Fate/kaleid liner knight   作:シャチ猫

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お待たせしました。
第13話です。

今回はいつもよりちょっと短いです。

それでは、どうぞ!


第13話 負傷/耐え切れない現実

大和side

今日も俺たちはカードを回収すべく、鏡面界に飛んだ。

今回は街から離れた森の中にあるらしく、森林の中を探索中・・・なのだが。

 

「どういうことですの?敵はいないしカードもない・・・もぬけのカラというやつですわね」

 

ルヴィアさんに言う通り俺たちは森の中を探し回っているのだが、何も見つからない。

いつもなら、来た瞬間に敵がおり即戦闘なのだが、今回は敵が一向に見つからない。

それどころか、現れもしない。

 

「場所を間違えた・・・とか?」

 

「まさか・・・それはないわ」

 

イリヤの言葉を凜さんは否定した。

 

「元々鏡面界は単なる世界の境界・・・空間的には存在しないものなの。それがこうして存在している以上、必ずどこかに原因(カード)があるはずだわ」

 

「そっか・・・なるほど」

 

凜さんの説明でイリヤが納得した。

すると、イリヤが空を見上げ怪訝な顔をした。

 

「そう言えば今回はなんだか空間が狭いような・・・?」

 

俺も鏡面界に来た時、イリヤと同じ疑問だった。

前回の黒ローブ女と黒騎士の時よりも空が近くなっている気がした。

 

「カードを回収するごとに歪みが減ってきてる証拠ね。最初の頃は数キロ四方もあったらしいわ」

 

「うへー・・・」

 

イリヤの疑問に凜さんが答えた。

ということは、最後の1枚は今回よりもっと狭くなるってことか。

 

「ゾルバ、気配は感じるか?」

 

『・・・駄目だな、気配という気配を絶ってやがる。どうやら今回の敵は相当隠れるのがうまい奴だな』

 

ゾルバの探知でも引っかからないとは。

やっかいな敵だな。

 

「嘆いていても仕方ありませんわ。とりあえず歩いて探しましょう」

 

「はーい・・・」

 

「はい」

 

「分かりました」

 

ルヴィアさんの言葉にイリヤは落ち込み気味に返事をした。

美遊と俺もイリヤに続いて返事をした。

 

俺たちは森を歩いているのだが、全く見つからない。

おまけに霧が出ていて、視界も悪い。

 

「うーん・・・見つからないね」

 

『何というか地味な作業ですねー』

 

「かもね・・・」

 

ルビーの言葉にイリヤが苦笑いをした。

 

『もっとこう魔法少女らしく、ド派手に魔力砲をぶっ放しまくって一面焦土に変えるくらいのリリカルな探索法をですね』

 

「それは探索じゃなくて破壊だよ・・・」

 

『今こそ必殺のリリカルラジカルジェノサイドを・・・!』

 

「なにそれ・・・」

 

イリヤとルビーのやり取りを尻目に俺は周囲を警戒していた。

俺も気配を探っているが、それらしいのが感じない。

視界が悪くなっているとはいえ、鏡面界が狭くなっているのに探しても全く見つからないのはおかしい。

ゾルバの言う通り、敵は気配を消すのがかなりうまいみたいだ。

 

俺は引き続き敵の気配を探っていると、イリヤが立ち止まって後ろを見ていた。

 

「どうしたの、イリヤ?」

 

「気のせいかな・・・?今何か動いたような———」

 

その時______

 

 

 

 

ヒュッ!

 

 

 

 

森の影から何かが飛んできた。

それはイリヤの首筋に向かっていた。

 

「ッ!!」

 

「キャッ!?」

 

俺はとっさにイリヤを押して飛来してきたものを魔戒剣で受け止めた。

イリヤは俺が押したせいで尻餅をついてしまった。

だが、今の俺はイリヤに謝っている余裕はなく周囲を警戒した。

 

だが、次の瞬間_____

 

 

 

ザクッ!

 

 

 

「痛ッ!?」

 

右の太ももに鋭い痛みが走った。

見ると、短剣が刺さっていた。

 

「美遊!!」

 

砲射(シュート)!!

