迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。 作:サイキライカ
ちなみに前回の芝刈りで発動出来た効果は山ほどあったけど、遊矢がマイクラしちゃうのと全部書いたら文章量三万とか行きそうなになるのででティアクシャだけに絞りますた。
そして前回のデッキの正体は【ティアラメンツ・クシャトリラ】ではなくて【深淵入り世壊テーマ全盛り】デッキだったりします
「やはり私にはこのデッキは役者不足でしたね」
複雑な感情を抱きつつ封印櫃へとデッキを安置し、俺はその蓋を閉じた。
「オジサン。その中にはさっきの以外にも酷いカードがいっぱい入っているの?」
怖がりながらも好奇心を抑えきれない様子で尋ねたユーリに俺は「ええ」と頷いた。
「と言ってもテーマで固めデッキに三枚積むことが前提のカードもほぼほぼ一枚づつしか無いですし総数もまだ十枚ぐらいしかありませんが、召喚できたらほぼ蹂躙が確定するカードパワーを秘めたカードはここに全て収めていますよ」
「十分だろ」
「一枚だってあったらいけないと思うが」
「クシャトリラはもう二度と出てこないでくれ」
存分に恐怖を刻んだようで遊矢が封印櫃に怯えた目を向けていた。
「安心なさい。
この封印櫃を開けられるのは次元を跨いでもこの世に三人だけ。
そして壊すなら次元を破壊するだけの火力を必要とする特別製です。
ですからこの中のカードが出回る事はありませんよ」
そう言って話を切り上げ、俺はリンクモンスターを纏めたファイルを取り出しテーブルの上で開いた。
「さて。お約束のカードですが。
遊矢君。君に差し上げるカードは此方になります」
【リンクルベル】
リンク・効果モンスター
リンク2/地属性/天使族/攻1500
【リンクマーカー:左下/右下】
モンスター2体
このカードのリンク召喚は自分のEXデッキの枚数が相手よりも3枚以上多い場合にしか行えない。
「召喚制限はありますがペンデュラム主体ならば簡単に出せますので、このカードをエクストラゾーンに召喚すればエクストラデッキから二体まとめてペンデュラムモンスターを召喚できるようになります」
「ありがとうございます」
早速どう使おうか考えを巡らせ始める遊矢に俺はメインディッシュを取り出した。
「二枚目は此方ですね。
此方は制限カードにも指定されていますのでデッキの中核になる強いカードですよ」
【ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム】
リンク・効果モンスター(制限カード)
リンク2/炎属性/サイキック族/攻1800
【リンクマーカー:左下/右下】
Pモンスター2体
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがL召喚した場合に発動できる。
デッキからPモンスター1体をEXデッキに表側で加える。
(2):1ターンに1度、自分フィールドの他の表側表示カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
その後、自分のEXデッキ(表側)からPモンスター1体を手札に加える。
(3):自分のPゾーンのカードがフィールドから離れた場合に発動する。
自分は1枚ドローする。
「あの、気のせいじゃなければ召喚すれば一枚サーチの一枚ドロー効果って書いてあるような…」
「実質その通りですね。
ヘビーメタルは故郷ではペンデュラム使い必須のカードで、アストログラフ・マジシャンをエクストラデッキに送りペンデュラム・スケールを破壊する際に手札に加えてそのまま特殊召喚するのが基本的な動きになります」
「俺にはそれ以上に強い動きが思い付きませんのですが…」
「いずれ出会うかもしれませんのでじっくり探してみなさい」
顔を引き攣らせながらもしっかり受け取る遊矢にズァークも苦笑いしているような気がした。
「ねぇオジサン!
