迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
あ、すみませんがまだ決着つきません。
状況を整理しよう。
俺の手札は無し。
場には伏せた【強制脱出装置】と【くず鉄のかかし】にフィールドには【トロイメア・ユニコーン】。
対してユーリの場こそ空だがドローを含め手札は3枚。
内1枚はセラセニアントなのが確定で未明札は2枚。
だが、ある程度予測は立つ。
ユーリは相手の労力を不意にして見下そうとする動きが目立つ事から手札か場にはそう言った効果のあるカードを常に持ちたがるように見えた。
その上でセラセニアントをサーチしたと考えると、手札には2枚目の【超融合】かサンデウ・キンジーは確定で入っていると見ていいだろう。
或いは素直に融合素材としてサーチ効果のあるセラセニアントを手札に引き込んだ可能性も考えられる。
どちらにしろ、ユニコーンは次のターンまで持たないのは確定と思っておこう。
後は伏せた2枚がいつまで持つか、それが生死を分けるだろうな。
「僕はセラセニアントを通常召喚してから手札を1枚墓地に送り【超融合】を発動するよ。
フィールドのセラセニアントとトロイメア・ユニコーンを融合!
魅惑の香りで虫を誘う1輪の美しき花よ、今一つとなりてその花弁の奥の地獄から飢えたる捕食者を呼び覚ませ!
融合召喚!現われろ、大輪咲かせし貪食の花!レベル7【捕食植物キメラフレシア】!!」
【捕食植物キメラフレシア】
融合・効果モンスター
星7/闇属性/植物族/攻2500/守2000
「捕食植物」モンスター+闇属性モンスター
(1):1ターンに1度、このカードのレベル以下のレベルを持つ
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
(2):このカードが相手の表側表示モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。
ターン終了時まで、その相手モンスターの攻撃力は1000ダウンし、
このカードの攻撃力は1000アップする。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズに発動できる。
デッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カード1枚を手札に加える。
現れたのは目が痛くなりそうなほど毒々しいラフレシアの花と触手のように鎌首をもたげガチガチと牙をかみ鳴らす顎を有した、植物というより怪獣形態のビオ◯ンテを思い出す化け物が現れる。
イラストとソリッドヴィジョンではイメージが変わるパターンはままあるが、キメラフレシアも正にそれだった。
「墓地に送られたセラセニアントの効果で【捕食植物フライ・ヘル】を手札に加えるよ」
条件付きだが耐性が無い限り確殺できる効果を内蔵した厄介なカードを手札に加えるユーリに内心舌を打つ。
加えて墓地にはフライ・ヘルを召喚すれば特殊召喚条件を満たすビブリスプも控えている
正直キメラフレシアを【強制脱出装置】でバウンスしてしまいたいところだが、次のドローで【天龍雪獄】が決まっているのでそちらでビブリスプごと処理する予定だからまだ切れない。
「そのままバトルフェイズに行くよ。
キメラフレシアでダイレクトアタック!!」
「【くず鉄のかかし】発動。
その攻撃は無効だ」
【くず鉄のかかし】
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に、
その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。
その攻撃を無効にする。
発動後このカードは墓地へ送らず、そのままセットする。
鎧姫様や五虹とも相性の良い再配置能力を持つ防御罠にユーリは苛立ちを隠すこともなく吐き捨てる。
「また? オジサンもしつこいよね」
「俺は臆病なんでな」
「フン!ターンエンドだよ」
鼻を鳴らすユーリをスルーして俺はターンを進める。
