迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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今回は最近比では早めに投稿出来ました。

今回はデュエルもあるよ。


礼儀がなっていないチンピラには容赦は必要ない。

「ブルーノ、なにか解りそうか?」

 

 マルファから確認を取って借り受けたデュエルディスクにケーブルが繋がれたノートパソコンと格闘するブルーノにそう尋ねてみる。

 

「うん。彼女は嘘を言っていないみたいだよ」

 

 ディスクからデータを吸い上げログ等からマルファの言葉への確たる証拠を得るためにデータの解析を行っているのだ。

 目で追うのも必死な速さで流れるプログラミング言語を読みながらブルーノは語る。

 

「このデュエルディスクに使われている物は凄いよ。

 他次元への単独航行能力とアンカーの接続による帰還機能。

 これだけでも僕が生み出された時代まで待たないと完成は難しいだろうし、それをデュエルディスクに搭載するほどダウンサイジングしようとするならまだ不可能かもしれない」

「未来世界でも難しいのか?」

「うん。時間移動と次元航行は理論は近いけど縦軸と横軸の明確な違いがあるからね。

 僕達の未来では時間移動の研究を開始したのがモーメントの暴走した後だったって理由もあってリソースの関係で次元航行の理論は有ったけど研究は凍結されていたんだ。

 加えてこのディスクには時間移動の機能はないよ。

 故に彼女はこの時代の他次元から移動してきたのは間違いないだろうね」

「そうか」

 

 一応十代に事情を話し現在のアカデミアについて確かめてもらったが、マルファの言う次元侵攻を行っている様子も技術も無かったそうだ。

 

「となると、完全な平行世界からの干渉と見るべきか?」

「僕も同じ考えかな」

 

 厄介な。

 そうなるとこの事件は5D'S以降の新シリーズのアニメに関わる可能性が高い。

 どういう経緯かはさておき、最終的に世界規模の事件まで膨れ上がると見て間違いないだろう。

 だから極論、恒例的に遊の字を冠する主人公が解決するだろうから放置してもどうにかはなると思う。

 しかし精霊界に被害が及んでいる現状を座して眺めていては姫様に被害が及ぶ可能性があるのだから放置は出来ない。

 それにカード化されたエリス達エクソシスターを助けてやりたいという気持ちもある。

 

「アカデミアの座標と転移は可能か?」

「待ってね。プロテクトが硬くてちょっと……ぁ゙」

 

 今ヤバそうな声出さなかったか!?

 

「ごめん!!逆探知されているのに気づくのが遅れてしまった!!

 気を付けて執事君!! 敵がもうすぐ側まで来ている!!」

「なんだって!!??」

 

 急いでディスクに【ラビュリンス】が入っているのを確かめ俺は声を張り上げる。

 

「うらら!! ペンテスタッグと一緒に皆で退避!!

 ハスキーさんはマルファを保護してくれ!!」

「分かりました!!」

 

 急いで向かうハスキーさんを横目に俺はブルーノに言う。

 

「ブルーノ、お前はこのままデータの解析を続けてくれ」

「僕も戦うよ」

「いや。ブルーノは残ってくれ」

 

 予備のディスクにデッキを装着するブルーノだが、俺はそれを断った。

 

「もし俺が負けたらハスキーさんと一緒にマルファを連れて姫様の所に逃げ込め。

 救出に来てくれるなら十代も協力してくれるはずだから戦力に頼ってくれ」

「しかし…」

「俺達の中でディスクのデータを解析してアカデミアに乗り込む算段が立てられるのはブルーノだけだ。

 つまり、俺が負けたら援軍を集めて助けにこれるのはお前だけだ。違うか?」 

「……わかったよ」

 

 敗北してもブルーノが残ればなんとかなる。

 そう信頼を表すと不承不承ながらブルーノは応じた。

 

「執事君。本当に無理しちゃ駄目だからね?」

「当然だ。俺はブルーノと世界なんて関わらない楽しいデュエルがしたいんだからな」

 

 そう言い、俺はサイドデッキのカードを全て追加装填した本気のデッキ(殺意の塊)を装備して玄関を飛び出す。

 

「呼び鈴は鳴らしたか?」

 

 そこには制服と騎士服が合体したような衣服を着た仮面のようなヘルメットで顔を隠した青年が3人立っていた。

 

「何だ貴様は?」

「この家の家主だ。

 もう一度聞く。人の家の敷地に勝手に上がり込んで何をしているんだ?」

「敷地? ああ、このボロい建物の持ち主はお前か」

 

 嘲り見下した様子で嘯く言葉に苛立ちを感じながらも、それを抑えて俺は尋ねる。

 

「用が無いなら出て行ってもらいたんだが?」

「その豚小屋に俺達の同僚から盗まれた物が隠されている筈だ。

 それを差し出すなら帰ってやろうじゃないか」

 

 確かにこの屋敷は古い物だが、しかしうらら達が大事にしている思い出の場所だ。

 何も知らない奴がそれを嘲って笑う姿に流石にキレそうになる。

 

「お前達は少し口の利き方がなっていないようだな?

