迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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なんでズァークの話書いてたらMDでズァーク新規来るかなぁ?w


全てが手遅れでも、やりたい事はやるべきだ

 時間は少し遡る。

 

「あれ? オジサンがデュエルしてるの?」

 

 任務の途中だが、執事達が融合次元に来訪したとの情報を受けたユーリは任務を放り出して戻って来た。

 

「ユーリですか」

 

 現れたユーリに反応したアリアンナにユーリは尋ねる。

 

「相手は誰かな?

 僕以外でオジサンの相手になりそうなのはセレナぐらいだけど…」

 

 フィールドに視線を向けると、そこにはモンスターではなく執事と赤馬零王が殴り合っている光景があった。

 

「なぁにこれ?」

「執事の悪い癖が出た結果です」

「えぇ…?」

 

 いい年した年配二人が歯を剥き出しにしながら本気で殴り合う光景は中々見れたものではなかった。

 

「なんでオジサンはプロフェッサーと殴り合ってるの?

 それにこんなフィールドアカデミアに有ったかな?」

「フィールドは執事が【カイザーコロシアム】を実体化したものです。

 さらに乱入防止に【群雄割拠】と【センサー万別】も発動しています」

「デュエル中に展開されていたら本当に嫌なフィールドだね」

 

 誰にもこの戦いに介入を許さないという執事の執念を感じユーリはドン引きした。

 

「旦那様!脇を締めて!そこです!顎です顎!!」

 

 若干呆れ気味なマルファに対しハスキーは二人の戦いに熱を上げてセコンドのように声を上げる。

 

「前から思ってたけど、あのメイドさんって意外と戦闘狂だったりする?」

「中姉さまが拳で語り合った友人だと仰られていたのでおそらくは」

「女の人って怖い」

 

 そういえばセレナも好戦的だったよなと思い出しつつ可愛いからって弱いと侮っちゃいけないなと考えを改めるユーリであった。

 そうして殴り合う中、二人が小休止とばかりに距離を離し対話による戦闘に切り替えた。

 

 内容は、零王が忌んでいるズァークという世界を滅ぼした存在について。

 零王はズァークがかつて人間でありながらより過激なパフォーマンスを見せるという言葉のもとにモンスターとの融合を果たした存在であり世界を滅ぼさんとしたと語った。

 

「そんな奴がいたんだね?」

 

 零王の言葉にユーリは理解出来ない苛立ちを感じてそう呟くと、直後、執事は「莫迦野郎」と口にした。

 

「なんで誰もズァークを叱ってやらなかった!!」

「…え?」

 

 悪逆無道を成したとズァークを非難した零王に対し、執事はズァークを止めてやらなかったことに憤りを露わにした。

 

「事故が起きた時にお前達はズァークを叱るべきだったんだよ。

 観客に阿るためでも事故の可能性が起きる危険なパフォーマンスは止めるべきだと。

 もうさせないよう制度やルールを改め、もう同じ過ちが起きないよう厳格な処罰を制定していればズァークは狂わなかったんだ!!」

 

 かつての所業にではなく、彼を取り巻く環境こそが彼を悪魔にしたと憤る執事。

 

「本当に彼はカードが関わらないと善良よね」

「ラビュリンスの姫もですよマルファ。

 カードは価値観だけで済ますが、ラビュリンスの姫に危害を加えようと画策されたら相手に核ミサイルより大きな被害をもたらしますので気をつけてください」

「そういう意味では中姉さまと執事は相性抜群なんですよね」

 

 三人が執事の憤りに明後日の会話を始めていたけれども、ユーリはその会話が全く耳に入っていなかった。

 

 彼の胸中に去来するのは得体のしれない虚しさともう一つの感情だった。

 

「あの時にオジサンが僕の側でそう言ってくれていれば俺は…」

 

 何故そんな言葉を口にしたのかユーリには分からない。

 分からないけれど、何故か悲しさとなにかが救われたようなそんな気持ちに包まれていた。

 

 

〜〜〜〜

 

 

 零王の心が完全に折れ、俺達を囲っていたカイザーコロシアムが消えていく中俺は脱ぎ捨てた上着を着直しデュエルディスクを装着する。

 

「終わりましたか?」

「さあな?

 様子から全部の解決にはならなかったとしても、少なくともエクソシスター達の解放ぐらいは出来ると思う」

 

 いつの間にか現れたユーリと共に近寄って来たアリアンナの問にそう答えているとユーリが一歩前に歩み出た。

 

「オジサン、お願いがあるんだ。

 『俺』とデュエルしてくれないか?」

「……」

 

 俺? コイツ、もしかして…?

 

「すぐにやりたいのか?」

「うん。無理を言っているのは分かってる。

 だけど、お願いします」

 

 俺の知っている小生意気な様子は潜み、真摯に頭を下げるユーリ。

 

「……しょうがないな。

 いいぜ。やろうか」

 

 ちょっと血生臭くやりすぎてしまったし、頭を切り替えるためにもちょうどいい。

 

「マルファ、ハスキーさん。野郎を拘束しておいてくれ。

 なんならエクソシスター達の解放も先に進めてていいから」

「しかし旦那様…いいえ。畏まりました」

 

 後の事は任せて俺はデュエルディスクを起動しデュエルに適切な距離をユーリとの間に離して対峙する。

 

「オジサン。やる前にルールを一つ変えさせて欲しいんだけどいいかな?」

「内容次第だな」

「オジサンの故郷のライフ8000でお願いしたいんだけど出来る?」

「そいつは構わないがいいのか?」

「うん。オジサンはそっちの方が強いんでしょ?

 俺はオジサンの全力とデュエルがしたいんだ」

「……分かった」

 

 デュエルディスクのライフ表記が4000から8000に切り替わるのと同時に頭が切り替わる。

 ラビュリンスの執事見習い(デュエリスト)ではなく、カードが好きで戦うのが好きな遊戯王プレイヤー(殺し合いに酔う修羅)へと思考が切り替わっていく。

 

「オジサン。さっきまでとまるで違うじゃないか。

 まるで別人だ」

「そんなことはねえさ。

 俺は俺だ。

 だろう?()()()()()()()()

 

 そう口にするとユーリは目を丸くする。

 

「俺がユーリじゃないって気付いていたんだ?」

「一人称が変わっていたからな。

 それと、一つの体に二つの人格ってのに心当たりは少なくなくてな」

 

 様子からマリクみたいな純粋な分裂症や闇人格という名の過去の人間の魂的なのとは違うようだが、零王の話から予想は立つ。

 

「おそらくだが、君はズァークだな?」

「正確にはズァークの分割された四分の一。

 本来なら残り3つの内1つでも集まらないと意識が表にさえ出てこられないんだけど、どうしてもオジサンとデュエルしたかったから少し無理をして出て来たんだ」

「無理って…そんな真似して大丈夫なのか?」

「少なくともユーリには悪影響は出ないよ。

 それにずっと表に出続けるのは無理だけど、少なくともオジサンを倒すぐらいは余裕で持たせるさ」

「言うじゃないか」

 

 相手は四分の一とはいえアニメのラスボス。

 遊の字を持つ主人公ではない俺では世界に勝つのを拒まれるかもしれないが、だからといって負けるつもりは微塵もない。

 

「そこまで言うなら別世界のチャンピオンにまで登り詰めたデュエリストの実力を全力で味あわせてもらおうか」

 

 オートシャッフルが完了したデッキトップ5枚を引いて俺とズァークは同時に宣った。

 

「「デュエル!!」」




次回からアークファイブ編ラストバトル。
ライフ8000ガチバトルなので派手にやっていきますよ。
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