「ドロー。メインフェイズに入る。
それで、3つの次元を侵略して征服したとして、その先に何を求めているんだ?」
あまり想像は出来ないが、実は4つの次元が覇権を掴もうと戦争状態になっているというならこちらから干渉する権利は無い。
精霊界のカードにされた被害者達を返還させ元に戻す方法を聞き出すだけでそれ以上の関わりを持つ気はない。
只でさえ【魔導】【エンディミオン】間の戦争が間近で起きているのだ。
どちらにも自由都市の利権及び【ラビュリンス】への干渉を侵害しないよう誓約を結ばせてはいるがいつ横紙破りされるか解ったものではない。
そんな薄氷の状態に更なる火種など御免被る。
「プロフェッサーは次元の統一を掲げているみたいだけど、僕は興味がなくてよく知らないよ」
「統一ねぇ…」
支配的な意味じゃなくて物理的に統一するとかいうなら世界崩壊案件確定だな。
そういうのに限って碌でもない邪悪な裏の目的が潜んでいるんだよなぁ。
「俺はカードを伏せてターンを終了する」
ここからはドローの中身も完全に不明。
おそらくはもう暫くは姫様達は引けないだろう。
となると追加したサイドのカード、ディアベルスターを始めとしたグッドスタッフの誰が来てくれるか。
「僕のターンだ。
ドロー。手札から永続魔法【プレデター・プランター】を発動!」
【プレデター・プランター】
永続魔法
このカードのコントローラーは、自分スタンバイフェイズ毎に800LPを払う。
またはLPを払わずにこのカードを破壊する。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・墓地からレベル4以下の「捕食植物」モンスター1体を選んで特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
ちっ!? クソ面倒臭いカードを引きやがって!?
「プレデター・プランターの効果を発動!!
墓地のビブリスプを効果を無効にしてフィールドに特殊召喚するよ」
「トラップ発動!!【天龍雪獄】!!
ビブリスプをこちらのフィールドに特殊召喚し、その後ビブリスプとキメラフレシアを共に除外する!!」
「やってくれたなオジサン!!??」
巨大な鉢から這い出そうとしたビブリスプを極寒の嵐が攫い、キメラフレシアを共に巻き込んで巨大な氷塊に閉じ込めた。
「クソッ、ターンエンドだよ!!」
「俺のターン。ドロー」
引いたのは【白銀の城のラビュリンス】。
……タイミングが最悪すぎです姫様。
「ターンエンドの前に質問だ。
さっき首魁の目的に興味が無いと言っていたが、お前はデュエルが出来ればそれでいいってか?」
「うん。僕が楽しければ他はどうでもいいよ」
「僕『が』か」
典型的デュエルジャンキー、或いは制御出来ない狂犬か。
大体コイツの立ち位置が見えてきたな。
「ターンエンドだ」
「僕のターン。ドロー。
スタンバイフェイズにプレデター・プランターのコスト800ライフを支払い維持するよ」LIFE4000→3200
血のような赤いオーラがユーリから鉢へと吸い込まれていく。
「そしてプレデター・プランターの効果で墓地からセラセニアントを特殊召喚。
更に手札から【捕食植物スキッド・ドロセーラ】を通常召喚!」
【捕食植物スキッド・ドロセーラ】
効果モンスター
星2/闇属性/植物族/攻 800/守 400
(1):このカードを手札から墓地へ送り、
自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このターン、そのモンスターは捕食カウンターが置かれた相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
(2):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。
相手フィールドの特殊召喚されたモンスター全てに捕食カウンターを1つずつ置く。
捕食カウンターが置かれたレベル2以上のモンスターのレベルは1になる。
「バトルだ!
