Fate/kaleid liner knight   作:シャチ猫

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大変お持たせしました。
第16話です。

今回はいつもより少し短いです。

それでは、どうぞ!


第16話 決意/前へ進む時

イリヤside

シャワーを浴びてシャンプーの汚れを落として、湯船に浸かった。

 

「はぁー・・・」

 

お風呂が気持ちよくて、思わず声が出てしまった。

こんなゆっくりお風呂に入るのって、なんか久しぶりかも・・・。

ルビーも隣で桶にお湯をお風呂代わりにして一緒に入っている。

 

気持ちが落ち着いた時、私の頭の中に大和君が言った言葉が反芻した。

 

≪自分の中に力があった。それを知った今・・・どうしたい?≫

 

≪その力も含めてイリヤであることを忘れないでほしい≫

 

どうしたいって言われても、やっぱり分からないよ。

それに、あの力も私の一部なんて・・・やっぱり、怖いよ・・・。

湯船の中で太ももの裏に手を回して膝を抱えるように少し蹲った。

 

「イリヤどこー?こっちー?」

 

「あのっ、まだ入浴中で・・・」

 

考えていると外がなんか騒がしかった。

それと同時にドタドタとこっちに向かってくる音も聞こえてきた。

何だろうと思っていると。

 

「イヤッホゥ、イリヤちゃーん!お ひ さー!!

 

ブーーーッ!!マ、ママ?!」

 

お風呂のドアが開いたと思ったら、突然ママが現れた!

 

「ただいまイリヤ♪」

 

な、何でここにいるの!?仕事は!?

 

「長旅で疲れちゃったから私も入るわー、ほらつめてつめて」

 

「ええっ!?ちょっ、ママ!?」

 

ママは着ている服をポンポンと脱いでお風呂に入ってきた。

 

「はーーーーー、やっぱりお風呂は落ち着くねぇ・・・」

 

ママは私を後ろから抱くような形で湯船に浸かり、リラックスした感じで言った。

こっちは突然のママの帰宅に頭が追いついていないんだけど・・・。

 

「あら何これ?」

 

ママは物に化していているルビーをつまんで持ち上げた。

 

「お風呂でおもちゃ?イリヤもまだまだ子供ねー」

 

「ふぇ?そ、そうかな?」

 

本当はそんなんじゃないんだけどルビーのことバレたらまずいから、ここは屈辱だけどママに誤解してもらうしかない・・・!

私はママからルビーをひったくってお湯の中に隠した。

 

「そ、それにしても、ずいぶん急な帰宅だねママ・・・」

 

「んんー?私が急に帰ったら何かまずいことでもあるのかにゃ~?」

 

後ろから私のほっぺをウニウニとつまんでくる。

まずいと言ったらまずいけど、それよりも本当に急な帰宅に驚いている。

 

「仕事がひと段落ついたから私だけ帰ってきたの。と言っても切嗣はまだ向こうで仕事中だからすぐ戻らなきゃいけないんだけどね」

 

「そうなんだ・・・」

 

切嗣(お父さん)は帰ってきてないんだ。

切嗣(お父さん)にも会いたかったな………。

 

「だから今はこうして可愛い愛娘との束の間のスキンシップを取ろうとねー」

 

ママは成長した?と言いながら私の両胸をワシワシと揉んできた。

 

「これは、ちょーっと過激じゃないかなー・・・」

 

いくら親子でもこれはスキンシップの域を超えているよ!

 

「そう言えば、ここに来る前に大和君に会ったわ」

 

すると、ママは揉むのをやめて話してきた。

えっ、大和君に?

 

「大和君もすごく大きくなってびっくりしたわー」

 

ママは変わらずニコニコしながら話していた。

 

「コンビニで買い物するって言ってたけど、ちゃんと帰れたかしら?」

 

「どう・・・だろうね・・・」

 

大和君、最後のカード回収に行ったんだ。

その途中でママに会ったから、買い物するって誤魔化したんだ。

ていうことは、今頃最後の敵と戦っているんだ・・・。

そう思っていると、私は少し暗い気持ちになった。

 

「まあ大和君しっかりした子だから大丈夫でしょ」

 

それで話は変わるけど、とママが言葉を続けた。

 

「私が留守の間、何か変わったことあった?」

 

「えっ?ううん、別に・・・」

 

「またまたー!あったでしょ?すっごーく変わったことが!」

 

「ええっ!?」

 

ま、まさかバレてる!?

