迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
ついでにメンタルも治しとかないと環境デッキに触れたら心が壊れて闇堕ちしちゃいそうだからね。
「今の遊矢はそこ迄悪くなかったよな?」
ハスキーと共に観客席に入ったユーリ達は先程のプレイングについて意見を交わしていた。
「そうだな。
バックへの警戒の甘さは兎も角、オッドアイズの二連打と時詠みの魔術師が全部通ればライフは削りきれていた。
遊矢はそう圧力を掛けてカグヤのバウンスを引き出して魔法族の里のロックを逆に掛けつつ時詠みの魔術師で堅実なライフアドを稼ぐ算段だったんだろうが、憑依連携で振り出し以下にまで下げられたと見るのが普通だが…」
「オジサンの読みはかなりえげつないからなぁ。
警戒基準が故郷のデュエルらしいから警戒のハードルを簡単には超えられないんだよね」
実際執事はバック全破壊からのオッドアイズ召喚による1ターンキルまでは行かずとも、カグヤの効果を無効にされた上でモンスターが全滅する程度の被害は行くと予想していた。
しかし蓋を開けてみれば遊矢の選択はオッドアイズ任せの只のゴリ押し。
之では警戒していた執事の方が道化と言えた。
「私のターン。
手札から【エクスチェンジ】を発動します」
「 」
【エクスチェンジ】
通常魔法
お互いのプレイヤーは手札を公開し、それぞれ相手のカード1枚を選んで自分の手札に加える。
((((いくらなんでもエグ過ぎるだろ!!))))
遊矢の手札がエース一枚であるこの状況でエクスチェンジを使った執事にハスキー以外の全員がただただそう思った。
「私は既に決まっていますので先に選んでください」
「……コレを」
遊矢は執事を睨みながら【妖精伝記カグヤ】【アラメシアの儀】【ジェスター・コンフィ】の三枚の中から【妖精伝記カグヤ】を選んだ。
「そちらを選びますか。
それではオッドアイズをお預かりします」
魔法族の里を無効化しつつサーチアンドドローを遮りかつ、執事がオッドアイズを呼び出せば手元に取り返せるカグヤを選ぶのは遊矢にしてみれば至極当然と言えた。
しかし、その選択は過ちであった。
「それでは再開しましょう。
私は手札から【アラメシアの儀】を発動。
チェーン確認です」
「トラップ発動!【威嚇する咆哮】!!」
すかさず遊矢が伏せカードを発動する。
「確かに使うなら今しかないな」
止められないのならこの後に万能妨害性能を有するグリフォンライダーが出てくるのは確定しているのだから、このターンを生き残るには今しか使うタイミングは無い。
「では逆順処理によりこのターンの攻撃宣言は行えなくなった後に【勇者トークン】を守備表示で特殊召喚しデッキから【運命の旅路】を発動状態でセットします」
膨大な水が溢れ出し人形を形成し身を守るように腕をクロスする。
「【運命の旅路】の効果発動。
デッキから【流離いのグリフォンライダー】を手札に加えてから手札を一枚墓地に送ります。
私が手札から墓地に送るのは【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】です」
「ぐっ!!」
執事の言葉に遊矢が憎しみの籠もった眼差しを向ける。
「そしてチェーンしてグリフォンライダーを特殊召喚します。
チェーンを確認します」
「無い!!」
「分かりました。
ではグリフォンライダーを守備表示で特殊召喚し、召喚時に【運命の旅路】の追加効果を発動します。
デッキから【騎竜ドラコバック】を【勇者トークン】に装備します」
【騎竜ドラコバック】
装備魔法
自分フィールドのモンスターにのみ装備可能。
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):「騎竜ドラコバック」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
(2):このカードが効果モンスター以外のモンスターに装備されている場合、
相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを持ち主の手札に戻す。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、自分フィールドの「勇者トークン」1体を対象として発動できる。
その自分のモンスターにこのカードを装備する。