セラセニアントでダイレクトアタック!」
「通す」
高速で走り寄ったセラセニアントの体当たりが鳩尾に突き刺さる。
「ぐっ!?」LIFE4000→3900
「漸くオジサンのライフを削れたよ。更にスキッド・ドロセーラも攻撃だよ」
「【くず鉄のかかし】を発動して止める」
「だろうね。
ターンエンド」
維持コストの分だけライフアドは此方にあるが、現状を見ればライフ以外はこちらの方が絶対的不利。
羽根箒なんて引かれた日にはその瞬間勝負が決まると言っても過言ではない。
「俺のターン。ドローフェイズ。ドロー」
引いたのは【闇の誘惑】。
そうか。姫様はこの為に…。
主の献身に俺は腹を括り直す。
「スタンバイフェイズ、メインフェイズに移行。
カードにされた者たちはどうなるんだ?」
「興味ないから知らないよ。
でも、次元を統一するのに必要だってのは確かだからどうなるかは簡単に予想できるよね?」
生贄、いや、資源として使い潰されるってことか。
「あまり猶予は無さそうだな。
俺は魔法カード【闇の誘惑】を発動!」
【闇の誘惑】
通常魔法
(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。
手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。
「カードを2枚ドロー。
その後手札の闇属性モンスターを除外する」
引いたのは【夢幻崩界イヴリース】と【影依融合】。
「俺は手札から【白銀の城のラビュリンス】を除外する」
「アッハッハッハッ!!
何?ずっと出て来てくれなかったからって腹いせに除外しちゃうんだ?」
「ぶち殺すぞクソガキが」
「っ!?」
抑えきれない赫怒が声に漏れ、それを聞いたユーリの顔が恐怖に青ざめた。
「俺が姫様『に』捨てられることがあっても、俺が姫様『を』捨てることは億が一もありえねえんだよ。
俺は【夢幻崩界イヴリース】を通常召喚」
【夢幻崩界イヴリース】
効果モンスター
星2/闇属性/サイバース族/攻 0/守 0
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のリンクモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を0にし、効果を無効にして、
このカードとリンク状態となるように自分フィールドに特殊召喚する。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードのコントローラーはリンクモンスターしか特殊召喚できない。
(3):このカードが自分フィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
このカードを相手フィールドに守備表示で特殊召喚する。
かつて逢った幼さの抜けきらない少女は、しかし嘗ての面影を忘れたかのような禍々しい笑みを浮かべていた。
「リンクサーキット展開!
イヴリースをリンクマーカーにセット!
召喚条件は通常召喚された攻撃力1000以下のモンスター。
現われろ、その身を新撰と捧げし尊い獣!
リンク召喚【転生炎獣アルミラージ】!」
【転生炎獣アルミラージ】
リンク・効果モンスター
リンク1/炎属性/サイバース族/攻 0
【リンクマーカー:右下】
通常召喚された攻撃力1000以下のモンスター1体
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手ターンに、このカードをリリースし、
自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
このターン、そのモンスターは相手の効果では破壊されない。
(2):このカードが墓地に存在する状態で、通常召喚された自分のモンスターが戦闘で破壊された時に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
「また攻撃力0…だけど壁にもならないモンスターなんて…」
「リンク召喚時に墓地に送られたイヴリースの効果発動!!
相手の場に特殊召喚される!!」
「は?」
ゆらゆらと陽炎が立ち昇り、ユーリの場にイヴリースが舞い降りる。
「イヴリースはフィールドに居る限りリンク召喚以外の特殊召喚を完全に封じる!!」
「召喚を制限する効果だって!?」
「当然プレデター・プランターの蘇生も対象に含まれる」
「つくづく厭らしい真似を…」
歯噛みするユーリを前に最早抑える気もない赫怒のままに俺は告げる。
「ターンエンドだ。
姫様の献身を受けた俺に勝てるなんて思い上がりだと分からせてやるよ」
おまけ
姫様「ふふふ、内緒でスタンバイしていた私のサプライズで勝つのよ執事!」
アリアンナ「姫様。鎧ではなくドレスをお召になられるのですか?」
姫様「え゛?」←素で間違えた
姫様「だ、大丈夫よ! 執事ならこの状況でも私を活用して」
執事「闇の誘惑で姫様を除外する」
姫様「引き籠もったこと執事絶対怒ってるわよね!?」←涙目
アリアス「いえ、あの手札なら私でも姫様を選ばざるを得ませんが…」
その後、ショックで横になっていたため執事がユーリの挑発にブチギレたのを見逃す姫様。