Fate/kaleid liner knight   作:シャチ猫

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お待たせいたしました。
第12話です。

今回は1万字を超えるという今まで一番長い話になりました。

戦闘シーンが少ししかないのに1万字超えるって………

それでは、どうぞ!


第12話 休息/絆の一歩

大和side

今日も俺は内なる魔界で修行をしている。

今、相手しているのは________

 

「グオォォォォォッ!!」

 

人の身長よりも何倍もある巨体、両手が鎌状の剣で、額に一本の角が生えているのが特徴のホラー≪ブレイド≫だ。

俺も鎧を召喚して壱式を咥え構えている状態だ。

 

ブレイドが右手の剣で俺に振りかぶってきた。

両腕に力を思い切り込め、ブレイドに背を向ける体制をとり、剣が当たる瞬間、思い切り振り返り、剣を受け止めた。

 

「おらぁぁぁッ!!!」

 

 

 

 

二剛力斬!!!

 

 

 

ガキンッ!!!

 

 

 

俺の剣とブレイドの剣がぶつかり火花が散った。

 

「うおぉぉぉぉっ!!!」

 

俺がさらに剣に力を込め、振り抜いた。

 

 

 

 

バキッ!!!

 

 

 

ブレイドの剣が粉々に砕け散った。

 

「グオォォォォォッ!!?」

 

剣にも神経が通っていたのか、ブレイドが痛みに悶えている様子だった。

ブレイドは八つ当たり気味に残っている左手の剣で俺に攻撃をしていきた。

俺は空中に駆け出し、攻撃を避けた。

 

ブレイドはすぐさま空中にいる俺に向けて剣を突いてきた。

それを躱し、俺は顔を傾け壱式を中心に弐式と参式を*のように交差させ、そのまま前に高速回転しながら突進した。

 

 

 

 

夜叉鴉!!!

 

 

 

 

ブレイドの手首から回転しながら突進し、肘あたりでやめて体勢を元に戻した。

俺が回転して通ったところには、鳥の足跡のような傷跡がいくつも残っていた。

その傷跡から血飛沫が飛んだ。

 

「グオォォォォォッ!!?」

 

痛みでブレイドはまた悶えた。

俺はブレイドの肘を足場にしてジャンプし、ブレイドよりも高い場所に行った。

壱式を背中にしまい、弐式と参式を右斜め上に平行にして構え、ブレイドに袈裟斬りを繰り出した。

 

 

「はあぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

 

弐斬り 砂紋!!!

 

 

 

 

斬撃を受けたブレイドは左肩から体が4つに割れ、そのまま爆発した。

爆炎を抜け俺は地面に着地して、刀身に付いた血を払うように弐式と参式を振るい、一息ついた。

 

『そろそろ学校へ行く時間だ。戻るぞ』

 

ちょうどいいタイミングでゾルバから声が掛かった。

俺は意識を集中して、内なる魔界から出た。

現実に戻り、学校へ行く準備をして家を出た。

 

学校へ行く道中、ゾルバとテレパシーで話をした。

 

「(昨日のイリヤは何だったんだろうな)」

 

『(美遊のお嬢ちゃんはアレは英霊と化していると言っていたが)』

 

クラスカード使い方で姿や戦闘能力が変わるものなのか。

ますますクラスカードの謎が深まったな。

そして何より………。

 

『(なんでイリヤのお嬢ちゃんはカードを使えたか……。大和はそう考えているだろ?)』

 

さすが、相棒。俺の考えはお見通しか。

あの時のイリヤはさも当たり前のようにクラスカードを使っていた。

それが一番の謎だ。

それにあの魔力。

イリヤとは昔ながらの仲だ。

だから、イリヤが普通の女の子であるのは俺がよく知っている。

なのに、だ………。

考えれば考えるほど、疑問が溢れてくる。

 

『(だがまあ、ここでアレコレ考えても仕方ないだろ)』

 

考えているとゾルバが言ってきた。

 

『(お嬢ちゃんの力が何であろうとお前のやることは変わらないだろ?)』

 

「(そうだな)」

 

ゾルバの言う通り、イリヤの力の正体が何であろうと、俺のすべきことは変わらない。

鎧と剣に誓って守る。

それだけだ………!