鞍を履いた青い翼竜が人形の前に走り寄り人形は乗り慣れた様子で翼竜に跨がった。
「完全に読み違えたね。
オッドアイズを取り返すことに執心してアラメシアの儀を奪わなかったせいで、場には完全妨害のグリフォンライダーに効果破壊耐性のアウスと戦闘破壊耐性を付与された勇者トークン。
しかも憑依覚醒の効果でトークンとグリフォンライダーの攻撃力はオッドアイズを超えているね」
どう見ても遊矢に勝ち目のない布陣だが、執事は此処から更に容赦のない盤面を広げにかかった。
「手札から【ジェスター・コンフィ】を特殊召喚します。
チェーン確認を」
「いい加減にしてくれよ!!」
丁寧なプレイングを見せる執事だが、怒りから興奮した遊矢は叫んだ。
「そんなに一々聞く必要が有るのかよ!?」
「当然です」
苛立つ遊矢に執事は言う。
「対戦相手が効果の差し込みを行いたいという際に巻き戻し処理を行わずに済ませるようにする配慮は当然として、こうして細かく確認を取る事で見ている者にも今何が起きているのか、今発動した効果に割り込みが可能なのか理解できるだけの猶予が生まれるのです」
「……あ」
思いがけない言葉に遊矢が衝撃を受ける間に執事はさらに嘯く。
「チェーン確認を廃すればスピーディーでテンポの良いプレイングとなり確かに見栄えはします。
ですが、私達プロデュエリストは
プレイングを楽しむ観客だけでなく、観客の中に居る未来のデュエリストの卵たちがよりカードを理解し自らのデッキを生み出す為の一助になる事もプロデュエリストの役目であると私は考えています。
遊矢君。君が父上のエンタメデュエルを目指したのは、父上がそうしろと教え込んだからだけですか?
父上の後を追い教わったエンタメデュエルを掲げる事が君のデュエルなのですか?」
「それは…」
「一つ話をしましょう。
彼はとある次元で世界最高峰のデュエリストに登り詰める才媛でした。
しかし彼は望まれるままにと、顔も知らない誰かのためにと自身を押し殺し続けた結果彼を顧みなくなった世界に押し潰され、終いには自分を見失い周りの声も聞こえなくなり誤った選択を選びました。
例えるならばそう、自身の信条に共感を得られず悩み苦しむ今の君の様に」
「そんな事は…」
「では何故悩むのです?
君が懊悩を抱いていないというのなら何故笑わないのですか?
貴方の掲げるエンタメデュエルとは、
「……」
執事の偽りを許さない真っ直ぐな問い掛けに遊矢は頭を真っ白にしてしまう。
「私は気に入らない。
『デュエルで笑顔を』と嘯きながらその使い手には
そもそもにしてエンタメデュエル等と掲げずともデュエルモンスターズは世界の中心に根差すほどに
勝って嬉しい。
負けて悔しい。
それらはあって然るべきであり、それがあるからこそ楽しいと思えるのだ。
「これが私のエゴであることは百も承知。
故にこそ私は
俺はデュエルが楽しいからデュエリストをやっているんだ。
「俺の……エンタメ…」
「使命。魂。思想。矜持。野心。愛。
それらをデュエルに賭けたいというならば好きに賭けて結構ですよ。
それを押し通したいと私に挑むのなら全力を奮いお相手しましょう。
ですけれどだ。
掲げる物のためにデュエルが
それこそが私がデュエリストを名乗る理由だからです」
何のためにデュエリストを名乗るのか、その場で聞いていた者は其々に思いを馳せる。
「遊矢君。私はエンタメデュエルとは違う私の
その果てに見つけ出しなさい。
貴方が本当に目指したい道を。
サーキット展開!!」
執事の意を受けて未来回路がその姿を現す。
「アウスとジェスター・コンフィをリンクサーキットにセット!
召喚条件は闇属性を含むモンスター二体!
来なさい我が右腕!リンク召喚!リンク2!【暗影の闇霊使いダルク】!!」
アウスとジェスターがサーキットへと身を投じ、拓かれた海路の先より執事の象徴になりつつある黒髪の少年が場に降り立つ。
「チェーン確認です」
「……無い」
その言葉には先程までの苛立ちはなかった。
ただただ一挙一動まで見逃すまいと遊矢は目を見開いて執事を見ていた。
「では召喚時に憑依覚醒の効果で一枚ドロー。
引いたカードをセットし、その後ダルクの効果を発動します」
「ダルクの効果は…まさか執事さんは!?」
遊矢はオッドアイズを手札コストに消費したのは嫌がらせだと思っていた。
しかし真意はそうではなかった。
「言ったはずですよ!
あなたの切り札を預かっておきながらただ呼び出すなど
墓地より飛翔せよ!雄々しくも美しく輝く二色の眼宿せし龍!
