迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
「さてと。遊矢君。
残念ですが今の君では私の主に見えるには些か力不足であると判断せざるを得ません」
「…はい」
先程のデュエルを噛みしめるように悔しさを隠しきれない様子で遊矢は頷く。
「ですが、君の可能性は確かに見させて頂きました。
ですので私から二つ、君に【贈り物】を渡したいと思います」
「贈り物って?」
「一つは君のデッキと相性の良いリンクモンスターを何枚か。
それを使うかは君に委ねますので楽しみにしておいてください。
そしてもう一つは…」
俺はデッキホルダーから【霊使い】を抜き取りカードケースに収めると、別のデッキケースから新たなデッキをセットする。
「この先どんな苦境に立とうと、
「い、え、あ…」
遊矢君の顔から血の気が引いているが俺は一切構わず続ける。
「さあディスクを構えなさい。
今の君ならばこのデッキに耐えられるはずです。
そして勝利
「え、えっと、それはまたの機会にというのは…」
「なりません。これも説教の一環です」
「うぅ…」
腰が引けているが慈悲はない。
こう見えて俺は遊矢のやったパフォーマンスについては本気で怒っているのだ。
連敗を恐れてか、或いは俺がここまで言う地獄に恐怖してか、多分両方だろう顔を引き攣らせながらも遊矢はシャッフルされたデッキから五枚を引いてディスクを構える。
そうして覚悟を決めた遊矢だが、先攻は俺であった。
「「デュエル」」
改めて手札を改める。
【クシャトリラ・ユニコーン】
【ティアラメンツ・レイノハート】
【隣の芝刈り】
【クシャトリラ・バース】
【墓穴の指名者】
なんて素晴らしい手札だよ。
特に墓穴の指名者が無慈悲さをより際立たせてやがる。
「ではいきますよ。
少々長いので気をしっかり持ちなさい。
私は手札から【クシャトリラ・ユニコーン】を特殊召喚します」
【クシャトリラ・ユニコーン】
効果モンスター(制限カード)※MDでは準制限
星7/風属性/サイキック族/攻2500/守2100
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「クシャトリラ」魔法カード1枚を手札に加える。
(3):このカードの攻撃宣言時、または相手がモンスターの効果を発動した場合に発動できる。
相手のEXデッキを確認し、その内のモンスター1体を選んで裏側表示で除外する。
捻れた剣を手にする馬の頭を持つ赤と黒の戦士がズシリと大地を軋ませながら場に降り立つ。
「え? あの、手札を一枚コストにとかは…?」
「ありません。フィールドにモンスターが居ないことが特殊召喚の条件です」
「「「「強すぎる!!??」」」」
遊矢だけではなくいつから居たのかユーリ達もが召喚条件の緩さに悲鳴を上げた。
「まだ終わりませんよ?
ユニコーンの起動効果を発動します。
デッキから【クシャトリラ】魔法カードをサーチしますがチェーンはありますか?」
「……無いです」
この時点で目から生気が消えかけているが、この程度は序の口でさえ無いぞ?
「ではデッキから【六世壊他化自在天】を手札に加えます。
そして手札から【ティアラメンツ・レイノハート】を通常召喚します」
【ティアラメンツ・レイノハート】
効果モンスター(制限カード)※MDでは無制限
星4/水属性/戦士族/攻1500/守2100
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「ティアラメンツ・レイノハート」以外の「ティアラメンツ」モンスター1体を墓地へ送る。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
このカードを特殊召喚し、自分の手札から「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
右手に鞭を左手に真珠を握る鎧姿の青年が現れた。
「レイノハートの召喚時効果を発動します。
デッキから【ティアラメンツ】モンスターを一枚墓地に送りますがチェーンはありますか?」
「何もできないから確認は飛ばしていいです」
感情が死んでしまったような無表情でそう宣う遊矢だが、まだその顔は早すぎるぞ?
「分かりました。
では此処からは確認をスキップしていきますね。
レイノハートの効果で【ティアラメンツ・シェイレーン】を墓地に送りそのままシェイレーンの効果発動。
墓地のシェイレーンとレイノハートをデッキに戻し融合召喚を行います」
【ティアラメンツ・シェイレーン】
効果モンスター(制限カード)※MDでは準制限
星4/闇属性/水族/攻1800/守1300
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札からモンスター1体を選んで墓地へ送る。
その後、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
融合モンスターカードによって決められた、
墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、
その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
「墓地に落ちたらそのまま融合発動?
しかも素材は墓地からデッキに戻る?