 

ゾルバと話しているうちに学校に着き、教室に入った。

入ると龍子、雀花、那奈亀、美々がいた。

 

「おはよう、4人とも」

 

「おーすっ、大和!」

 

「おう、大和」

 

「大和、おはよう」

 

「おはよう、大和君」

 

4人にあいさつをし、朝の会まで話をした。

朝の会になり自分の席に座ったが、見るとイリヤと美遊の席が空いていた。

 

「今日、イリヤちゃんと美遊ちゃんは体調が優れないということでお休みをします」

 

朝の会が始まり、タイガーからイリヤと美遊が欠席することを伝えられた。

イリヤはあの時気絶したが、特にケガを負っていなかった。

美遊もケガはしていなかった。

おそらく、2人とも大事を取ったのだろう。

 

朝の会が終わり、1時間目の授業までの間の時間で美々、雀花、那奈亀、龍子が話かけてきた。

 

「イリヤちゃん、美遊さん体大丈夫かな?」

 

「昨日は普通に元気だったけどな」

 

「急な体調不良とはねー」

 

「じゃあさ、ミユキチの家分からんから、とりあえず放課後イリヤのお見舞い行こうぜー!」

 

4人ともイリヤと美遊の心配をしてくれているみたいだな。

そして、龍子が言ったことに3人とも賛成して放課後イリヤの家に行くことになった。

俺も行くとこにした。

イリヤはケガはなかったが、あの姿になって本当になんともないのか。

俺はそれが心配だ。

そうして、放課後の予定が決まったところで、授業が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

大和が内なる魔界で修行を終えて家を出た頃の衛宮邸。

 

「37度2分・・・風邪ではないですか、少し熱がありますね」

 

「んー・・・確かにちょっと熱っぽいかも・・・」

 

イリヤの部屋でセラが体温計でイリヤの熱を計っていた。

 

当のイリヤはベッドに腰掛けて座っており、セラの言う通り顔が若干赤くなっていた。

 

「今日は大事をとってお休みしましょう。学校へは私が連絡を入れておきます」

 

「えー、風邪じゃないのにー。セラ過保護すぎ」

 

セラの言葉にイリヤはむくれた。

 

「過保護で結構です!イリヤさんに万が一があっては奥様に顔向けできません」

 

セラは毅然とした態度でイリヤに言った。

 

「大げさだってばー。別にこんなのー」

 

イリヤはまだ納得いかなくて、足をばたつかせて元気アピールをした。

 

「とにかく!今日はお休みです」

 

部屋から出ようとしたセラはイリヤに振り返り、釘をさすように言った。

 

「お昼にはお食事を持ってきますので安静にしていてくださいね」

 

そう言ってセラは部屋から出た。

 

「はいはーい」

 

イリヤはしぶしぶといった感じで休みを受け入れ、ベッドに寝転がり、布団をかぶった。

 

「お休み、か・・・」

 

カーテンが閉まっている窓を見ながら、イリヤは呟いた。

 

 

ところ変わって、1階。

 

「あ、セラ。イリヤの様子はどうだった?」

 

士郎が体にかけているエプロンで手を拭きながらイリヤの部屋から降りてきたセラに聞いた。

 

「熱はありますが他の症状は見られません。それほど心配はいらないでしょう」

 

「そっか。良かった」

 

セラの言葉を受けて、士郎は安心した。

 

「とりあえず今日一日は様子を見ます。シロウは心配せず学校に・・・」

 

セラは士郎に学校へ行くよう言おうとしたが、何か気づき途中で止めた。

 

「・・・ここに置いてあった食器はどこへ?」

 

