迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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※書いてるの知られたリアルの知り合いとの会話

知人「ゼアル絡ませないの?」
俺「絡ませようがないんだよ」
知人「誰も?」
俺「強いて言うなら九十九父ぐらいか?」
知人「確かに観測者っぽい発言とか多かったしアリっちゃあアリだけど、面白く広げるのは無理か」
俺「そういう事」


格上に挑む時こそがエンジョイ勢の一番楽しい時間である(6)

「なんなんだ一体…」

 

 勝敗を分かつ運命の1枚を手にしようとして、何故か理由の分からない場所に立っていた。

 周りを確認すれば断崖絶壁の人一人が歩く幅程度の細い道と下には底の見えない深い闇。

 空は暗く星は見えず見渡す全ては闇ばかり。

 

 その中で道の終わりに『門』が鎮座していた。

 

 いや、門というのは少しばかり憚られるデザインなんだけどな。

 

「無茶苦茶禍々しいんだけど、なんだこれ?」

 

 口から飛び出すほど伸びた牙を生やした怪物を浮かし彫?みたいな要領で装飾された門は古い伝承等の悪魔をイメージしたものだろうか。

 そうして周りを確認し終えた俺は()()()()()()()()()()()()()()を宥めながら虚空に問う。

 

「そろそろ要件を頼むよ。

 俺は大人だからな。愉しくデュエルしているところを邪魔されても少しぐらいはそちらを立てようって引くぐらいはしてやる。

 だがな、邪魔した要件も語らず手前勝手ばかり押し通そうってなら、何もかもぶち壊すぞ?」

 

 デュエル中だからやりたくは無いが、冷や水をぶっ掛けるような某には()()の一発や二発叩き込んでも許されると思うんだよ。

 

『この扉を開く者は、新たな力を得る

 

しかしその者はその代償として、一番大事なものを失う』

 

 不意にそんな問いかけとも通達とも聞こえる声が虚空より耳朶に響いた。

 

「……で?」

 

 だからどうしろと続きを待つも声は無い。

 

「……」

 

 これはアレか?

 アニメでよくある、勝ちフラグを得るために通過するイベント的ななにからしい。

 どういう訳か知らないが、俺はこのイベントを経過してズァークと戦う打開策を手にデュエルを再開すると…

 

「ふざけんじゃねぇぞ!!!!」

 

 俺は怒ったぞ!!

 

()()は俺とズァークのデュエルだ!!

 世界の意思だかシナリオの都合だか知らないが、邪魔してくれてんじゃねぇ!!」

 

 第一だ。第一にだ!!

 

()()()()()()()()()()だと!?

 俺から姫様を奪おうってのか?

 ぶち殺すだけじゃ済まさねえぞ!!??」

 

 怒りのままに俺はエクストラデッキからカードを引き抜き『召喚』する。

 

「デュエルの邪魔をし、勝敗に唾を吐きかけた挙げ句俺から姫様を奪おうとする敵を焼き払え【天霆號アーゼウス】!!」

 

 ありったけのデュエルエナジーを注ぎ込み、人の手により生み出された神殺しの機神をこの世に顕現させる。

 

『この扉を開くものは』

「しつけえ!!」

 

 まるで焦ったかのように再び何かを告げようとする声を遮り俺は宣う。

 

「俺のデュエルの結果は俺と、()()()()()()()()()カード達だけのものだ!!

 その結果を、外野如きが書き換えようとするんじゃねえ!!」

 

 俺の意思を受け取ったアーゼウスが両眼を煌々と燃やし全身に搭載されたユニットを展開。

 ユニットは形を砲へと変え名の由来となる神が手にしていた世界を焼き尽くす雷霆(ケラウノス)を『門』へと向ける。

 

「やれ!!アーゼウス!!」

 

 怒りと殺意を以て告げた命に従いアーゼウスがその火砲を『門』へと解き放った。

 極光が世界の闇を焼き払う中俺はこれを仕組んだ誰かに告げる。

 

「俺が欲しいのは惚れた女の心からの笑顔だけだ。

 世界の意思も、シナリオも、脚本家もすっこんでいろ」

 

 目を焼く光に自分が溶けていく不可思議な感覚に包まれていくが、不思議とカードとデュエルディスクの存在だけはしっかりと確かめられた。

 

 そして、そうあるべきとの予感に従い俺はデッキトップに手を添え、優しく引いた。

 

「ドロー」

 

 

〜〜〜〜

 

 

 その場に居た者は目撃した。

 もはや勝敗は決して後はその終わりを告げる為の残務処理でしかなかった筈の男のデッキが輝き、新たなカードが創造される瞬間を。

 

「ここから逆転すると言うの!?」

「オジサンにも来たのか!?」

 

 奇跡の瞬間に観戦していたマルファから驚愕の声が漏れ、相対するズァークは更なる戦いの激化の予感に胸を高鳴らせた。

 

 しかし、

 

 カキィィィン!!