 

ルヴィアさんが美遊に声をかけた瞬間、美遊は短剣が飛来してきた方向に魔力砲を放った。

魔力砲は木々をなぎ倒していった。

 

「いない・・・!?」

 

だが、肝心の敵の姿はいなかった。

どうやらすでに移動していたようだった。

 

「大和、大丈夫!?」

 

凜さんが俺のもとに駆け寄って来た。

 

「ええ、大丈夫です・・・ッ!」

 

「で、でも血が・・・」

 

イリヤは泣きそうな顔で心配してきてくれた。

 

「これくらい平気だ。それより早く周囲の警戒をするぞ!」

 

「っ!敵の位置は不明・・・方陣を組むわ!全方位を警戒!」

 

俺の言葉で凜さんは指示を飛ばし全員が背中合わせに陣を組んだ。

俺も短剣を抜き持ってきたハンカチで傷口を縛り応急処置をして、すぐさま魔戒剣を構えた。

 

「不意打ちとはナメた真似をしてくれますわね!」

 

「攻撃されるまで全く気配を感じなかったわ!みんな気を抜かないで!ヘタすれば死ぬわよ!」

 

凜さんの言葉にこの場にいる全員に緊張が走った。

 

死角をなくしてどんな角度からの攻撃にも対処できる陣形を俺たちはとっていた。

 

『これは・・・ッ!?』

 

「ゾルバ、敵は感知できたか!?」

 

 

 

 

だが、この陣形は______

 

 

 

 

 

こいつら(・・・・)、どこから湧いて出やがった!?』

 

 

 

 

ゾルバの言葉と現れた敵によって無意味に終わった。

 

周りの木々の間から骸骨のようなお面をした全身黒タイツがぞろぞろと現れ、俺たちを包囲した。

 

「この数・・・そんな・・・!」

 

『敵を視認!総数・・・50以上!』

 

「嘘でしょう・・・!?完全に包囲されていますわ!」

 

「なんてインチキ・・・!軍勢だなんて聞いてないわよ!!」

 

美遊、ルヴィアさん、凜さんが驚いている中、連中は指の間や手に持っている短剣を構えた。

 

『アイツら止めを刺すつもりだ!』

 

「凜さん、俺が奴らに広範囲攻撃をします!できるだけ離れてください!」

 

「分かったわ!イリヤ、美遊!包囲を突破するわ!火力を一点集中して!!」

 

「「はい!」」

 

凜さんの指示でみんな駆け出して行った。

俺はその場に残り、鎧を召喚しようと魔戒剣を掲げた。

 

 

 

だが、その時。

 

 

 

 

「かはっ………!?」

 

 

 

 

体中が突然痺れて動けなくなり、倒れてしまった。

 

『大和、どうした!?』

 

「体がっ、急に、痺れてっ……!」

 

突然のことだが、思い当たることは一つだけだった。

 

『体が痺れた?まさか!?』

 

ゾルバも同じことを思っていた。

痺れの原因は、十中八九さっきの短剣だ。

短剣に毒を仕込んでいたな。

 

『だが、毒ならお前は耐性を持っているはずだ!』

 

ゾルバの言う通り、魔戒騎士は毒や劇薬を飲んでもケロリとするはずだ。

だが、さっき受けた毒は耐性が効かず、今も痺れが続いている。

まさか。

 

「英霊のっ毒は……!違うってことか………っ!」

 

これは予想外だなっ・・・・!

 

『なら、早くリヴァートラの刻を飲め!あれならどんな毒でも治せるはずだ!』

 

俺もそうしたいが、思った以上に毒が強いみたいで、体が鉛のように重くて魔法衣に手が伸ばせれない。

 

「大和君!!」

 

イリヤは引き返して俺の所に駆け寄ろうとした。

 

だが、連中は動けない俺に向けて短剣を一斉に投擲してきた。

 

『大和!!早く!!』

 

クソッ………!頼む、動いてくれ………!