台所の流し台にあった食器の所在をセラは士郎に聞いた。

 

「それならもう洗っておいたよ、鍋も皿も」

 

士郎はエプロンを外しながら言った。

 

「朝食の残りは大皿にまとめて冷蔵庫に入れといたから昼にでも・・・」

 

食器洗いだけでなく他の家事をしたことにセラは怒りの表情を浮かべた。

 

「またそうやって家事をサラッとこなして・・・!今日貴方は当番じゃないでしょ!?私の仕事を奪わないでください!」

 

「そんな怒ることはないだろ・・・」

 

セラは指を指しながら士郎に怒った。

そんなセラを士郎は少し呆れ気味に言った。

 

「そもそも私やリズがいるのに長男であるシロウが家事をしたがるのがおかしいです!やはり当番制は廃止すべきです!家のことになら私で十分・・・「学校へ行って来ます!」あ!ちょっとシロウ!!」

 

次々と士郎の文句が出てくるセラ。

士郎はセラから逃げるように家を後にした。

 

「全く・・・都合が悪くなるとすぐ逃げるんだから・・・」

 

「セラ怖すぎ。逃げて当然」

 

士郎の行動に溜息をするセラ。

2人の様子をソファーで歯磨きをしていたリズが士郎を庇うように言った。

 

 

「で、イリヤの様子、本当はどうだったの?」

 

 

すると、リズは一旦歯磨きをやめて少し真剣な顔をしてセラに質問をした。

 

「………ほぼ間違いなく()の影響でしょうね」

 

リズの質問にセラは重々しい顔をして答えた。

 

「イリヤさんの封印が一時的に解けた形跡があったわ。10年間蓄積されてきた魔力の一部が解放されたとみて間違いない。今の発熱はその反動でしょう。熱はすぐ治るでしょうけど・・・問題は封印が解けてしまった原因ね」

 

セラは額に手を当てながら深刻そうに言った。

 

「あの封印は死の瀬戸際とか危機的状況にならない限り外れることはないのに!ああ、もしかしたらイリヤさんは何かやっかいな事件に巻き込まれているのでは・・・!」

 

額に手を当てたままヘナリと膝から崩れ落ちたセラ。

 

「考えすぎだってー」

 

セラとは対照にリズは特に気にしてない様子で再び歯磨きをしだした。

 

「交通事故に遭いそうになって封印解除―とか、そんなんじゃないの?実際のとこは」

 

「それはそれで問題です!」

 

割と危険な発言をするしれっとするリズにセラはツッコんだ。

 

「っていうか最近のイリヤさん私に何か隠し事してるような気がするんですけどっ!!時々なーんかソワソワしてるっぽいし!」

 

「年頃の娘なんてそんなもん。セラ神経質すぎー」

 

まさか反抗期!?と今度は別のことでイリヤを心配するセラ。

そんなセラを歯磨きをしながらあきれ顔で言うリズ。

 

「リズはいい加減すぎるんですっ!メイドの本分を忘れていつもダラダラと・・・!歯磨きは洗面所でやりなさい!」

 

「へいへーい」

 

セラはリズに注意をして、リズは面倒くさそうに洗面所に向かった。

 

 

 

 

 

イリヤside

セラに言われて今日は休むことになった。

もーセラってば、ほんと過保護だよ。

別に体は何ともないのに。

 

「はー、重病でもないのに学校休むのってちょっぴり罪悪感あるよねー」

 

『まー昨晩は激闘でしたから、今日くらいはゆっくり休んでもバチは当たりませんよ』

 

「そっかなー」

 

今はセラたちがいないからルビーも出てきてる。

 

「でも最近夜更かしが多かったから・・・朝起きるの辛かったんだよねー」

 

カード回収っていつも深夜だから、あんまり寝れてないからね。

その状態で学校に行ってるから余計しんどい。

 

「あー・・・平日の昼間からゴロゴロするのって幸せかも・・・」

 

