迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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というわけで番外編です。
前もって言っていた通りダークでキツい描写もあるのでご注意を。


【番外編】メフィストフェレスはかく嘲笑う

 人気の無い広い廊下を鋼の蹄が蹴り駆ける音が響く。

 その正体は首元にエンジンマフラーを装着した機械仕掛けのサラブレッド。

 その鞍に跨り手綱を手にするのは重厚な甲冑に身を包む騎士。

 そして鞍には裾の長いローブを羽織る黒髪の少年が同乗していた。

 騎士の名は【レイダーズ・ナイト】。

 少年の名は【暗影の闇霊使いダルク】である。

 

「奇妙な造りだな。

 車両用通路では無いのに相棒を容易に走らせられるほど広い設計というのは」

「『ライディング・デュエル』のためだろう。

 この世界の建物全てがDホイールが通過する事を前提に設計しているんだろう」

「成程」

 

 デュエルの為であるという言葉に納得したレイダーズ・ナイトは地下へと向かう暗い通路へと走らせながら少年に問いかける。

 

「『ダルク』。そろそろ貴公が何故に()()()()()()()()()()()()説明してもらえるか?」

 

 地下へと続く下り坂を進みながらなぜダルクがマスターを地下に向かわせないよう仕向けたのかを問うた。

 レイダーズ・ナイトはダルクがマスターを謀るような精霊でないことは理解している。

 エースモンスターであるアクセスコード・トーカーやアークリベリオン等を差し置いてマスターより『右腕』『相棒』と絶大な信頼を寄せられている。

 そんなマスターに従う精霊の羨望を集める彼が虚言を弄さねばならない程の何かとは一体何なのか…。

 

「今のマスターに地下の光景を見せてはいけない。

 最悪の場合、()()()()()()()()()()()可能性があるからだ」

 

 マスターが悪魔に転生しようと考えている事はレイダーズ・ナイトも含め精霊達は皆知っている。

 その事に対して精霊達は半分以上が転生そのものは肯定している。

 しかし、ダルクの言葉には別の意味が含まれていた。

 

「俺の感知が間違っていたならいい。

 だが、間違っていなかったら今の不安定なマスターに良くない『選択』を選ばせてしまいかねない」

「……」

 

 マスターの前では見せなかった暗い感情を露わにするダルク。

 その言葉だけでこの先に待つのが酸鼻を極める凄惨な光景であろうことがレイダーズ・ナイトにも察せられた。

 

「おお〜い!少し速すぎるぞ〜!!」

 

 そんな空気をぶち壊すように後ろから追いかけるバグースカがゼヒゼヒ息を切らせながらレイダーズ・ナイトに文句を吐く。

 

「貴様は…」

 

 実力は高いのに普段からやる気を見せず、実体化するだけの意思を持ちながらもマスターへの忠誠心の欠片も見せないバグースカをレイダーズ・ナイトは好ましく思っていない。

 そんなバグースカの言葉に手綱を握る手に力が籠もるが、そのせいでレイダーズ・ナイトの感情を受けた機馬の足並みが荒くなりバランスを崩しかけたダルクが悲鳴をあげる。

 

「落ち着いてくれレイダーズ・ナイト!

 あまり騎乗には慣れていないんだ!」

「っ!? すまない!」

 

 ズリ落ちかけたダルクを支えて感情を平静に戻そうとするレイダーズ・ナイトをダルクは諌める。

 

「気持ちは分かるがバグースカが()()なのは本人の気質だからどうしようもない。

 それに、それが()()()()()なのは解っているだろう?」

「……そうだったな」

 

 カードに宿る精霊はオリジナルと違い総じて持ち主から必要とされたいと無意識にでも願ってしまう。

 持ち主に資格を求める【神】に属する彼らでさえその欲望は抱いており、それ故にその様な感情を一切抱かず、必要とするなら力を貸すとドライな感情しか持たない精霊は稀有なのだ。