 礼儀を欠いておいて人が頼みを聞くと思っているのか?」

「解っていないのはお前だよオッサン。

 痛い目に遭いたくないなら大人しく従っておけよ」

「……成程。少し分からせる必要があるようだな」

 

 感情に触発されたのかディスクが一人でにガチャリと戦闘態勢に移行する。

 

「ハッ! 頭の硬い老害には分からせないといけないようだな」

 

  そう言うと三人共がディスクを機動し、光の盤面を展開した。

 

「誰からだ?」

「全員同時に決まっているだろうが!」

 

 俺の質問に男達はそう言ってカードを5枚引く。

 

「……複数戦はあまり得意じゃないんだがな」

 

 一対一を想定していたが、手間が省けるかと考えを改め俺も5枚引く。

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

 ディスクが示す順番は『4』。

 

 かなりマズイかと思いながら手札を見て…

 

【白銀の城の執事アリアス】

【トリックスター・リィンカーネーション】

【ドロール&ロックバード】

【EM五虹の魔術師】

【白銀の城の竜飾灯】

 

 あ、問題無いな。

 

 とはいえそれが妨害を受けなかった際の話だ。

 

 アリアスに墓穴、リィンカーネーションにうららを撃たれたら展開次第では俺のドローフェイズに入る前に終わる可能性が高い。

 

「俺のターン!!

 爺! 貴様にカードを使う機会さえ有ると思うな!!

 手札から魔法カード【強欲で謙虚な壺】を発動!」

 

 最初の一人が使って欲しい効果を使ったので俺は勝負を決めに動く。

 

「チェーンして手札の【白銀の城の執事アリアス】の効果を発動。

 チェーンはあるか?」

「……いや、無い」

「ならば更にチェーンして手札の【白銀の城の竜飾灯】の効果を発動。

 手札のこのカードと更に1枚を墓地に送りデッキから魔法か罠の【ラビュリンス】カードをフィールドにセットする。

 チェーンはあるか?」

「無い」

「他は?」

「無い」

「俺も無い」

 

 墓穴もうららも無しか。

 決まったな。

 

「ならば逆順処理に移行。

 デッキから【ウェルカム・ラビュリンス】をフィールドにセット。

 その後アリアスの効果で手札から【トリックスター・リィンカーネーション】をセット。

 その後【強欲で謙虚な壺】の効果が適用される」

 

【強欲で謙虚な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、

このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加える。

その後、残りのカードをデッキに戻す。

 

 シャンドラが上空からいつもより勢いよく地面に叩きつけられて砕け散り破片が罠カードに変化。

 その後シャンドラを投げたらしい姿で現れた何故か不機嫌全開の様子のアリアスが手にした罠を投げ付けるように地面に叩きつけて恨みがましい視線を俺に向けた後フィールドから立ち去る。

 

 俺が一体何をした?

 

 むしろ振られて傷心なのは俺の方なんだが…。

 

 困惑する俺を他所に捲られたカードは【古代の機械猟犬】【歯車街】【融合】の3枚で、男は中から【古代の機械猟犬】を手札に加えた。

 

「ああ、フィールドの魔法罠ゾーンにカードが伏せられたことで墓地の【EM五虹の魔術師】をペンデュラムゾーンにセットするぞ」

「く、くそ…!?」

「そういえばさっきなにか言っていたな?

 もう一度聞かせてもらえるか?」

 

 理不尽な怒りを向けられた言葉に出来ない感情を怒りに変換して煽りとしてぶつける。

 

「貴様!?」

「ああ、折角だしこのまま【トリックスター・リィンカーネーション】を発動しようか。

 何もなければチェーンして手札の【ドロール&ロックバード】を手札から墓地に送り発動する」

 

【トリックスター・リンカーネイション】

通常罠(制限カード)

(1):相手の手札を全て除外し、その枚数分だけ相手はデッキからドローする。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「トリックスター」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

【ドロール&ロックバード】

効果モンスター

星1/風属性/魔法使い族/攻 0/守 0

(1):自分・相手ターンに、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、

このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

このターン、お互いにデッキからカードを手札に加える事はできない

 

「きさっ…貴様!!??」

 

 流石に何が起きるのか理解したようで男の顔が仮面越しにもはっきり解るほど怒りと恐怖で歪む。

 

「さあ、手札を除外してもらおうか。

 勿論、お前達全員だぞ」 

「クソッタレが!」

「手札を潰しただけでいい気になるんじゃねえぞ」

 

 他の二人も悪態を吐きながら手札を除外していく。

 手札を潰しただけねぇ?

 この盤面を前にそれだけの悪態を吐けるならする気もなかったが手加減は必要ないな。

 

「おい、さっさとターンエンドを宣言してくれよ。

 それとも、除外時に効果を発揮するカードが手札にあったのか?」

「舐めやがって…ターンエンドだ!!」

 

 何も出来ず怒鳴りつけるしかない男に少しばかり溜飲を下げながら俺は、殆ど勝ちが決まった勝負から思考を外しなんでアリアスにあんな目を向けられたのかそちらの方に思考を優先させることにした。




次回は虐め倒します。
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