迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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設定を固め直したので投稿再開です。

所でほぼオリ設定の精霊界の情報って必要か分からないのでアンケート取りますね。


騒がしくはないが細やかな諸々が無い事もない

【最近のカード事情】

 

「ヤヴァイカードを引いてしまった…」

 

 ある日の事である。

 融合次元誘拐事件と銘打たれた一連の騒動も一幕の落ち着きを経て漸くいつもの日常が戻って来た。

 そんな訳で経済を回すために買い漁って山となったカードパックの開封作業をしていたのだが、当たりなんだが使うにはためらうレベルのカードが来てしまったのだ。

 

【カオス・アンヘル-混沌の双翼】

シンクロ・効果モンスター

星10/闇属性/悪魔族/攻3500/守2800

チューナー+チューナー以外の光・闇属性モンスター1体以上

このカードをS召喚する場合、自分フィールドの光・闇属性モンスター1体をチューナーとして扱う事ができる。

(1):このカードが特殊召喚した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを除外する。

(2):このカードは、このカードのS素材としたモンスターの元々の属性によって以下の効果を得る。

●光:自分フィールドのSモンスターは相手が発動したモンスターの効果を受けない。

●闇:自分のモンスターは戦闘では破壊されない。

 

 因みにカードパックの当たり率はガチャでいうと運命なソシャゲの最高レアすり抜け当選確率が生易しく見えるレベルの排出率である。

 異常といえる程のだしやすさに反比例した超高性能。

 しかもアンヘル(天使)と名乗りながら悪魔族なのでビッグウェルカムの墓地効果とも噛み合う。

 おそらくMDではバロネスを超える汎用出張カードとして蛇蝎のごとく嫌われて愛されている事だろう。

 しかし、いや、故にこそ、

 

「強すぎて使えん」

 

 ラビュリンスで使えとばかりのテキスト外効果に是非とも積みたい1枚だが、出したら一発で使用禁止の烙印を押されるだろう。

 

「また貴方の故郷産のカードを引いたの?」

「これはまた地獄を体現したかのような1枚ですね」

「僕はこれをシンクロモンスターだと思いたくないよ…」

 

 上からマルファ。ハスキーさん。ブルーノの感想である。

 

 この一月で屋敷も少しだけ変わった。

 

 大きな変化はマルファとブルーノが住人として増えた事だろう。

 マルファはエリス達がカードから解放されるまで屋敷に逗留するよう勧めた結果、屋敷に住みつつ自由都市の教会の雇われシスターとして働くことになった。

 教会からはデュエルの強い美人のシスターが居ると話題になり寄付が増えたと感謝されたが、聖職者が拝金的な発言をしていたのはどうなんだろうか?

 まあ生きるのに金が必要なのは坊主も変わらないし、教会と言っても地球の四文字系列とは全く関係ない世界を創った【始まりのカード】なるものを主神とするカード信仰とでも言うべき宗教なので故郷の感覚と同じに考えても致し方ないのだろう。

 ハスキーさんは屋敷のハウスキーパーなので特に変わらないが、ブルーノはなんでか【ゴブリン珍品堂】によく出入りするようになった。

 曰く、

 

「あの店には直せばちゃんと動くものが沢山あるのが見過ごせない!」

 

 と、そんな理由から修理工として半ば押し入る形で働いている。

 因みに給金に関しては週払いで正当な金額をちゃんと明細と現金の齟齬が無いよう裏道を塞ぎながらギッチギチに固めた契約書を俺とハスキーさんの立ち会いの下で交わさせて払い渋りや中抜きなんかの真似が出来ないようにしているためしっかり給料は貰っている。

 その金でマスカレーナ達の本体が居るような未来都市がある次元に移動してデルタイーグルの修理に必要なパーツを買い集めている。

 二人共屋敷の【妖怪少女】達とも仲良くやっていけているためそちらについても不安はない。

 

「旦那様はそのカードをお使いにはなられるのですか?」

「いや、使いたいけどカードパワー的に【封印櫃】行きにするよ」

 