【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!!」
ダルクが大地に杖を突き魔力を用いて闇の光を放つ魔法陣を描くとその中心より赤いドラゴンが現れ怒りを滲ませる強壮な雄叫びを上げる。
「主以外に手綱を握られ不愉快でしょうが、今暫くの辛抱をお願いしますよオッドアイズ。
さあ、舞台は整いましたよ榊遊矢君!
グリフォンライダーの万物を遮る防壁を!
騎龍を駆る勇者の城壁を!
そして我が右腕を支えし布陣を敷いた堅牢な要塞を潜り抜け、あなたの魂のカードをその手に取り戻してみなさい!!
そして私に示してみせろ!
貴方の掲げるエンタメデュエルが貴方自身が羽ばたくための翼である証左を!!」
ターンエンド!とらしくない力強い言葉でターンを渡す執事の姿にユーリは苦笑を零す。
「オジサンは相変わらず子供には優しいよね」
「どこがなんだ?」
地獄の様な盤面を広げる執事に優しさを見いだせず出た問を「さあてね」とはぐらかしてユーリは改めて盤面を確認する。
フィールドの枚数は遊矢が三枚に対し執事はモンスター四体に加えて発動済みの【魔法族の里】【憑依覚醒】【運命の旅路】と伏せカード二枚を合わせた九枚。
執事に手札は無いが遊矢の手札は魔法族の里のロックを外せる【妖精伝記カグヤ】1枚だけとあるだけマシな状態。
「待った!!
エンドフェイズにトラップ発動!
【裁きの天秤】!!」
【裁きの天秤】
通常罠
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):相手フィールドのカードの数が
自分の手札・フィールドのカードの合計数より多い場合に発動できる。
自分はその差の数だけデッキからドローする。
通ればドローフェイズも加えて五枚の手札増強を叶える起死回生の一手。
止められてもグリフォンライダーを退去させ執事の妨害を一枚剥ぎ取りかつフィールドの属性が一枚消えることでモンスターの攻撃力が下がるのを鑑みれば、使うなら今を置いて他に無い。
「チェーン確認!」
「いいでしょう。
貴方と貴方のデッキがどこまで足掻けるか正面から受けて立ちます!
その発動を通します!!」
舐めプと言われかねない判断を下す執事だが、対峙する遊矢は潤沢な手札程度ではこの布陣は崩れないという信頼の顕れであると受け取った。
「カードの差は合計四枚。よって四枚ドロー!!
そして俺のターン!! ドローフェイズ!!」
そこで遊矢はデッキトップに向けた手をそのまま滑らせ両腕を大きく振り観客のいない会場全部に届かせるように声を張り上げた。
「レディース&ジェントルメン!!
私榊遊矢は現在あまりにも大きな壁を前にしております!
その壁の名は強大なる配下を従え、あまつさえ私の誇るべき相棒さえも籠絡し軍門に加えてみせた強きデュエリスト【迷宮の案内人】。
私の手札は彼の温情によって六枚の保持を許されました。
しかし恥を承知で打ち明けます。
私の窮地に馳せ参じてくれた愛すべき同胞達の力を束ねても後一歩及ばぬ現実が私に膝を折れと強要致しております。
されど私はまだ希望は潰えたとは思いません。
今より引くこの一枚が未だ足りない最後の一歩を埋めてくれると信じるからです!
さあ刮目してご覧ください!
榊遊矢の一世一代の大勝負。その集大成を今よりご披露致します!!」
自らを鼓舞するように、そして既に勝敗が付いたと思っているだろう観客に未だデュエルは終わっていないと知らしめ新たな流れを生み出すために遊矢はそう宣った。
「ドロー!!」
意気軒昂に吠えてデッキトップを引き込む。
手にしたカードを確認した遊矢は一瞬だけ驚き、そして未明の闇に光を見出した強い意志を瞳に燃やす。
「スタンバイフェイズ!! メインフェイズ!!
揺れろ、魂のペンデュラム!
天空に描け光のアーク!」
「いきなりペンデュラム召喚ですか…」
大量展開する事で妨害を削り切ろうというのかと訝しむ執事の前で巨大な振り子が揺れその軌跡が虹彩の道を描く。
「ペンデュラム召喚!!