 

俺が必死に体を起こそうとした、その時。

 

 

目の前のイリヤが白い光が迸った。

 

 

 

 

 

イリヤside

凜さんの指示で駆け出して魔力砲を放とうとした時、後ろからドサッと音がした。

振り返ると、大和君が倒れていた。

 

「大和君!?」

 

「あの様子・・・まさかあの短剣に毒が!?」

 

凜さんの言葉に私は息を飲んだ。

大和君は体を起こそうとしているけど立ち上がれなくて、顔も辛そうだった。

 

「大和君!!」

 

私は急いで引き返して大和君を連れて行こうとした。

でも、それよりも先に敵達が大和君に向けて短剣を投げた。

 

大和君に向かっている大量の短剣がスローモーションのように遅く動いて見えた。

 

 

大和君が、死ぬ・・・?

 

 

あの優しくて強い大和君が、私の好きな人が死ぬ・・・?

 

 

・・・・・だめ、そんなの絶対にダメ

 

 

どうすれば・・・どうすればいいのかな

 

 

そういえばルビーが何か言ってなかたっけ?

 

 

 

『ド派手に魔力砲をぶっ放しまくって一面焦土に』

 

 

 

ああ、それなら簡単だ

私が守らなきゃ。

 

 

 

その時、私の中で何かがガチンッと外れる音がした。

 

 

 

 

そして、私の中から何かが溢れ出した。

 

 

 

 

 

 

ふと我に返ると、もう終わっていた。

 

「何・・・これ・・・?」

 

私は周りの光景に呆然とした。

敵の集団はもういなくて、それどころか周りの木々も全部なくなっていた。

よく見ると、私を中心にクレーターが出来ていた。

 

「私が・・・やったの・・・?」

 

な、なんでこんなことに?

私はただ大和君を助けようとしただけで・・・。

・・・そうだ、大和君、大和君は!?

 

前にいた大和君を見ると、大和君は鎧を纏っていて肩で大きく息をしていた。

大和君の体から鎧が離れると、大和君の体がボロボロで頭からも血が流れていた。

そのまま大和君は地面に倒れた。

 

「「「大和!!」」」

 

後ろにいた美遊、凜さん、ルヴィアさんが大和君の元に駆け寄った。

見ると3人もボロボロの状態だった。

 

「大和!しっかりして!」

 

「サファイア!大和の容態はどうですの!?」

 

『外傷の傷はさほど深くはありません。鎧のおかげで重症化せずに済んだのでしょう』

 

「とにかく、宝石で今すぐ治療するわ!」

 

凜さんとルヴィアさんが宝石で大和君の傷を治している中、私はただ立っているだけだった。

 

私のせい・・・?私が・・・?

 

 

そして、昨日の夜のことを全て思い出した。

あの2人目の敵は美遊と大和君じゃなくて、私が倒した………。

 

「なん・・なの?」

 

 

どうして私がこんな・・・

 

 

「敵も・・・大和君たちまで巻き込んで・・・」

 

 

いや・・・いや・・・!

 

 

もういや!

 

私は耐え切れず鏡面界から出た。

 

 

現実世界に戻り、ひたすら森の中を走り抜けた。

 

『イリヤさん落ち着いてください!』

 

「もういや!帰る・・・帰るの!」

 

私は普通の人間なのに・・・!

ルビーに騙されてちょっと魔法少女をやっただけ・・・!

 

なのに、そのはずなのに、まるで・・・・・

 

 

 

私が私じゃなくなるような感覚

 

 

 

 

(カエ)らなきゃ・・・」

 

 

 

(カエ)らなきゃ・・・はやく・・・」

 

 

 

 

「家に(カエ)らなきゃ・・・」

 

 

 

 

「はやく・・・」

 

 

 

 

 

もっとはやく!!

 

 

 

 

 

 

気づけば私は空にいた。

 

 

『上空・・・!?まさか転移を!?こんな距離を一度に・・・!!』

 

「あった・・・!」

 

空から家を見つけて、そのまま急降下して家に入った。

 

そこで、私は気を失った。

 




いかがでしょうか。

主人公の毒のシーンは、≪牙狼 MAKAISENKI≫の第6話の零の毒を飲まされても平気だったというのを使いました。
私の都合で普通の毒は魔戒騎士なら大丈夫だけど、英霊の毒は効くというご都合主義にしました。
不快に思った方は、申し訳ございません。

話は変わりますが、プリズマ☆イリヤ最新刊、読みました。
ネタバレになるので、内容はここでは伏せますが、自分的にはちょっと意外な展開でした。

それでは、次回!
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