ちょっと!!勉強の邪魔しないでよ!!   作:狂骨

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More見たけども、大人ねじれちゃん……マジ綺麗すぎた…


何も言わずに去るとなんか

 

それからしばらくして___。

 

3月

 

大量の桜吹雪が舞い散る中、

 

雄英高校では晴れやかな三年生の旅立ちの式典『卒業式』が開かれた。

 

『続いては卒業証書授与!!come onッ!!』

 

『『『『yeahhhhhhhhhhッ!!!』』』』

 

校舎をバックに開かれた大規模な式典において、プレゼント・マイクがスクラッチを動かしながら盛り上げていき、それに卒業生達は大熱狂する。

 

 

そしてド派手な音楽と共に次々と卒業生達が登壇していき、彼らへと校長は1人ずつ、卒業証書を手渡していった。

 

 

一方で、そのド派手は演出に1年坊の全員は完全に置いてかれていた。

 

「えぇ…卒業証書の授与もこんな感じなの…?」

 

「いくら何でも式は静粛に行った方が…ね?拳太郎さ____」

 

耳郎に頷きながら八百万は後ろに座っている拳太郎へと目を向けるが、そこには

 

「ぐぉおおおお…」

 

鼻息を立てながら爆睡している拳太郎の姿があった。

 

「え!?寝てる!?拳太郎さん!?」

 

パチン!

 

「ぐご…んぁ?」

 

「いやいやいや!んぁ?じゃなくて!!寝てましたわよ!?」

 

「いや…最近忙しくてあんまり寝れてなかったんですよ…」

 

「しかし…愛する波動先輩の姿は見なくてもよろしいのですか!?」

 

「えぇ〜どうせこの後、嫌と言うほど見るんだしどうでもいいでしょ」

 

ゾワッ

 

その言葉にクラスの殆どが驚くと共に冷や汗を流し、咄嗟に上鳴と耳郎が拳太郎の肩を掴んだ。

 

「おま!!流石に今のはやばいぞ!?先輩に聞かれたらどうすんだよ!?」

 

「そうだよ!!下手に刺激したら何されるか分かったもんじゃないよ!?あんたが一番よく知ってんでしょ!!」

 

「大丈夫大丈夫。どうせこんなに離れてるんだし見えるわけ____」

 

 

 

 

その時であった。

 

 

「「「「___!?」」」」

 

突如として背中に冷たい“何か”が撫でるかのような感触が広がった。それに驚いた一同が、すぐさま壇上へと目を向けると、そこには____

 

「〜♪」

此方を見つめるねじれの姿があった。数多くいる生徒の中から拳太郎のみを完全にロックオンしているのか、完全に目線が合っており、さらに寝ていた上に今つぶやいた悪態を聞いていたかのように、その笑顔はとてつもなくドス黒いものだった。

 

そして、拳太郎と目が合ったねじれは優しい笑みを取り戻すと、手を振るが、それを見た拳太郎は手を振りかえしながら顔面を蒼白にさせる。

 

「あの…なんか急に眠気が冴えました…」

 

「いや、遅いですわ…」

 

誰が予想できただろう?これが拳太郎との最後の会話になる事を。

 

ーーーーー

ーーー

 

それから卒業式が終わると、3年生は次々と学舎から旅立っていった。その中で緑谷は特に関わりのあるミリオに最後の挨拶をしていた。

 

「先輩!卒業おめでとうございます!」

 

「おぉ!ありがとう!!」

 

緑谷からの卒業を祝う言葉にミリオも溌剌と返す。

 

「先輩はどこの事務所にいくんですか?」

 

「勿論サーの所さ!君も来年度のインターンは是非ともまたサーの事務所に来てくれよ?歓迎するから!」

 

「はい!!」

 

すると

 

「お〜い!!ミリオ〜!!」

 

校門から彼を呼ぶ声が聞こえ、見るとそこには待っているかのように天喰とねじれの姿があり、ミリオも手を振る。

 

だが、その2人を見た緑谷は目を細める。

 

「あの2人とも、離れ離れになっちゃうんですね…」

 