【妖精伝記カグヤ】!【虹彩の魔術師】、【龍穴の魔術師】、【紫毒の魔術師】そして!【アストログラフ・マジシャン】!」
虹彩の道を通り執事の手札から加えた豪奢な着物を羽織る狐の獣人に覇王の眷龍の力を宿した魔法使いと宇宙を内包した魔法使いがフィールドに降り立つ。
「どこに消えたと思っていたら、そこに居たのかアストログラフ・マジシャン!!」
ユーリから他の【EM】【魔術師】と共にいつの間にかデッキから消えていたと聞かされていたカードが遊矢の手から現れつい叫んでしまう。
「アストログラフ・マジシャンと龍穴の魔術師でオーバーレイ・ネットワークを構築!!
現われろ【
二体の魔術師が魔力となり解け、生じた銀河より巨大な魔眼にて睥睨する巨大な円錐が天に現れた。
「召喚時にチェーンはありません!」
「ビッグアイのエクシーズ素材を墓地に送りオッドアイズを取り戻す!!」
「させるかぁ!!
カウンタートラップ【龍皇の波動】発動!!
ビッグ・アイの効果を無効にして破壊する!!」
奪われた仲間を取り戻すため魔眼の力を解放するも、執事の放った罠が絡め取りそのオッドアイズに届く前に魔眼を撃ち抜いた。
「ビッグ・アイが破壊された時手札の【クロノグラフ・マジシャン】の効果で自身を特殊召喚する!」
【クロノグラフ・マジシャン】
ペンデュラム・効果モンスター(制限カード)
星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700
【Pスケール:青8/赤8】
このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
このカードを破壊し、手札・デッキから「時読みの魔術師」1体を選び、
自分のPゾーンに置くか特殊召喚する。
【モンスター効果】
(1):自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、手札からモンスター1体を特殊召喚できる。
(2):自分の手札・フィールド・墓地の、
「ペンデュラム・ドラゴン」「エクシーズ・ドラゴン」「シンクロ・ドラゴン」
「フュージョン・ドラゴン」モンスター1体ずつと、フィールドのこのカードを除外して発動できる。
「覇王龍ズァーク」1体を融合召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する。
崩れ落ちるビッグ・アイの合間を駆け抜け口元を隠し魔力の剣を携えたクロノグラフ・マジシャンがザリザリと地面をスライディングしながら着地する。
「カグヤの効果発動!!
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを指定し手札に戻す!!」
「グリフォンライダー止めろ!!」
カグヤが扇を振るい幻想の光を広げようとするが、しかしそれを獅子の体躯を持つ大鷲が刈り取らんと鉤爪を開いて強襲する。
しかし、カグヤまで後一歩という所でグリフォンライダーは不自然につんのめり空中で停止した。
「その瞬間を待っていた!!
グリフォンライダーの効果にチェーンして手札から【幽鬼うさぎ】の効果発動!!
【幽鬼うさぎ】を墓地に送りグリフォンライダーを破壊する!!」
「そう来たか!?
チェーンはありません!!」
その身と引き換えに相手を道連れにする怪異の少女に取り憑かれたグリフォンライダーがビクンと痙攣して落下していく。
「逆順処理によりグリフォンライダーを幽鬼うさぎの効果で破壊!」
「自身をデッキに戻せなくなったためグリフォンライダーの効果は不発!」
「【妖精伝記カグヤ】の効果によりデッキから同名のカードを墓地に送れない場合お互いの手札に戻す!」
「私のデッキにオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは存在しないため効果を適用します」
光の粒子が舞い踊りカグヤとオッドアイズを巻き込み2人がフィールドから消えていく。
「そして、【虹彩の魔術師】と【クロノグラフ・マジシャン】をリリースしてアドバンス召喚!!舞い戻れ俺の魂のモンスター!!