将来ニートになるのもアリかもしれないね・・・

そんなことを考えていると段々眠くなってきた。

私はそのまま眠りについた・・・。

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

「ひ・・・暇だッ!!」

 

私はすっかり眠気が覚めてしまった。

 

「あーもー!暇だわ!なんにもすることなくて寝てるだけって意外ときつい!」

 

掛け布団を体に丸めながらベッドの上でゴロゴロ転がりながら声を上げた。

 

『元気な病人ですねー熱はもういいんですか?』

 

「もうなんともないよー・・・元々病気でもないんだし全然元気」

 

朝の熱っぽさは、もうすっかりなくなっていた。

 

「ああ・・・暇って人をダメにするね・・・勉強とか仕事とかに縛られることでようやく人は人らしく生きられるんだわ・・・」

 

『その歳で老成した人生観をもつのもいかがなものかと思いますがー』

 

将来ニートになるのは諦めて真っ当な人生を歩んでいこう・・・。

そう思っていると、机に置いてあるクラスカードが目にはいった。

 

「0対3・・・か」

 

私はベッドの上で体操座りをしながら呟いた。

 

『?なにがですか?』

 

「戦績っていうか私と美遊さんのカードゲット枚数・・・」

 

『ああ!』

 

「なんだかんだで結局敵は美遊さんが全部倒してるんだよねー」

 

『確かに、あの冷静かつ大胆な判断力は見事です。とても素人とは思えませんね』

 

争奪戦をしているわけじゃないけど、今までの戦いを振り返ってみると美遊さんがカードゲットしてる。

言い訳みたいになっちゃうけど、私は戦いとかしたことがないから敵を倒せなんて今更ながら全く自信がないけど。

それでも少し悔しい・・・かな。

 

『あと大和さんですね。戦闘能力でいったら美遊さんよりも圧倒的に上です』

 

そうだ、大和君もすごい。

生身で敵と戦うのもそうだけど、狼俱・・だっけ?あの狼の鎧を纏って戦うのは本当にすごいの一言だと思う。

 

『今も修行されていますから、これからどんどん強くなっていくのでしょうね』

 

そういえば精神世界でいつも修行しているって言ってたっけ。

ルビーの言う通り、これからますます強くなるってことだよね。

それに今より、もっとカッコよくなる・・・のかな////

 

『イリヤさん顔がまた赤くなっていますけど、また熱がぶり返したんですか?』

 

「な、なんでもないよ!?」

 

ちょっとした妄想をしていたら顔が赤くなっていたみたい。

こんな事ルビーにバレたら、またおもちゃみたに弄ばれる!

私はルビーに誤魔化すように、ルビーに背向けて深呼吸をして平常心に戻した。

 

落ち着いたところで、天井の方に体を向けて手をおでこに当てた。

 

「大和君と美遊さん。今頃何しているのかな・・・」

 

私はポツリと呟いた。

2人とも私と同じで休んでるのかな?

 

『大和さんは分かりませんが、美遊さんなら直接聞けるんで聞きましょう!』

 

「直接って、どうやって・・・」

 

ルビーの言っていることが分からなかったから質問をしようとしたら、ルビーの姿が変わった。

 

「なにその形態!?」

 

『私の24の秘密機能(シークレットデバイス)のひとつ、テレフォンモードです』

 

今のルビーの姿は、中心がいつもの星じゃなくてスピーカーのような形になっていて、上からアンテナが伸びていた。

もうなんでもありだね、このステッキ・・・。

 

『もしも~しサファイアちゃ~ん?起きてますかー?』

 

[どうしたの、姉さん?]

 

「おおっ、繋がった!」

 

ルビーのスピーカーからサファイアの声が聞こえた。

私が少し感動していると。

 

[今の声・・・イリヤスフィール?]

 

美遊さんの声も聞こえてきた。

 

「ど・・・ども。いきなりごめんね」

 

美遊さんとは何度も話しているのに何か緊張しちゃう・・・。

 

[何か用事?]