 

 甲高い音と共に光が砕け散り、生み出されたカードがボォッ!と火を吹いてデッキトップから消えていく。

 

「何が起きたのですか!?」

「姫様以外からの奇跡を拒絶したのですね。執事」

 

 困惑するハスキーの横で与えられた奇跡を否定した事を理解したアリアンナは小さく頬を吊り上げそう零した直後、執事の目が強い光を灯す。

 

「ドロー!」

 

 与えられた勝利の鍵を投げ捨てた執事の顔は、手にしたカードを見て笑いを濃くした。

 

「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。

 俺は手札から【貪欲な壺】を発動!」

「土壇場でドローソースを引いてきたか!?

 チェーンは無い!」

「ならば墓地より【憑依装着−ダルク】【暗影の霊使いダルク】【黒魔女ディアベルスター】【シャドール・ビースト】【エルシャドール・ネフィリム】をデッキに戻し2枚ドロー!」

 

 眠りに就いた魂にまだ役割は終わってはいないと、醜悪な笑いを浮かべる壺はその身を砕いて力を与える。

 

「俺は【召喚僧サモン・プリースト】を召喚。

 召喚時効果で守備表示になる」

「チェーンは無い」

「ならば守備表示のサモン・プリーストの効果発動。

 手札から【ライトニング・ストーム】を墓地に送りデッキからレベル4モンスターを特殊召喚する」

 

 結跏趺坐を組んだ僧の怪しい呪文が螺旋を描きモンスターを呼び出すための力場を生む。

 

「……チェーンは無い」

 

 止めなければならないのにその手に止める術がないとズァークは苦しそうに告げ、執事はデッキからモンスターを1枚引き抜く。

 

「俺は【憑依装着−ダルク】を守備表示で特殊召喚する」

 

 何度倒れても主より先に折れはすまいと若き精霊使いは杖を構えて立つ。

 

「サモン・プリーストとダルクの2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!

 来い!【レイダーズ・ナイト】!!」

「エクシーズ召喚!?

 どれだけ手札を持って来ているんだオジサンは!?」

「この流れはアークリベリオンですか?

 ですがアークリベリオンの効果ではこの状況を打破できるとは思えませんが…」

 

 アークリベリオンの効果は場のモンスターの攻撃力を集約させるもの。

 しかし場にはドクロバット・ジョーカーしかおらず、その最終攻撃力は()()()()()()()()()()()()()()()であって、メインフェイズ中は1800でしかなく攻撃力3000のアークリベリオンでは効果を使おうとズァークに止めを刺すことは出来ない。

 そうなれば返しのターンに再びアストログラフ・マジシャンが呼ばれ、虹彩の魔術師の効果で負けるだけだ。

 

「レイダーズ・ナイトの効果発動!

 エクシーズ素材を1枚墓地に送りエクストラデッキのランク3かランク5の【RR】【幻影騎士団】【エクシーズ・ドラゴン】の何れかのエクシーズ・モンスターをエクシーズ召喚する!」

「ランクアップマジック内蔵モンスターとかやり過ぎだろオジサンの故郷!?」

「俺の故郷の合言葉は【妨害握っていないほうが悪い】だ!

 獰猛なる隼よ、激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!

 ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!

 再臨しろ、ランク5!【RR-ブレイズ・ファルコン】」

 

 機械仕掛けの騎馬の首元から膨大な焔が巻き上がり、その炎の渦を吹き飛ばして鋼の隼が甲高い鳴き声を上げた。

 

【RR-ブレイズ・ファルコン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/闇属性/鳥獣族/攻1000/守2000

鳥獣族レベル5モンスター×3

(1):X素材を持っているこのカードは直接攻撃できる。

(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを破壊する。

(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×500ダメージを相手に与える。

 

「バトルフェイズに移行!