瞳に二つの輝き宿す龍!【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!!」
二体の魔術師の魂を糧に榊遊矢のエースモンスターが正しい場所へと戻っていった。
「バトルフェイズに移行する!!」
言うと同時に遊矢は高く跳躍し軽業師のような軽快さを見せながらリアルソリッドビジョンが生み出した足場を渡りながらオッドアイズの肩へと移動した。
「俺は「待ちなさい!!」」
見栄えを意識しオッドアイズに乗り移った遊矢に執事が怒りを込めた制止を放つ。
「その前にゆっくりと地面に降りなさい。
君は慣れていると言うのかもしれませんが、そのようなパフォーマンスは命に関わる大事故を引き起こしかねない危険なものなんですよ?」
「あ、はい。すみませんでした」
今までで一番の怒気に充てられ、言い訳の言葉も出せずに遊矢は素直に謝罪して慎重にオッドアイズから降りていく。
どうして執事がそんなに怒るのかと遊矢は疑問に抱くと同時に心の奥の片隅で泣きたくなるほどに安堵する気持ちが湧き上がりなんでと不思議に思った。
同時にそれは遊矢だけではなかった。
「あれ…なんで俺泣いているんだ?」
「ああ。なんでだろうな…?」
執事の叱咤にユートとユーゴもがまるで本当に欲しかった言葉をもらえたかのような不思議な安心感を感じ、理由もわからず涙が溢れた。
「本当に仕方ないよね?」
全てを知っていたユーリは涙こそ浮かべてはいなかったが、やはり自分のものではない安らぎを覚えており、堪らず優しい笑みが浮かんでしまう。
「言いたいことはまだありますが、説教はデュエルを終わらせてからにしましょう。
それと、バトルフェイズ進行前にチェーンはありませんのでそのまま進めてください」
「はい。わかりました」
一旦は鎮まったがこの後に待つ説教という裏ボスに怯えつつ遊矢はバトルフェイズを進行させる。
「俺は【紫毒の魔術師】でダルクを攻撃!
そしてアクションマジック【ティンクル・コメット】を発動!!
ダルクの攻撃力を1000ポイント下げプレイヤーに500ポイントのダメージを与える」
「それにチェーンしてトラップ発動!
永続罠【憑依解放】!!」
頭上より飛来した隕石が間近で着弾し瓦礫が執事を掠り粉塵がダルクの視界を遮る隙を狙い紫毒の魔術師が紫色の魔力弾を撃つ。
「ぐぅっ!?
ですがダルクの攻撃力は憑依覚醒の効果で1450!まだ紫毒の魔術師を下回っていない!」4000→3500
魔力弾を受けるもダルクは耐えきり反撃の魔力弾を撃ち返す。
反撃に放たれた闇の魔力に撃ち抜かれ紫毒の魔術師が消滅する
「紫毒の魔術師の破壊時効果発動!勇者トークンを破壊する!」4000→3750
死してなおただでは終わらないと紫色の魔力が騎乗する騎龍ごと人形を貫き水塊となって崩れ落ちたが、突如その水が赤く燃え上がり中より赤い髪を靡かせる少女が飛び出した。
「なんでモンスターが増えて!?」
「トークン破壊時に【憑依解放】の効果が発動。
デッキより【憑依装着−ヒータ】を攻撃表示で特殊召喚しました」
【憑依解放】
永続罠
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の「霊使い」モンスターは戦闘では破壊されない。
(2):自分の「憑依装着」モンスターの攻撃力は、
相手モンスターに攻撃するダメージ計算時のみ800アップする。
(3):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する状態で、
自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
その内の1体とは元々の属性が異なる守備力1500の魔法使い族モンスター1体を、
デッキから表側攻撃表示か裏側守備表示で特殊召喚する。
効果テキストを確認し思惑を超えられた遊矢は歯噛みする。
「更にヒータが特殊召喚に成功したことで憑依覚醒の効果で一枚ドローします」
「くっ!?
だけど俺は最後まで戦う!!」
最後まで足掻くのは止めないと遊矢はオッドアイズに攻撃を命じる。
「少しでも多くライフを貰う!!
ダルクを攻撃だオッドアイズ!!
螺旋のストライクバースト!!」
ヒータを排したとて執事の手札にはカグヤが握られているため完全に勝ちの目が消えた遊矢の選択に、甲高い咆哮を上げオッドアイズがその口腔より赤い奔流をダルクへと解き放つ。
「チェーンはありません」
「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの効果発動!!
戦闘ダメージを2倍にする!『リアクション・フォース』!!」
「ぐぅぅぅぅっ!!」3500→1400
ダルクを撃ち抜いた余波が膨れ上がりその威力に執事の身体が地面を削り後ずさる。
「……ターンエンド」
出来ることはやり尽くした。
迫る敗北の影に遊矢は天を仰ぎ、そして穏やかな顔で執事と顔を合わせた。
「これが俺のデュエルです。
俺はエンタメデュエルを止めない。
だけど父さんの後追いじゃない。
俺の、
負けるのが悔しいといはう気持ちは確かにある。
だけどそれ以上に不思議な程爽快感と共にここで負けて良かったとそう思えた。
「…そうですか」
与えられたものではなく、目指したいと選んだ道と口にする遊矢の表情にもう大丈夫だと思い、そして礼儀として執事は動き出す。
「であるならば刮目なさい!
