迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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いえーい筆が乗ってるぜ!! 
今回はネームドと絡むよ。


なんとなくこうなる気はした。

 3対1の変則デュエルを圧倒的蹂躙という言葉でも足りない完全勝利を遂げたが、それに反して俺の心は此処に非ずであった。

 

「俺が一体何をしたと言うんだ…」

 

 敵の事情なんかよりアリアスや姫様から冷たい態度を取られた事のほうがよっぽど重大だ。

 

 マルファの要望に応えようとしていることが理由なのか?

 いやしかし、降りかかる火の粉は払わねばならない訳で、既にエクソシスター達を助けるのはそのついでですよ姫様?

 

 或いはデッキにグッドスタッフとしてウイルス系や増Gを入れているから?

 相手は人をカードにするような目茶苦茶な連中ですよ?

 そんな相手に好悪でカードを選り好みしている余裕なんてありませんて!?

 

「オジサン強いねぇ。

 三人相手に無傷だなんて僕はビックリしたよ」

 

 姫様にぶちのめされ足元で呻いている奴等をいい加減ふん縛ろうかと考えた所でそう新たな声が俺に投げ掛けられた。

 

「一応ソイツ等、次元侵略の尖兵として最新型のデュエルディスクを貰える精鋭だったんだけどね?」

 

 そう口にした少年を一言で表すなら……紫キャベツか?

 特徴のある見た目に加え尊大というかどことなく邪悪っぽいし、おそらく敵サイドのネームドであろう。

 

「ゆ、ユーリ様」

「軽々しく名前を呼ぶなよ負け犬が」

 

 弱々しく助けを求めた声に侮蔑を投げつけるユーリと呼ばれた少年。

 

「負け犬は負け犬らしく尻尾を巻いて逃げ帰りなよ」

「そうはいかねえよ。

 人ん家を馬鹿にした謝罪もなく帰らせるわけ無いだろうが。

 ついでに聞きたいこともあるしな」

「ふうん?

 いいよ。僕が代わりに応えてあげるよ」

 

 と、ユーリはデュエルディスクを展開する。

 

「ただし、僕に倒されるまでの間だけだけどね」

 

 そう自信満々な台詞を口にするユーリに、避けられないと悟り俺もオートシャッフル機能を起動する。

 

「「デュエル!」」

 

 手札を5枚引きディスクを確認すると表示されたのは『後攻』。

 …気のせいかもしれないが最近多いな。

 

「僕のターン。

 手札から【捕食植物オフリス・スコーピオ】を通常召喚」

 

 フィールドに俺もよく世話になっていたサソリを模した植物が現れる。

 ユーリは【捕食植物】デッキのようだな。

 

「となると、喚ぶのはダーリング・コブラからのキメラフレシア辺りか?」

「へぇ? 【捕食植物】を知っているんだね?」

「多少はな」

 

 純構築寄りなのは間違いないから、ユーリがセラセニアントを握っているかが勝負の分かれ目になるだろう。

 

「それで、さっきみたいに何かしてくるのかい?」

 

 そう尋ねるユーリに俺は一瞬だけ手札に視線を落とす。

 

【強制脱出装置】

【多次元壊獣ラディアン】

【増殖するG】

【絶対王バック・ジャック】

【くず鉄のかかし】

 

 絶賛事故り中なんだよなぁ…。

 デッキの半数を占めるラビュリンス関連カードが家具や罠まで含めて1枚もないとか、コレ、姫様達が怒って引きこもっているって事で間違いないよな?

 

「いや、まだ動かない」

「なら僕は手札から【捕食植物ビブリスプ】を墓地に送りデッキから【捕食植物ダーリング・コブラ】を特殊召喚するよ」

 

 憂鬱な気持ちに蓋をしてプレイに集中する。

 

【捕食植物ビブリスプ】

効果モンスター

星1/闇属性/植物族/攻 0/守1900

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「捕食植物ビブリスプ」以外の「捕食植物」モンスター1体を手札に加える。

(2):フィールドのモンスターに捕食カウンターが置かれている場合に発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される

 

 有効なカードをコストにオフリスの効果を使うユーリ。

 

「そこだな。

 手札から【増殖するG】を墓地に送り効果を発動する」

「厭らしいタイミングで使うね。

 止めたいけど見逃すしか無いかな」

 

 うらら墓穴は無しかラビュリンスに備えて温存か。

 フィールドに蛇型の植物が生え、周囲に『ヤツラ』の足音が響き始める。

 

「特殊召喚されたことで1枚ドロー」

 

 引いたカードはトラザク。やはり姫様達は来ない。

 