なぁにこれぇ?」
ユーリから現実逃避気味な声が聞こえた気がするがスルーしておく。
「来なさい。悲しみの海の嘆きの乙女。
融合召喚。【ティアラメンツ・キトカロス】」
【ティアラメンツ・キトカロス】
融合・効果モンスター(禁止カード)※MDでは制限
星5/闇属性/水族/攻2300/守1200
「ティアラメンツ」モンスター+水族モンスター
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「ティアラメンツ」カード1枚を選び、手札に加えるか墓地へ送る。
(2):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
自分の手札・墓地から「ティアラメンツ」モンスター1体を選んで特殊召喚し、対象のモンスターを墓地へ送る。
(3):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。
「キトカロスの召喚時効果でデッキから【ティアラメンツ・ハゥフニス】を手札に加えます。
その後手札から【隣の芝刈り】を発動します」
【隣の芝刈り】
通常魔法(準制限カード)※MDでは制限
(1):自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。
デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。
「私のデッキは残り54枚です」
「……さんじゅうごまい」
搾り滓のような声で遊矢はそれでも答えを返す。
「では19枚墓地に送ります。
墓地に【ティアラメンツ・クシャトリラ】が落ちたので効果発動。
デッキからカードを2枚墓地へ送ります」
【ティアラメンツ・クシャトリラ】
効果モンスター(制限カード)
星7/水属性/サイキック族/攻2300/守1200
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札・墓地から
「クシャトリラ」カードまたは「ティアラメンツ」カード1枚を選んで除外する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分または相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
(3):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。
「【ティアラメンツ・キトカロス】の効果発動。
墓地の【ティアラメンツ・クシャトリラ】を特殊召喚し自身を墓地に送ります。
効果発動。【ティアラメンツ・クシャトリラ】の効果でデッキを3枚墓地に。
チェーンしてキトカロスの効果で更に5枚墓地に送ります」
乙女が泡と消え代わりに赤い鎧で覆われた人魚が場に残された。
「えっと、結局何枚が墓地に消えたんだ…?」
「合計29枚。何なんだよこのデッキは!?」
墓地が第二の手札であるという考え方はユート達も理解している。
だからこそ今目の前で起きている光景が恐怖さえ通り越し、理解を脳が拒絶するほどに気持ち悪いものだと認識していた。
「丁度墓地にレイノハートが落ちましたね。
レイノハートの墓地効果発動。
自身を墓地より守備表示で特殊召喚して手札の【ティアラメンツ・ハゥフニス】を墓地に送ります」
【ティアラメンツ・ハゥフニス】
効果モンスター(制限カード)
星3/闇属性/水族/攻1600/守1000
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手がフィールドのモンスターの効果を発動した時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
融合モンスターカードによって決められた、
墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、
その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
「墓地に落ちたハゥフニスの効果発動です。
自身とキトカロスをデッキに戻して融合召喚します。
来なさい。嘆きの乙女よ、悲しみを終えるために立ち上がる時です。
融合召喚。【ティアラメンツ・ルルカロス】」
【ティアラメンツ・ルルカロス】
融合・効果モンスター
星8/水属性/水族/攻3000/守2500
「ティアラメンツ・キトカロス」+「ティアラメンツ」モンスター
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカード以外の自分の水族モンスターは戦闘では破壊されない。
(2):モンスターを特殊召喚する効果を含む効果を相手が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、
「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。
(3):融合召喚したこのカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
一度は泡と消えた乙女は悲劇の元凶と戦うために剣を手にとり装いを新たに再びフィールドに戻って来た。
「ちょっと酷すぎないかなぁ。
戦闘破壊耐性付与に加えてニビルさえケアするとか、DMが対戦ゲームだって事忘れてるよね?」
蹂躙も嫌いではないユーリでさえ、いくらなんでもやり過ぎだと苦い顔をする。
「あの、執事さん。
後どれぐらい展開ありますか?」
今にも死にそうな顔で遊矢が訊ねてきたが、悲しい事にまだ終わらないんだよ。
「すみませんね。
【ティアラメンツ】はこれで終わりましたが、ここから【クシャトリラ】の展開があります」
「本気で?」
「ええ。回している自分もウンザリしていますがここからがこのデッキの本領です」
「 」
遊矢が白目を剥いたが、マジなんだよ。
「先ずは墓地の【剣神官ムドラ】の効果で墓地から【クシャトリラ・フェンリル】【クシャトリラ・ライズハート】【六世壊根清浄】をデッキに戻します。
その後手札の【六世壊他化自在天】を発動します」
【
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの「クシャトリラ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターとは属性が異なる「クシャトリラ」モンスター1体をデッキから守備表示で特殊召喚する。
このカードの発動後、ターン終了時まで自分はXモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
(2):このカードが除外された場合、