 

「あ・・・ううん。用ってわけじゃないけど・・・今何してるのかなーって・・・」

 

[今は家にいる。ルヴィアさんが今日は休養をとりなさいって・・・]

 

「じゃあ私と同じだね。何もすることなくて、もう暇で暇で・・・」

 

[そう・・・。もしかして大和も学校休んでる?]

 

「あー・・・どうなんだろう?一応大和君の連絡先というか家の番号は知ってるけど、今日電話かけてないから、ちょっと分かんないかな」

 

[そう・・・。体は何ともないの?]

 

「うん。ちょっと熱は出たけど今はもう平気」

 

[そう・・・]

 

「うん・・・」

 

「[・・・・・・・・・・・・]」

 

か、会話が続かない・・・!

 

『ああもう、じれったいですねー!なに不器用な会話してるんですか!』

 

「そ、そう言われても・・・!」 

 

元々会話の種がなかったから、しょうがいないじゃん!

 

『分かりました、それならテレビ電話に切り替えます。顔を見てなら会話も弾むでしょう!』

 

すると、ルビーの下からカメラみたいなものが出てきた。

 

「また何か出た!?」

 

『プロジェクターです。サファイアちゃんが今見ているものをリアルタイムで映すことができますよー』

 

ルビーは壁にまるで映画のように映像を映した。

ほんっと無意味に多機能だね・・・

 

[えっテレビ電話!?あっちょっと、何を・・・]

 

『いきますよー』

 

壁に映っている映像は5秒前のカウントダウンが始まった。

私は緊張半分ワクワク半分で映像を見ていた。

 

 

[えっちょっ]

 

 

[え?]

 

 

[な、何?]

 

 

[何なのこれ!?]

 

 

[あっ、ちょっと]

 

 

[待っ・・・]

 

カウントダウンが終わり、壁に映し出された映像を見て私は固まった

そこに映っているのは_____

 

 

 

[あっ、そ、その・・・]

 

 

 

メイド服を着た美遊さんだった。

 

「メッ・・・メイド服―ッ!?

 

『あらあらまあー!何とも良い趣味をおもちのようで』

 

[あっこっ・・・これは違う・・・っ!!わ、私の趣味とかじゃなくて・・・っ、ルヴィアさんに無理矢理着せられてっ・・・]

 

映し出されている映像の中で美遊さんは、いつものクールな振る舞いはなくて顔を赤くして涙目になりながら顔を手で覆っていた。

そんな美遊さんを見て、私の中で何かヘンなスイッチがカチリと入る音がした。

 

「美遊さん・・・今すぐあなたに会いたいの・・・」

 

[は?何を・・・]

 

「うん、すごく会いたい。なんて言うか生で見たい。来て、今すぐ来て!そのまんまの格好で来て!!

 

気付けば私はルビーを両手で掴みながら、美遊さんに懇願していた。

 

[ちょっ・・・]

 

「家は向かいでしょ!駆け足―ッ!!」

 

[は、はいぃぃっ!?]

 

 

 

 

 

 

三人称side

美遊はイリヤの勢いに負けて、衛宮邸に来た。

イリヤの部屋のドアを数回ノックして、部屋に入った。

 

「あの・・・お、おじゃましま「いらっしゃーい!」あうっ!?」

 

部屋に入った瞬間、イリヤは美遊に飛びつき抱きついた。

 

「すっごーい!ほんとにメイド服だ—っ!なんかいい生地使ってるし縫製もしっかりしてるしー!」

 

「あ・・・あああの」

 

イリヤは興奮しながら美遊のメイド服を見ていた。

そんなイリヤの様子にタジタジになる美遊。

 

「本物?本物の小学生メイド!?ちょっと〈ご主人様〉って言ってみて!」

 

「え、普通〈お嬢様〉じゃ・・・」

 

イリヤは美遊の肩をガシッと掴んで変な頼み事を美遊にした。

 

