迷宮姫に仕えているんだが、今日も姫様はポンである。   作:サイキライカ

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というわけで頭悪いギャグ行くぞ〜!!


姫様が本気を出す=事件の幕開けである。(前)

 その日、姫様は気が付いた。

 

「執事が来ないなら私が行けばいいのよ!!」

 

 旦那様と逢瀬だけに満足出来ないなら自分から出向けば良いのだと。

 

「でも、アリアス達は許さないのよね?」

 

 今更ながら姫は外に出そうとしない従者達の思惑に首を傾げた。

 姫は知らないが、【白銀の迷宮城】は姫を守る【柵】であると同時に姫を外に逃さぬ【檻】でもあり、姫に仕える従者もまた姫を外に出すことを許しはしない。

 深く重い事情(公式さん情報開示はよ)により囚われた姫は、しかしその思考を明後日の方向に飛ばした。

 

「つまり、私がもう一人居ればアリアス達が私がいなくなって寂しくなる心配は無くなるわね!」

 

 そうと決めれば即断即決。

 勿論姫様が物理的に分裂するわけではなく、自分を模した人形を影武者に仕立てようというのだ。

 姫はジャージ姿のまま自らの作品を創る工房へと足を向ける。

 そうして向かう途中、姫の指示通りに罠を配置し終え休憩に向かう途中のアリアーヌと遭遇した。

 

「姫様〜。どちらに行かれるんですか?」

「フフフ…。 私はとても恐ろしい策を思いついたのよ!」

 

 折角配置し終えました罠をまた配置し直すのは面倒臭いなぁと内心思いつつ顔には出さないで伺うアリアーヌに、作戦を自慢したくてたまらない姫はフンスと鼻を鳴らして胸を張る。

 

「へぇ〜?

 お聞きしてもよろしいのですか?」

「勿ろ…」

 

 と、いつもの調子で語ろうとした姫様だが、そこで思い至る。

 

「残念だけどまだ秘密よ。

 お披露目を楽しみにしていなさい!!」

 

 どうせなら全て終わった後で種明かしをしてやった方が驚かせられるのではとそう誤魔化した。

 

「それと、これから工房に籠もるけど誰も入っちゃだめだからね?

 アリアスにもそう言っておきなさい」

「お食事は如何致しますか?」

「食べたくなったら声を掛けるわ」

 

 本気になると寝食も忘れ何日でも徹夜してしまう自身を顧みてそう告げる。

 悪魔族である姫様にとって食事は嗜好品の部類であり、食べなくても空腹は感じても餓死することは無い。

 なのでアリアーヌはそれを特に諌めることもなく了解した。

 

「わかりました。

 では必要に際したらお呼びください」

 

 そう一礼を残しアリアーヌはその場を後にする。

 アリアーヌと別れた後、姫様は城の中央付近にある己の工房に入った。

 

「さて、先ずは設計図から手を付けなきゃね」

 

 真新しい紙を取り出し斜めに傾けられた製図台の上に貼り付けるとしっかり固定してズレないようにする。

 製図台の前に腰掛けると鉛筆を削り素早く素体の設計を書き上げていく。

 

 

「基礎フレームはアリアス達をベースにすればいいけど肝心の魔力コアはどうしましょうか?」

 

 自身を模倣するなら一つでは足りず、かといって複数個入れると歩行の際のバランスに悪影響が響いてしまう。

 

「小型化するなら新造になるけど流石に時間が掛り過ぎるし、そもそも今のサイズが思考力を人間並みに保ちながら現実的な出力を維持出来る限界サイズだって結論出たのよね。

 う〜ん。何処かにより魔力コアに適した新素材が転がってないかしら?」

 

 それに関しては色んな次元に関わりを持っている執事におねだりしてみようと思い、とりあえず今ある物で可能な限りやっていくしかない。

 

「問題はバランスよね。

 家族に迎えるなら自立拡張型を1個埋め込めば事足りる話だけど、今の私を再現するなら魔力コアは最低でも3つは必要なんだけど配置場所がなぁ…」

 

 むぅ、と唸りながら腕を組んだ姫はそこで腕を組んだことで自身で押し上げた豊かな胸に気付く。

 

「……あるじゃん。

 魔力コアを入れられるだけの大きなスペース」

 

 ばくちちぼでぃーの己のおっぱいならばコアを胸部に取り付け外付けみたいな形になっても上からパテで盛れば違和感はない。

 触られれば硬さで気づかれるだろうがこの乳房を触っていいのは執事だけだし、そもそも触りたいなら人形なんか触らなくても自分のおっぱいを触らせればいいのだ。

 

「その内柔らかい素材を使って魔力コアを創るのも試してみようかしら?」

 

 アイデアを設計図の端にメモ書きしつつ、胸部に追加した事で崩れたバランスを改めるための再設計を開始する。

 