「六世壊他化自在天」以外の除外されている自分の「クシャトリラ」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
「デッキから【クシャトリラ・フェンリル】を特殊召喚。
その後【クシャトリラ・フェンリル】の効果を発動してデッキから【クシャトリラ・ライズハート】を手札に加えます」
【クシャトリラ・フェンリル】
効果モンスター(禁止カード)※MDでは制限
星7/地属性/サイキック族/攻2400/守2400
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「クシャトリラ」モンスター1体を手札に加える。
(3):このカードの攻撃宣言時、または相手がモンスターの効果を発動した場合、
相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを裏側表示で除外する。
「【ティアラメンツ・クシャトリラ】と【クシャトリラ・ユニコーン】と【クシャトリラ・フェンリル】の三体でオーバーレイ・ネットワークを構築。
来なさい。赤い侵略者の母星。エクシーズ召喚【クシャトリラ・シャングリラ】」
【クシャトリラ・シャングリラ】
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/炎属性/サイキック族/攻 0/守3000
レベル7モンスター×2体以上
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のスタンバイフェイズに発動できる。
デッキから「クシャトリラ」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):相手のカードが裏側表示で除外される度に、
使用していないメインモンスターゾーンまたは魔法&罠ゾーンを1ヵ所指定して発動できる。
指定したゾーンはこのモンスターが表側表示で存在する間は使用できない。
(3):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりにこのカードのX素材を1つ取り除く事ができる。
「フィールドに【クシャトリラ】モンスターが存在する場合【クシャトリラ・ライズハート】は特殊召喚出来ます」
【クシャトリラ・ライズハート】
効果モンスター
星4/炎属性/戦士族/攻1500/守2100
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「クシャトリラ」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
このターン、自分はXモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに、
デッキから「クシャトリラ・ライズハート」以外の「クシャトリラ」カード1枚を除外して発動できる。
相手のデッキの上からカード3枚を裏側表示で除外し、このカードのレベルは7になる。
見るものに秘めた怒りをまざまざと見せつけるように武装化され赤く輝く星からレイノハートと同じ顔を持つ怒りに満ち満ちた表情を張り付けた青年が降り立つ。
「ライズハートの効果発動。
デッキから【六世壊根清浄】を除外して自身のレベルを7に変更します。
その際に相手のデッキトップ三枚を裏側除外します」
「ちょっとなにいってるかわからないです」
とうとう此方にまで害が及び始め遊矢は死にそうな声でそう訴えた。
「本当に訳分からないですよね。
ですが現実なので裏側除外してください」
「うわぁ…」
せめて一目と除外する前にカードを確認した遊矢が福◯作品みたいにぐんにゃりしてしまった。
可哀想に。三枚の中にオッドアイズかアストログラフが含まれていたんだろう。
「正直もう止めたくなってますがあと少しだけ辛抱してください。
ライズハートの効果発動により【クシャトリラ・シャングリラ】の効果を発動。
更にチェーンして除外した【六世壊根清浄】の効果を発動します」
【
通常罠
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドに「クシャトリラ」Xモンスターが存在する場合に発動できる。
お互いは自身のフィールドのモンスターが1体になるように裏側表示で除外しなければならない。
(2):このカードが除外された場合、自分フィールドの「クシャトリラ」Xモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターがX素材としている自分の「クシャトリラ」モンスター1体を手札に加える。
その後、そのモンスターを手札から特殊召喚できる。
「シャングリラのエクシーズ素材を一枚手札に戻して特殊召喚。
【クシャトリラ・フェンリル】を選択。
その後遊矢君のフィールドを一箇所使用不可にします。
選ぶのは、当然ペンデュラムスケールです」
僅かな希望さえ否定する宣言に遊矢が力なく膝を折る。
「酷い」
「こんなのデュエルじゃない」
「これが本当の地獄か」
ガタガタ震えながら身を寄せ合いユーリ達が目の前の災厄に怯えてしまう。
「最後にシャングリラが効果を発動したためエクストラデッキから【クシャトリラ・アライズハート】をエクシーズ枚数に関係なくエクシーズ召喚します。
来なさい。希望さえ焼き尽くす憤怒の化身。エクシーズ召喚。【クシャトリラ・アライズハート】」
【クシャトリラ・アライズハート】
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/闇属性/機械族/攻3000/守3000
レベル7モンスター×3
「クシャトリラ・アライズハート」は、「クシャトリラ・シャングリラ」が効果を発動したターンに1度、
自分の「クシャトリラ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
(2):カードが除外される度に発動する(同一チェーン上では1度まで)。
除外されているカード1枚を選んでこのカードのX素材とする。
(3):お互いのターンに1度、このカードのX素材を3つ取り除き、
フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを裏側表示で除外する。
「最後に永続魔法【クシャトリラ・バース】を配置してターンエンドします」
やっている側でさえ吐き気を催す一切の可能性を否定し尽くした地獄を前に遊矢は倒れ伏して力なく言葉を漏らす。
「もう二度と危ないパフォーマンスはやりません。
心から反省したのでサレンダーさせてください」
「ええ。そうしなさい」
フィールドのモンスター達は喚び出されただけで終わる事に不満そうだが、
遊矢はサレンダーしたけど、【拮抗勝負】他リセットカード無しにサレンダーしない奴だけが遊矢に石を投げなさい。
次回はデッキ強化回です。