僕達にもなんか良いカード無い?」
「そうですね…。
すぐに思いつくのは…これはどうです?」
【クロシープ】
リンク・効果モンスター
リンク2/地属性/獣族/攻 700
【リンクマーカー:左下/右下】
カード名が異なるモンスター2体
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚された場合に発動できる。
このカードのリンク先のモンスターの種類によって以下の効果をそれぞれ適用する。
●儀式:自分は2枚ドローする。
その後、自分の手札を2枚選んで捨てる。
●融合:自分の墓地からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
●S:自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力は700アップする。
●X:相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力は700ダウンする。
「シンクロとエクシーズでも発揮する効果もありますし10枚ほどありますので、ユーゴ君達も良ければ持っていきますか?」
「いいのか?」
「だが返せる物が…」
「私が気にしていないのだから気にしなくてよろしいのですよ?
ああ、そうだ。
ユート君。このカードを瑠璃さんは持っていますか?」
【
融合・効果モンスター
星1/風属性/鳥獣族/攻1000/守 0
「LL-アセンブリー・ナイチンゲール」+「LL」モンスター
(1):元々のカード名に「LL」を含むXモンスターを素材として
このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。
そのモンスターが持っていたX素材の数だけ、このカードのレベルを上げる。
(2):このカードの攻撃力はこのカードのレベル×500アップし、このカードは他のカードの効果を受けない。
(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
このカードのレベル×500ダメージを相手に与える。
「融合の【LL】モンスター!?」
「私は【LL】を使わないので【融合】と【クロシープ】とセットで彼女へのプレゼントにどうですか?
もしかしたらデッキが強くなり過ぎて君に勝ってしまうかもしれませんが」
「瑠璃が強くなるのは嬉しいからそれは構わない。
それに負けたら次は勝てばいい」
中々格好良いことを言いながら口元を綻ばせながらユートは丁重にナイチンゲールを受け取った。
「じゃ、じゃあ俺もリンになんか良いカード欲しい!!」
「あの、もう貰っておいて厚かましいけど柚子にもプレゼントしたいから何か見せてもらえますか?」
「この流れで何も無しはセレナが煩そうだよね?
オジサン、セレナが【月光虎】欲しがってたから余ってたら分けてくれないかな?」
好きな女の子への贈り物という話題となり年相応にわちゃつく遊矢とユーゴにユーリもセレナが欲しているカードを要望する。
「ハイハイ落ち着いて。
デッキのテーマや傾向等を教えていただけないとカードの紹介もありませんよ?
先ずはユーリ。【月光虎】を渡すなら同じペンデュラムモンスターの【月光狼】とセットで持っていきなさい。
そっちに所持枚数が多いランク1から4のエクシーズを纏めたバインダーがあるから序に見ていくといい」
「ありがとうオジサン」
「俺も見ていいか?」
「構いませんよ。
欲しいものがあれば言ってくださいね」
「ああ。当然そうする」
宛らカードショップに集った少年たちのように目を輝かせる彼等の姿に、これこそがカードゲームのあるべき姿だよなと俺は顔を綻ばせながらユーゴと遊矢からデッキの詳細を伺うのであった。
〜〜〜〜
「今日はありがとうございました。
色々助けてもらった上にカードも何枚も貰ってしまい本当に感謝しています」
カードを見繕う内に夕日もかなり傾いてしまったため、折角だからとハスキーさんの手ずからの夕食を一緒に囲んだ後、それぞれの次元に帰るための次元転移ゲートの前で一同を代表して遊矢がそう頭を下げた。
「「「ありがとうございました」」」
それに続いて三人も頭を下げたので俺は丁重に感謝を受け取った。
「いえいえ。私も楽しませていただきましたから見返りは十分頂きましたよ」
「貰ってばかりも不公平だから今度は僕がオジサンに
ユーリが不敬とも聞こえる挑発をしてきたが、俺はそれに笑って応える。
「そいつは楽しみだな。
そうやすやすと負けないよう。しっかりデッキを鍛えて待っているよ」
そうして遊矢達がゲートを潜り帰っていった。
「……さて、と」
ゲートが閉じ、機能を停止したのを確認した俺はデュエルディスクに【ラビュリンス】を装填し表情を引き締める。
「そろそろ出てきたらどうですか?