 【封印櫃】とはあまりにもカードパワーが強すぎるカードを封印するためにマスター・ヴェールに発注して作ってもらった特製の箱である。

 開封する為には鍵と暗証番号に加えて俺とブルーノ、それと姫様の三人の内誰かしらの魂の波長データの三重ロックを解除する必要がある。

 ついでに強度も凄まじく壊そうとするならハスキーさんの全力パンチが千回は必要だと目元を隈で真っ黒にした(多分デスマで壊れかけてた)ハイネが自信満々で宣う強度があるため盗難の心配も少ない逸品である。

 ハスキーさんにそう言って仕分け箱にカオス・アンヘルを分け残りの精査作業を進める。

 そうして今回の仕分け作業を終えたが、喜ぶべきか残念がるべきか他に封印対象はでてこなかった。

 

「使う機会があれば頼むな」

 

 遊戯王ならやっぱり()()だろうと【千年パズル】が収められていた箱をベースにデザインは姫様に頼んで完成した白銀の封印櫃のロックを解放する。

 開いた箱の中に仕舞われたカードファイルを開き中に収められているカードに俺は思う。

 

()()()は今、どんな地獄になってんだろうな?」

 

【騎士皇レガーティア】

【燦幻昇龍バイデント・ドラギオン】

【蛇眼の炎龍】

【R-ACEタービュランス】

【炎王神 ガルドニクス・エタニティ】

【真炎竜アルビオン】

【サイコ・エンド・パニッシャー】

【魔鐘洞】

 

 当然というか、1枚の例外もなくデザインした奴は人の心がないと叫ばれ満場一致でコイツ等を知られることさえヤヴァいと判断されたカード達。

 その中にカオス・アンヘルを加えつついつか精霊界もこいつ等が陳腐化する程の魔境になるのかもしれないと戦慄しながらも、同時に俺はそんな地獄に身を投じる日が来ないかと期待しながら封印櫃の蓋を閉じた。

 

 

 

【闇に潜む者】

 

 本日は対戦予定もなく偶には散策にでも出てみようかと思いながら時間を無駄にする贅沢を味わっていると、ちょいちょいと裾を引っ張られた。

 

「どうしましたうららさん?」

 

 正体を見れば屋敷の本来の主である【妖怪少女】の一人である【灰流うらら】が縋るような目で見上げていた。

 

『……!』

 

 うららは怖がる様子を見せながら天井を示す。

 

「屋根が破損しているのですか?」

 

 見上げてみてもハスキーさんの完璧な仕事ぶりしか見えないのでそう尋ねるとうららは首を横に振る。

 ふむ。

 どうやら先日のアークリベリオン対ハスキーさんの余波の破損が残っているという訳ではないようだ。

 

「となると、屋根裏に何かあるのですか?」

『……!!』

 

 分かって貰えたという様子でうららが何度も首を縦に振る。

 つまり屋根裏に何かしらうららが怖がる某が潜んでいるらしい。

 

「正体はわかりますか?」

「……!」

 

 怖がる様子で首を横に振る。

 参ったな。ハスキーさんは買い物に出たばかりだしブルーノ達も仕事で不在。

 つまり自分一人しか対処に当たれる者がいないのだ。

 

「わかりました。先ずは正体を確かめましょう」

 

 コレが野生の増Gが屋根裏を巣にしようとしているとかならエリアに風の魔法で追い出してもらうだけで簡単に片付くのだが、うららの怯えようからカードを盗みに来た賊か暗殺者なんて可能性も完全には否定出来ない。

 

「念には念を入れておくか」

 

 デュエルディスクを装着しカードを何枚かセットして即座に起動できるようしておく。

 そうして準備を整えてから屋根裏に登れる階段を下ろして懐中電灯を手に慎重に階段を踏みしめる。

 

「……反応はなしか」

 

 階段を降ろして敢えて軋む音を起てるよう踏んでみたが、上からの反応は無い。

 万全を期すなら誰かしらモンスターを『召喚』して見て来てもらうのが無難ではあるが、うららの見間違いという可能性も排除出来ないので無駄に足労を掛けるのも悪いと思ってしまう。