 ブレイズ・ファルコンでダイレクトアタック!」

「チェーンは無い!」

 

 魔術師達が作る防衛網のほんの僅かな隙間をくぐり抜けた隼の爪がズァークを斬りつける。

 

「ぐぅっ!?」2400→1400

 

 アクセスコードの膨大な攻撃力に比べれば軽いが、しかし決して無視できない痛痒にズァークが呻く。

 

「ライフが並んだ!」

「ですがこのままでは…」

「いえ。執事の勝ちです」

 

 ライフアドバンテージを引き戻そうと勝利には繋がらないと曇るハスキーに対し、執事のエクストラデッキの中に控える『切り札』を知るアリアンナは勝利を告げる。

 

「ブレイズ・ファルコンの効果は使わずバトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移行する」

「凄いよオジサン。

 こんなに食らいついて来られたのは初めてだ」

 

 バトルフェイズを終えた所で名残惜しげにズァークはそう賛辞を口にした。

 それに対し執事はいやと謙遜を口する。

 

「俺は凄くないさ。

 凄いのは、俺に力を貸してくれるカード達さ」

「ううん。オジサンだって凄いよ。

 どんなに凄いカードもそれを使う担い手が駄目なら力を発揮しないし、そもそも力を貸そうなんて思わない」

 

 そう言うとズァークは顔を綻ばせて告げる。

 

「デュエルが始まってからずっと聞こえるんだよ。

 オジサンのデッキからオジサンを勝たせたい。全力以上の死力を奮ってオジサンが勝つための道筋を切り開くってカード達の声が聞こえていたんだ」

 

 ズァークのその言葉に執事は一瞬目を見開き、そして穏やかに慈しみに満ちた笑みをデッキに向けた。

 

「……そうか。

 なら、勝たないとな」

「勝つのは俺だ!

 オジサンに次のターンは来ない!」

 

 戦う者としての敬意と覚悟を持ってそう告げるズァークに、不思議とやりきった笑みを浮かべた執事はこう返した。

 

「それはどうかな?」

「なんだと!?」

 

 執事の手札は【レッド・リブート】1枚のみ。

 ブレイズ・ファルコンの戦闘時効果は放棄しているし起動効果はズァークのターンには使えない。

 ここから何ができるというのかと焦るズァークへと執事は告げる。

 

「ブレイズ・ファルコンでオーバーレイ・ネットワークを構築!!」

「馬鹿な!!??」

「コイツは通常召喚条件とは別に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にエクシーズモンスターを下地として召喚する事が出来る!」

「だからダイレクトアタック出来るブレイズ・ファルコンを採用していたのか!?」

「その通りだ!!

 来い!!天空を統括する、雷霆の機神!

 人類最大最後の究極的一撃を以て災禍を撃滅すべし

 エクシーズ召喚!【天霆號アーゼウス】!!」

 

 ブレイズ・ファルコンが天へと飛翔し天に渦巻く光の粒子へと飛び込み、そして天から神を殺すために生み出された人造のカミが大地に降り立った。

 

【天霆號アーゼウス】

エクシーズ・効果モンスター(制限カード)

ランク12/光属性/機械族/攻3000/守3000

レベル12モンスター×2

「天霆號アーゼウス」は、Xモンスターが戦闘を行ったターンに1度、

自分フィールドのXモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):自分・相手ターンに、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。

フィールドの他のカードを全て墓地へ送る。

(2):1ターンに1度、自分フィールドの他のカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。

手札・デッキ・EXデッキからカード1枚を選び、このカードのX素材とする。

 

「は、はは、アハハハハ!!

 やられたぁ! こんなにカッコよくて凄いのがアクセスコード・トーカー以外にも控えていたなんてもう笑うしかないじゃないか!!」

「楽しんでくれてありがとう!

 ついでにコイツには笑えない効果まで有るんだよ。

 行くぞアーゼウス!!」

「っ!? 今度はなにをしてくるんだ!?」

「アーゼウスの効果発動!!

 エクシーズ素材を2枚墓地に送りフィールドの自分以外の全てを墓地に送る!!」

「破壊耐性無視効果!!

 しかも破壊じゃなくて直接墓地送り!?」

「そうだ!故に破壊時効果は発動出来ない!!

 全てを焼き払えアーゼウス!!」

 

 アーゼウスの双眼が輝きその背のユニットを前方に展開する。

 

「放て!『デウス・エクス・ケラウノス』!!」

 

 執事の言葉と同時に展開したユニットから幾条もの光が世界を焼き尽くす。

 その余波はズァークのフィールドのみならず執事のフィールドにまで及び光が消えたあとに残されたのは機神のみであった。

 

「ターンエンド。

 さあ、再び形勢逆転だ」




ちなみに執事はディスティニー・ドローもシャイニング・ドローもカード書き換えもずるいとは思っても反則とは思いませんしプレイを続行します。
ですが、自分に起きたらディスティニー以外はブチギレてサレンダーします。
なので、カード達はそれが分かっているのでかなりヤキモキすることが結構あったりします。
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