「ダーリング・コブラの効果で【プレデター・プライム・フュージョン】を手札に加えるよ。

 それとビブリスプの効果で【捕食植物セラセニアント】を手札に加えたその後にカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 使わなかったって事は追加ドローを嫌ってこちらのターンに使うよう切り替えたか。

 ネームドだけあってアニメキャラにしては思考がロジカルだな。

 

「ドローフェイズ。ドロー。スタンバイフェイズ。メインフェイズに移行」

 

 引いたカードは【拮抗勝負】か。

 

【拮抗勝負】

通常罠

自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。

(1):相手フィールドのカードの数が自分フィールドのカードより多い場合、

自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる。

自分フィールドのカードの数と同じになるように、

相手は自身のフィールドのカードを裏側で除外しなければならない。

 

 ラビュリンスじゃない事を差し引けばかなり良い引きだ。

 

「ところで何だが、いい加減聞きたいことに答えてもらえないか?」

「そうだね…じゃあ、オジサンのメインフェイズに一個づつ答えていこうか。

 よく考えて質問しなよ?

 これが最後になるかもしれないんだからさ」

 

 油断はないが、しかし明らかに見下した感情を伺わせるユーリに対し俺は今だからこそ確認しておきたいことを問い出す。

 

「このデュエルの敗者は俺とお前のどちらであってもカードにされるのか?」

「いいや。負けてカードになるのはオジサンだけだよ」

「……そうか」

 

 軽く息を吐くと愉悦を隠しきれない様子でユーリは嘯く。

 

「愉しみだよ。オジサンはどんな顔でカードになっていくのか僕はワクワクしているんだ」

 

 反吐が出そうな台詞を無邪気な笑顔で口にするユーリ。

 対して俺は敢えてニィィと深く獰猛な笑みを浮かべて応えた。

 

「出来るもんならやってみろよガキンチョ。

 バトルフェイズに移行する!」

「は?」

 

 俺の行動に意味がわからないと呆気に取られるユーリに対し俺は構わずに動く。

 

「即座にバトルフェイズを終了する。

 その瞬間、バトルフェイズを終える前に手札からトラップカード【拮抗勝負】発動!

 このカードはバトルフェイズ終了時にのみ発動可能なトラップカード。

 その効果は互いのフィールドが同枚数になるよう裏側除外するものだ!!」

「裏側除外だって!?」

「俺のフィールドには【拮抗勝負】1枚のみ!

 従ってお前が残せるカードは1枚だけだ!!」

 

 ボード・アドバンテージの差を稼げば稼ぐだけダメージを与える最強クラスのリセットカードの1枚にユーリの顔から余裕が消えた。

 

「トラップカードにチェーンしてリバースカードオープン!!

 【プレデター・プライム・フュージョン】を発動!!」

 

【プレデター・プライム・フュージョン】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):フィールドに「捕食植物」モンスターが存在する場合に発動できる。

自分・相手フィールドから、闇属性の融合モンスターカードによって決められた、

自分フィールドの闇属性モンスター2体以上を含む融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 やはり伏せていたな。

 

「大方、俺のラビュリンスモンスターを召喚素材に巻き込もうって魂胆だったんだろうが、そう易易と惚れた女はやらねえよ」

「やってくれたねオジサン。

 だったら僕も切り札を切らせてもらうよ。

 フィールドのオフリス・スコーピオとダーリング・コブラを融合!

 魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ、今一つとなりてその花弁の奥の地獄から新たな脅威を生み出せ!

 融合召喚!現れろ、餓えた牙持つ毒龍!レベル8!【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】!!」

 

 キメラフレシアが来ると思っていたが、しかし現れたのは俺も世話になったことがある毒々しい濃い紫色を基調とする邪竜であった。

 

【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】

融合・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2000

トークン以外のフィールドの闇属性モンスター×2

(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。

相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、

その攻撃力分このカードの攻撃力をターン終了時までアップする。

(2):1ターンに1度、相手フィールドの

レベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。

エンドフェイズまで、このカードはそのモンスターと同じ、元々のカード名・効果を得る。

(3):融合召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。

相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

 

「これが僕の切り札だ!!