 

「ほら、ウチの目の前に建った豪邸!」

 

あ・・・そっちね。

 

「ちょっと見ないうちにあんなのが建っちゃうなんてねー」

 

「そ、そうだね・・・あはは・・・」

 

一瞬帰り道間違えたかと思ったわーと笑いながらママが言った。

確かに普通の住宅地にあんな豪邸できたらびっくりするよね・・・。

 

「セラから聞いたけどイリヤのクラスメイトが住んでいるんですってね」

 

「———・・・」

 

ママの言葉に少し言葉が詰まった。

 

「ねぇ、なんていう子なの?」

 

「・・・み・・・美遊・・・」

 

「美遊ちゃんねー、転校生なんだよね友達にはなれた?」

 

「・・・・・・・・うん」

 

なれた・・・のかな?

 

「その美遊ちゃんは、どんな子?」

 

「どんなって・・・えっと・・・」

 

なんて言ったらいいのかな?

 

「美遊はなんていうか静かな子。必要なことしか喋らないし・・・喋ることがあんまり得意じゃないのかも」

 

「へぇー」

 

私の言葉にママは相槌を打ってくれた。

 

「あ、でもね、頭がすごく良くてテストで一気に一番になっちゃったんだ。運動も大和君の次にいいんだよ」

 

「ふふっ、美遊ちゃんは何でも出来る子なのね」

 

そう、何でも・・・。

 

「・・・うん、何でもできる・・・。美遊は何でも一人でできるんだ」

 

さっき思っていたことがまた頭の中に浮かんできた。

今頃、大和君と一緒に戦っているんだろうな。

 

「みんなでやるはずだったことから私が逃げた時も・・・・・全然責めなかった」

 

美遊だけじゃない。凜さんも私のせいで傷ついちゃった大和君でさえも責めなかった。

 

「最初からそうだった・・・最初から美遊は私のことなんかアテにしてなかった」

 

あの夕方の公園の時から美遊はそう思っていたかもしれない。

 

「美遊たちはすごいよ。美遊たちならきっと・・・私がいなくても大丈夫・・・」

 

だって、美遊も大和君も強いから。

私がいても2人の足を引っ張るだけだから・・・。

 

「本当にそう思う?」

 

「えっ・・・?」

 

ママの言葉にうつむいていた顔を思わずあげた。

 

「だってあなた全然大丈夫って顔してないじゃない」

 

その言葉に胸がちくりと痛んだ。

私は・・・・。

 

「上がりましょうか。このままだとのぼせちゃうわよ」

 

そう言ってママはお風呂から上がって脱衣所に行った。

私も少し遅れてお風呂から上がった。

 

お風呂から上がって今はママの部屋に行き、髪をママに梳いでもらっている。

 

「ねぇイリヤ、本当は心配でしょうがないでしょ?」

 

「それは・・・」

 

「それなら手伝ってあげたらいいじゃない。どうしてそうしないの?」

 

「だって・・・」

 

私のせいで、みんなが傷ついたあの時の光景が蘇ってくる。

 

「私じゃ・・・うまくできないから・・・」

 

もうあんな光景は見たくない・・・!

 

「ねぇ、イリヤ。うまくできないってどういうことかしら?聞かせてくれると、ママはうれしいな」

 

・・・・ごめん、美遊、大和君。

本当は話しちゃいけないけど、少しだけしゃべるね。

 

「私、美遊と大和君と3人でやっていることがあって、初めは好奇心だったけど特訓したり作戦練ったりして私なりにがんばってみたんだ。でも・・・・」

 

私はうつむいて言葉を続けた。

 

「この前負けちゃいそうになって、すごくピンチで、何とかしなきゃって思ってたけど・・・失敗しちゃって・・・」

 

言いながらパジャマのズボンを握りしめ、体が震え始めた。

 

「私、美遊や大和君みたいにうまくできなから・・・みんなに迷惑かけちゃって・・・私のせいで取り返しのつかいことになっていたかもしれないと思うと・・・すごく怖いよ・・・」

 

すると、ママは私の肩に手を置いた。

 

「そうよね、イリヤ。自分のせいで失敗して誰かを傷つけるのは怖いよね。まして————」

 

 

 

 

 

 

「自分の中の力のせいだったら、尚更怖いわよね」

 

 

 

 

 

・・・・え?