それとも、悪質なストーカーとしてハスキーさんに
おそらく遊矢達は気づいていなかっただろうが、アリーナに入った時から俺達の事を観察している何者かの気配をずっと感じていた。
ハスキーさんが排除に動かなかったので遊矢達を優先して放置していたが、いつまでも付いてこられて嬉しいわけもない。
「それは勘弁願いたいな。
私は君に感謝を伝えたいだけなんだ」
そう言って姿を現したのは緑色のレンズを嵌めたゴーグルを付けたシルクハットを被る赤い奇術師のような装いの壮年であった。
その顔は榊遊矢が老成したらこんな雰囲気になるだろうという感想を受ける顔立ちであった。
「予想は付いていますがお名前をお伺いしましょう」
「これは失礼。
私は『榊遊勝』。しがないデュエリストです」
戯けたようにもみえる所作で一礼しながら名を名乗る彼に俺も慇懃に一礼を返す。
「これはご丁寧にありがとう。
私は【迷宮の執事見習い】と申します。
この自由都市では【迷宮の案内人】の通り名で一デュエリストして活動しております。
それで、私に感謝をと申しておりましたがその様な謂にはとんと思い至るものが無いので、何についてなのかお伺いしてもよろしいですか?」
お前と仲良くする気はないと言外に圧を掛けつつ表面的には慇懃に振る舞う。
「随分と好ましくは思われていないようだね。
いや。息子に親身になってくれた君からしたら、私は好意を抱くに値しない人間と映るのも止むを得まいか」
「明言は控えておきましょう。
お互い立場もありますから。
ああ。貴方はそれを放棄なさったんでしたっけ?」
「……」
何も返せず遊勝は帽子の庇を軽く摘んだ。
「確かに私はあまりにも大き過ぎる過ちを犯してしまった。
しかし、それでも出来る限りのことは尽くしてきたつもりだよ」
「
赤馬零王が挫かれてどれだけ経ったか分からないはずもないでしょう?
礼や責任の前に先ずはそれでもと待つ者への謝意を示すのが人の道と私は心得ておりますので、それを通さない限り貴方と友好を築く気にはなりませんよ」
「う、うん。確かに君の言葉は尤もなんだけどね。
私にもこう、優先順位があってね」
「左様ですか」
成程。コイツとハゲが友人というのも納得だわ。
「ならばこういうのはどうでしょう?」
ガチャンとデュエルディスクをデュエルモードに切り替える。
「貴方が勝てば私は一切関与しない。
私が勝ったら今すぐ妻と息子に土下座行脚と云うのは」
「ははは。これは中々に魅力的な条件だ。
しかしそれでは勝っても私に得るものが少ないのでは?」
「ならば私のカードを差し上げますよ。
一枚で一生涯遊んで暮らせるカードから世界を焼き尽くす可能性を秘めた物までよりどりみどりですよ」
そう言うと遊勝はやれやれという様子でデュエルディスクを起動する。
「それは素晴らしい。
ならば君の敬愛する姫様に私の芸を披露し、笑顔になっていただき褒賞を戴いてから妻の元に凱旋しよう」
ほう? 言ってくれるじゃないか。
相手の勝利宣言に対し、俺は【迷宮の執事見習い】として本気モードに切り替える。
「これより参りますは我が主による心胆を寒からしむる至高の『おもてなし』。
汎ゆる英傑を姫様の足元に傅かせた恐怖の祭典をご堪能くださいませ」
俺の宣言に遊勝もエンタメデュエリストらしい態度でパフォーマンスを行う。
「であれば私はそれら全てを乗り越え至上のエンタメデュエルをご披露しましょう」
互いに口上を終え、後を語るはカード達によるぶつかり合い。
「「デュエル!!」」
というわけで姫様の相手は遊勝パパにおまかせすることにしました。
大人による大人気ないガチデュエルになると…いいなぁ。