 さあ、震えるがいいよ!!」

 

 エースを召喚してこちらの思惑を外してやったと嘲るユーリに対し、俺は冷静に状況を精査する。

 

「成程。

 確かにソイツなら闇属性主体の【捕食植物】とも無理なく噛み合うな」

「強がるなよオジサン。

 スターヴヴェノムの効果は対象を取らない効果。

 加えて破壊すればオジサンの得意な特殊召喚したモンスターを全て破壊するんだよ!」

「ああ。よく知っているよ」

「なんだって…?」

 

 俺の返答に困惑を見せるユーリ。

 

「拮抗勝負の狙いは伏せカードの除去だ。

 それに、何も破壊だけが除去手段じゃない」

 

 俺は手札の1枚を公開して宣言する。

 

「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンをリリースしてお前のフィールドの向かって2番目のモンスターゾーンに【多次元壊獣ラディアン】を特殊召喚する」

 

 スターヴヴェノムの腹部から甲殻にも見える黒い腕が生え、生きたまま内側から身を裂かれる激痛に絶叫するドラゴンの腹を裂き黒い巨人が現れた。

 

【多次元壊獣ラディアン】

効果モンスター

星7/闇属性/悪魔族/攻2800/守2500

(1):このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、

手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる。

(2):相手フィールドに「壊獣」モンスターが存在する場合、

このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できる。

(3):「壊獣」モンスターは自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(4):1ターンに1度、自分・相手フィールドの壊獣カウンターを2つ取り除いて発動できる。

自分フィールドに「ラディアントークン」(悪魔族・闇・星7・攻2800/守0)1体を特殊召喚する。

このトークンはS素材にできない。

 

「壊獣モンスターだって!!??」

「リリースしてしまえば耐性も何も関係ない。

 だろう?」

「くっ…!?」

 

 悔しそうに顔を歪めるユーリ。

 そしてまだ終わりじゃねえぞ。

 

「俺は更に【絶対王バック・ジャック】を通常召喚する」

 

【絶対王 バック・ジャック】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。

自分のデッキの一番上のカードをめくり、そのカードが通常罠カードだった場合、自分フィールドにセットする。

違った場合、そのカードを墓地へ送る。

この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

自分のデッキの上からカードを3枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。

 

 ジャック・アトラスをデザイン元にしたようなロボットが背中のジェットを蒸しながらゆっくり大地に降り立つ。

 

「…ふ、ふふ、攻撃力0のモンスターを棒立ちにするなんでオジサンらしくないね?

 まだ何かしてくるのかな?それともバウンス要員かな?」

「勿論このまま終わらないぜ。

 リンクサーキット展開!

 バック・ジャックをリンクマーカーにセット!

 召喚条件はレベル1モンスター。

 現われろ魂を食らう簒奪者【サクリファイス・アニマ】!」

 

【サクリファイス・アニマ】

リンク・効果モンスター

リンク1/闇属性/魔法使い族/攻 0

【リンクマーカー:上】

トークン以外のレベル1モンスター1体

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのリンク先の表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

その表側表示モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。

 

「僕の知らない召喚方法だって!!??」

「サクリファイス・アニマの効果発動!!

 リンクマーカーの有る先に存在するモンスターを装備カードとする!

 そしてリンクマーカーの先にいるモンスターは俺が召喚したラディアン!!

 トラッシュ・ホール!!」

 

 ウジャトの目に酷似した頭に該当する突起の上に空いた穴がサイズ差を無視してラディアンを飲み込み、サクリファイス・アニマが膨大な闇色のオーラを纏う。

 

「サクリファイス・アニマの攻撃力は装備モンスターの数値分上昇する。

 よって攻撃力は2800となる」

「スターヴヴェノムと同じ数値…やってくれるじゃないか」

 

 ぎりぎりと歯を軋ませるユーリに俺は告げる。

 

「更に墓地に送られたバック・ジャックの効果も発動する。

 デッキの上から三枚を確認し、好きな順番に並べ替えて元に戻す」

 

 確認したカードは【ハーピィの羽根箒】【屋敷わらし】【天龍雪獄】の3枚。

 俺はバック・ジャックの効果も加味して必要になるだろう順番に並び替えてからデッキトップに戻す。

 

「最後にカードを2枚伏せてターンを終える」

 

 姫様達に頼れない以上、俺は俺が出来ることをするしか無い。 

 

「僕のターン!!ドロー!!」




おまけ

デュエル開始直前

姫様「いい? 次のデュエルでは皆で引き籠もって本当に執事に必要な者が誰なのかを分からせてやるわよ!!」
アリアス「畏まりました姫様」←ノリノリ 
アリアンナ「大丈夫でしょうか?」
アリアーヌ「まあ、今のデッキなら私達が来なくても善戦出来るでしょ」

負けたらカード化されると今更知る

姫様「な、なんですってー!!??」←いつもの白目
アリアス「これは流石にマズいかもしれませんね」←顔面蒼白
アリアーヌ「これは終わったかも」←引き攣った笑い
アリアンナ「……これ、私かアリア以外が出たら事故扱いで積むかもしれませんね」←冷静
ディアベル「また過労死しなきゃ駄目?」←死んだ目
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