 そんな稀有な気質を持つバグースカはそれ故に常にフラットな視点で主人や他の精霊達を見ており、必要があれば無遠慮な諫言を齎してくれる。

 尤も、いつも酔っ払って寝ているばかりなのでデュエル以外で役に立つのかと疑問に思われることのほうが多いが、それさえ気にしていないのだからまさに暖簾に腕押しというものだろう。

 

「もうすぐ人間が集まっていた場所だ。

 …気をつけてくれ」

「ああ」

 

 相棒のスピードを緩めダルクが指示した部屋の前で停止するとダルクが機馬から降りて杖を召喚し携える。

 

「これは…!?」

 

 鍵はかかっておらず、中に入ったレイダーズ・ナイトは眼前の光景に唸りを漏らしてしまう。

 中にいた者達は蚕の繭の様な糸で出来た球に体を拘束された形で並べられており、執事がこの光景を見たら「エイリアン…いや、バイオベースか…?」と感想を零していただろう本能的な恐怖を抱かせる光景が広がっていた。

 

「子供まで…!?」

 

 並べられた人間の中に明らかに十を数えるかどうかと思しき幼子を見つけ、レイダーズ・ナイトは義心を燃やし解放するため剣を抜いた。

 

「っ!? 待て!! レイダーズ・ナイト!!」

 

 それに気付いたダルクが咄嗟に制止するが、しかし既に剣線は翻っており、糸を切り裂いて幼子を繭から解放してしまっていた。

 粗末な身なりの幼子は解放され倒れ込もうとするが、レイダーズ・ナイトはそれを受け止めてやる。

 

「ソイツから離れろ!!」

 

 ダルクの必死の呼びかけに何故?とレイダーズ・ナイトが幼子に視線を戻した直後…

 

「ギャアアアアア!!??」

 

 耳をつんざく甲高い悲鳴が目玉が飛び出しそうなほど見開かれた幼子の口から飛び出し、服の内側が突然膨張し、そして、

 

 バチュン!!

 

 何が破裂したのか想像したくもない破裂音が響き、服を引き裂いて幼子の腹部からパラサイト・フュージョナーがレイダーズ・ナイト目掛け飛びかかった。

 

「なんだと!?」

 

 パラサイト・フュージョナーの強襲に反応が遅れたレイダーズ・ナイトはそのまま取り付かれかけるもダルクが放った闇の魔力がパラサイト・フュージョナーを打ち引き剥がす。

 

 ギギギギギ…

 

 仰向けに倒れ足をバタつかせながら暴れるパラサイト・フュージョナーにズドンッ!と酒瓶が叩き付けられ、遅れてやってきたバグースカに粉砕された。

 

「大丈夫かレイダーズ・ナイト」

「ああ……。だが…」

 

 抱えている幼子の顔に既に生気はなく、開いた瞳孔は虚空を眺めていた。

 

「この子を…俺が殺してしまった…」

 

 制止を聞かず感情のままに正義感を振りかざした結果、一つの未来を奪ってしまった憤りに声を震わせるレイダーズ・ナイトにバグースカが「違うだろ」と否定する。

 

「そのガキを利用した奴が殺したんだ。

 テメエに腹を立てる前にドクトルぶん殴るのが先だろう」

「……ああ。その通りだ」

 

 事実をただ事実のままに吐き捨てながら不味そうに酒瓶を傾けるバグースカに同意を示し、レイダーズ・ナイトは丁寧に瞳を閉ざしてやり躯を横たえて立ち上がる。

 

『フヒヒヒヒ。

 素晴らしい研究成果であろう?』

 

 唐突にスピーカーから厭らしい笑い声が響き渡る。

 

『人間そのものを苗床にする事で私が開発したパラサイトモンスターは以前に比べてより効率的な実体化を可能とした!!

 実に素晴らしい!!

 これこそ私の叡智が何より優れている証左なのだ!!』

 

 気狂いのように哄笑する声に3体は無言のまま、それぞれが握る得物の軋む音がドクトルに対する感情を表していた。

 

『君達も私の研究の素晴らしさが理解できただろう?