「出来たわ!!」

 

 そうして数時間後、再設計を終えた設計図は完成した。

 因みに総費用を算出すれば人間界で武藤遊戯のコピーデッキが完全再現出来るレベル、或いは封印櫃の中のカードを購入可能なレベルの超高額品である。

 職人であるウィッチ・クラフトの面子が見たら絶句し卒倒するかあまりある程に採算を度外視した羽振りの良さに羨望と嫉妬に塗れるだろう。

 

 要求費用を知ったらアリアスや執事は頬を引き攣らせるだろうが、しかし芸術家である姫様はそんなみみっちいことには頓着しないままその図面を満足気に見返す。

 

「さすが私ね!!

 早速フレームを組み立てるわよ!!」

 

 勢いそのままに散乱するパーツの中から必要なものを取り出し組み立てていく。

 

 

〜〜〜〜

 

 

「おや? 姫様にお逢い出来ないのですか」

 

 一方その頃、久しぶりに顔を見せに来た執事はアリアスからの言葉に心底残念に思っていた。

 

「間が悪かったね。

 まあ、姫様が本気で作業を開始なされたからには私達はいつ姫様がお呼び立てしても良いよう備えるだけさ」

「そうなるとコレはどうするか…」

 

 手土産にと用意したのが生菓子なのである。

 

「期限まで保管して、間に合わなければ私達で処理するしか無いだろうね。

 そうなったら悪いけど、連絡するからまた用意してくれないかい?」

「分かった。

 それしか無いな」

 

 箱を預け出直そうとした所でガランガランと来訪者を告げる鐘が鳴る。 

 

「こちらも間が悪いようだな?」

 

 態々この呪われた城に来訪を告げる者など一人しか居ない。

 

「仕方ないね。

 私達で対処するしか無い」

「いや。俺が行こう」

 

 腕に装着したデュエルディスクを展開し執事がそう宣う。

 

「本気かい?」

「部下達に約束したんでな。

 今度は俺も戦うと」

 

 そう言って執事は幾つかある城門の一つ、『騎士』が潜ろうとする城門の前に立ちはだかった。

 

「お久しぶりですね『騎士』殿。

 こうして見えるのは何時振りでしょうか?」

「そうだね。

 でも、態々城の前で待っている必要があったの?」

 

 執事からすれば故郷のネットを思い出させる一頭身饅頭の声でそう尋ねる『騎士』に執事は「ええ」と応える。

 

「本日は姫様が所用につき『騎士』殿の御相手をする事が叶わないのです。

 然し乍ら客人にその様な無礼は出来かねますので、姫様に代わって私が『騎士』殿に『おもてなし』を披露させて頂きたいかと」

 

 そう言うと同時に執事がエクストラデッキから【アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】を【召喚】してみせる。

 

「ルールは先と同じく私の送る配下を全て打ち倒せば貴方の勝利。

 貴方が私の配下全てを降す事が叶わず退却すれば私の勝利ということでよろしいでしょうか?」

 

 喚び出されたアークリベリオンは宿敵を前に猛々しい咆哮を轟かせる。

 

「うん。

 前みたいなルール違反はしないで今度こそ勝つよ」

 

 対し、『騎士』は抑揚なく、それでいて意気軒昂をはっきり感じさせる声で了解した。

 

「畏まりました。

 では、本日は新顔の披露も含め6体を紹介させていただきます。

 来い!!【双穹の騎士アストラム】【黒魔女ディアベルスター】【D-HERO デストロイフェニックスガイ】【フルール・ド・バロネス】【厄災の星ティ・フォン】!!」

 

 執事の呼びかけに応え、蒼い輝きをまとう剣士が、鬼の面を被った白髪の魔女が、豪炎の如き鎧を纏う戦士が、白馬に跨る白い騎士が、禍々しいオーラを放つ黒い巨人が舞い降りる。

 

「そして我が最強【アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】!!

 本日のフルコースは以上となります。

 どうぞ、存分にお楽しみください」

 

 絶対を思わせる錚々たる面子を前に、『騎士』はしかし臆した様子もなく僅かに頰を吊り上げた。

 

「世界記録更新してやる」




【迷宮城ラビュリンス】ダウンロードコンテンツ【執事見習いからの挑戦状】

隠しボスである執事見習いの出現条件の厳しさにアイテムコンプリート出来ないとクレームが殺到したため遂に実装された執事見習いとの直接対決モード。

通常版【アーケードモード】に加え新たに追加された10体以上のボスキャラから好きなキャラを選んで戦える【コロシアムモード】も同梱されて配信された。

なお、裏アイテムである【血で汚れたスノードーム】はこのコンテンツでは入手不可能と()()()()()()()()()
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