ママの言葉に私は一瞬心臓が止まりそうになった。

 

「マ、ママ・・・?今何て・・・?」

 

恐る恐るママの方に振り向いた。

 

「やっぱり鍵が開いているわね、それも2回。10年間も溜めていた魔力がほとんど空だわ。随分盛大に使っちゃったのね。こんなに早く解けるなんて思ってなかった」

 

「何を・・・言ってるの・・・?ママ・・・?」

 

ママが今まで見たことがないくらい真剣な顔をして言った。

 

「驚いたわよね・・・今までの自分(常識)が崩れていくようで・・・」

 

私は立ち上がって机の方に逃げて、ママと距離を取った。

 

「ママ・・・知ってる?私の力のこと・・・」

 

ママは目を閉じたまま何も答えなかった。

でも、間違いない。ママは絶対に知ってる、私の力のこと!

 

「ねぇ、教えてママ!あの力は何なの!?どうして私にあんな力があるの!?」

 

私は必死に問いかけた。

知ってるなら、全部教えて欲しい!

 

ママは閉じていた目を開けて私のほうをしっかりと見た。

そして、口を開き出た言葉が—————

 

 

 

 

 

 

「さぁ?」

 

 

 

 

 

・・・・は?えっ、ちょっ・・・!?!?

 

「あ、あからさまにすっとぼけないでよママ!」

 

私の求めていた答えじゃなくて、とぼけた言葉だった!しかも、おちゃらけた顔付きで!

 

「えーとホラあれよ。〔それは自分で気付かねばならないのだ……〕とか〔今はその時ではない……〕みたいなっ!」

 

「なにそれー!?」

 

あそこまで意味深なことを言っておいて何もったいつけてるの!!?

 

「あーもー反論禁止!!」

 

「DVッ!?」

 

いきなり頭にチョップをしてきた!痛いよ!

 

「とにかく!私が言えることひとつだけ」

 

痛みで頭を押さえてる私をママはぎゅっと抱きしめた。

 

「≪力≫を恐れているならそれは間違いよ。力そのものに良いも悪いもないの。重要なのは使う人・・・あなたの意志」

 

ママは優しい口調で私に語りかけるように言った。

 

「あなたにどんな力があろうと恐れる必要はないわ。それは紛れもなく———」

 

 

 

 

「あなたの一部なんだから」

 

 

 

ママも大和君と同じことを言ってる・・・。

ママは抱きしめるのをやめて、私の両肩に手を置いたまま私を離した。

 

「答えはこれから見つければいいわ。ママはね・・・イリヤにはそのまま進んでほしいの」

 

「進むって・・・?」

 

聞くとママは少し困ったように笑った。

 

「逃げ出したんでしょ?3人でやらなきゃいけないことからあなただけ逃げたんでしょ?

大和君と美遊ちゃん・・・だったかしら?」

 

「イリヤにとって大和君と美遊ちゃんは・・・どんな存在なの?」

 

そんなの・・・そんなの決まってる———

 

「大和君と美遊は・・・2人は・・・!」

 

 

 

 

 

———大切な友達!!

 

 

 

 

「ママ、行ってくるね!」

 

ママの部屋から出て私服に着替え、すぐ駆け出した。

大和君、美遊!私もすぐそっちに行くから!

 




いかがでしょうか。

次回、いよいよクライマックス。
まだ未定ですが、恐らく次話で無印編最終話になると思います。

みなさんがおもしろいと思えるような戦闘シーンを書きたい所存です!

それでは、次回!
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