 これさえ叶えば最早リアル・ソリッドビジョンさえ過去の遺物と化すだろう。

 そうして現実に存在するモンスター達による新たなデュエルを生み出した私こそが新たなる時代を始める偉業を成し遂げるのだ!

 フヒヒヒヒ!! ヒーヒヒヒヒヒヒ!!』

 

 耳障りな笑い声が響く中、唐突にバグースカが先程叩き潰したパラサイト・フュージョナーを摘み上げると徐ろにそれを口に放り込んだ。

 

『貴様、何をしているのだ!?』

「バグースカ?」

 

 あまりに唐突な行動に意味が分からないとドクトルさえ困惑する前でバグースカはボリボリとパラサイト・フュージョナーを噛み砕き、そして不味そうに吐き捨てた。

 

「くっそ不味い。

 酒のアテにもならんゴミしか作れない馬鹿が何言ってんだぁ?」

 

 心底不愉快そうに吐き捨てると口直しとばかりに酒を呷り始める。

 

『貴様…っ!?』

 

 あまりに傍若な発言に絶句するドクトルだが、レイダーズ・ナイトはくつくつと笑いを溢した。

 

「ククク…。

 大言壮語に惑うとは俺もまだ未熟ということだな。

 成程。成程。

 数多の命を使い潰しておきながら、生み出したのは他者に縋らねば餌一つ狩れないか弱い虫螻と。

 確かにそんなものは奪う価値ある宝(酒の肴)にはなりはしないな」

 

 儀礼を重んじる騎士(ナイト)としての振る舞いを止め、略奪者(レイダーズ)としての残虐な側面を露わに暗い嗤いを垂れ流し始めるレイダーズ・ナイト。

 

『ひ、ヒヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!

 私の素晴らしい研究成果を虫螻だと?

 良くもほざきよるモンスター風情が!

 そこまで言うなら証明してみるがいい!!』

 

 ドクトルの言葉と共に部屋中の繭が一斉に弾け、孵化したパラサイト・フュージョナーが部屋中に溢れかえる。

 

「何匹集ろうと所詮虫は虫だ!

 一匹残らず踏み潰してやる!!」

 

 覇気と共にレイダーズ・ナイトが剣を奮いパラサイト・フュージョナーを片端から切り裂き叩き潰す。

 

「クッソ面倒くせぇ!

 酒の二、三本じゃ割に合わねえぞマスター!」

 

 巨体を活かして踏み潰し薙ぎ払うバグースカ。

 

 一分と経たず数十匹を屠られておきながらしかしドクトルは余裕を浮かべたまま厭らしく笑う。

 

「ヒヒヒ…

 実に素晴らしい。

 これ程のモンスターを素体とすればパラサイトモンスターはさらなる進化を遂げるだろう!」

 

 どれだけ優れた個であろうといずれはパラサイト・フュージョナー達に押し潰され自らの研究素材になると冷徹な計算結果を弾き出したドクトルは余裕を浮かべていた。

 

「貴様の野望は決して叶わない」

「何!?」

 

 間近で放たれた声に慌てて振り向けば、そこには瞳に怒りを宿したダルクが杖を手に立っていた。

 

「貴様、いつの間に…?

 そうか!? あの時か!!??」

 

 バグースカがパラサイト・フュージョナーを吐き捨てレイダーズ・ナイトが同調して嘲笑った際にダルクは既に部屋を飛び出しドクトルが潜む部屋へと単身移動を開始していた。

 

「本当にバグースカは周りをよく見ているよ。

 貴様が俺の存在を見落とすにはどうすればいいかと考えて体を張ってくれたのだからな」

「くっ!?」

 

 モンスター如きに欺かれたとドクトルが顔色を変えるが、しかしすぐにその顔に厭らしい笑いが浮かぶ。

 

「成程。これは一本取られたと認めてやろう。

 だがしかし、私一人と油断したのが貴様らの限界よ!!」

 

 そう宣いドクトルはポケットからカードを取り出すとダルクに見えるように掲げた。

 

「見るがいい!