私が信を置く【最強】の一角を!
ドローフェイズ!ドロー!」
手札に加わったのが【レスキューフェレット】であったことを確認し、執事は当初の予定を変えて別のエースを呼ぶことを決意した。
「スタンバイフェイズ。メインフェイズ。
私は手札から【レスキューフェレット】を通常召喚し効果を発動します」
【レスキューフェレット】
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドのこのカードを持ち主のデッキに戻して発動できる。
レベルの合計が6になるようにデッキから「レスキューフェレット」以外のモンスターを任意の数だけ選び、
リンクモンスターのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される。
ヘルメットを被るフェレットはダルクを見ると敬礼を残して急いでその場から走り去る。
「効果により、デッキから【デーモン・イーター】と【増殖するG】をダルクのリンクマーカーの先に特殊召喚します。
サーキット展開!デーモン・イーターと増Gをリンクマーカーにセット!
召喚条件は効果モンスター2体以上!
来なさい!リンク召喚!リンク2!【I:Pマスカレーナ】!!」
素材に増Gが含まれているためか出てきた際に若干嫌そうな顔をしつつマスカレーナがバイクをドリフトしながら着地する。
「これが最後のサーキット展開!!
マスカレーナとダルクをリンクマーカーにセット!!
その際に二体のリンクマーカーを其々追加装填します」
命に従いマスカレーナとダルクがサーキットへと飛び込み、八方陣にも見えるマーカーが4つ赤い光を放つ。
「数多生まれし悲しみと長きに続く願いの果てに幾度もの絶望を乗り越え全ての災禍を終わらせる勇者よ、今ここに悪を断つ刃を握り立ち上がれ!!
リンク召喚!リンク4!【
【
リンク・効果モンスター
リンク4/光属性/サイバース族/攻3000
【リンクマーカー:左/右/左下/右下】
EXデッキから特殊召喚されたモンスター2体以上
(1):リンク召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードは相手の効果の対象にならず、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。
(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、発動できる。
このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、その相手モンスターの攻撃力分アップする。
(3):リンク召喚したこのカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。
フィールドのカード1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。
未来回路が一際強く輝き、蒼い輝きを宿す剣士がフィールドに降り立った。
「それと手札から【ジゴバイト】を特殊召喚します。
準備はよろしいですね『榊遊矢』!」
「っ!? 来い!!」
「バトルフェイズに移行!
アストラムでオッドアイズに攻撃!
スター・フォール・パニッシュメント!!」
大剣を振り被り斬りかかるアストラムを迎え撃ちブレスを叩きつけるオッドアイズだが、アストラムはブレスを切り裂きその身に刃を突き立てた。
オッドアイズに突き立てた刃が強い光を放ち生み出された極光が世界を飲み込み爆ぜた。
「うわあああぁぁぁぁぁぁあ!!??」3750→2350
余りに強い衝撃に遊矢は踏ん張りきれず背中から倒れる。
「ヒータ、止めを。
ただし、ちゃんと加減するように」
「分かっているよ」と言いたげに鼻を鳴らしたヒータが遊矢に近づくと魔法を使わず杖で遊矢の頭を軽く小突く。
「痛っ!?」2350→0
そうして決着が着いた光景を尻目に三人は執事の新たなエースモンスターの解析を行っていた。
「これって要するに、アストラムと戦う相手が特殊召喚したモンスターなら確定で3000ダメージが入るって事だよな?」
「そうだね。
しかも破壊耐性を追加するマスカレーナを経由したから直接の除外かバウンス以外の方法で突破するのはかなり選択肢が限られるよ」
「案内人が最強と呼ぶのも納得の強力さだな」
「ええ。ですので彼とも是非一度お手合わせを願いたいものです」
「「「お手合わせ??」」」
良くない癖が隠しきれなくなったハスキーの言葉に異口同音の疑念が溢れてしまうのであった。
残当ながら遊矢君は負けたので姫様戦はスキップします。
大丈夫。ちゃんとラビュリンス握るデュエルもあるから姫様不貞て手札事故させないで(実体験)