「いいから言ってみてーー!!」

 

「ごっ、ご主人様ーーッ!?」

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

「やー、ごめんね・・・なんか変なテンションになっちゃって・・・」

 

「い、いえ別に・・・」

 

『(イリヤさんは潜在的にSですね・・・)』

 

落ち着きを取り戻したイリヤは美遊に謝罪した。

 

「そ、それより家の人に変な目でジロジロ見られたのが・・・」

 

「あー・・・ごめん。その変も考えなしでした」

 

美遊はセラに自身のメイド服を見られ、恥ずかしさに顔を赤くした。

イリヤは自分の軽率な頼み事をしたことに、さらに謝罪した。

 

『いえ、恥じることはありません。メイド服は美遊様の正式な仕事着なのですから』

 

「正式ってことは、やっぱり本当にメイドさんなんだ?」

 

「う・・・うん。一応レディースメイド(侍女)扱いでルヴィアさんの身の回りのお世話を」

 

サファイアのフォローの言葉にイリヤはまたワクワクした目をして美遊に聞いた。

 

「他に行くところがなかった私をルヴィアさんが引き取ってくれて・・・生活の保護をしてもらう分、メイドやカード回収の手伝いをしてる」

 

「(行くところがない・・・?家族は・・・?)」

 

『(なんか、つっこまない方が良さそうな話題ですね・・・)』

 

イリヤは美遊に言葉に疑問が浮かび上がった。

ルビーも気にはなったが、重くなる話と察したのか追及しなかった。

 

「そ、そうなんだ!でも、すごいよね。メイドと魔法少女の両立なんてレアキャラ過ぎ!」

 

イリヤは気まずい空気を変えるため、席を立ち窓を開けながら話題を別のことにした。

 

「昨日の2人目の敵も大和君と一緒に倒しちゃったんだし」

 

「え?」

 

「大和君もすごいよね。勝てないって言ってたけど、結局勝っちゃうんだから、大和君も美遊さんもほんと強いよね!」

 

美遊がイリヤの言葉に驚いていたが、そんな様子を尻目にイリヤは美遊と大和を褒めた。

 

『姉さん、ちょっと外に・・・』

 

『ん?どうしたんですか、サファイアちゃん?』

 

サファイアがルビーを連れてベランダに出た。

 

 

 

『イリヤさんが2人目の敵を倒した?』

 

『ええ・・・イリヤ様単独で打倒を・・・私たちや大和様が入り込む余地がないほどに高度な戦いでした』

 

ベランダに出たサファイアは昨日の戦いの顛末をルビーに話した。

 

『うーん・・・にわかに信じられない話ですねー』

 

『見てもらった方が早いと思う』

 

サファイアはそう言って下からUSBケーブルのようなものを出した。

 

『お、記憶同調(シンクロ)ですね、バッチコーイ!』

 

サファイアはケーブルをルビーの下に挿した。

 

『ああッ!ドクドクと、入ってくる・・・ッ!サファイアちゃんのが私の中にィーーー!!』

 

『・・・・・・・・・・』

 

ルビーが喘ぎ声のようなものを上げているが、サファイアはノーリアクションだった。

記憶同調(シンクロ)が終わると、ルビーは羽で床にのの字を書きながらいじけた。

 

『ハァハァ・・・サファイアちゃんがノってくれなくてお姉ちゃん寂しいです・・』

 

『余計な演出はいらないです、姉さん』

 

どうやらルビーの演技だったようだ。

 

『それで、どう思う?』

 

サファイアが改めてルビーに意見を求めた。

 

『うーん・・・まずは驚き、ですかね。イリヤさん、ほぼ完全に英霊化しているみたい。

恐らくはこれが本来のカードの使い方なんでしょうね』

 

ルビーはサファイアに送られた戦闘映像を見て、冷静に分析をした。

 

『カードにあんな力があるなんて・・・でも、協会が解析できなかったカードの使用方法をどうしてイリヤ様が?』

 

