迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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さあ、決闘を始めようか

「先程の話で1つ、気になっている事があるのですよ。

 世界を4つに分かったのは何者の手によるものなのかと」

「それは悪魔の手に因るものだ」

「嘘ですね」

 

 零王の言葉を否定する。

 

「貴方は悪魔が世界を破滅させようとしたと口にした。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて矛盾しています。

 世界の分割は悪魔に因る破滅の回避の結果なのではないのですか?」

「……」

 

 零王は無言。

 だが、その表情は微かにだがポーカーフェイスが崩れ苦々しさが漏れ出ていた。

 

「では仮に件の悪魔が世界を分割したとしましょう。

 では何のためにエクストラデッキを分割する必要があったのか?

 何故に分割されたエクストラデッキに対応する次元が生まれたのか?

 それについて明確な答えはありますか?」

「……」

 

 零王は答えない。しかし表情から言えない理由があるのは見て取れた。

 成程。世界の分割と統合の必要理由。

 そこがキーワードか。

 

「お答えいただけないのなら、我々はこう結論付けられてしまいます。

 貴方こそが悪魔の尖兵であり、世界を統合する事で悪魔の再誕と世界の破滅の完了を目論んでいると」

「違う!!」

 

 貴様こそが全ての邪悪だと言外に突きつけられ、怒りの感情を剥き出しにして零王は吠える。

 

「かつて私は世界を破滅から救うことを望んでいた!!

 この世界を統合し、レイを取り戻し今度こそあの悪魔を、【覇王龍ズァーク】を私の手で葬り去るために戦っているのだ!!

 断じてヤツの手先などでは無い!!」

 

 怒りのままについに中核を曝す零王だが、しかし俺は別のことに驚いていた。

 

「ズァーク? ああ、あのクソ面倒臭い召喚条件のモンスターはこの世界の産物だったのか」

「……は?」

 

 思わず口にした言葉に零王は怒りを放りだした。

 

「貴様はズァークを知っているのか?」

「ええ。融合召喚のみ可能なペンデュラムモンスターという珍しいカードになっていましたよ。

 ですが故郷だと強さは認められてましたが正規召喚はまず現実的ではないとデッキ構築の有識者や上位陣からは見切りをつけられる程度で、フィールドリセットのカードとして使う者を偶に見掛けるぐらいですね」

「なんだそれは…」

 

 絶望する零王には悪いが、俺にとってズァークは()()()()だ。

 

「彼は怨敵だけどその扱いはどうなの?」

「いやぁ、最悪俺のアークリベリオンとアーゼウスぶつければどうにかなりそうだからつい」

「アークリベリオンとアーゼウス?」

「執事の特に強力な切り札達の1枚です。

 特にアーゼウスは次元を超えて侵略してきたワームの本体を軍勢ごと消滅させた実績があります」

「最終兵器にも程がありませんか?」

「『騎士』にぶつけたら退けたことがありますから、能力無しのステゴロならハスキーさんが全力出せば勝てると思いますよ」

「成程。

 旦那様、機会があれば是非一度手合わせを願います」

 

「巫山戯るな!!」

 

 戯けた会話をしていると堪忍袋の尾が切れかかった零王が怒鳴る。

 

「私はレイを蘇らせるためにスタンダード次元で培ってきた地位も家族も捨ててこの場に立っているのだ!!

 貴様達にそれを愚弄されるなど…」

「漸く本音を吐き出したか」

「な…」

 

 あと一息と見て丁度いいネタがあったから戯けたフリをしてみたが、功を奏したようで何よりだ。

 

「あれってフリだったのかしら?」

「私にはなんとも…」

「半分は素だったと思いますよ」

「君達、シリアスに戻るから今は自重してくれ」

 

 普段が普段だけに言い訳できないので黙っとくよう言ってから対話に戻る。

 

「貴方が次元を統一しようとするのはそのレイという方が理由なんですね。

 名前からして女性でしょうが、ご家族のどなたかで間違いないですか?」

「……レイは私の娘だ」

 

 隠し立ては不可能と判断したらしく声色を落とし零王は語る。

 

「かつての世界でレイはプロデュエリストとして活動していた。

 そしてあの悪魔が世界を破壊するのを防ぐために私が生み出したカードを使い四人に分断されたのだ」

「……誤解が無いよう確認しますが、その四人の統合は世界も共に行わなければならないものなのですか?」

「そうだ」

 

 つまり、彼女はズァークを封じる礎として世界と己を分断したと。

 

 …………。

 

「であるなら、世界の統合はズァークの復活も同時に行われてしまうのでは?」

「その為に私はアカデミアを支配し強力なデュエリストを育成した。

 加えてレイが復活すればズァークを封じた四枚の【花鳥風月】のカードも復活する。

 そのカードを用い、今度こそ私はズァークを打倒するのだ!!」

 

 …………………………はぁ。

 

「貴方の考えはよく分かりました。

 ご家族を取り戻し、あるべき世界を取り戻すために4つの世界を犠牲にする覚悟も理解しました」

「であれば、」

「ええ。私の答えも決まりました」

 

 俺はデュエルディスクを展開して告げる。

 

「言いたいことがもう少しありますので、この先は()()で語りましょう」

「デュエルか」

「いいえ」

「何?」

 

 零王が俺の否定に虚を突かれた瞬間、俺は三枚のカードをディスクに差し込んだ。

 

「【カイザーコロシアム】【センサー万別】【群雄割拠】発動!!

 対象モンスターは、俺と赤馬零王!!」

 

 その瞬間、俺と零王だけがすり鉢状に形作られたコロッセウムの中心に立っていた。

 

「貴様まさか!?」

「これは【デュエル(決闘)】じゃねえ!!

 テメエの腐りきった頭を叩き直す【ディアハ(殴り合い)】だ!!」

 

 俺は踏みしめた地面を蹴り零王の土手っ腹に握りしめた左拳を叩き込んだ。

 




次回、殴り合い宇宙←
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