人殿。
流石は自由都市最強のデュエリストですな」
「おべっかが目的ならもう済んだな?」
「ああ、待って待って!!
私のお願いはちゃんと別にありますから!!」
ドアに手を差し込んで必至に言い募るゴブリンに冷たい目を向けながら先を促す。
「ならさっさと話せ」
「ええ。実はですね昨日新商品を入荷するためにゴミ漁りゲフンゲフン…市場を回っていた際にとても珍しい物を見付けたのですよ」
今間違いなくゴミ漁りって言ったよな?
「コレは間違いなく目玉商品になると回収もとい買い取ったのですが、調べてみたところ大掛かりな修理が必要と分かりまして」
「で、俺に只で直させようと?」
「いえいえいえ! そうではなく知り合いの機械族に見て貰ったところ次元の違う技術が使われているためにお手上げだと言われまして、他次元との交流を持つ案内人殿に協力をお願いしたいと思った次第なのです。はい」
つまり、タダ働きさせたいのは変わりないと。
「よし。帰れ」
「そんな事言わずにお願いしますよ旦那様〜!」
「お前に旦那呼びされる謂れはない」
ハスキーさんの旦那様呼びだってむず痒いのに何が悲しくてこんな野心の塊に粘着されなきゃならないんだ。
裾を掴んで食い下がるゴブリンに蹴りをかまして引き剥がそうと頑張るが、身体能力の差で結局折れたほうが早い事態になってしまった。
「ああ、もう! とりあえずモノはなんだ!?
それに興味が向いたら手伝ってやる!!」
これで本当にガラクタだったらハスキーさんに追い返させようと妥協点を提示すると、ゴブリンは態度を翻してそのモノの名を口にした。
「私が紹介したかったのは
「………マジかよ」
バイクとデュエルの組み合わせに俺は即座に『ライディング・デュエル』という言葉を連想した。
いや待て。まだ5D'S関連と決まったわけじゃない。
もしかしたら海馬コーポレーションが新型のデュエルマシンとして開発したなんかかもしれないし、十代が居る以上ずっと未来の世界のはずの5D'Sが絡んでくる可能性は…多分無いよね?
ああでも、令和まで生きた自分が放映終了2008年の遊戯王GX終了からそこまで経過していないだろう世界に居るのだから、件のバイクが次元の歪みが原因で精霊界に来たのなら時間軸云々は当てにならんか。
「………分かった。見るだけ見てやるから案内しろ」
「ニュフフフ…ありがとうございます。
両方共に店に運び入れてありますので、お手数ですがご足労願いますぞ」
「…はぁ」
悔しいが放置しては行けない予感がする。
なので諦めてゴブリンと共に『ゴブリン珍品堂』に向かう。
そうして到着した『ゴブリン珍品堂』は良く言えばリサイクルショップの様相を呈していた。
まあ、殆どがガラクタでちゃんと使える物は曰く付きと買うほうが馬鹿を見るから買うことは先ず無いが、見る分には暇つぶし程度はできるだろう。
「こちらですぞ」
案内に従い裏手に回ると、布を掛けられた全長3メートル以上ある横に細長いシルエットが待っていた。
「コレがそのバイクか?」
「はい。ロボットも座らせた状態で一緒に置いてありますぞ」
そう説明を聞きながら俺は布を引っ張って剥がしてやる。
「うっ!?」
そうして明らかになった姿に俺は息を呑んだ。
壊れたバイクにではない。
バイクに乗っていた
「…本当にロボットなんだよな?」
力尽きて項垂れているロボットの姿は死体にしか見えない。
「ええ。
機械族の知り合いにも、コレは人間に精巧に似せて作られたロボットだとしっかり確認してもらってます」
「…そうか」
まあ、コイツはろくでなしだが生き物の死体を弄ぶような外道では無いのは確かなので、少なくとも嘘は吐いていないのだろう。
それにしても、死体もそうだがバイクも奇妙だ。
バイクとは言うが前輪はなく、車体の全高を超える大きな後輪しかないためぱっと見だと巨大な修正テープの台のようにも見えてしまう。
それに爆発でもしたのかあちらこちらが内側から爆ぜていて全体的にガタガタであり、およそ走るのはもう無理だろうとしか思えない。
「どうですかねぇ?」
「……」
うん。間違いなく5D'S関係の何かだろう。
デュエルディスクが組み込まれた機体もそうだが、これほど精巧な人間型のロボットを現時点の海馬コーポレーションが開発できたとは思えない。
正直、放置しても良い気はする。
バイクは壊れ、ロボットも動かないなら何らかの問題を引き起こす事はないだろう。
だけど……
「幾らだ?」
「はい?」
「両方まとめて引き取ってやる。
値段を言え」
そうゴブリンに言いながら、どう直せばいいか頭を捻る。
だけど俺は、どうしても気になってしまったのだ。
このロボットがどうしてこんなに満足そうに力尽きたのかその理由が知りたいと思ってしまったのだ。
正体が解らない年配系遊戯王ユーザーはいないよね?