サファイアが驚くと同時にイリヤがなぜクラスカードを使えたのか疑問がでた。

 

『うーん、憶測ですけど、イリヤさんは使い方を知っていたんじゃなくて・・・』

 

 

 

『カードの使い方の手順をすっ飛ばして、結果だけ導いた・・・とか?』

 

 

 

『それがイリヤ様の能力?』

 

『だと、私は思いますよ。この家に魔術師はいないみたいですしイリヤさんは普通の子として育てられています。だから先天的な才能なのかもしれませんねー・・・この事は凜さんとルヴィアさんには?』

 

『話してない・・・誰にも言わない方がいいと思う』

 

『そうですね・・・ま、気にしてもしょうがないでしょう!私たちのやることは変わりませんから!』

 

ルビーは最後にあっけらかんとした感じで言った。

 

『姉さんは前向きですね』

 

『世の中、万事結果オーライです。何もともあれ勝てたのですから良しとしましょう。それに・・・』

 

ルビーは言いながら窓を開けた。

ルビーとサファイアが部屋に戻って、見ると。

 

「あ・・・」

 

イリヤが美遊を後ろからベッドに押さえ込んでいた。

イリヤはさっきの変なスイッチが入っていたようだ。

 

『まあ、こうして仲良くやっているわけですし、いいんじゃないですかー?』

 

『そうね・・・』

 

イリヤはすぐに美遊を離し、土下座した。

美遊はベッドの上で正座して乱れた衣服を整えていた。

 

「いや、これは・・・ついムラムラと・・・」

 

『まったくーメイドさんにいたずらしてはいけませんよー。そういった行為は業務内容に含まれません!』

 

「スイマセンでした。ヘンなスイッチのせいで・・・」

 

ルビーの指摘でイリヤはさらに深く土下座した。

 

「いや、そんな・・・イリヤスフィールも悪気があったわけじゃ・・・」

 

美遊は手を振りながらイリヤの謝罪に戸惑っていた。

すると、イリヤは顔を上げて美遊を見た。

 

「えーっと、前から思ってたんだけど」

 

「えっ、何?」

 

「“イリヤスフィール”って呼ぶの長くない?」

 

「え・・・?」

 

「“イリヤ”でいいよ。大和君とか他の友達もみんなそう呼ぶし・・・本名で呼ばれるの何か恥ずかしい」

 

「友・・達・・?」

 

イリヤの【友達】という言葉に美遊は少し驚きの顔をした。

 

「え“、違うの!?私の片思い・・・!?」

 

「あ、いや!そうじゃなくて・・・」

 

私って友達未満!?とショックを受けるイリヤに、美遊は慌てて弁明をした。

 

「・・・そ、それなら・・・私も・・・その、呼び捨てでいい・・・」

 

美遊は顔を赤くして恥ずかしそうに目線を下に向けながら言った。

 

「!うん!それじゃ、改めてよろしくね、美遊!」

 

「こ、こちらこそ・・・よろしく・・・イリヤ」

 

イリヤは満面の笑みで美遊に手を出した。

美遊も恥ずかしそうにそれでいて嬉しそうに手を出して、握手をした。

 

「よーっし!じゃあ早速、身体を拭いてもらおうかな!」

 

すると、イリヤは突然服を脱ぎ始めた。

 

「な、なんでそうなるの!?」

 

「病人のお世話もメイドの仕事でしょー!ご奉仕してー!」

 

イリヤはパンツだけの状態になり美遊に飛び掛かった。

 

「わ、私が従事しているのはルヴィアさんであって・・・ていうか、あなた恥じらいはないの!?」

 

美遊はイリヤに先程とは逆向きに組み伏せられながらも、抵抗した。

 

『やれやれですねー』

 

『絆が深まったようで、なによりです』

 

 

 

 

 

 

大和side

今日の学校が終わり、放課後。

俺は、4人と一緒にイリヤのお見舞いに衛宮邸に行っている。

一応お見舞いの品で、給食に出たプリンを持っている。

 