「うん。特にねじれさんは“しばらく会えなくなる”からね。だからこの後、3人で打ち上げさ!」

 

「しばらく?」

 

「うん。凄く遠くの事務所に配属になったんだ」

 

「遠く…?」

 

それからミリオは手を振りながら去っていった。

 

「じゃあね!!また会おう!!」

 

「はい!お元気で!」

 

その姿を緑谷は見えなくなるまで見送った。

 

そんな中で、ミリオの言葉を思い出す。

 

“凄く遠くの事務所に”

恐らくだが、リューキュウではなく別のヒーローの事務所を選んだのだろうか?だが、たとえ県外であっても、交通機関を利用すればすぐに会える筈だろう。

その言葉に疑問を持ちながらも彼らを見送った。

 

 

それから卒業式を終えると、在校生達も帰宅となった。

 

 

 

だが、緑谷の目は晴れない。それは何故か?数日後、ある人物と面会をするからだ。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

巨大な監獄の中にある面会室の一室にて。燈矢と同じく、アクリル板に隔てられた部屋のうち、一つの部屋には緑谷が。もう一つの部屋で緑谷に向かい合うようにして椅子に座る「死柄木 弔」こと改めて、『志村 転孤』の姿があった。

 

「…よう。緑谷出久」

 

「やぁ転孤」

 

かつて何度も対峙した転孤が軽く手を挙げる形で声を掛けてくる。その子供となった姿からは、かつての悍ましい雰囲気は感じられなかったが、それでも目元には亀裂が残っており、何日も眠れていないのか大きな隈が出来上がっていた。

 

「先生、死んだんだってな。しかも、無個性のアイツに…あ、俺も無個性か」

 

「そうだね。だからこうして面会もできた。………気分はどうなの?」

 

そう尋ねると、転孤は手をアクリル板に突き立てる。5本の指どころか掌が全て触れているが、アクリル板が粉々に崩れ落ちる事はない。

 

「無個性なのは気に食わねぇが、何かギチギチに縛られてた気分だったからスッキリしたよ。色んな物に触れる様になってから、何か考え込んじまってよ。それが楽しくなっちまってな」

 

そう話す転孤の所作は少しばかりが前よりも豊かであり、声も落ち着きがある。更に顔色も前と比べて穏やかになっていた。

 

「ま、どうせ俺は死刑になる。今更なんだっていう話だがな」

 

「…」

 

その言葉に緑谷は俯く。

 

「はっ。そう残念がるなよ。身寄りなんてねぇし、寧ろこのまま死ぬまで生きてた方が辛ぇわ。

まぁ、たまには顔ぐらい出してくれよ。他の連中は離れた務所だし、話せる馴染みはお前くらいしかいねぇんだからよ」

 

「うん。必ず来るよ」

 

「おぅ。せいぜい頑張れよヒーロー……あ、忘れてた」

 

そんな中で、転孤はある事を尋ねる。

 

「そういえばよう。アイツはどうしたんだ?ほら、神堂」

 

「え?」

 

転孤から尋ねられた緑谷はようやく思い出す。

 

「岩手に帰ってるって言って……あれ?」

 

拳太郎については、自身のみならずクラス全員も同じ気持ちを抱いていた。卒業式が終わってから寮へと戻るが、何故かその寮で過ごした数日間は全く見かけなかったのだ。

 

相澤に尋ねた際は『実家である岩手に波動と共に戻っている』と聞かされたため、そのうち帰ってはくるだろうと思ってはいた。

 

彼は家を燃やされてしまったのだ。心を休める時間も必要だろう。戦いも終わった事で恐らく普通科に戻る筈だが、大丈夫。クラスは違えどまた会える。

 

そう思ってはいたが、何故か相澤からの一言が引っ掛かるのだ。

 

「なんでこんなに…モヤモヤするんだろ…」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

それから二週間後。

桜がまだ舞う中、緑谷達は2年生へと進級し、現在は新1年生を迎える入学式を前にしたHRが始まっていた。

 

例年ならば、担任は変わり新しい教師が担当となるが______

 

「本来は、担任は入れ替わりなんだが…復興とか色々あるから、2年生も担任を務める事になった。まぁよろしく」

 