 私の最高傑作『パラサイト女王(クィーン)』を!!」

 

 ズシリ、ズシリと重い足音を響かせながら巨大な大顎を備えた巨大な虫型モンスターが姿を現す。

 

「どうじゃ!

 この威容!機能美に満ちた美しさ!正に女王の名に相応しいモンスターであろう!」

 

 自ら生み出したモンスターを絶賛し嬌笑するドクトルに対し、ダルクは静かにその姿を見つめていた。

 

「クククッ。あまりの恐ろしさに声も出んか。

 だが喜ぶがいい、貴様は女王な糧となり新たなパラサイトモンスターを生み出す栄誉を授かるのだからな!!

 さあ征くのだパラサイト女王!!」

 

 意気揚々と命じるドクトルだが、しかし、パラサイト女王はドクトルの言葉を受けても微動だにしない。

 

「どうした?何故言うことを聞かないのだ?」

 

 何度呼びかけようとパラサイト女王は一切の反応を示さない。

 

「私の名に従えパラサイト女王!!」

「無駄だ」

 

 これ以上時間を掛けてマスターが地下の惨状を知るリスクを回避するためダルクは種明かしを行う。

 

「パラサイト女王は()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 貴様の命令は受け付けはしない」

「馬鹿な!?

 私が生み出したパラサイトモンスターを貴様が使役しているだと!!??

 私以外の者にそんな真似が出来るはずが無い!!」

 

 不可能だと叫ぶドクトルにダルクは淡々と事実を語る。

 

「俺は闇霊使い。闇属性のモンスターを遍く支配する霊使いだ。

 たとえ神の位に立っていようが闇属性であるならば俺の旗下に加えることが出来る」

 

 ダルクは己を強者の側にいるとは思っていない。

 強さで語るならエースモンスターであるアクセスコード・トーカーやアークリベリオン等と比べるべくもなく、強みである能力でさえあると便利程度でありはっきり趣味枠と言われても強く否定出来ないモンスターだろう。

 しかしそんな自分たちをマスターは重用し、あまつさえ自分の事を『相棒』と呼んでくれている。

 

「俺はマスターに応えるためならば神だって下僕として見せる。

 虫如き従えられぬ理由が無い!」

 

 毅然と言い放つダルクにドクトルは顔を真っ赤にしてギリギリと歯を軋ませた。

 

「おのれ!

 だが、私のパラサイトモンスターは幾らでも量産可能だ!!

 一匹二匹を組み伏せようとこれだけの数を貴様は従えきれるはずが無い!!」

 

 ザワザワと足音が重なり画面の向こうと同じようにパラサイト・フュージョナーが部屋中に満ちていく。

 

「ヒヒヒ!!

 さあ、これで再び形勢逆転じゃ!」

「いや。もう終わりだ」

「強がりを言うでない。

 これだけのパラサイトモンスターをどう凌ぐというのか教えてもらおうか」

 

 一度に大量のモンスターをぶつければ対処できないと嘲笑うドクトルにダルクは告げる。

 

「もう()()()()()()()()()

 やれ。()()()()()()()()()()()()()

「な? ギィッガァッ!!」

 

 突然頭を襲った激痛にドクトルは悶絶と同時に倒れ伏す。

 

「確かに一度に従えられるのはせいぜい二体が精一杯だ。

 だが、()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 一匹はパラサイト女王に。

 そしてもう一匹はドクトルに寄生させたと種明かしをするダルク。

 

「お疲れ様です。

 いざとなったら助けようと思っていたけれど、その必要は無かったみたいだね」

 

 パチパチパチと拍手を贈りながら何処からともなく姿を現したアリアスにダルクは忌々しげに睨み付ける。

 

「何時からそこに居た?」

「執事君がアリーナで襲われた時からだね。

 私が差配したからには万全な解決をしなければ立つ瀬がないよ」

「何処がだ!!」

 

 怒りを込めてダルクは叫ぶ。

 

「お前の企みでこの世界の人間がどれだけ犠牲になったと思っているんだ!?」

「そこはまあ、コラテラル・ダメージだよ。

 それともドクトルを放置して他の次元の誰かが犠牲になればいいと?

