迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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短めですが事情につき投下します。


俺の考え方はおかしいらしい

 軽く話し合いを終え、サイコ・ショッカーはロボットから魂を憑依させる作業を開始した。

 

「では始めるぞ」

 

 ロボットの頭に手を置き意識を集中すると、暫しの間をおいてからゆっくりと手を離して数歩下がった。

 そしてガクリと糸が切れた人形のように膝から崩れ落ち、アリアスが支える事で転倒を免れるとすぐに意識を取り戻した。

 

 

『私は…確か……遊星をブラック・ホールから脱出させて…?』

 

 初手から情報の暴力!!

 ブラック・ホールから脱出って、あんたら宇宙かなんかでデュエルしていたのかよ!?

 困惑した様子で頭を押さえていたサイコ・ショッカー…いや、今の彼の人格はロボットの魂か。

 彼の者はすぐに目の前の壊れた自分の姿に驚いた。

 

『私がそこに…!?

 一体どうなっているんだ!?』

 

 暴れないよう抑えるアリアスと一緒に混乱する彼を宥めようと俺は気を付けながら声を掛ける。

 

「ちゃんと説明するから落ち着いて欲しい。

 まずは、自分の名前は覚えているか?」

『君は…?

 いや、そうだな。私はアンチノミー。『イリアステル滅四星』の一人『戦慄のアンチノミー』だ』

 

 二つ名からして敵サイドの強キャラっぽいんだが、ここまでの情報から推察するにデュエルを通して主人公サイドに加担して、なんやかんやで窮地に陥った遊星を救ってフェードアウトしたキャラっぽいな。

 少なくとも、いきなり暴力とかが必要な手合ではなさそうなので安心した。

 

「分かった。

 アンチノミー、まずここは精霊界の…その前に精霊界について知っているか?」

『DMのカードを実体化出来る理由として数世紀前にDMのカードに宿る存在と交流していたという資料などから、カードに描かれた物は元々あった世界から呼び込んでいるのではないかという仮説に基づく異世界論が提唱された論文はあるが…此処はその異世界なのか?』

「細かい認識の摺り合わせが必要みたいだが、ともあれ今はその認識で構わない。

 アンチノミー、今の貴方は肉体から魂だけをサイコ・ショッカーが抜き出して自身に憑依させている状態だが、違和感等問題を感じる部分があったらすぐに教えて欲しい」

『魂を…?』

 

 困惑しながらアンチノミーはサイコ・ショッカーの身体を触って確かめていく。

 

『自分の身体ではないことに違和感はあるが、すぐに不調に至りそうな問題は感じてはいない』

「なら良かった。

 貴方を起こした理由は、この次元の技術力が身体を修理する水準に達していない為、貴方自身に修理してもらおうと思っての事だ」

 

 説明に少し間をおいてから得心したとアンチノミーは首肯する。

 

『理由は把握した。

 だが、何故にそのような事を目論んだ?

 私を使って何か企んでいるのか?』

 

 場合によっては、と不穏な空気を匂わせるアンチノミーにアリアスとハスキーさんが戦闘態勢に移れるよう立ち位置を変える。

 そんな導火線に火花が降り注いでいるような状態の中、俺は嘘偽り無く答えた。

 

「企む…というのになるのか、俺の目的は貴方の話を聞きたいってことなんだが」

『話をだと?』

「ああ。貴方の出自や貴方と不動遊星についての関係とかそういった話を聞きたいというのが貴方を起こした最大の理由だ。

 話を聞き終えたその後については好きにしていいと思っている。

 次元を渡る伝があるから人間界に戻ってもいいし、このまま精霊界に腰を据えてもいい。

 このまま眠りたいというならそれでもいい。

 その前に身体とバイクが悪用されないよう処理して貰う必要があるけど、その意志は出来る限り尊重したいと思っている」

 

 そう語るとアンチノミーは何故か困惑した様子を見せる。

 

『君は何故私にそこまでの好条件を提示するのだ?』

「好条件…なのか?」

 

 こちらは墓場から掘り起こしたようなものだし、活かしておく価値の無い悪人じゃないみたいだから普通に礼儀を払って人として扱っているだけなのだけど…?

 

「執事君は人が良すぎるよね」

「善意も過ぎれば毒であるかと」

 

 どうやらアリアスとハスキーさんはアンチノミー寄りの考えらしい。

 

「えぇ?」

 

 困惑していると、アンチノミーは訝しみながらも納得はした様子を見せる。

 

『成程。君にとって()()は善意にも届かない厚意なのだな?』

「少なくとも利用しようとかそういった考えは無いな」

 

 個人的にバイク型のデュエルマシンには興味津々ではあるが、バイクどころか自動車免許さえ持っていなかったからいざ造ってもらっても乗るのに一苦労するだろうけど。

 

『分かった。今のところは信用しておこう』

「そうして貰えると有り難い。

 じゃあ改めて、俺は【白銀の城ラビリンス】の主【白銀の城のラビュリンス】に仕えている執事見習いなんだが、今は【迷宮の案内人】の名で自由都市のアリーナに所属するデュエリストをやっている。

 呼び方は案内人でも執事見習いでも呼びやすいもので構わない。

 こっちは【ドラゴンメイド・ハスキー】と【白銀の城の執事アリアス】だ」

 

 おそらく5D'S以降に追加されたテーマの知識は無いだろうと予測しつつそう自己紹介とアリアス達を紹介する。

 

「では、君の事は執事と呼ばせてもらおう」

「了解した。それじゃあ先ずは自分の身体の修理を進めよう。

 必要な物があれば可能な限り用意するから遠慮なく言ってくれ」

 

 アンチノミーに修理を促すが、何故か自分の身体より先にバイクの方に向かった。

 

「あの…?」

「あの時は遊星を送り出すために無理をさせて済まなかったな。

 必ず直してやるから暫くは我慢してくれよ」

 

 何故にと問う前にアンチノミーはバイクの損傷部を労るように撫でながら語り掛け始め、その様子も愛車に話しかけるというには少し無理があるような雰囲気もあって些か以上に話し掛けづらい。

 

「中々面白い御仁みたいだね」

「面白いというか……?」

 

 いや、アンチノミーは人間じゃなくてロボットだからもしかしたら機械族には普通の光景なのかもしれないし、あまり自分の尺度に収めようとし過ぎるのは良くないよな…?

 

 仕方ないとはいえそのビジュアルがサイコ・ショッカーなのも相まって、非常に頓珍漢なのはどうにかならないかと本気で思うのだった。




という事でアンチノミーことブルーノ君(inサイコ・ショッカー)が仮復活しました。
魂だけなので今の処は記憶も大丈夫。
身体に戻してからはしらんけど←

人格はアンチノミーメインですが、使命もない状態なので素の人格に近いらしいブルーノの要素が増えていくかも。

次回ですが、コロナ発症のしくじり中につき投下は未定となります。

未定はいつもの事? まあ、そうね。
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