「「「「「やったぁああああ!!!!」」」」」

 

______再び相澤が教壇に立つことになった。だが、皆は嬉しいのか大歓声をあげていた。

 

皆が次々と感激の声を上げて、それを相澤も満更ではない表情でため息をつく中、

緑谷は周囲を見渡していた。

 

見渡しても拳太郎の姿はなく、それどころか彼の席もない。そしてそれは他の皆も同じだ。

 

 

「寂しいよな…アイツがいなくなっちまうの…」

 

峰田の言葉に皆も頷きながら、かつて拳太郎の席があったスペースへと目を向ける。

 

「まぁ、アイツはもともとヒーロー志望じゃなかったしね。戻れたなら本望じゃない?」

 

「そうですわね。それに同じ学舎でしたらまた会えますし」

 

耳郎の言葉に八百万も笑みを浮かべながら頷き、皆も拳太郎との思い出を頭の中に思い浮かべた。それもそうだ。たとえクラスが違えど、交流する機会はいくらでもある。来年の体育祭や文化祭もだ。

 

恐らくだが、あれほど強い者と出会うのは、この先一生ないだろう。特にたった1人で敵の大軍勢を蹴散らしAFOを討伐した姿を皆は忘れなかった。

 

「本当にすげぇ奴だったよな!」

 

「そうだな。アイツのお陰で燈矢兄との話せる時間もできたし…それに青山も」

 

切島の言葉に頷いた焦凍の言葉に、皆は窓側の席へと目を向ける。そこには相変わらずキラキラと輝いている青山の姿があった。

 

「最初は驚いたよ。退学するなんてさ…」

 

「うん。僕も酷だったけど、そうしなきゃいけないと思ってた……けどね」

 

耳郎の言葉に一度は表情は暗くさせながらも、青山は先程とは異なり、決意を固めたかのような表情を浮かべながら答えた。

 

「それを話したら神堂くんから言われたんだ。『償いたければ皆と過ごして償え』その言葉で僕も気づかされたよ。僕がすべきは自分が消えることじゃない。裏切った分だけ皆を助ける事なんだって。彼には感謝しきれないよ…」

 

その言葉に皆も笑みを浮かべるのであった。

 

そんな中であった。

 

「おい。まだ話終わってねぇぞ。取り敢えず通達事項が幾つかある。一つは、新しく加わる仲間だ」

 

「「「「!?」」」」

 

その言葉に皆は驚く。そうしている合間にも既に扉にはシルエットがあり、それに皆の目が注目すると、扉がゆっくりと開き、新たな仲間の姿が露わとなった。

 

「いや…入りづらいっすよ…」

 

そこに立っていたのは、編入志望の心操だったのだ。

 

「うぉおおおおお!!!心操ぉおお!!」

 

「A組になったんだな!!」

 

「まぁな」

 

歓声をあげながら喜ぶ切島と上鳴に頷きながら心操は教室へと入る。

 

 

そんな中であった。

 

「…あれ?」

教室に入るや否や、心操は教室を見回すと、首を傾げる。

 

「アイツはいないのか?」

 

「「「「…?」」」」

ふと漏らした心操の言葉。その言葉の中にあった『アイツ』については皆はすぐに察知しながらも、その言葉が先程まで普通科にいた心操の口から出た事で皆は驚きのあまり固まってしまった。

 

 

そんな中で、八百万が恐る恐る尋ねる。

 

「あの、心操さんはお会いしてないのですか…?」

 

「あぁ。一応、ここ来る前に普通科の教室行ってきたけど、アイツの姿どころか、席もなかったから、テッキリここにいるかと」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

その言葉を耳にした瞬間、皆の目が相澤へと向けられた。

 

「先生!」

 

「どういうことっすか!?アイツは…神堂はどこ行ったんすか!?」

 

八百万や切島達が立て続けに尋ねてくる中、その言葉を相澤は既に覚悟していたのか、特に注意も威圧もする事なく、それどころか表情を暗くさせながらも答えた。

 

「アイツは____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________退学した。恐らく、もうこの静岡県どころか、日本にもいないだろう」

 

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