 もしくは私がドクトルを殺しておけば一人の死人で全部片が着いたと言うのかな?」

「…っ!?」

 

 問い掛けている様に見せ掛けて、実際にどう答えても正当性のある返答の用意を匂わせるアリアスにダルクは二の句を失ってしまう。

 

「お前は…自分の楽しみのためにこの次元に混乱の種を蒔いたのか?」

 

 もしそうであるのならマスターの意に反してでもアリアスと殺し合う覚悟を秘めた問いにアリアスは困ったように眉を寄せて息を吐く。

 

「ふむ。愉しんでいたことは完全に否定は出来ないな。

 だけどその優先順位は低いよ。

 私の企みの根幹はドクトルが復讐しようと企む友人の安全を確保しつつ精霊界にドクトルがばら撒こうとした混乱の種を排して、そのおまけで執事君が()()()()()()()()()()よ」

「気持ち良くだと?」

「人間は悪を誅する瞬間を気持ち良く感じるだろう?

 その背景にそうせざるを得なかった悲哀が無ければ尚良い。

 そしてその結果に良い未来の可能性が拓ければ文句無しだ。

 そうじゃないのかい?」

「……」

 

 唾棄すべき邪悪を打ち倒した完全無欠のハッピーエンド。

 しかし積み上げられた躯がなければ邪悪は邪悪足りえない。

 だからそうなるよう仕向け、かつ自分達には何の関わりもない無関係な人間にその席を押し付けた。

 

「それら全てが揃う条件があるから利用した。

 人間の視点から見れば悍ましい所業に見えるかもしれないけどね」

「それが解っていて…」

 

 何故と問おうとして、しかしダルクはその答えを識っていた。

 

「悪魔にそれを言っても無駄か」

 

 どれだけ善性を持っていようが、人間を理解し感情を理解していようが悪魔は人間では無い。

 だからこそ、()()()()()()()()()()()()()()

 

「執事君に全てを話すかい?

 誰も幸せにならないと解っていて、それでも話すと言うなら止めはしないよ」

「……いいや。マスターには真実は伏せておく」

 

 言った所で彼はアリアスと手を切るという選択は選ばないだろう。

 それに不愉快に思えるが、精霊界の視点からすれば別次元のいざこざを持ち込ませずに当事者達の世界で完結させたアリアスは称賛に値さえしてしまうのだ。

 そんなどうしようもない世の中の無常を実体験と共に理解している彼はアリアスを称賛こそしないが否定もしないだろう。

 

「アリアス。

 お前は何がしたいんだ?」

 

 行動が一貫しているからこそ、マスターへの異常な程の配慮が逆にノイズとなったダルクはそう尋ねるとアリアスは笑みを浮かべながら嘯いた。

 

「私は執事君にやり残しを無くしてあげたいだけさ。

 やりたいことをやり尽くして、満足してから【ラビュリンス(私達)】の同胞になって欲しい。

 その為に私は私なりに気を遣っているつもりだよ。

 ほら、そろそろ行ったほうが良さそうだ」

 

 ビルが僅かに揺れ、アリアスは去るようダルクに言う。

 

「どうやら執事君が動いたようだ。

 君達が戻らないとデュエルが出来ないだろう?

 執事君が見ないほうがいいものの始末は私の方で済ませておくから行きたまえ」

「…ドクトルは後で必要だから殺すな」

 

 「分かっているよ」と嘯くアリアスの横を通りダルクは走り去る。

 

「健気だねぇ。

 君は私が嫌いだろうけど、私は君のことは結構気に入っているんだよ?」

 

 愉しそうにそう嘯き、都合が悪いものを片付けるためにアリアスはゆっくりと歩き出した。




次回は頭空っぽにしたギャグやるぞ!
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