衛宮邸に着いてインターフォンを鳴らすと、リズさんが出た。

いつもはセラさんなのに珍しいな。

リズさんに聞くと、セラさんは何やら立て込んでいるらしく代わりに出たらしい。

 

そして、リズさんにイリヤのお見舞いに来たことを伝えると、イリヤは部屋で寝ているとのことだ。

4人はそそくさと中に入り、イリヤの部屋に行った。

おいおい、友達の家とはいえ、他人の家だぞ。もう少し落ち着いて行けよ。

俺は4人の後に続いて中に入り、イリヤの元に向かった。

2階に上がりイリヤの部屋が見えた時、4人はドアを開けて突撃していた。

まったく、せめてノックしろよ。

 

「おい、お前ら。ノックぐらいしろ・・・よ・・・」

 

俺は4人に苦言を言いながらイリヤの部屋に入ったが、部屋に入るなり固まってしまった。

なぜなら、イリヤがパンツ一枚だけの状態で美遊をベッドに組み伏せていた。

4人も固まっていた。

 

イリヤは俺と目線が合うと、顔を一気に赤くして側にあった目覚まし時計を手に取った。

 

「や、大和君見ないでーーーーーッ!!!」

 

「ガッ!!?」

 

イリヤは手にした目覚まし時計を俺に向けて投げてきた。

いつもの俺なら軽く避けれたが、衝撃な光景を目にして固まってしまって反応が遅れてしまい、思い切り額に当たってしまった。

 

 

 

その後、なんやかんやあってイリヤのお見舞いが終わり、俺と4人、美遊は帰るために1階に降りて行った。

 

「本日はお忙しい中お見舞いを賜りまして、ありがとうございました」

 

降りると、セラさんがメイドのような服を着ていて、いつもとは違う仰々しい口調だった。

 

「道中お気を付けてお帰りくださいませ」

 

口調のそのままで、お辞儀をしながら俺たちを見送った。

限界を出た俺たちはその場で解散した。

 

美遊が向かいの屋敷に返ろうとしたところを、俺は聞きたいことがあって美遊を引き留めた。

 

「美遊、ちょっといいか?」

 

「どうしたの?」

 

「昨日の夜の事、イリヤ何か言っていなかったか?」

 

俺の質問に美遊は顔を横に振った。

 

「イリヤは何も覚えていないみたい。私と大和で倒したと思っている」

 

「そうか・・・」

 

美遊の言葉に俺は少し溜息を出した。

 

『お前さん、お嬢ちゃんのことフルネームで呼んでいなかったか?』

 

ゾルバは美遊のイリヤの呼び方に指摘した。

そう言えばイリヤのこと、ずっとフルネームで呼んでいたな。

どうしたんだ?

 

「それは・・・イリヤがそう呼んでいいよって言ってくれて・・・と、友達だからって」

 

美遊は恥ずかしそうに顔を少し赤くしながら言った。

なるほどな。

これで2人の中も一歩深まったかな?

 

そうして俺も美遊と別れ、家に帰った。

そしてまた、夜が来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そういえばお前さん何でメイド服なんて着てるんだ?もしかして、お前さんの趣味か?』

 

「だから、違うって!!」

 

「だからってことは、もう聞かれたんだな」

 

『お察しください、大和様』

 

別れる前、こんな会話があった。

 




いかがでしょうか。

まさか1万字超えるとは思いませんでした。
自分でもびっくりです。

次回はアサシン戦、そしてイリヤ2回目の覚醒です。
漫画・アニメのようにシリアスに出来るか不安ですが、自分なりに頑張ってみます!

あと余談ですが、プリズマ☆イリヤの最新刊買ったのですが、色々あってまだ読んでいません………。
イリヤの存在が消えた世界で、美遊はどう立ち向かっていくのか、読むのが楽しみです。

それでは、次回!
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