 本当に害意が有る者が潜んでいるなら可能性として肉体を持たないゴースト系。或いは誘い込まれているのか…。

 兎に角直接見て見るしかあるまい。

 階段を登り暗闇に懐中電灯を当てて照らしてみる。

 

「……なにも居ないな」

 

 埃っぽい空気が懐中電灯の光に反射する光景にどこか懐かしさを感じながら左右に振って様子を伺っていると、薄暗がりから暗さがより深い方へ逃げる小さな何かの影が視界に映る。

 

「誰だ!」

 

 トタタと小さな足音を起てて逃げる影に俺は伏せておいたカードを起動する。

 

「【闇をかき消す光】発動!!」

 

 精霊界でさえ使うのが難しいが、閃光弾代わりになるだろうとセットしておいたカードを発動し屋根裏の暗闇を纏めて消し去る。

 

「キュ〜!!??」

 

 暗闇が消し飛ばされた事に驚いたのかやけに可愛らしい悲鳴を上げて転げ回る黒い毛玉の姿が露わになった。

 

「【クリボー】? いや、違うな」

 

 パッと見は【クリボー】かと思ったが、光に怯えた様子で緑色の目を小さな青い手で隠して丸くなる姿は微妙に違うように見えた。

 

「…なんだったかな。

 確か昔似たようなカード持っていた気がするんだが…」

 

 古い弾のバニラカードにこんな感じのモンスターが居たことは覚えているんだが、名前がどうにも思い出せん。

 

「キュ〜…」

 

 取り敢えず害はなさそうなので【闇をかき消す光】が効果を失う前に捕まえておく。

 

「キュッ!? キュ〜!?」

 

 ジタバタと暴れるが手足が短いせいで抵抗にもならず、俺は逃さないよう注意しながら屋根裏を出る。

 

「うらら。貴女が言っていたのはコイツですか?」

「…!!」

 

 コクコクと頷くうららに犯人が確定したかと一先ず危機でないことに安心する。

 

「取り敢えず事情聴取かな」

 

 事件そのものは野生動物が住み着くみたいな大事にはならないものだったが、一応モンスターらしいので放置するわけにもいかない。

 

「旦那様?珍しいモノを見つけられましたね」

 

 と、丁度帰ってきたハスキーさんがクリボーもどきを指して言う。

 

「ハスキーさんは知っていますか?

 私は生憎名前を忘れてしまっているようで」

「その子は【屋根裏のもののけ】ですね。

 一切無害という訳ではありませんが、人が住む家には大抵潜んでいる子です」

「ああ、そんな名前でしたね」

 

 確かクリボーよりチョットだけ火力があるせいで逆に使い道を見つける方法が分からなくなっているカードだった筈。

 

「屋敷の住人が増えたので何処からか入り込んできたようですが、旦那様は追い出されてしまいますか?」

「キュ…」

 

 ハスキーさんの言葉に悲しそうな鳴き声をあげるもののけ。

 

「置いておく事にメリットはありますか?」

「屋根裏に鼠や蝙蝠といった害獣が住み着くのを防いでくれる事がありますよ。

 他にですとお菓子とミルクを分けてあげれば屋根裏を掃除してくれますね」

 

 置いておくメリットは十分あるな。

 

「うららさん。この子が住むのを認められますか?」

「……」

 

 そう尋ねてみるとうららは小さく首を縦に振った。

 

「そうですか」

 

 家主が良いと言うなら俺が追い出す理由は無い。

 もののけをテーブルに乗せ俺は椅子に座って視線を合わせる。

 

「いいですか?

 この屋敷の主は私ではなく此方のうららさんです。

 屋根裏に住み着きたいのなら彼女達を怖がらせないようにしてください。

 出来ますか?」

「キュッ!!」

 

 俺の問いにもののけは全身を使って頷くとテーブルを飛び降りてうららに近付き謝罪するように鳴いた。

 

「どうやらまた住人が増えるようですね。

 ハスキーさん。彼にもお菓子とミルクをお願いします」

「畏まりました」

 

 こうして屋敷はまた一人新たな住人を迎えたのであった。

精霊界の設定は知りたいですか?

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